許して悪魔様
非現実:作

■ 命を大事にね12

ぶるっぅぅ!!
身体がビクンとなって私は跳ね起きた。
(ぇえ……え……えと?)
暫くボーッとして「ああ」と状況を理解する。
全く睡眠を取れなかった今朝に比べると頭はクリアになっていた。
自然とお腹に手がいった。
(…… ……ナンだろ……コレ……)
昨夜ナントカ魔王によって植えつけられた種が、今になって随分と活発に蠢いている。
オ○ンコの中でゴロゴロと転がるような動き……それが私を夢から呼び戻したのだ。
途端、恐怖に精神は覆いつくされ青ざめる。
(どど…ど、どっ、どうしよっ!!)
それは「確実に」産み付けられた種が「成長」している証拠だと解った。
(考えろ考えろ私……冷静に考えるの!)
冷静でいられない中なのだが、一回寝た今は頭は結構冴えていた。
私は咄嗟に自分のパソコンの電源を入れた。
(ネット……ネットで!)
馬鹿馬鹿しいかもしれないが、このゲームに詳しくなれば対処法も見つかるかもしれない。
昨夜寝れずに調べたサイトはお気に入りに入れてある。
迷わず私はマウスでクリックした。

ゲームタイトルは淫行姫君の懲罰の汁地獄、その公式HPが開かれた。
タイトルの下は、純白のドレスが無残に引き裂かれ両手で乳房を隠すようにペタリと座る女の子の絵。
(あっれ!?)
昨夜見た絵とちょっと違う気がした。
(ぇえと、あれ?……確かこの子はそう…… 金髪でロングの髪型だった筈!。)

「ぇ…え……ぇぇ!?」

目を擦っても、何度見ても変わらない。
タイトル下の女の子の絵は、黒髪で肩に掛かるくらいのセミロング。
(……ぇえと……え?)
私は姿見を振り返り、そして手を髪先に触れた。
(黒髪にセミロング、私もそうだケド……え?)
絵をマジマジと見てみる。
(あれ…… ……え……えと……あ……ぁああ!!)
卑猥な絵をマジマジと見るのは相当ストレスが溜まるものだったが、私は目を離せないでいた。
なんという事だろう、頭が再びパニックになってきている。
(……に、似てる)
いいや、似ているというレベルではないのだ。
顔も何処となく似ている。
露出した右肩のほくろ、極小ながら若干コンプレックスである右乳房の火傷痣(お父さんの煙草が原因)。
泣きほくろといわれる左目のほくろ。
全てが全て、同じ位置にあるのである。
(…… …… ……ナニコレ)
私がそこに居る、そんな感覚だった。
また再びあり得無い事が起こっている。
種も仕掛けも無いマジックを見せ付けられているような感覚。
……頭を振り、私はコンポの電源を入れた。
シャッフル機能で好きなアーティストの曲が流れる。
気持ちだけは楽に行きたかった。
見なかった事にして、私はマウスカーソルを登場人物に合わせてクリック。

一番最初は魔王ナントカだった。
魔王ヴァイン……何とも覚えにくい名前。
(大体最初にヴァとか無いでしょ)
詳細は、淫行狂いの姫を人質紛いにして、自ら魔王軍を結成するべくその姫を魔物の苗床にする魔王。
手下となる魔王を手駒に使い、いづれは世界征服を企んでいる。
魔王とかいう割には自らの力で征服とかは考えていないようで、能力がイマイチ解らない奴だ。
カーソルを下へと持ってゆく。
(これ……うっそ!!)
……呆然とする。
そして、これは私なのだと無理矢理な証拠を叩き出された。
罪姫、キミコ。
名前が……名前が全てを証明していた。
一国の姫でありながらセックスに溺れ、幾多なる精を犠牲にした罪深き姫。
(…… …… …… ……そんな事、思い当たる節は……多々あるけど……。)
精を受け入れた事など一度も無い。
(だったら……外出しした男の方が罪なんじゃ……ないの?)
余りにも似ている環境に、見てなれなかった。
考えたくもない心境だった。
キャラクター紹介の続きがあったが、私は無かった事にしてゲームシステムという所をクリックした。
(何よコレ……健太……アイツ!)
ゲーム内容は極めて変態的で付いて行けない内容だった。
罪姫を陵辱の限りを尽くして精液塗れにしてまう、そんな内容なのだ。
そういう趣向の中で、色々な調教が出来るようになっているらしい。
(ちょ…調教って……)
様々な調教を施してゆくと色々なパラメーターが変化してゆき、ゲーム内の姫の感じ方や更なる調教メニューが変化するという。
とても私の頭では理解不能な説明文だった。

私はセックス行為は好きだけど、やはりアノ臭い精液を身体に浴びるのは嫌である。
出会い系のサイトでも、そういった関連のお相手とは遠慮しているのである。
純粋にセックスの快楽を求めている人に限り。
(その私が、こんな事に応じるわけ……。)
…… ……そう汁地獄というタイトルに相応しいコレからを……私は理解していなかったのだ。

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