愛の妙薬
俊輔:作

■ 序章
第2節 息子の妻 葵ちゃん4

平均率グラビア曲集は全曲の演奏時間、三時間の大作です。
この第一巻第一曲はあまりにも有名です。
恋人同志がシティホテルで愛し合う前の前奏曲、恋人同志が自然にキスしたくなるような旋律です。

同じ主題が、手を変え、品を変え、幾つもの変奏曲になって現れ、恋人に安らぎをプレゼントします。
転調する時は、二人の前戯の変化をお誘いします。

モーリスラベルの<ボレロ>も同じ旋律を多くの変奏曲で奏でます。
基本リズムは169回も登場します。
「タンタタタ,タンタタタ,タンタン|タンタタタ,タンタタタ,タタタタタタ」です。

バッハの平均律は、男女の、優しさのこもった前戯の時だけに有効なのではありません。
男女が深く交わる時も、平均律はとても有効なんです。
同じ主題の変奏曲による繰り返しは、2人の緩急の混じった抽送をスムーズなものにし、転調は、その名の如く、ヴァリエーションです。
そろそろ体位を変えようかな、と思っていた頃にト長調から嬰ハ短調へのように転調するんです。
それに合わせて、男女はその体位を変えます。
そして、その後の主題の繰り返しに合わせて抽送を繰り返します。

私、どうしてこんな具合に主題を幾つもの変奏曲に作曲できるんだろ〜? って思ってボーっとしています。

その時、葵ちゃん『お義父さん、何、ボーってしてるの?』
私『うん、ごめんね、この平均率って、葵ちゃんが入れてくれたコーヒーとすごくマッチするな〜って思ってたんだ!』

葵ちゃん『お義父さんの意地悪〜!
お義父さんって、<平均率>の方があたしよりもずっと好きなんでしょ〜!』

私、まごまごしてしまいます。
私、息子、一平の手前<そんなことはないよ、葵ちゃんのこと、とっても好きだよ!>って言うわけにはいきません。
私<こまったなー>と思って、モジモジ、モタモタしています。
葵ちゃん『やっぱ、お義父さんって……!あたしなんて、眼中に……!

私、ほとほと困ります。話題を変えなくっちゃ、って思います。』
私『葵ちゃん、とっても綺麗だし可愛いし、ほんとに素敵だなー、一平は幸せだねー、葵ちゃんは毎日、一平に愛されているんだろうねー』

葵ちゃん『それがね、お義父さん、そうじゃないのよ、
私、とってもお義母さんがうらやましいわ、』。

私『どうして? 葵ちゃんには素敵な一平がいるじゃないか?』
葵ちゃん『それがね、お義父さん、一平さんって、確かに素敵よ、でも、彼って、お仕事がとっても忙しくって、私のことなんかかまってくれないのよ、晩御飯を食べると、すぐに寝ちゃうのよ。
あっちの方も何だかとっても衰えてしまったみたいなの。
本当にお義母さんが羨ましいわ』

私『葵ちゃん、どうしてあきちゃんが羨ましいと思うの?』
葵ちゃん『今朝だってそうだわ、
夜中の2時頃、私、喉が渇いて、下の冷蔵庫の麦茶を飲みに降りてきたの、そしたら、お義母さんの声が聞こえてきたの、すごーく、幸せそうだったの。
私、思わず、廊下に立ちすくんでしまったわ、朝5時までずーっと聞いてたのよ、3時間もよー、その間にお義母さん、何回絶頂に達したかわかんないくらいだったのよー、お義父さんがお母さんの中に入る時のお義母さんの声がすごいのー、私、思わず、自分のあそこを可愛がってしまったわー!
私、何べんも行っちゃったわー、
ほんとにお義母さん、羨ましいわ。
ね、お義父さん、どうしてお義父さんはそんなに強いの?
だって、3時間もよ、しかも、金曜の晩はいつもでしょ』

私は思わずバイアグラの効果を白状してしまいました。
そして、一平にも勧めてはどうかと言いました。

その間、葵ちゃんは、これみよがしに、胸の谷間と、横おっぱいを私にさらしているんです。
横から見ると乳首は見えないけど、おっぱい全体が見えるんです。
しなだれかかると、乳首も見えてしまうんです。
脚を組んでいるので、太腿は付け根まで丸見えです。
太腿を透明な2すじの液体が垂れ流れているんです。
葵ちゃん、それを全然隠そうとしないんです。
すべてをさらけだしている可愛い葵ちゃんです。

私、なんとかその場を逃げようと、とりつくろいます。
私『ほんとに葵ちゃんが入れてくれるコーヒーって美味しいねー!』
葵ちゃん『あら、お義父さん、コーヒーがなくなちゃったわ、新しいの、入れなおしましょうか?』
私『うん、お願いできるかな?』

葵ちゃん、隣の椅子から立ち上がって、流し台に立ちます。
私に背を向けているので、豊かなお尻が丸見えです。
葵ちゃん、ボードからコピ・ルアックの缶とコーヒーサーバーを取り出して、丸型ろ紙をセットします。
そして、コーヒーひしゃく1杯のコーヒーパウダーを掬います。

その時です、あ・ら・ら!!! 途方にくれるようなことがおこったんです。

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