許して悪魔様
非現実:作

■ 命を大事にね1

1人常連客となっているホテルから出て、最寄の駅へと足早に歩を進める。
ここはラブホ通りと云われるくらいで有名であり、当然そんな所に私などがいてはいけないのだ。

何故なら、私は高校2年の17歳。

成績は中の下くらいで、彼氏無しのごく普通の女子高生なのだから……。
ごく普通でない点があるとすれば、大のH好きなトコくらい。
今日も出会い系サイトでホイホイと乗ってきた男のコと2時間ぶっ続けでHをしてきた所だ。
ただHが出来ればそれでいいし、正直彼氏とかは面倒でいらない。
……だって、色んな人と色んなHがしたいから。
それにお金だっていらない。
何か渡してくる人もいるけど、私は身体を売っているという風には思われたくない。
私はただHがしたいだけ、だから決して受け取らない。
馴れた足取りでようやく駅に着き、携帯を取り出す。
友達からの着信メールをチェック。
(あ〜〜ヤッバぁい……今日数学と英語の宿題あったんだっけ)
私はごくごく普通の女子高生、根も真面目な方で校則も一度も破った事の無い何処にでもいる女子高生。
法は破っている女子高生だ。

22時10分を過ぎている……。
帰る途中の電車が人身事故に見舞われ、予想以上に帰るのが遅れてしまっている。
私は部活もしていないので、こんなに遅く帰ると親に叱られてしまう。
家庭は結構厳しい方で、高1までは8時までという門限すらあった程だ。
(あ〜〜ヤッバイヤッバイよぉぉ〜、お母さんお風呂に入っててくれるといいんだけど)
ようやく家に辿り着き、音を立てないように鍵を空ける。

「……ただぃまぁ〜〜」

習慣とは恐ろしいもので、自然と「ただいま」とか言っている自分が馬鹿みたいだ。
階段脇に身を潜め刑事みたいに顔を半分出して、リビングの様子を伺う。
電気は付いているが、いつものお料理のいい匂いはしない。
(ま、いいか……まずは私服になってからだ)
ここでヘマをしたら今までの隠密行動が水の泡、階段も音を立てずにゆっくりと登る。
(いつも音が鳴る4段目と5段目は一層慎重に……と!)
どうしてこういう時って冷や汗がでるのだろうか、背中や脇、額にジワリと冷や汗が滲んでいる。
右足を2段目に残したまま、大股開いて左足を6段目にやった。
その瞬間。
(ぁ〜〜……もっぅ……気持ち悪っ!)
思わず手を股間にやってしまった。
今日はオ○ンコを開通しているのだった。
勿論、帰る前にシャワーは浴びてはきているものの、一度開通したオ○ンコは様々な蜜をジワリと下着に残したのだ。
(ヤッバ……直ぐお風呂入りたいぃ)
下半身に負担を掛けないよう、両手で壁を押さえつつ右足も同じ階に乗せた。

「つか、何やってん?」
「へ、ぇ!?」
「何やってんのよ?」
「健太……」

健太とは高1の弟である。
年が近過ぎるという事もあり普通に仲悪く、互いに喋る事すら面倒くさい。
つまり互いの存在は空気。
その為か一切の干渉も無いので、楽といえば楽。

「あ、あ……アンタには関係無いデショ!」
「いや、それがよぉ……」
「なっ、何……急いでるんだから」

なのに今日はやけに突っかかる健太。
これは多少の音が出たとしても速攻だと判断した私はサッサと階段を駆け上がり、奥の部屋の自室前まで足を止めなかった。

「いや……姉貴……キレんのは解るけどよぉ」
「へ?」
「いや、だから俺もキレてんだってばよ〜それに関しては」
「はぁ?」

どうも話が噛み合わなかった。
(そういや健太とまともに話したのっていつだっけ……。
長く話さないとこんな風にも噛み合わなくなんのかなぁ〜〜。)
そんな事を頭の中で思っていたら、健太が再び口を開いた。

「ったくよぉ〜イキナリだもんな〜お袋の奴ったら」
「ぇえ、ええ……ちょっとちょっとちょっと、お母さんがどうしたのよ!」

何か一大事に見えた。
下半身の汚れも気になるが私は慌てて健太に詰め寄った。

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