愛の妙薬
俊輔:作

■ 第2章 山田総合内科のあやめさん
第1節 お薬の追加処方6

第4話 性的能力 進化論

あやめさん『その通りです、小学校低学年なのに、男の子のペニスも、女の子の乳房も大きくなったのは、食生活の影響です。
西欧の男性のお道具が極端に大きいのも食生活が影響しています。
ここで、ダーウィンの進化論についての私の見解を聞いてくれたらうれしいです。』

私『ダーウィンの進化論ですね。私も理科系の人間なので、とても興味があります。是非教えて下さい』

あやめさん『山中さん、結論的に言うと、人類の100%は、性的な意味で、魅力的になる方向にまっしぐらに進んでいるし、今後も進んでいく、ということです。』
私『あやめさん、つまり、世界中の男女の肉体が全員、だんだんに、エロチックになっていく、という事ですか?』

あやめさん『そうです、そのとおりです。
但し、それって、1万年とか10万年のスパンで評価すべきことです。
人類の1世代とか、2世代で、人間がみんな、性的な意味で魅力的になる、という事ではありません。』

私『それって、優性遺伝の結果でしょうか?』
あやめさん『山中さん、それはちがいます。
例えば、血液型の場合、AA型のO型の親から生まれてくる子は、AO型なんですが、Aが優性で、Oが劣性なので、子はA型になります。
だからと言って、例えば、美人の奥様と、見た目の悪い男性が恋をして、その結果、生まれて来るお嬢さんが、美人ではないことはしょっちゅうあることです。』

私『つまり、美しい素質は優性であり、美しくないのは劣性である、そのように考えてはいけない、ということでしょうか?』
あやめさん『そのとおりです、仮に、美しい素質は優性であり、美しくないのは劣性である、というテーゼがあるとしたら、美しい奥様と見た目の悪い男性から生まれて来るお嬢様は、みな、美しいはずなんです。』

私『それって、隣近所のご家族を見ますと、納得です。
でも、いずれは、人類みんなが、いずれは、美しくなっていくっていうわけですね。』

あやめさん『さすがに山中さんです、全くそのとおりです。
例えば、ペニスの小さなお父さんから生まれた女性が、ペニスがとても大きな男性と結ばれた結果、生まれて来た男の子のペニスが小さい、そういう事は頻繁にあるんです。』

山中さん『つまり、優性遺伝という言葉の意味を慎重に理解しなければいけない、ということですね。』
あやめさん『そのとおりです。
頭の良い母親と、頭のわるい父親から生まれて来るのは、頭の良い子供だ、何故なら、頭が良いのは優性であり、頭が悪いのは劣性である、従って、優性遺伝の法則によれば、頭の良い母親と、頭のわるい父親が交われば、生まれて来るのは、頭の良い子供だ、そのように考えてはいけないんです。
ペニスが大きいのが優性であり、小さいのは劣性であると考えてはいけないんです。』

私『つまり、このように考えればいいのでしょうか?
わかりやすい例で申し上げますと、身長の高い男性と身長の高い女性のお子様は、おおむね身長が高い。
両親のどっちも身長が低いと、生まれてくるお子様は、おおむね身長が低い。
でも、片親が身長が高く、もう一方が身長が低い親から生まれたお子様は、身長が高かったり低かったりするのであって、身長が高い子供が生まれてくるとはかぎっていない。』

あやめさん『そのとおりです、山中さん』

私『そう言われてみると、頭が良い事が優性であり、頭が悪い事は劣性だ、というような判断基準を誰も決めていませんもんね、誰も決めてないのに、頭の良い母親と、頭のわるい父親から生まれて来るのは、100%、頭の良い子供になる、そんなはずはないですよね。
身長についても同様、というような事でしょうか?』

あやめさん『図星です。
例えば、男性のペニスが大きいのは優性であり、ペニスが小さいのは劣性である、という判断基準が存在しているわけではありません。
ペニスが大きい男性と性交すると、女性がエクスタシーに達しやすいのは間違いないです。
しかし、女性がペニスを挿入される時、大きいペニスは苦痛なので、小さいペニスがいいのなー、と思う女性がいるのも確かなんです。

ですから、優性なのは、大きいペニスなのか、小さいペニスなのかは一概に言えません。
にもかかわらず、10万年とか100万年のスパンで評価すると、人類は、みな、性的な意味で魅力的になるんです。
ペニスについて言うと、男性の性器は、1000年のオーダーで、大きくなっていくんです。
山中さん、その理由は何でしょう?』

私『それって、もしかすると、自然淘汰原理かなー?』
あやめさん『そのとおりです、自然淘汰なんです、』

私『でも、ペニスについていうと、小さいのがいいな、と思う女性もいますよね、だから、単純な自然淘汰ではなくって、<多数決の原理>に基づいた自然淘汰、こんな言葉で整理されると、私はわかりやすいです。』
あやめさん『うん、なんとなく核心に近づいてきたような気がします。
山中さん、そうなんです、伴侶を選ぶ際、例えば、ペニスの大きな人がいいな、と思う女性が80%、ペニスの小さな人がいいな、と思う女性が20%だったとすると人類は、ペニスが大きい方向に着実に進んでいく、そういう意味で、<多数決の原理>なんですね。』

私『そのように思います。つまり、ペニスの大きさの例で言うと、80%対20%という数字の結果として、ペニスの小さい男性は、女性を妊娠させるチャンスがより減ってくる、その結果、ペニスの小さい子孫を残す確率が、ペニスの大きな男性に比べて減ってくる、というようなことではないでしょうか?』

あやめさん『そうですね、自然淘汰という言葉からは、ペニスの小さい男性は100%、淘汰される存在である、というようなニュアンスが感じられますが、実際はそうではないのですね、小さなペニスの好きな女性もいるわけですから、<多数決の原理>で、じわじわと、人類のペニスが大きくなる、そう考えるのが自然な気がします。
山中理論<多数決原理による自然淘汰、その結果としての進化論>
これが正しいような気がします』

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