許して悪魔様
非現実:作

■ 命を大事にね21

帰宅部の私は大体5時前の電車で帰宅する。
電車内の込み合いはそれ程でもなく、たまに運が良ければ座れたりもする。
普通なら空いた席で携帯を弄りながら、時間潰しをするのだけど…。
今回はそれもはばかられる。
どうやら私の体臭は男の人を性的な虜にしてしまうらしい……。
こんな状況で男の人が隣に座られるのは危険極まりない。
事前考慮した私は、電車内のドア付近をキープする事に勤めた。
もしもの痴漢被害を考えての事だった。
身を出来る限り小さい姿勢でその場から徹して動かない。
だが香り立つ…… ……その体臭りは抑えようのない物のようで…… ……。
身体中を弄るような、粘着質な男の視線は止まらない。
バレないようにと遠慮がちの視線や、あからさまに好色染みた直視の視線。
それを全身で感じている私は、睨み付ける事すら怖くて出来ない。
……イヤラシイ視線を受け、不覚にも管を飲み込んでいるアソコを濡らしているからだ。
(くぅぅ……パンツがグショグショで気持ちが悪い……)
こんな視線でアソコが濡れる身体を呪った。
(これも……アイツのせいでっ……うぅうう……切ないぃよぉ)
無意識に股間を擦り合わせる度、短いスカートが揺れ動く。
膝下の丈をもう少し長く調整しとけばよかったと後悔する。
(これって公開羞恥ってヤツ?)
ブルゥルルルっと火照る身体がはんのうした。
学校指定のブラウスが汗ばみ、肌にくっついて不快度数が高まる。
見られている……ダラダラと汗が止まらない。
身体中が疼き始めていた。
(ゃぁ……!)
それは見知らぬ男性とのS○Xの軽い愛撫を受けているような甘い感覚。

「はぁ…… ……はっ!?」

慌てて口に手をやり、欠伸をする真似で誤魔化した。
(いけない私ったら……声にまでっ!)
学校指定のバックから手鏡を取り出し、顔を覗き込む。
(〜〜〜マズイよぉ…一旦降りて一息付いた方がいい?)
鏡に映る表情までも変わりつつあった。
よく男の人に言われるのだが、私は感じているのが解り易いタイプだそうだ。
喘ぎ声も結構大きく出す方で、表情も赤らんで火照っているのがすぐ出るらしい。
自分自身で「酷く感じている」という認識をしてしまうと、その感情の昂りはより一層激しくなってゆく。
(駄目だ……あと4駅……耐えられない!)
私は次の駅で降りる決心をした。

ようやくホームに電車は滑り込み、ドアが開いた。
大した所要時間ではない筈なのに、今日は次の駅が酷く長く感じた。
完全にドアが開き切る前に、逃げるようにその場から駆け下りてホームを走った。
(取り合えずはトイレ……!)
あまり考えもせずに私は目的の女子トイレを目指していた。
バックを小脇に抱えながら、右手で短いチェックのスカートを押さえ、左手で口を押さえ走る。
(ぅうぅぅぅぅぅ〜〜〜〜〜〜〜っ!!)
オ○ンコに刺激が襲い掛かる。
(ふっぅふぅ……ふぁぁあぁぅぅぁぁ〜〜〜ぅぅぁぁ〜〜〜)
その刺激に耐えられない。
私は走る足を止め、フラフラとその場のベンチに倒れるように座り込んだ。
走るという行為は間違いだったのだ。
それはセッ○ス前の指での愛撫と同等の刺激的なものだった。
オ○ンコに突き刺さる養分蟲の細い無数の管が、まさに指で軽く抜き差ししているような愛撫の感覚。
私はベンチでバックをお腹に包み込むようにして蹲り、必死に下半身の快楽の訴えを押さえ込む。
両手で「ぎゅ〜」とバックを……バックの硬い角を股間に押し付けて……。
敏感になってしまった下半身の局部が疼くのだが、これ以上の解消法が見つからない。
ただでさえここは公衆の場である。
私は必死に「ちょっと目眩を起こした女子高生です心配しないで下さい」という姿勢をアピールし続けるしかなかった。

結構な時間が過ぎた。
相当我慢し続けた筈。
だけどこの感覚は満たされなければより主張するかのように、感度をヒートアップ指せているかのよう。
その度に制御の利かない身体を小刻みに震わせて、耐え忍ぶ私……。
熱を帯びた身体は相当な例の臭いがするのだろう…… ……。
通り過ぎるサラリーマンや男子中高生「何、色気づいてるの?」と嫌な目線のOLさんは私を凝視しつつ通り過ぎる。
浴びせられる視線に必死で目を反らして耐えるしかない。
だが……嫌な筈の好奇な視線というのも昂らせている材料でもあった。
耐えれば耐える程に追い込まれている様な心境だ。
(何か飲みたい……)
喉の渇きとかよりも何か飲んで気持ちを落ち着かせたかった。
幸いベンチ近くに自販機はある。
フラフラする足取りで私は自販機に辿り着き、チャージしてあるお金で最近お気に入りの珈琲を買った。
ミルクが多めで微糖の珈琲を手にしてベンチへと舞い戻り、プルタブを開けるや一気に喉へと流し込んだ。
(っぶ!!?)
普段とは違う感覚に慌てて手を口にやる。
危うく戻しそうになる寸前で、口に含んだ珈琲を少しずつ胃へと送る。
だが……違和感は更に増幅して…… ……ムカムカと胃が暴れだす。
(なっ、何ぃコレ…… マズッゥ……私っ珈琲好きだった筈じゃ!)
心の問答空しく途端に受け付けられませんと身体が拒否しているとしか思えない膨れ上がる胃のムカつき。
気を抜くと吐きそうにすらなる。
(ヤダ……ト、トイレ!!)
動くのもやっとだというのに、この嘔吐感。
下半身の感情を鞄の角を押し付けつつ最小限に抑え、可能の限りの早歩きで一階のトイレへと駆け込んだのだった。
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