夢の跡
しろくま:作

■ 春の夜の悪夢2

担任「はい、皆さんおはよう。昨日の始業式、御苦労様でした。えぇと、昨日簡単な紹介がありましたが私は−−−」
長い自己紹介が始まった。・・・先生の見た目は正直最低、はっきり言って性格も好きにはなれない。
琴美(はぁ・・・本当、外れだなぁ・・・何なのよ、あの担任の先生。気持ち悪い目付きしちゃってさぁ。はぁ・・・長いなぁ。)
そうして短いHRは終了した。
結局、担任の自己紹介だけで終わってしまった。他のことも色々と知りたかったのだが・・・
琴美「・・・ねえ、次は数学よねぇ、何で担任が残ってるの?」
HRが終わり最初の1限目が始まる時刻なのに数学の先生は来ない。小学校の時と違い先生は入れ代わるはずである。
美香「数学? 何言ってるの? 昨日言われたじゃない。まさか・・・予習してこなかったの!?」
琴美「・・・そんなのあったっけ?」
話しが全く見えてこない。確か昨日はずっと美香と一緒だったはず、自分だけが知らない訳はない。・・・度忘れしたとも思えない
美香「えぇ!? ビデオ見て来なかったのぉ!? 何で!?」
担任「えっとお前は・・・芦澤! 何騒いでるんだ! もう授業は始まってるんだぞ?」
驚きの余りか美香は大声をあげてしまい、担任に注意されてしまった。
美香「は、はい! 済みません。」
昨日はもっと大人しい性格の先生だと思っていたのだが、どうやら勘違いだったらしい。初日から怒鳴って、そして馴れ馴れしい口調で話しかけてくる。
担任「ふぅ、まあいい・・・そうだな。一番手はお前にやって貰おう。秋山、相手はお前だ。・・・お前等ちゃんと予習はしてきたんだろうな? ほれトップバッターだ、気合い入れていけ!」
美香「え!?・・・あ、は、はい。解りました。有難うございます。」
秋山「ぼ、僕が最初ですか!? なんか、緊張するなぁ・・・よし、頑張るぞっ!」
担任は突然美香を指名した。美香は何をするのか知っている様子だったが、当然琴美には知らされていない。
担任「よ〜し! 皆、机を後ろに移動させなさい。」
そして生徒達は一斉に机を移動させた。琴美にはこれから何をするのか、見当もつかない。他の皆も知っているようだが・・・
琴美「ねぇ、何をするの? 一番手って何? 授業は? ねぇ、美香ぁ!?」
美香「・・・え? あ、ごめんごめん、少し緊張してて・・・えっと、ナニをするって、勉強するに決まってるじゃない。何か今日の琴美ちゃん、少し変よ?・・・大丈夫? あぁ、緊張するなぁ。失敗しちゃったらどうしよう。」
琴美「・・・・・・?」
皆は教室の中央を空けて広がった。その中心には美香と秋山が立ち、見つめ会っている。
・・・皆の様子が普通ではない。男子は興奮して、女子の中には赤面している娘もいた。
担任「はいはい、皆さん注目! これから2人には男女の正しい遊び方を実践して貰います。昨日配布したビデオで予習済みだとは思うが、次は《生》の行為を観察しましょう。・・・では、始めなさい。」
すると美香は無言のまま頷き膝を落とした。そして秋山の股間に手を当てた。
秋山「う・・・わっ。」
何回か軽く撫でた後、ズボンのチャックをそっと下ろした。
琴美「美香!? な、何を!? ちょっ、自分が何してるか分かってるの!?・・・美香ぁ! 止めなさい!!! ほら、手を退けて、立って?」
琴美が急いで駆け寄り大声で説得しようとした。しかしすぐに担任に取り押さえられてしまった。美香も、慌てている琴美の姿を不思議そうな顔で眺めていた。
琴美「先生! さっきから、何訳分からないこと言ってるんですか? 大体、美香に何をさせる気なの?」
担任「は? ナニってお前・・・授業だろ? お前こそ何を言ってるんだ? この学校に入学したらまず初めに《性》について学び、そして初日には初体験を済ます。そうしないと何も始まらないからな。それに女子は先生と男子の命令に絶対服従だと校則にも書かれているだろ? 何をやってるんだよ、それは授業妨害だぞ? みろ、芦澤も困っているじゃないか。」
琴美(・・・何、何? 何なの? 何を言ってるの? 性って? は、初体験って!?)
混乱している琴美の元に美香が近付いて来て、彼女を宥めた。
美香「琴美ちゃん、大丈夫だよ。一緒に頑張ろ?・・・・・・あの、先生! 岩瀬さんは少し緊張してるんだと思います。だから彼女を先にさせてあげて下さい。そうすれば少し落ち着くと思いますので・・・」
担任「ん? そうか、分かった分かった。まぁ、あれだ。今は思春期だしな、反抗したくもなる気持ちも解る。ふむ、なら先に岩瀬と井上のペアを済ませるか・・・いや待てよ、よし! 岩瀬は特別に先生が相手をしてやろう。今回だけは特別だぞ?」
美香「琴美ちゃん、良かったじゃない! いいなぁ、羨ましいわぁ。」
琴美「・・・・・・」
あまりに非常識な発言が続いたため琴美は言葉を失った。全く話が噛み合わない。

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