許して悪魔様
非現実:作

■ 命を大事にね19

「あっ、戻ってきた!」
「おは〜〜〜」
「キミちゃんにしては随分長く病んでたねぇ〜〜大丈夫なん?」
「っはよ〜〜ぅ、なぁんだぁ〜結構元気そうジャン〜」

恐る恐る教室のドアを開ける私に、いつものノリで友達が声を揃えて出迎えてくれる……。
もう絶望的感情だった私はそれを嬉しくも不安一杯で対応する。

「ぉ…はよぉぅぅ……」
「あ、あ……そうでもなさそうだね、大丈夫?」
「ん」
「ナニナニ、インフルなの、新手の?」
「あはは……違うよぉ〜」
「テンション低過ぎだよぉ」
「ごめんごめん、まだちょっと身体が……ね」
「そか〜無理しないでよねぇ?」

友達は「いつものノリではない」私を察してくれたようだった。
ありがたかった。
この、当たり前だった友達とのじゃれ合い。
どんなに説明してもこんな事実を理解してくれないだろうが、そんな異変事態に巻き込まれた私にも居場所があったのだ。

「おっ、いいねぇいいねぇ〜〜今日の希美子はあンまぁぁい香りがするね」
「っぃえ……ど、ど…どんな?」

(遂に来たっ!!)
瞬間で身が凍り付き表情も強張った。
そんな私にお構いなしの友達が鼻をスンスンと鳴らしながら近付いて言うのだ。

「なぁによぉ〜こんなに強烈に香水付けて私は意識してませんってぇ?。
バニラの甘い香水で教室中がぷんぷんしてますよぉ?。」
「そ、そんなに?」

基本香水禁止という校則は無いが、目立ちたくない状況下で余計目立つのは避けたい所だった。
だが一方で安堵の溜息も漏れる。
これが……体臭が放つ臭気が例のアレだったら二度と学校になんか通えない。

「アレ、という事はもう希美子にメールしたん?」
「そんで希美子も病み上がりの癖にノリノリで香水付けてきた訳だぁ」

私を除いて友人達が大爆笑している。

「もう話しちゃったんだ〜、びっくりさせて私はメールしなかったのにぃ」
「だぁよねぇ〜〜つまんな〜い」
「ぇえ……ナニナニ?」

まるで浦島気分である。
数日間という短い間で私の知らない所で訳解らない事が展開されているらしい。

「どうせ裕子がしたんでしょ〜〜もぉ〜」
「え、私もメールしてないけど?」
「嘘……アレ、じゃあ希美子……知らないの?」
「だから、何がよ?」
「そぉっかそっか、知らないんだぁ〜〜」
「じゃぁ〜〜さ、このまま教えておかない方が面白いかもね!」
「……あのねぇ〜私だけ除け者にする気?」

取り残された気分は面白くない……私は追及に走った。

「何なのよぉ〜詳しく教えなさいよぉ!」
「ちょっと、あぁぁうあはあ、ひああぁやらめあぁヤダヤめぇぇンくあぁあ!!」

古典的手法であるくすぐりの刑。
身よ捩じらせて逃げ惑う友人に私は覆い被さって友人に供述を迫るのだ。

「くぁぁかたわた解った、解ったからぁぁふぁはぁはあはあ……。
いぅ言ういうぅ言うかははっぁっはぁあはぁあ。」
「そぉぉ〜じゃぁあ〜〜吐いてもらうカナ」

擽りの刑で息も絶え絶えの友達が述べた供述は私のハートを十分に揺さぶる証言だったのだ。
ようやくすると、いつもイイなと思っていたバスケ部の同級生が私をリサーチしていたらしいのだ。
それも中々好感触的な意味合いでである。
そしてそれを知ったクラスメイトの友達は…… …… ……。
「ありがたい事に」私の良い面を告げてくれたようなのだ。
2年の時で既にレギュラーだった彼はかなりのイケメンで校内でも一躍有名人になった人。
他のナンチャッテ熱愛サポーターと同様、私も彼には結構熱上げて応援していたのだ。
……その彼が「今の異様な」私「なんか」に興味持ってくれている。
ドクンドンク……心臓が高鳴る。

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