許して悪魔様
非現実:作

■ 命を大事にね15

突如、私が立っている無機質なタイルが光り始めた。
この世界は何でもありで、魔王ナントカが指で空を斬る度にタイルから無数の木のツタらしき物が現れたのだ。
そのツタは普通では考えられないほど急成長で、あっという間に私の背丈を越えた。
とっさに逃げようとした私を2本のツタが足を絡め取り、その他のツタが身体中に纏わりついた。
更に両腕に絡みついたツタは、ギチギチと驚異的な力で万歳の体制へと変えられてゆく。
体力測定では下の下に位置している私がありったけの力を込めようがびくともしない。

「ゃあっ!!」
「無駄な足掻きぞ希美子、魔界のツタは神官ですらあがらえぬ」
「んぅぅ〜〜んくぅぅぅぅっ!!」
「魔力が篭っているツタだ、力ではどうにもならぬのだよ」
「……はぁ、はっぁ……はぁははぁ……」

早くも息が切れてきた。
無駄だと解っていても好きにされるのは御免だ。
理解し難い行使である魔力など気にして入られないのだ。

「どうにもこの姫は解っておらぬようだな、だがそれも面白い」

魔王ナントカが指をパチンと鳴らした。

(ぅぇっ、ナニよコレっぇ、きもっぉ!)

第一印象は最悪。
指を鳴らした合図と共に、今度は植物らしき物がウネウネと蠢きながら伸びてきた。
先端の毒々しい紫色した蕾は、ドクンドクンと心臓の様に波打たせている。
私の磨き上げている長い爪で突っつけば破けそうな位に軟そうだ。
気持ち悪さを最大限にアピールしている異様な植物……見るだけでもおぞましい。
この伸びてゆく植物は、私に酷い事をするのは明白。
これはゲームの中、そして異様な展開が当たり前の世界なのだ。
ゲームとか……よりによって全く知識も無いエロゲでも直感で私は悟った。
恐怖で涙が零れ落ちてきた。

「懺悔の言葉は見つかったか?」
「ぅっくひぅく……な…何でアンタなんかに」
「泣きながら怒るとは、中々器用な真似をするな罪人希美子よ。
罪滅ぼしのメニューまで持つと良いのう?。」

魔王ナントカは再び指を鳴らした。
魔界の植物とやらが一斉に不気味なウネウネ踊りを止めて、紫の蕾を私の方へと向けた。

「ぃっぃ、やっぁああああーーーーっ!!」
「くっくっく流石は好き者の淫乱姫だ、何がどうなるのか理解したようだな。」
ならば存分に罪を受けるが良いぞ、ハァアッ!!。」

その罪償いは……魔王ナントカの気合が合図だった。
ありえない事でありながら予想通りの展開、無数の魔界植物の蕾から一斉の白濁汁が迸った瞬間だ。
目標はもちろんこの私。

「っ……〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!!!!?」

バシャッザザッァアアアアアアーーー…… ……

一瞬の出来事だったのだ、どうなったかも解らないほど……。
紫色のブヨブヨした蕾達が一瞬大きく膨らんで……・そして目の前が真っ白に染まった。
目の前でバケツの水を一気に浴びせつけられたような感じ。

「…… …… ……ぷぁっ…んっくぁ!」

顔を下にして防いだつもりだったが、一瞬過ぎて間に合わなかった。
唾と共に口に入り込んだモノを吐き出す。
咄嗟に瞑った顔面、張り付くパジャマ、全てがびしょ濡れになったのも解った。
ポタポタと滴り落ちない……ツゥーーーと長い糸を引きながら落下してゆく水物で全身が染まった。
私は……ツタで肢体を拘束されたまま、項垂れ暫く動けなかった……。

「おおっ〜これは見事な姿だ、流石は淫乱希美子だけあるぞ。
こんなにも魔界の精液が似合う罪人は初めてだぞ。」
「…… …… …… ……」
「ワシは嘘は絶対に言わん、そのワシが褒めておるのだ、喜んでいいのだぞ?」
「…… ……」

突然の惨事と賛辞……どちらも悪戯が過ぎるレベルだった。
言い返す気も起きない。
顔を上げる事すらも出来ない。
何も考えたくない……。
私は小さく嗚咽を漏らしながら、涙と鼻水と唾液と……伸びる汁を地に落とし続けていた。

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