許して悪魔様
非現実:作

■ 命を大事にね16

どのくらい時間が経過したのだろうか……。
どんなに泣いても涙は零れ落ち、絶望の思いは消え失せない。
魔界植物から浴びた大量精液はじょじょに乾き始めている。
無理矢理に身体を拘束されている為か、確実に疲労は困憊していた。

「ヤレヤレいつまで泣いているつもりぞ、まだメニューは終わっておらぬのだぞ?」
「もぅ……ゃあ……許してぇ……」
「何を言うかお前が殺した精子の苦しみはこんなものではないのだぞ?」
「ごめんな……さぃぃ……許して……ぇ」
「彼らはそう嘆願する事すら出来ずに朽ち果てたのだ。
お前は全ての罪を償わないとこの状況から抜けられぬのだ。」

…… ……前も聞いた台詞だ。
そして今日、真相を確かめるべく半信半疑で自らここへ来たのだ。
終わらせるにはエンディングまで行かないと駄目という事は解った。
(…… ……でも)
こんな事が続く生活は耐えられない。
(いっそ……死んでしまえば……)
「お母さん、先立つ不幸を……」というフレーズが頭に浮かんだ。
(っ……それはっ!?)
それは駄目だ、絶対に。
家族を悲しませたりするのは出来ない。
(コレは……私が招いた過ちなのだから……ならば私が解決するしか……)
幸いというかなんと言うか、個人で解決する方法はあるのだ。
(お母さん……お父さん…… ……健太)
私は死ねない、その為には受け止めるしかない……終わりまで。

「わ、かったわ……終わりまでやって終わらせてやる、わ」
「ほぅ、ようやく罪を認め罰を受ける気になったか」
「…… ……ぇえ」
「よかろう、では次の罰をお前に与えよう」

満足気に言った魔王ナントカが私のパジャマを脱がしに掛かった。
(…… ……て、アンタ……)
無論こんなデタラメな奴の言いなりに脱がされるのは正直怖い。
だがこの魔王様は……ボタン1つ1つを丁寧に解き脱がしたのである。
設定的には破かれたりするのかと冷や冷やしていた私は苦笑していた。
リアルでも、落ち合った男の人が正直辛抱たまらんと言わんばかり、強引に脱がしてくる奴とかいる。
そういうシュチュエーションを大事にしない奴的のポジションであろう筈の魔王が、一々きめ細かい。
脱がされる事事態には、そんなに抵抗無い私は乱暴されることなく全裸の姿となった。
そんな魔王ナントカは、今度はボソボソと何やら呪文を唱えだした。
その呪文に呼応するかのように、魔界植物達の蕾がゆっくりと開き始め、やがて毒々しい紫の華となる。

「先程の精液は云わば我慢汁であり、これから本番だ希美子よ」
(……がま…汁って、何よそのネーミングセンス、作った人って馬鹿?)

心の中で悪態付いているいると、開花した魔界植物に更なる変化が現れた。
華の中心にある一際長い1本のオシベ(?)が、私の頭上へと伸びてきたのである。
(今度は……コレが?)
慌てて顔を下に向けた。
髪は犠牲になるが、出来る限り顔には掛けられたくない。
だがそれは無駄な事だったようで、無数の開花した花のおしべ達(?)が四方八方から構えたのだ。

「ハァァァッ!!」
「っっっつうう、ぷぁあ、ぁぷぅんぅっ!?」

魔王ナントカの怒声と共に、今度はシャワーのような流出で四方からドロドロの汁を浴びせかけられる。
(っな……ちょっ……コレッ……えぇえええっぇ!?)
終わらない。
おしべ達のシャワーが終わらないのである。
顔を上げられない私は必死に耐えるしかなかった。
だがこの精液シャワーは、終わる様子が一向にない。
(っこんな…の……おかしいってばっぁ!!)

「ふっふっふ、魔界の射精は最低でも3分は続くぞ。
しかもこの魔界植物は最近呼び寄せておらぬから相当溜め込んでおるようだ。」
「〜〜〜ぅぅ〜〜〜んんぅぷっんくぅっぷぇっ!!」
「んふっはっはっは〜美しいぞ希美子よ、魔界の精液に塗れるその姿。
罰を受けているにもかかわらず、何という芸術であろうか!。」
「〜〜〜〜……〜〜〜〜」

宣言されたとおり私は長い時間、文字通り悪魔の洗礼を受け続けたのだった。
何分受け続けたのかすら解らない。
だが狂った栓が止まった後の自分の姿は、選択を間違えたかもしれないという程に酷い有様だった。

「…… …… ……ひっぃぷっぃっぅ…ふっぅ!」

息をしたくなかった。
全身に染まった白濁の精液は山芋の様にネバネバしており、殆ど零れる事無く身体中に纏わりつていた。
そして極め付けがその臭気だ。
人の精液の臭いも正直好きではないのだが、魔界植物が吐き出した精液の臭いは眩暈がしそうな位強烈だった。
臭い自体は人と同じで、意識しないようにしながらも自然と入ってくるアノ独特な臭い。
鼻を使えずに口で息をする事でしかない必死な私に、魔王ナントカは更なる劇的展開を口にしたのだった。

「見よ罪人希美子よ、己の身体を」
「え?」

全裸で肢体をツタで万歳拘束された身体に視線を落とす。
人の物とはとても冗談でも云えない程、こんもりと分厚いネバネバした精液が…… ……。

「……っ……ぇ……ぇっぇえええ?」

全身に目を配る。
意味が解らない……どういう状況なのか……あり得ない世界。
辛うじて免れた所など全く無い私の精液塗れの身体は、魔界の精液を吸収しているのだ。
濃いネバネバで中々零れ落ちない極度の臭う精液は、床に落ちる事はないがゆっくりと小さくなってゆくのである。
……そしてやがて消えてゆく。

「コレって……やぁ嘘……?」
「魔界の精液は人体の肌に染み込む性質を持っているのだよ」
「……だって、嘘……」
「今のお前の身体に付いている精液を見れば嫌でも理解できるであろう?」

身体中に……髪の毛にも……顔も……あれだけ大量に掛けられた精液が、この短期間で消失してしまっている。
足元には数滴の染み痕が残るのみで、大半が零れ落ちたという立証はない。

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