悠里の孤独
横尾茂明:作

■ 刻まれた快感2

「ところでお母さんはもう長くないってこと悠里ちゃん知ってるよね?」

「……うん…」

「じゃぁこれからの事お姉さんとは相談したの?」

「……お姉ちゃん…姉妹二人っきりになるけど、麻衣が悠里のお母さんになるから心配しないでって」悠里は言ってから現実に引き戻された感じに悲しげに俯いた。

「そう、姉さんもう二十歳だからお母さんの役目は果たせそうだね、でも姉さんはこれから就職・結婚と続くわけだし、そういつまでも悠里ちゃんの面倒は見ていられないと思うんだ、そこでどうだろう伯父さんちに来ないか、悠里ちゃんも知っての通り儂には奥さんも子供もいない、だから悠里ちゃんのような可愛い子が養子に欲しいんだ、もし小千谷に来てくれるなら悠里ちゃんの願いは何でも叶えてあげられるよ、だから考えてみて」

「…………」

「あっごめん、まだお母さんが亡くなったわけじゃないのに、ちょっと先走ったようだね。
でも正直言ってあと10日ほどの命なんだ、悠里ちゃんも受け入れなくちゃね、明日は悠里ちゃん学校お休みだろオジさんと一緒にお母さんの見舞いに行こうよ、お母さん今日も悠里ちゃんに会いたいって泣いてた…それにしても悠里ちゃんどうして見舞いにいかないの?」

悠里はもう1週間以上も母の見舞いに行ってない、それは母を見るのが怖かったからだ。
病床に横たわる母はもう以前の母じゃなかった、やせ衰え全身の痛みでのたうち回る姿は見るに耐えず、恐怖からその場を逃げ出し今日に至っている。

あんなに好きだった母、それがたとえ鬼の形相になろうともその場から逃げた自分が情けなかったし…再び母の姿を見る勇気も無かった。

「悠里ちゃんごめんよ嫌な話を聞かせて、でも最近は鎮痛剤が効いて、お母さんすごく穏やかになったんだ、だから明日一緒に行こうね。
さぁいつまでもそんな悲しい顔してないで伯父さんの膝においで」嗚咽しベッド縁に佇む悠里を見かね、伯父はその手をとって膝の上に座らせた。

「ほおぉっ、これで中学2年生とは驚きだ、この体ならもう立派な大人だね」
伯父は膝上の悠里を後ろ抱きすると笑いながら露わになった太モモを悪戯げにくすぐり機嫌を取ろうとした。
だがそれに反応をみせず伯父は仕方なく小千谷の風景や街の繁華などを話し、養子がイヤなら遊びに来るだけでもいいから一度遊びにおいでよと悠里の機嫌をなおそうと躍起になった…しかし悠里は依然悲しげに俯くばかりだった。


 悠里を膝の上に座らせたものの次第に話すこともなくなり、沈黙が気まずい雰囲気をつくっていく、気付けばミニスカートは腰近くまでずり上がりショーツそして白く艶やかな太モモが伯父の眼下に晒されていた。

伯父はその優美な太股に気付き先程来より目が釘付けになっていた、やがて伯父の喉が小さく鳴った、口中に溜まった唾液を呑み込んだのだろう。
その音が切っ掛けのように伯父は後ろ抱きの悠里の首筋に軽くキスをし「あぁいい匂いだ」とつぶやいた。

悠里はそのつぶやきに反応し反射的に逃げようと藻掻いた、だが伯父の腕はがっちりと悠里を抱いて離さなかった。
やがて伯父は意を決したかのように悠里の太モモに手を当てた…その手はまるで悠里の反応を探るように動きだす、それは太モモの肌感触を楽しむようでもあり少女の性を引き出す手管のようでもあった。

手は初々しい肌を品定めするように少しずつ股間へと近づいていく。
だが悠里はそんな淫らな動きに少女特有の無反応で抵抗した、それは伯父に「女」を悟られぬ少女なりの装いだろうか…そのとき悠里の心の内は「嫌がれば伯父さんの機嫌を損ねてしまう…」そんな幼い感情からむげに拒否もできず、考えついたのは幼子の様に無反応を装うことだった。

伯父は悠里が反応を示さないことに拍子抜けの感があった、ならば拒否するまで触り続けてやろうと次第に大胆になっていき、遂にショーツの裾から指を潜らせ柔らかなスリットに直に触れてきた。

「うっ」と声が洩れた、だが悠里はそれでも拒否できずそんな己を不可解に感じながらも目を瞑ってその行為に耐えた。

性器を触られているのに拒否反応を見せない少女…伯父は(おやっ)と思った、ほんの悪戯心で及んだ行為、少女がいやがればすぐにもやめるつもりでいた、だが少女は目を瞑り黙って耐えている、この反応は…祥一は昔これと同様の反応を示した妹の静恵を思い出していた。

それは今から27年も前のこと、そのとき祥一は高校三年生だった。

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