愛の妙薬
俊輔:作

■ 第2章 山田総合内科のあやめさん
第1節 お薬の追加処方13

あやめさん『男性が射精すると、男性ホルモン、つまり、テストステロンがある程度、消費されるんです。』
私『すると、男性ホルモンが減ってしまってまずいのではありませんか?』

あやめさん『男性ホルモンは確かに減少します。
でも、人間の体はよくできたもので、減少した分の男性ホルモンを再生成する機構が自動的に作用します。
セックスの頻度の高い男性の場合、ホルモン再生成機構は、しょっちゅう働きます。
ところが、全然、セックスから遠ざかって、射精を長期間しない男性の場合、ホルモン再生成機構が働かない状態が長期間続きます。』
私『ははーん、何となく推察できますね。
人間が運動しない期間が長く続くと、運動機能が低下してしまう、それと似たようなことになる、そう、おっしゃりたいのでは?』

あやめさん『そうなんです、長期間、射精しない状態が続くと、男性ホルモン再生成機構が衰えてしまうんです。
男性更年期の始まりであり、老化現象が進行するのです。
その結果はみるも無残なことになります。
性欲の源であるテストステロンの製造、分泌が衰えたら悲劇です。』

私『精液の製造能力も似ていませんか?
つまり、射精をすると、精液が減少するけれども、精液の再製造がおこなわれる。
ところが、長期間射精しないと、精液の再製造能力が低下してしまって、<いざ、本陣>という時に役に立たなくなる-----』

あやめさん『そのとおりです。
ですから、ある程度の頻度で射精するのが望ましい、というのが、性医学界、内科学会、美容学会の共通した見解です。』
私『そこで質問です。オナニーで射精してもいいんでしょうか?』

あやめさん『大丈夫です。オナニーで射精しても、精子の再製造能力は維持されますし、テストステロンの再製造能力も維持されます。
学会の通説では、セックスでもいいし、オナニーでもいい、最低3日に一度は射精するのが若さを堅持する、とのことです』

私『そうすると、セックスレスでもオナニーを頻繁にすればいいということでしょうか?』
あやめさん『これって、半分はイエス、半分はノーです。』

私『つまり?』
あやめさん『男性器を機械的に摩擦して、単に精液を放出するだけでは、あまり意味がありません。精液の<再製造能力>も、テストステロンの<再製造能力>も維持されるのは確かですが、重要なのは、テストステロンがしっかりと<<分泌>>されるかどうかです。』

私『ほー、なんだか、<再製造>と、<分泌>は違うようですね。
つまり、再製造できても分泌できなければ意味がない?』
あやめさん『そのとおりです。テストステロンは<分泌されてなんぼ>なんです。
分泌されて初めて、男性の肉体的、精神的な若々しさを保ってくれるんです。
製造されて、蓄えられているだけでは、宝の持ち腐れです。
もちろん、製造されなければ、分泌することもできないので、オナニーはとても大事な補助的行為です。』

私『おさらいさせてください。
精液の放出は、精液の再製造能力を維持するという観点と、テストステロンの再製造能力を維持するという観点から重要である。
それはオナニーでもよい。
でも、それだけでは、分泌はされない、
テストステロンの分泌は、大好きな彼女とレストランで食事をする時から、彼女と交わって、後戯にいたるまでのプロセスで分泌される。
だから、大好きな彼女とわくわくするプロセスこそが重要だ、こんな感じですか?』

あやめさん『ほとんど正しいです。
ただ、大好きな彼女とわくわくするプロセス、というよりも初めて会う女性とわくわくするプロセス、その時に分泌は盛んになります。
これこそが、男性の浮気の原因なんです。

もう一つ付け加えたいのは、わくわくするようなオナニーでもいいという事です。
彼女とのキス、乳房への愛撫、そして、彼女の花園へのキス、彼女の愛液に満ちた暖かい襞に包まれる自分を想像しながら射精する、これって、確実にテストステロンを分泌します。

もっというと、美しいグラビアアイドルの映像を見たり、裏ビデオをみながら射精する、これもテストステロンを十分に分泌します。
そういう意味で、性に関する情報が満ち溢れている現代社会って、ある意味では健全だと思いますのよ。』

私『ふえー、そうなんだー、いいお話だなー、最後にもう一つ質問です。
セックスの効果って、その他にもあるんでしょうか?
男性にとってです。』
あやめさん『ちょっと、学説がわかれているんですけど、クンニについてです。』
私『へー、クンニのお話なんだ!』

あやめさん『そうなんです。
女性の愛液の中には、多少の女性ホルモンが含まれているんです。
男性が、クンニの時に、女性の愛液を啜って、飲み込むと、男性の体の中に女性ホルモンが入って、男性の肌がすべすべ、色白になる、っていう学説です。

でも、この学説には異論を唱える性医学者が多いのも確かです。
あんな少量の女性ホルモンが口から入って胃を通って、何の役にたつはずがない、そういうんです。

でも、私は、女性の愛液を啜ったり、飲み込んだりすることって、男性を若々しく保つと思うの。
別に女性ホルモンのおかげでないかもしれないけど、その、意思というか、意欲というか、エッチ心というか、それが、男性を若々しく保つと思うの』

私『あやめさんの解説はとってもわかりやすいです。
次は、いよいよ、感受性についての講義ですね、とても楽しみです。』

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