許して悪魔様
非現実:作

■ 命を大事にね13

調べた所「なるほどわからん」という結果に終わり、得たものは疲労感だけだったという。
カチャカチャとコンポのランダム機能が動いているのをボーッとした目で眺める。
(あれ……待って?)
ふとした疑問が持ち上がる。
ゲームの中と私がリンクしているというおかしな事が起こり過ぎている。
(他にも被害に会ってる人っていないのかな……)
エロゲというものがどの位売れると大手なのかは知らないが、このタイトルはかなりの人気作品らしい。
だとしたら、他にも私みたいに被害に会ってる人も居るかもしれない。
藁もすがる思いで、○ちゃんねるを立ち上げた。
タイトルを打ち込み検索するすると、あれよあれよと凄い数のヒット数である。
幸い時間はたっぷりとあるのだ、私はしらみつぶしに1つ1つのスレッドを回覧してまわった。

その結果は……。

「あ〜〜〜あ」

床に大の字で寝転がり、溜息を付く私。
冷静に考えると何て馬鹿な事をしていたのだろうか。
そんなありえない事などありえないのだ。
仮にそんなありえない事が頻発していたら、即回収騒動がおきている筈である。
(はぁぁぁぁぁ〜〜〜〜……ぁぁ……ツカレタぁ)
やはりコレは夢?。
(いや……でも……実際にコレだし……)
オ○ンコの中で蠢くソレが実証しているのだ。
途方に暮れるとはまさにこういう事なのだろう。
(どうしたら……良いの?)
再び涙が溢れてきた。
ヴ〜〜ヴヴ〜〜ヴ〜〜……ヴヴヴ〜〜ヴヴヴ〜〜。
携帯のバイブが着信メールを知らせている。
普段なら飛び付くのだが、今は見る気にもなれない。
バイブの鳴り方で判断するに、親友からの大丈夫メールだろう……寝てたと誤魔化す事にする。
それよりも今は私の置かれた状況をどうにかしないといけない。
(……といってもどうにも、だよ)
逃れられない状況なのだとしたら、もうサッサと終わらして元に戻りたい……。
そんな事さえ考え初めていた。
(早く終わらせるっ?)
ガバッと身体を起こして、まっすぐ歩を進めた。
そして弟の部屋へと侵入して、パソコンを立ち上げる。
起動に暫くかかるも例の起動音と共に見慣れた画面が表示される。
弟のマウスを操作して探す……いや、探す程の手間は無かった。
何故なら、淫行姫君の懲罰の汁地獄のフォルダはデスクトップ上にあったからだ。
じんわりと……マウスを握る手が汗ばんだ。
この件で全てを知る相手……それは私を召喚したというヴァナントカ魔王である。
本人に直接問質すのが一番手っ取り早い。
だけど……これは勇気の入る行動だった。
自問自答が激しく、脳裏でせめぎ合う。
背中にも嫌な冷や汗…。
カタカタと歯が鳴っている。
高校受験以上や出会い系を始める以上の極度の緊張だった。
…… …… ……だけどこのままでは埒が明かないのだ。
終わりというのをせめて確認したい。
私は目を閉じて、力一杯マウスのキーを押した。
例の強烈な目に悪い程の光りに襲われ……私の記憶はすっ飛んだ。



「希美子……貴様から出向いてくるとは驚いたぞ?」
「〜〜ぅうう……んぅぅ……」

焦点の合わない目で声の方を凝視する。
ぼやけていた視点がゆっくりと正常化し、例のキモイ緑色の肉体が目に映る。

「……アンタって、いつも上半身裸な訳?」

別にどうでもいい事を口走ったものだ。
本来であれば見るのも嫌悪する奴で、悪態の1つでも口にしたくなる。

「我が肉体は鋼の肉体、それを見せ付ける事で皆は我を恐れおののくのだ」
「……そ」

答えになっていない。
というか、コイツとは会話が上手く成り立たない。
魔王とか王を名乗る者は自分に酔い過ぎて、他人の言葉を自分の良いように置き換えてしまうらしい。

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