許して悪魔様
非現実:作

■ 命を大事にね8

「お前の膣内に宿った魔界の種は魔界の餌でしか生きられないのだ。
つまり、幾ら人間やドワーフや妖精に宿させても宿主からは栄養を得られんのだ。」
「……聞いてないわよ」
「そこでその腹の蟲が必要となるのだよ」
「蟲って言うの止めてよ……私、蟲だいっ嫌いなの」
「その虫は養分蟲というのだが、姿形は私が思い描くままに形成できるのだ」
「…… ……つまり魔王ナントカさんはコレを思い描いて作ったと?」
「左様っ、良い出来であろう」
「だからキモいんだよ……あんた」

ナンだってこんな異形な蟲を想像して作り出したのか全く理解出来ない。

「養分蟲はつまる所、魔界の種の餌に過ぎない。
今の状況で何となく理解できよう?。」
「解らなくはないけど……口で説明なんかする気ないってば」

例えこれが夢であっても自分の口からこんなトンデモな事を喋ったら……目覚めた私は一生のトラウマになりかねない。
欲求不満という言葉が頭に浮かんだ。
出来れば聞きたくも無い事をコイツは……平然と述べりだした。

「膣内で生活する魔界の種は舌を伸ばして、養分蟲を求めるのだ。
そして日々、養分蟲から栄養を奪って成虫となり、やがて産み落とされるのだ。」
「…… ……」

恍惚気味の魔王ナンタラは両手を天に突き出して、自分によっていた。
こういうタイプはクラスにも2〜3人いる。
自分の実績とかセンスとかを語るにつれ、自分に酔うタイプなのだろうか。
私はそういうタイプの人とはウマが合わない。

「はいはい、じゃあそろそろ帰してくれる?」
「まてぃ罪人希美子よ」
「その、罪人っての止めてよ」
「罪人は罪人であろう、数十億とも解らぬ精を見殺しにしたのだから」
「……わぁったわよ、解ったから……余りそんなの言わないでよ!」

清い身でいたいとは最早言わない……だけど、散々私の欲求で精を受けてきた事は事実無根。
……それを、他人から言われ聞かされると自分が酷くどうしようもない人に思えてしまうのも事実。

「忠告だ……罪人希美子」
「な…な、何よ」
「養分蟲の口内は平気だが皮膚は水分に弱いのだ、その意味解るか?」

ちょっとしたナゾナゾっぽい。
(ぇ…… ……何ソレ……って)
夢なのだから別に真剣に答える必要ないと、私は思い出した。

「だからぁ〜〜何ソレ?」
「養分蟲は水に弱い……即ちお前は水浴びを出来ぬのだ。
人間や妖精などは毎日水浴びをすると聞く、それがお前には許されないのだ。」
「そりゃ……て…… ……ハイハイ解ったわよ」
「そうか随分と物分りが良いな希美子……それともう1つ。
養分蟲は1日しか持たぬ、故に死にたくなければ毎日ここへ来る事だ。」
「……ハイハイ」

適当に返事をしておくに限る。
夢が毎日そうそう続く訳はないのだ。
それに毎日毎日気絶なんてしてられない。
(それなりに忙しいんだから……女子高生ってのは……)
馬鹿らしい忠告は左から右へと通り過ぎてゆく…… ……の「だろう」。

「膣内の子が死する事あらば、お前も死ぬのだ」
「はーい、きよつけま〜す」
「…… ……まぁよい、罪人が死んでも私には困らぬしな。
……長らくの旅路、ご苦労であった……また会おうぞ」
「べーーぇぇえだ」

思い切り舌を出してやる。
こんな夢は二度とゴメンだ。
(今度はちゃんと相手を選んでHしよう……)
今夜は全然満たされなかったから変な夢を見たんだ。
強烈な白い光りにより、瞼は開かない。
夢の始まりに見たアノ強烈な閃光が再び私を襲っていたのだ。
(未成年がHするのは駄目なんだけど……ちゃんと選んでスれば私もキモチイイし、こんな変な夢見ないよね……。)
私は光に包まれながらそう決心したのだった。

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