許して悪魔様
非現実:作

■ 命を大事にね11

「はぁぁぁ〜〜〜〜…… ……」

やり場のない溜息を1つ。
いや、溜息ばかり付いている私。
朝一番でパジャマの裾を捲り、お腹を姿見で映した……祈りながら……。
そして1時間余り……ずっと私は姿見を薄目で見ていた。
目の当たりする現実、どう考えても受け入れられないそのお腹とオ○ンコの異変。
(あ……目にクマまで……一睡も出来なかったし)
現実逃避をと目を固く閉じても、無の心を何も考えないように試みても全く効果はなかった。
全てを忘れようとしても下腹部の……オ○ンコの中が微々に蠢いているからである。
大した動きではないので「感じる」という事はないが、それは普通ではないという事を体感させられる事実。
翌日になったら綺麗さっぱり無かった事になっているだろう……。
それは見事に期待を裏切られた形。
こんな精神状態では学校になんか行ってられない。
私はリビングで朝食の支度をしていたお母さんに、仮病を使ったのだ。
近寄っておでこに手を当てようとしたお母さんから、逃げるように私は退散してきたのである。

「はぁぁぁぁ〜〜〜〜…… ……」

毎日のシェイプアップで見事なくびれをしたお腹周りにしがみ付いている養分蟲は、体半分が白くなっていた。
蟲嫌いな私としては見るのも辛い状況だが、自分の身体がどうなっているか把握しなければならない。
(養分、吸い取られてるから白くなってるの?)
養分蟲に突き刺さる7本の細い管は、トマトジュースをストローで吸い込んでいるように真っ赤だ。
……その管は……パンツの奥、私のオ○ンコに続いているのである……。

「ぅっふぅ!!」

ブルブルッと身体が震えた。
考えただけで悪寒が走る。
どうしてこんな事になってしまったのだろうか……ごく普通の女子高生である私がこんな目に……。
女子高生にとってごく普通ではない事、淫行が招いた災いだとしてもこれはあんまりである。
(普通だったら……補導されちゃうとか……だよね)
家族に迷惑を掛けるのは嫌だけど、その方が遥かにマシな気がする。

「希美子〜〜じゃあお母さんも行くからね〜〜」
「…… ……」
「具合悪かったらちゃんとお医者さん行きなさいよぉ〜〜?」
「……解ってるよお……」

(何科に?)
何も知らない(知られる訳にはいかない)お母さんは全く悪くない。
だけど自然と言葉が刺々しくなってしまう。
バタムッ……カチャ。
玄関の扉が閉まり、鍵が掛かる音を耳にした。
今日は平日、当たり前だが家には仮病を使った私1人。
妙な静けさだった。
…… ……心細くなってくる。

「お、お母さんんぅ……」

何でも相談でき、時には好きな俳優の話題で盛り上がったりしたお母さん。
……お母さんお母さんお母さん……お母さん。

ポロリと涙が頬を伝った。

そして私の涙腺は崩壊した。
ベッドに突っ伏してわんわん泣いた。
泣きまくり、嗚咽して、大声で幼子みたいにお母さんを呼んだ。
……後悔し、懺悔した。
(お母さんっ、ゴメンなさい…… ……自慢の娘じゃなくてごめんなさいぃぃ)
涙と同時にお母さんへの懺悔も止まらない。
(セックスしてゴメンなさいっぃぃぃ〜〜恥ずかしい娘でゴメンなさいぃ……身体穢してゴメンんぅぅ……っ!!)
これでもかというくらい私は泣いた。
そして……泣き疲れて…… ……いつの間にか私は眠ってしまっていた……。
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