悠里の孤独
横尾茂明:作

■ 刻まれた快感10

そんなある年の暮れ、父親から静恵の成人を祝うため今度の正月には1度帰ってこいとの連絡があり、祥一は躊躇するも妹も7年たてば自分のことなどとうに忘れ、あれほどの美人なら恋人の一人や二人は出来ただろうと大晦日に帰郷した。

実家に帰り迎えに出た妹を見て祥一は驚いた、それは妹が目を疑うほどの美女に変貌し背丈も祥一を抜いていたからだ、去年新潟のミスコンで新潟代表になり今年全国大会に出場が決まっていると母は喜んでいた、また静恵も昔のように祥一を見る眼差しに熱は感じられなかった、(想いは杞憂だった)そう感じ、ならばもっと早く帰郷すればよかったと胸をなで下ろした。

だがそれは妹の精一杯の芝居だった、正月二日の深夜…皆が寝静まったとき静恵は全裸になって祥一の部屋に忍んできたのだ、祥一は床につき電気を消そうとしたとき妹が不意に現れた、それも全裸である「おまえその格好は…」言う間もなく妹は首にしがみついてきた。

「お兄ちゃん、逢いたかった…何度東京に行こうと思ったか、でもお兄ちゃんに捨てられたと思い死ぬ思いで我慢したの、でも…お兄ちゃんの顔を見たらもうどうにもならなくなって、抱いて静恵のこと抱いてよぉ!」静恵は泣きながら顔中にキスの雨を降らせてきた。

7年間禁欲の身にグラビアから抜け出たような美女が全裸で覆い被さり、強引にパジャマを脱がされチ○ポを握られたなら逃げようもない、静恵は泣きじゃくってチ○ポを咥え、精液でも吸い出そうというのかオロオロする祥一を尻目にいつまでもチ○ポを咥えて離さなかった。

祥一はそんな妹に気圧され暫し自失していたが…妹の体があの頃の堅さから柔らかな成人女に変貌しているのに驚いた、それは静恵が祥一の関心を引こうとシックスナインの形でフェラチオを開始したときだった、眼前の女性器は昔と違い膨らみが大きく亀裂も深く、内モモの柔らかさや肌の滑らかさは祥一の心を融かして余りあった。

また乳房のサイズも手に余るほどで昔の堅さはなくその触り心地に祥一は一瞬で溺れてしまった、結局静恵との交合は夜通し繰り返され、精を使い果たし二人は抱き合ったまま泥のように眠り込んだ。

祥一が目覚めたのは陽が高くなってから、母親が朝食に下りてこないのを訝しみ部屋に起こしに来たのだ、祥一は母の声に驚き隣に寝ているはずの妹の体をまさぐった、だがベッドの中に妹はいなかった。

「母さん、静恵はどうしたの?」

「お前、起き抜けに何だい…静恵ならとうに年賀の挨拶に出掛けたよ」

遅い朝食をとると祥一は自室に戻り思いに耽った、妹の成熟した肉体映像がいつまでも脳裏をはなれず今夜もあの柔らかな肌に溺れたいと思う、だが昨夜静恵が絶頂に至る際「私はお兄ちゃんの女…もう絶対離れないから」の言葉が耳に残っている。
(あの体…もう手放せない、いっそ東京に連れて行こうか…)だが現実を考えれば有り得ぬ話(やはり今度も捨てるしかないのか…)

昼過ぎ、祥一は父母に急用で東京に戻らなければならないと伝え、またもや妹から逃げるように東京へ逃げ帰った。


 東京に戻り普段通りに仕事に打ち込む日々が続いた、そして3月…母から静恵が見習い杜氏に犯され子を孕んだとの激高の電話があった。
だがその電話を受けたとき祥一は見習い杜氏が犯したとはとても思えなかった、その杜氏を帰郷した際2・3度見かけたが気弱そうな男と記憶している、また静恵が好むタイプでは無かった、(腹の子は間違いなく俺の子だ…)と確信に至るまで時間はかからなかった。

妹は事実を隠蔽するためどんな思いで見習い杜氏に抱かれたのだろう、どれほど悩み葛藤し男を誘ったのか…それは死に勝るほどの苦しみだったろう。
(それなのに俺は面倒を避け逃げ出した…あぁぁなんという情けない奴、全て俺の責任だ)

静恵は杜氏と東京に駆け落ちしたと聞いた、それを聞き会社に休暇願を出し当て所なく探し歩いた、だがとうとう妹は見つからなかった、そして月日は流れ父との約束が過ぎた冬、祥一は小千谷に帰り酒造会社の跡を取った。

だが妹の部屋を見るたび忍びなく…母が勧めるままに見合結婚をした、しかし妻となった女は色黒で毛深く…つい妹の素晴らしかった肉体と比べてしまい、とても抱く気にはなれなかった。

その反射からだろうか、祥一は夜な夜な若い女を物色し妹に似た中高生を見つけては金で抱くようになった、だが妹に勝る女など居ようはずも無く、遂には淫行容疑で逮捕され罰金と高額な慰謝料で懲役は免れたものの…結婚して間がない妻は夫の少女趣味に呆れ果て離婚届けを突きつけて出て行った。

それから数年経ったころ ようやく静恵の消息が知れた、祥一は驚喜し静恵を迎えに東京へ飛んだ、だが妹は昔と変わり慎ましやかな妻となり、女児二人をもうけ質素ではあるが幸せな家庭を築いていた、それゆえに祥一の入り込む余地はなく寂しい想いで小千谷に戻り、せめて罪滅ぼしにと静恵に月々の生活費を仕送るようになっていった。

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