愛の妙薬
俊輔:作
■ 第2章 山田総合内科のあやめさん
第1節 お薬の追加処方42
第22話 先天的素質 その14、同級生のかおりちゃん @
焼肉屋さんでの、私と菖蒲(あやめ)さんの会話は続きます。
半年ぶりにあやめさんにバイアグを処方して頂いたあとの、二人のデートです。
あやめさん『山中さんのお話、とっても楽しいわー、もっと続けてー山中さん』
私、中学2年生の時の体験を続けます。
先生がアメリカに旅立つ日になりました。
ユナイテッド航空の朝九時半の出発便です。
僕、おうちを6時に出て、成田空港に8時に着きました。
お土産屋さんは既にオープンしています。
来週の土曜日は林かおりちゃんの誕生日です。
かおりちゃんは、林丹丹さんのそっくりさんです。
横顔は日本一かもしれない美しい中学2年生です。
前回の学力テストで、僕、かおりちゃんに負けてしまいました。
かおりちゃん、学年で1番だったんです。
今までは、ほとんど、僕は一番だったんですが、前回は負けてしまいました。
先週、北川先生に、かおりちゃんに誕生日のプレゼントをあげなさいね、中には、<好きです>という簡単なメッセージを入れておきなさいね、と言われました。
僕、あまり高くないペンダントを買いました。
♯と♭だけのデザインですが、さすが、国際空港のお土産屋さんです。とっても素敵です。
店員さんに、僕のメッセージを入れてもらいました。
<好きです、090−6810−5543>とだけ書いています。
8時になりました。北川先生とフィアンセがゲートインの手続きをしています。
僕、こっそりと、陰に隠れています。僕って、引っ込み思案なんです。
あらら、かおりちゃんが北川先生カップルにとても大きな花束を渡しています。
僕、遠くから見ています。
北川先生達がゲートインする瞬間、北川先生、僕の姿をとらえました。
先生、ニコッてほほえみます。
<山中君、来てくれたんだ、ありがとう>そんな表情です。
僕、来てよかったな〜って思います。
僕、小さく手を振ります。
先生も小さく手を振ります。
僕、とっても幸せな気持ちになります。
ジュリアーデ音楽院での先生の成功を祈る気持ちでいっぱいです。
先生達が、ゲートインしました。
先生、僕の方を向いて、小さく手を振り続けます。
僕も手を振り続けます。
先生たちの姿が消えました。
ちょっと涙があふれてきました。
でも、幸せな気持ちで、京成成田にむかいました。
二つ目のエスカレーターを降りている時、
後ろから声がかかりました。
『山中く〜ん』
どうやら、走ってきたようです。息が<はあはあ>しています。
『よかった、やっと追いついた〜!』
振り向いたら、林かおりさんでした。
僕『かおりちゃん、おはようございます。
北川先生のお見送りに来てたんですね』
かおりちゃん『山中君、おはようございます。
山中君も北川先生のお見送りに来てたんだ、きっと来るんじゃないかと思ってだけど、その通りだったわ』
僕、一瞬どきっとしました。
<先生との事、知ってるのかな?>
僕、素知らぬ顔をして
『うん、先生には小学校の時からお世話になりっぱなしだったんだ』
かおりちゃん『先生、山中君の事、とっても褒めてたわ、ドビュッシーやラベルを弾かせたら、付属中学の誰にも負けないって』
今日のかおりちゃん、一段ときれいです。
林丹丹さん顔負けの美しさです。
真っ白なワンピースのかおりちゃん、妖精のようです。
スリムなのに、胸の盛り上がりは、女子大生のようです。
かおりちゃん『でも、かおり、山中君に会えてよかった〜、とっても嬉しいわ〜、私の憧れの山中君だもん、追いかけて来てよかった〜〜!』
僕『かおりちゃん、あのね、時間あるかな〜?
二階のコーヒーショップでケーキ一緒にしないかな〜?』
かおりちゃん『うん、いいわよ、でも、どうしてケーキなのかな〜?』
僕『わけがあるんだ、お店に入ったら言うね〜』
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