許して悪魔様
非現実:作

■ 命を大事にね4

「目を……開けよ」

嫌々をするのだが、ガッシリと掴まれた頭が動かない。
若干遠くから見ていた分ではそれがボディースーツであると思っていたのに……。
……今ではそれは間違いだったというのが直感的に気付いてしまっているのだ。
近付くにつれ、その肉体的な血管、被り物とはいえない目や口に耳。
そして極めつけの体毛。
(嘘だ……嘘だ……よ)
最終的に目で確認してしまったら私は狂ったのだと思う他ならない。

「信じた、ようだな」
「…… ……」

信じられない、信じたくない。
何かどうかしてしまったのだろうか……変な夢でも見ているのではないのか。
夢なら早いところ覚めて欲しい……。
嫌な事が起こればきっと起きるだろう……。

「あ、あなた……誰? …… ……ココは何処?」
「私の名は魔王ヴァイン、ココは私の城だ」
「ああ……夢の中で会話しちゃってるよ……私」
「これは夢ではない、お前は私に召喚されてここにいるのだ」
「召喚って……マンガやゲームじゃないんだし……私は……」
「そうだ、その通り、ココはゲームの中の世界だ」
「ゲームか……そんなの私やった事ないよ」

ゲーム……ゲーム……なんか最近で関わったような記憶があった。

「お前はこの世界と通ずる件があり、私に召喚されたのだよ」
「ゲームと通ずるってナニよソレ……」
「胸に手を当てて思い出すがよい」
「手、吊るされてるんデスケド」

夢と理解すれば何だかどうでもよくなってきていた。
さっさと覚めてくれれば、後は好きな音楽でも掛けながら気分転換すればいいのだ。

「この大陸の名は、淫行姫君の懲罰の汁地獄というのだ」
「はぁぁ〜〜?」

酷く卑猥な名前というよりも、馬鹿馬鹿しくなってくるくらい酷い夢だ。

(ナニよソレ……大陸の名前がおかしいよ)
「どうだ、お前に通ずるものがあるであろう?」
「無いよ、ある訳な……」

頭の片隅で大陸の名前が浮かんだ。
(…… ……私がHをしてるから?)
今日の相手は正直あまり上手くは無かった……だから身体が満足しておらず、不覚にもHな夢を作り出してしまっているのかもしれない。

「お前がこのゲームと接触し、ようやく私はお前に罰を与える事が出来るようになった」
「接触って私ゲームなんかやらな……あ!」

そう言えば気絶する前に健太のPCを……何となく夢の創りが解った気がした。
(それにしても……健太の奴ぅぅ〜〜エロゲなんてやりやがってぇぇ〜〜〜)
沸々と怒りが込み上げてきた。
(パパに言いつけてやる!)
そうとなればさっさとこの気絶状態の夢から離脱しなければ……。
目が覚めるような怖い展開までさっさと進めてしまおう。
罰というのが怖い要素っぽい。

「んで、私は何の罰を受けるの?」
「お前の名は?」
「希美子」
「罪人希美子、お前は夜な夜な色んな男とセックス三昧だ」

何だか面倒である。
夢の癖して展開が丁寧なのだ。

「ハイハイ」
「貴様の罪は淫行による不埒罪だ」
「はぁ……」

一気に夢の質が落ちた気がした。

「よって貴様には…… ……悪魔の子を孕んでもらう」
「ナニソレ、意味解んない」
「貴様の穢れた身体は、悪魔の子を産むに相応しい程穢れておるからだ」
「……何でよ」

何か夢とはいえ……それは酷いような気がして、私は反論している。

「貴様の膣内は、今まで受けた精子の死骸が充満しておる」
「あ、あっ…洗ってるってば!!」
「それは無駄だ、精子の死骸は怨念として貴様の膣内にこびり付いておる」
「……酷っいい!!」
「酷いのは貴様であろう、ただ欲望に溺れ何億何十億という精子を殺したのだ。
まぁそのお陰で悪魔の子を宿す主が決まったのだがな。」
「ちょっと待ってよ……ねぇ……これってゲームの内容なの?」
「そうだ、ようやく理解したか」
(健太ぁぁぁああああーーーーっ、あンの馬鹿弟ぉっ、何で変態が家族にっぃいいい!!)

怒りは頂点に達していた。
なので、魔王ナントカの次の言葉は耳に入っていなかったのだ。
いきなり赤いチェック柄が入った紺のスカートを捲られ、私は叫んだ。

「ちょっ、何すんのよっぉ!!」
「先に言うたであろうが、悪魔の子を種付けするのだ」
「た、た……種付けとか……変な風に言わないでよっ」
「希美子というたな……お前は大分誤解しておるぞ」
「……な、何がよ」

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