許して悪魔様
非現実:作

■ 命を大事にね17

…… ……あまりの出来事に気を失いそうになる。
だが、記憶を飛ばすという現実逃避すら許されないらしい。
生温いとばかりに1本のおしべによる大量精液を顔面に浴びせ掛けられた。

「ンぅっぃっっっぷっぁぁ!?」

両手を吊るされ庇う事が出来ない上での顔面射精である。
それも人のソレとは全く異なる量と激しい射出、山芋の様な粘着性は、息も出来ないくらいなのだ。
体力面に劣る私は、早くも息が切れ掛かっている。

「むぅ」

腕組をしながら魔王ナントカが呻いた。
呻きたいのはこっちの方だ。

「罪人希美子よ、お前は極度の淫乱の癖して虚弱過ぎでないか?。
こんなに体力の無い者は初めてだぞ。」
「〜〜ぅぷ……ぁふぅ!」

口内の魔界精液を吐き出すのが精一杯の私に、魔王ナントカは言葉を続けた。

「見よ、お前の体力は20を切っておるではないか。
これ以上続ければお前は廃人となってしまう。」
「ぇえ、ぇ?」

濃い白濁を受けたばかりの顔を上げてキョトンとする私には全く理解が出来ない。
(20って、何よその数字……)
「人の体力を何故数値上で洗わせられるの?」と口にしようとして、ハッと気付いた。
(そうよ、これはゲームの中なんだ……ドラ○エみたいに人のHPってのがあるんだ!)
やった事はないけど、RPGとかだったら少しは知っている。

「左様、罪人の姫にはHPという生命ライフが存在するのだ。
それが0になるとゲームオーバー……すなわち死となる。」
「それって……実際に?」
「実際という意味が解らぬが、お前は生身の人間であろう。
復活も転生もせぬ、即ちそれは死という事だ。」

リアルに死というのが直結する、背筋がゾクゾクとし寒気を覚えた。
これはゲーム内といえど、ここで起きている事はリアルに私の運命を左右しているらしい。

「ともかく……これ以上の償いは危険だな」
「ぁうっ!?」

魔王ナントカの指が鳴らされたと同時に、万歳の格好で拘束されていたツタが消え去り、ガクッと膝から崩れ落ち、私はへたり込んだ。
早くも先程受けた筈の顔の精液は滴り落ちることなく肌に消化していっている……。
その酷い顔を真上に、まな板の鯉の様にひたすら口をパクパク動かして空気を欲する。
唇を閉じたり開いたりすると、納豆を食べた後の様にネバネバと糸を引く……。
魔王ナントカが言った通り、私は体力の限界だった。
若干眩暈すらする中で肩で息をしていた。
HP20というのがこれほどまで苦しいものとは知らなかった。

「プレイヤーの者も罰の手順をもう少し計画的にせねばならぬのぅ。
最初からこんなに飛ばしては、この罪姫が壊れてしまうわい。」
(……プレイヤーって……確かこのゲームをやってる人、だよ……ね)

カァァァァァ!

先程は白濁に染まった顔が急激に火照り真っ赤になる。
(だって……ソレってば!)
このゲームプレイヤーは健太。
実の弟なのである。
(私……ゃだ……ぁぁ……)
普段は関わりすら持とうとせずにお互い意識的に擦れ違いの生活をしていた弟。
挨拶すらしない仲だった姉弟。
それが……事もあろうに、ゲーム上で弟が選んだ罰という選択肢を、屈辱的にリアルに受けている姉。

「ぁああ……い、いぃいぃ…やっぁ!!」

ガクガクと身体が狂うように振るえ、私は両手で自身を抱きしめた。
やはり「死」を選ぶべきだったのだろうか……そんな事さえ頭に過ぎる中、魔王ナントカが思考を中断させた。

「どれ」

そう言いながら近寄り、私の顎を掴み上げたのだった。
(ぇ!)
スンスンっと鼻を鳴らして私を嗅ぐ魔王ナントカ。

「ゃああっぁ!!」

生理的に拒絶反応をする私だったが、散々削り取られた体力では全くあがらえない。

「ふむ、まだまだ罪人特有のアノ臭いは出ぬか。
いや……寧ろこの程度で出ては面白くはないか。」
「ぇ、何……?」
「何だ、本当に何も知らぬ奴よの希美子は」

嫌な予感しかしなかった。
この次の言葉は聴かない方が良いと頭の中が忠告していた。
だけど……私は両親の為にも…… ……。
間接的だけど自身の罪は自身で解決して生きる事を決心した。
死ぬのだけは最大の親不孝と……。
魔王ナントカの次の言葉を待った。

「罪人が魔界精子を受ける度、罪人の身体中から発する臭いが変わるのだ。
それは罰を受ける度に変わってゆき、そのステータスでも変化する。」
「……ステータス?」

聞き覚えのある名前。

「この罪人の臭気変化はプレイヤーの罪償いで変化するゆえわしにも解らぬ。
だが希美子よ、第一段階は変化したようだ、己の身体を臭ってみよ。」
「!?」

恐る恐る私は二の腕を鼻に近付け…… ……小さく鼻で息をしてみた。

「んっぁ!?」

吸い込んだ鼻腔が痺れるような気がした。
そしてジワジワと麻痺したような感覚。

「んぁぐんあっぁ、はっはっぁあ!?」
「どうだ、淫乱罪姫には相応しい臭いであろう」
「ぁうぇっぇ!」

アノ臭い、激しく咽び立つ程の精液独特な悪臭。

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