悠里の孤独
横尾茂明:作

■ 奸計錯誤4

目を瞑り(先生…)と小さく呼んでみた、すると一瞬 頭が後ろに反るほどの快感が沸いた、と同時にあの眼差しが瞼に鮮明に映し出される。
(あぁぁ先生)と小さく叫び、薬指もショーツに潜らせ2本の指でクリトリスを挟む、「クゥゥゥ」自然と呻きが洩れた。

(今日は…変、挟んでるだけなのに逝きそう)そう思った刹那ビクンと腰が突っ張った(あっ、イク…アァァもういっちゃうよぉ)
悠里は椅子の上で腰を上下にガクガクと振り絶頂へと駆け抜けていく、その絶頂は指がショーツを潜ってから1分もたたないときだった。

2本の指はクリトリスを離れ下へと移動、そのまま膣に装入した、膣は一定のリズムで痙攣し指を挟み付ける、その度ごとに腰が踊りやがて性感は緩やかに引いていった。

性感の深さはペニスを挿入されたほどの深みはなくドライなもの、それでもいつもするオナニーより数倍深かった。
(先生の眼差しを感じただけで絶頂に逝けた…ならば先生に愛撫されペニスで突かれたら…私どうなっちゃうの)悠里はそう思い身震いした。

(先生が私のこと欲しいって…自分のものにしたいって…あぁ先生…)

悠里の頭の中はいつしか先生のことで一杯になり溢れた、その思いは一直線に性感へと繋がっている、さながら性感イコール先生というロジックだ。
降って湧いたような先生への痛烈なる恋慕、それは寂しさを埋める彼女なりの自己保存本能だったのかもしれない。

再び性器が疼き出した…もう性器に触れなくても何度でも逝けそうな気がした、悠里は目を瞑りあの眼差しを再び思い浮かべた。
(あぁぁ先生をあきらめるなんて出来ないよぉ、私どうしたらいいの…私どうしたらいいのよ)


 次の日、ホームルームが終わり悠里は学校を出た、昼休み病院に電話を入れたが「今日医院長は休暇をいただいております」との回答だった。
3時前 まだ銀行は開いているはず、伯父さんから100万円が振り込まれていたなら…先生にせめて賠償金の半分だけでもお返ししよう、そう思い学校近くにある銀行へと自転車を走らせた。

銀行に着き初めて通帳をATMへ装入し記帳した、だが印字された頁を見て驚いた、母が亡くなったとき姉が作ってくれた普通口座だが何とこの1年半の間に毎月5万円ずつが姉の口座からから振り込まれ、一昨日は190万、昨日は伯父が言った通り100万の振り込みがなされていた。

(姉さんって…)通帳を見て絶句した。
(やりくりが大変なはずなのに1年半にもわたって毎月5万も私に振り込んでたなんて…だから高校受験を勧めたんだ、姉は怖い人じゃなかった…それと伯父さんから貰った支度金や餞別金さえも私の口座に振り込みオーストラリアに発ったんだ)

姉を疑い憎んだことを恥じた(やっぱり兄妹なんだ…お姉ちゃんごめんなさい)
そう思うも、心の片隅にわだかまった「借金の肩代わりに売られた」という恨みめいた想いは依然くすぶり、この振り込みも贖罪からなされたもの…そう想う気持ちはどうにも払拭できなかった。

それにしても350万以上の金額を一瞬で手にしたのだ、お金が無いという不安は取り敢えず消えた。
(これで先生に賠償金全額が返せる、明日200万円渡したら先生にさようならを言おう…)

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