許して悪魔様
非現実:作

■ 命を大事にね23

帰りの電車は二度目の事。
…… …… …… ……

(〜〜〜〜 …… ……ぅ!)

途中下車でホテルに着くなり、常連さんとのいつもの制服での着衣Hを済ませ、全裸での2回。
お風呂で洗いっこした後に2回H。
常連のオジサンが「いつになく膣が閉まるよぉぉ」と悦んで腰を動かしてはいたが…… ……。
その頑張りに応え、私は何度も「いくっぅ」「いィぃぃ」と応えたものの、実は私は1回もイケなかった。
この欲求不満を紛らわすためにワザワザ電車を降りてまで身体を売ったにも拘らず、この身は物足りないと疼いている。

(いったい……どうしちゃったのょ……)

時間も時間で、4回のHだった。
何時も通りの回数…… ……常連のオジサンはいらないといっているのに5万を机に置いて出て行った。
ちょっと惨めになる私……お金が欲しくてそんな事してる訳じゃないんだってば。
でも…… ……今日のわたしはわたし、私はわたしは少しおかしい。
いつもなら満足して不本意ながらのお金を手にスッキリする筈なのに、今日はどうもオカシイ。

電車のドア付近の手すりにしがみ付き、私は耐え忍ぶ。
意識をしっかりと保たねば私はおかしな行動に……そう、この身の欲求不満を解消しかねない行動にすらなりかねない状況。

(はぁはぁっぁ……ぁああ、はぁんぅんうんンンぅぅ……っぅ〜〜)

自然と鼻息と甘美な吐息が荒くなる。
ガタゴトと不定に揺れるいつもの電車内…… ……ドアの手すりを持つ手が揺れている。
ドア付近の優先席に座っていた大学生風のおねぇさん2人が立ち、苦笑しながら出てゆく。
座っていいものかどうか算段してるうちにおばぁさんが座った。
乗客の誰もが私を盗み見ているのが解ってしまう。
こんなにも挙動不振な女子高生……当たり前だと自覚してしまう私だが、どうにも欲求は堪えきれない。
(ぁああ……ぁっぁはっぁはぁぁぁ…… ……コレ・・を……コレを当てたらわたひぃ……)
そんな邪な考えばかり浮かんでしまう私はどうかしているに決まっている。
学校指定のブラザー姿の女が、身をもじもじさせながら手すりに頭を擦り付けているのだから。
私は極力、体調の悪い女子高生を振舞うのだが、限界近くまで火照った身体が逆に刺激を求めてしまう。
(な、何でもないのよ、あぁ……ヤダぁ……)
近くのサラリーマン風の男性の鼻息が荒く聞こえてくる。
(こ、香水で興奮するって、この人……何なのよ超マニアック?)
無駄な事だとは解ってはいるが、自身の香りを撒き散らさないようにと手で髪を押さえた。

「なぁなぁ〜スゲー臭うよな?」
「ぁん、お前も解る?」
「たりめーじゃん、こんなにヒヒ」
「ありゃ相当なモンだろ〜」

更に近くにいた男子校高校生2人の会話が耳に入ってくる。
(無視するのが一番、相手にしたら駄目……ね)
近所で有名な不良学校の生徒だ。

「でもよ、アレって○○高の女だよな?」
「だな」
「へぇ〜〜有名大学への進学校として名高いコがねぇ〜〜」
(何だってのよ……腹立つわね……香水くらいで酷くない?)

決して目は合わせないものの、沸々と胸に怒りがこみ上げてくる。
…… ……だが、次の会話で私は凍り付くのだった。

「くせ〜くせーー、あぁ〜スゲーなコレ」
「ぎゃははは、でも俺こういう女嫌いじゃねーわぁ〜。
進学校のお嬢様が実は乱交大好きとか、超もえねぇ?。」
(ぇえ?)
「まぁ〜なぁ〜〜こんだけイカ臭いお嬢様ってのも結構ソソるかもなぁ」
(……ん、ぇ……え!?)

耳にした瞬間、頭が真っ白になりかけた。
ギラギラとした不良男子高生の会話に、周りの乗客も反応している。
この車両の乗客全員が……私を見ているよう。
(な、な……なん、何で!?)
例え絶対的な信頼をしてくれる筈である親ですら説明が付かない状況で、ゲームの中の魔王とかの言葉が脳裏に木霊する。

「魔界の種を植え、その食料となる養分蟲を宿す貴様の身体は絶えず精液の臭いがするであろう」

「バニラエッセンスの匂いがする」

……体臭がバニラエッセンスの香りではなくなったという事……それしかない。
何故?。
……あと一駅……あと一駅で家への最寄り駅。

(はぁはぁ……はっぁ、はっぁんぁぁんんうぅ……)

自身が放つ体臭。
男の人が絶頂時に放つあの臭くてこびり付く様な絡みつく様な独特な臭い。
車内の異様な乗客の視線に突き刺される。
鼓動が激しく波打ち、それを受け止めて、私は更に今までの欲求不満さを重複させている。
どうしよう…… …… ……という不安よりも。
「どうなってしまうの?」という、それが優先していた精神に……。
危険な心理に拍車が掛かり、私は自ら興奮してしまう。

「まもなぁくぅ〜〜×△駅〜×△駅ぃぃ〜〜」

アナウンスと共に電車が我が家の最寄り駅のホームに滑り込む。
私は……私ったら…… ……ドアが開くと同時に……。
…… …… …… ……。

(あのまま乗ってたら……どうなってたの……カナ)

下半身にどどまらない疼きを、心のほんの細い糸で繋ぎ留めて家路へと急いだのだった……。

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