愛の妙薬
俊輔:作

■ 第1章 二人の美女
第2節 オードリーと3人で3

第2話 TVカメラシステム

玄関のチャイムを鳴らすと、『ようこそ、山中さん、』
と言って二人の美女が、私を迎えてくれました。
早苗さん、私よりも先にいらしてたんですね。

二人は、びっくり仰天ドレスを着て現れたんです。
弥生さんと早苗さんが身に着けていた衣装は、全く同じものだったんです。
知る人ぞ知る、かの有名な正真正銘のマイフェアレディーコスチュームだったんです。

オードリー・ヘプパーンが主演する名作映画「マイフェアレディー」の中で、ヒギンス教授に連れられて舞踏会に行くその前日の階段シーンでの衣装です。

イライザ(ヘプパーン)がヒギンス家の2階からおりてくる時に身に着けていた、真っ白のドレスの上を覆っている濃いワインレッドのビロードのローブ、まさにこの衣装なんです。
世にも美しいシーンとして、あまりにも有名です。

私は目を疑いました。
真っ白のドレスの上に、ワインレッドのビロードローブをまとった、絶世の2人の美女!!!
映画ではなく、現実に目の前にいるんです。

この高貴な衣装を身にまとった弥生さん、ほんとに、ヘップバーンを日本人にしたみたいです。
ヘアースタイルも、額(ひたい)の形も、眉毛(まゆげ)も、睫毛(まつげ)も、二重の瞼(まぶた)も瞳(ひとみ)の形も大きさも、すべて、ヘップバーンの生き写しなんです。

スラリとした鼻筋も、ちょっと角ばった頬(ほお)も、ちょっと肉感的な厚手の唇も、ほっそりしとした首筋も、ヘップバーンそのものです。
ちょっと違うところといえば、光彩の色が、ヘップバーンは、ちょっと紫がかっているのですが、弥生さんのは濃いこげ茶色なんです。
それと、ヘプパーンはBカップですが、弥生さんはCカップのようです。

となりに並んでいる、熊田曜子さん(早苗さん)も、このマイフェアレディーコスチュームがとっても似合っています。
弥生さんと比べると、ちょっと、胸が肉感的なイライザです。

弥生さん『山中さん、初めまして、ようこそいらっしゃいました。
私、篠山弥生と申します。よろしくお願いします。
おいで下さってとっても光栄に思います。
山中さんに来て頂けると知って、この2時間、とても待ち遠しくって、待ち遠しくってーーー、女子高生の時のような気持ちでお待ちしてました。
でも、ハンサムな紳士でよかったわー、とっても嬉しいわー!』

私『弥生さんと呼んでよろしいでしょうか? 私、山中健介と申します。
この上なく美しい貴婦人にお会いできて、こんなに嬉しい事はありません。』

弥生さん『それでは、さっそくですが、山中さん、ご案内いたします。』
そう言って、弥生さん、40畳(130u)ほどの巨大なリビングルームに私と早苗さんをエスコートします。

一つのリビングといっても、このお部屋は3つの空間から成り立っている感じです。
左端の空間は書斎、真ん中の空間は所謂リビング、右端の空間にはほとんど何もありません。
リビングには、超豪華な食卓テーブルと、ソファーセットがあります。
弥生さん『山中さん、早苗さん、ソファーに掛けて、リラックスなさってください。』

彫刻付布製不ソファです。300万円くらいしそうなソファです。
私と早苗さん『ありがとうございます。
それにしても豪華なソファーですね!』
弥生さん『ありがとうございます。 でも、それはさておいて、私、このお部屋の仕組み、説明させていただきますね!』

弥生さん『山中さん、そこの肘掛の右のスイッチを押して下さい』
私、言われるままに、スイッチを押しました。驚きました。
左側の空間が、回り舞台のように回転し始めたのです。
書斎が消えていったのです。現れたのはベッドルームです。
キングサイズのベッドが二つあります。

弥生さん『山中さん、そこの左のスイッチを押して下さい』
私、言われるままに、スイッチを押しました。
何もなかった右端の空間の天井から、巨大な液晶スクリーンとレールにセットされたTVカメラがおりてきました。
そのレールが中央の空間のレール、そしてベッドルームのレールと自動連結したんです。
3つの空間のレールが連結されたわけです。
TVカメラは、3つの空間を自在に走行できるようです。

弥生さん『山中さん、そこの真ん中のスイッチを押して下さい』
巨大なスクリーンに私たち3人が映し出されます。
カメラを向いて、ソファの上に、ラフなスタイルの私が真ん中で、左に弥生さん、右に早苗さんが座っています。
2人とも、イライザスタイルです。

TVカメラは撮像素子が3300万画素、走査線の数が4000本の超ハイビジョン対応カメラだそうです。
IHK(International Housou Kyoukai = 国際放送協会)と日本バクターが2012年に発表した共同開発中のカメラです。

巨大なスクリーンが、お部屋の照明の暗い部分を含んで、全てを精緻に映し出しています。
おどろくほど、肌理の細かい映像です。
スクリーンサイズは、縦が1.8mで横が3.2mです。
145インチ画面です。
こんな巨大なスクリーンに映されても、さすがに3300万画素です。
おどろくべきハイビジョンカメラです。

弥生さん『山中さん、早苗さんの肩を優しく抱いてください』
私、言われるままに、早苗さんの肩を抱きました。
TVカメラが自動的に移動し、スクリーンの中央に、私と早苗さんが、端っこに弥生さんが位置する、そんな構図になりました。

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