悠里の孤独
横尾茂明:作

■ 奸計と失踪8

「卒業式が済んだら部屋の荷物を処分してそちらに向かいます、遅くても3月末日までにはそちらに着けると思います」

「なんだ…まだ2週間以上もあるのか、あっそうだ今日 儂の昵懇で私立女子校の理事長をやっとる男がおってな、金はかかったがそいつに頼んでお前を今年の入学者の中にねじ込んでおいたぞ、まっ1年浪人し来年行きたい高校を受験する手も有るが…今どき浪人も無かろうと思ってな、なに その高校が気に入らなければ公立高校に編入する手もあるわさ、入学式は4月10日じゃからまだ間がある、その高校に行くか浪人するかはこちらに来て決めればいいわさ」

「有り難う御座います、高校のことまで考えて下さるなんて…」

「何を言う、お前と儂の間で水くさいことを、お前が望むことなら何でも叶えてやると以前も言ったろう、但し儂の力が及ぶ範囲でなフフッ、でっお前に渡してくれと頼んだ支度金100万円は姉さんから受け取ってくれただろうな」

「えっ100万円?、置き手紙と一緒に10万円が添えられていましたが、100万円だなんて…」

「何!麻衣のやつお前に10万円しか渡さなかったのか…あいつには別に餞別として100万も渡したのに…ったく困ったやつだ、しかし10万円ぽっちではこちらに来るまでの生活費や引っ越し代には足らぬと思うが…、わかった明日お前の銀行口座に100万振り込むから口座番号を教えてくれんか」

「有り難う御座います、伯父さんには何から何まで面倒見て貰い…このご恩はどうやって返せばよいのか…」

「子供が殊勝なことを言いおって…お前が儂の所にさえ来てくれればどんなに金がかかろうと惜しくはないわさ、悠里楽しみに待ってるからな」

銀行名と口座番号を伝え悠里は電話を切った。
悠理の知らぬところで支度金100万円、餞別100万円が既に姉の手に渡っていたとは…それに800万もの借金も伯父は肩代わりしていたのだ。
(姉に先を越された…)そんな想いからさらに200万円送って下さいとはとても言えなかった。

(だけど伯父さん簡単に100万円振り込むって言ってくれたけど…借金の肩代わりおよそ800万、姉に200万、さらに今の100万を合わせれば1100万円にもなる、いくら母の兄でもこれまで付き合いの無かった姪らにそんな大金を施すいわれは無い、でも姉は私の体を餌に大金を見事に引き出してみせた…。
私の体ってそんなに価値があるの?…それにしてもお姉ちゃん、私を利用しておきながら10万円しかくれないなんて…酷い人)


 悠理は布団を敷くと台所を片付け歯を磨いた、台所の隙間から吹き込む風は酔い覚めの悠里の身を悲しく震わせた。
布団に入ると目を瞑った、だが今日一日の余りのもめまぐるしい出来事が次々と脳裏に現れとても寝付ける状態には無かった。
(私の価値って1100万円…いやそれだけじゃない、高校の裏口入学から3年間の学費、それに大学の学費から成人するまでの養育費さえも…それと伯父さんの娘になれば酒造会社や伯父さんの膨大な財産も私が受け継ぐことになる…そう数億の価値になるんだ、伯父さんそんな大金注いでも私の体が欲しいの?)

すると再びあの一年半前の出来事が思い出される、そうあの嵐のような二週間だ…。
普通の中学生が絶対経験することのない変態SEX、そんな異常SEXで気絶するほどの快感を与えられた、その快感はこの身に刻まれ どんなに激しいオナニーをしてもあの快感に勝ることなどなく、どれほど伯父を愛おしく想っただろう…。

伯父が去って1ヶ月、伯父が恋しくてあのペニスが愛おしくて何度小千谷に行こうと思ったか…しかし少女という性は不思議なもの、半年もすればあのときの快感は風化しオナニーでも満足は得られるようになっていった、いやそれよりも伯父の陰湿なる性癖と醜い体形を思い出すたび嫌悪感が湧き…まるで呪縛が解けたようにどうしてあんな男を恋い焦がれたのか不思議にさえ感じた、だが伯父はそんな悠里の心とは裏腹に今でも悠里の体に数億の価値を見いだしているのだ。

(小千谷に行けば…またお尻の穴を弄られる、伯父さんどうして普通のSEXしてくれないの?)
肛門SEXで絶頂に逝けるようになった…だが下痢便を垂らしながらのあの暗く陰湿な営みは少女の潔癖感には相容れず、今は異常な行為として映っていた。

そのとき医院長先生の面影が不意に浮かび上がった、事故に遭わなければけして会うことのないインテリジェンスな男性の面影…。
(背が高くハンサムな顔立ちだったな、伯父さんより何倍も素敵…でもあんな素敵な先生でも男、伯父さんと同じように変態なSEXをするのかしら…ううん先生はあんなことしない、きっと優しく抱擁してくれるはず、先生のような人が伯父さんだったらどんなにいいか、伯父さん背が低くお腹も膨らんで大嫌いな体形だもん、あぁ小千谷になんか行きたくないな、でもお姉ちゃん私の体と引き替えにあんな大金もらっちゃったからこの体はもう伯父さんのもの…)

浣腸を打たれ肛門栓を無理矢理押し込まれ、泣いて許しを請うまで尻を叩かれた、そして伯父の目の前で下痢便を垂れ流し伯父に恥ずかしい言葉で虐められながらティッシュで拭かれる、そんな肛門にゼリーを塗られ無慈悲にも極太のペニスを突き立てられた…そんなSEXも悠理は否定はしない…でも出来れば普通のSEXがしたいと思う、普通のSEXで充分にあの絶頂に逝けるのだから。

(やっぱり先生がいいな、いっそ先生が私を掠ってくれたらどんなにいいか…あっ、そういえば先生が私を見る眼差しは伯父さんと同じだった、だから先生に見つめられて私濡れたんだ、あの診察ベッドで意味なく濡れたわけは先生の眼差しにあったんだ…)

悠理はそう思ったとき、あの先生も私を欲しいと思ったはず…と何故か確信めいたものを感じた。
(明日先生に会ったら仕掛けてみよう、200万と引き替えにこの体を抱いてもらい…伯父さんと同様にこの体が手放せないと感じてくれたなら私を掠ってと御願いしよう…でももし駄目だったら…運命通り叔父さんのものになり賠償金の支払いを伯父さんに御願いする…)

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