2008.12.14.

姉との生活
02
紅いきつね



■ 2

ロメリア王国
地形:ヨーロッパ南部に位置し、ピレネー山脈の一角の海抜500メートル高原地帯。といっても高原は国土の3分の1であり、大部分を山と森林と湖、沿岸部が占める。
面積:約20万平方メートル
人口:40万人
気候:夏涼しく、冬暖かい
産業:観光が主産業だが、牧畜、ワイン、記念切手の発行。またスイスと並び手作りの時計が有名であったが、現在は後継者が育たず衰退気味である。
小国ながら数世紀にわたり単一の王政を維持。国土が山脈と海に挟まれていることと、歴代王家の外交手腕がずば抜けて優れていたからだ、とも言われている。
現在の国王はフリードリヒ3世。だが79歳と高齢であり、時期国王は誰になるかという事が国民最大の関心ごとである。

「……という事だがお解かり頂けたかな?」
俺達はケンプフェルとかいう空母のブリーフィングルームだかなんだかでシュバルツ中佐の説明を受けていた。
「……で?」
「……で、とは?」
「だから、そのロメリアとかいう素敵な国と俺達がこんなところまで拉致されたのにどんな関係があるかとお聞きしているのですよ」
「ふむ」
中佐は姉ちゃんに視線を向けた。
「これには姉君の出生に深い関わりがあるのだよ」
いきなり振られて姉ちゃんは「え?」という表情を浮かべた。きっと夜中に叩き起こされて眠いんだろうなあ。8時間は寝ないと駄目な人だから。
「あなたのお母上はロメリア王家の血筋なのです」
「はい?」
思わず二人でハモってしまう。
「それも直系の血筋です。フリードリヒ3世陛下にはお子様が2人いらっしゃいました。本来ならば次期国王にはご嫡男であらせられるコンラート殿下がなられる筈でしたが、公務中の航空機事故によりお亡くなりになっております。もうお一人があなたのお母上であるカーテローゼ様なのです。」
あまりの事に俺はぽかーんとなってしまった。
「カーテローゼ様は我が国を旅行中であった日本人男性と偶然出会い、王位継承権を捨て結婚する決意をなさいました。そしてお生まれになったのがあなたなのです」
「えーと、その、つまりどういう事なんでしょうか」
「つまりですね、今現在ロメリア王国王位継承権のトップにいらっしゃるのがあなたということですな」

おういけいしょうけん
俺の人生に全く縁のない単語だ。
とおもったらほかでもないねえちゃんがそのおういけいしょうけんのとっぷらしい。おもわずひらがなになっちゃうよ。
「我が国は確かに小国ではありますがさすがに一国の国王ですから、なりたがる方は多いわけですな。コンラート殿下がご存命のうちはどうしようもないわけですがお亡くなりになってさあチャンスだ! と思ったら実は姫殿下がいらっしゃったというわけで裏では大騒ぎになっております。ですので中には姫殿下に消えていただければ万時うまくいくと考える輩もおるわけでして。」
「……だから姉ちゃんを殺しちゃえと?」
「端的に言えばそうなるな。実を言えば姫殿下の暗殺計画が複数同時進行しえいるとの情報もある。だから今回はいささか強引な手段を使って保護したわけだ」
「いささかじゃねえだろ」
「えと、でも私生まれたときから日本人ですし、日本語しか話せませんし、あ、でも英語はちょっといけるんですけどね。と言いますかそもそも王位なんて興味ないんですけど……」
「お気持ちは充分お察し致します。」中佐はいかにもとってつけたような苦悩の表情を浮かべる。胡散くせえ。「ですがもし姫殿下が王位を放棄なさいますと、王家の血筋は絶えてしまう事になるのです。t中世以来の歴史を持つ我が国にとってそれは非常に問題なのです。」
「つかさ、いきなり姉ちゃんが行っても王様も国民も納得しないんじゃねえの? 血筋が大切ってなら特に日本人の血も混じってるし」
「その点は問題ない。情報部が姫殿下のお姿をおはようからおやすみまであんなとこもこんなとこもばっちり隠し撮りして国王陛下にご報告してある。姫殿下はカーテローゼ様のお若い頃によく似ておられるし、陛下も何はともあれお会いしたいと仰せになっておられる。国民も日本人の血が入っていてもカーテローゼ様のお子様なら歓迎するだろう。」
何というか話が大きい割には大雑把過ぎる。それでいいのか本当に。
「で、俺は何で?」
「それはだな、君は姫殿下のケンプファーだからだ」
「……なんじゃそりゃ」
「王族には一人必ず常に付き添う護衛役がついているのだ。それを我が国ではケンプファーと言う。姫殿下のお写真にはかなりの確立で君が写っていたので陛下がこれが姫のケンプファーなのだろうとおっしゃったのだ」
「……頭痛くなってきたよ」俺はこめかみを軽くマッサージしながらため息をついた。
「あれ、そう言えば王様が姉ちゃんに会いたがってるって言ったよな?」
「うむ、いかにも」
「まさかこの船、もう向かってるわけじゃないよね?」
「いや、すでに我が国に向けて全力で航海中だ」
頼むから俺達の都合ってやつも考慮してくれよ……

俺は船旅というものをした事がない。
というか旅行自体あまり行った事がないのだが、どうも退屈だ。一応個室を与えられたものの、テレビもなければパソコンもない。軍艦なんだからしょうがないのだろうけども、無理やり連れてきておいてこの待遇はないんじゃないのか、おい。
もう夜になっていて、壁にある小さな窓からは何も見えない。深遠の闇が広がるだけだ。
やる事もないので異様に硬いマットレスが置かれたベッドで横になってグレー一色の天井を見上げていた。姉ちゃんは王族なのだという理由でもっといい部屋に連れていかれたようだ。
横になったまま、部屋に備え付けられている小さい机に置かれた拳銃に目をやった。
「君は姫殿下をお守りするのだからこれを持っていた方がいいだろう」とシュバルツ中佐から渡されたものだ。
ごつい軍用拳銃で、シゲだかシグだかそんな感じの名前らしい。基本的な使い方は教わったものの、射撃訓練なんぞさせてもらえなかったのでまあちょっと物騒なお守りという感じだ。
俺は起き上がるとそっと拳銃を持ち上げた。ずっしりとした重さが手に伝わり、また天井の光を鈍く反射するその鉄の塊が俺を何となくぞっとさせた。
このちっぽけなモノを使えば簡単に人が殺せてしまうのだ。俺にそんな事ができるのだろうか……それが例え姉ちゃんを守る為だとしてもだ。
ため息をついて机に拳銃を置いた時だった。
部屋のドアが控えめにノックされた。多分そうだ、という確信に近い予感がして俺は慌ててドアを開く。薄暗い廊下には今にも消えそうな姉ちゃんが立っていた。

「……入ってもいい?」
小さな声で姉ちゃんは言った。
「うん」
俺が促すと姉ちゃんは無言で部屋に入ってくる。シャワーでも浴びたのだろうか、いつもと違う匂いがふわっと匂った。
「ねえ、勇君。わたし本当にお姫様なのかな」
ちょこんとベッドに腰掛けた姉ちゃんは本当にこのまま消えてしまいそうなほど儚げだった。こんな姿を見るのは初めてだ。いつも元気でにこにこしていたというのに。
「わかんね。でも冗談とかじゃなさそうだな」
俺は姉ちゃんの隣にちょっと間を空けて座る。今の姉ちゃんは中佐に貸してもらった紺色の海軍の作業着だかなんだかを着ているのだが、サイズが大きいのか胸元がばっくりと開いていて、ちょっと俯くとおっぱいが見えてしまいそうだ。
「笑っちゃうよね……お姫様だなんて。」
姉ちゃんが少し俺の方へ寄ってくる。やばい、息子が元気になってきた。
「でも姉ちゃん綺麗だから……似合うと思う」
さすがに面と向かって言うのは照れくさいので視線を外してそう答えた。実際似合うと思うし。
お城のバルコニーから純白のドレスを着て全てを包むような微笑で国民の歓声に答える姉ちゃんの姿が容易に想像できる。
「ほんと?」
「嘘ついてどうすんだよ」
「それじゃあ勇君はわたしがお姫様になっちゃってもいいの?」
「……」
本音を言えばいいはずがない。
でも今ここでそれを答えてどうなるのだろう。俺にとって姉ちゃんは必要な存在だけど、俺以上に姉ちゃんを必要としているのが今のロメリアという国なのだろう。天秤にかけるには重さが違いすぎる。
「答えてくれないんだね」
黙ってしまった俺をちょっと睨んで姉ちゃんは立ち上がった。それでも俺は何と答えていいのかわからない。
「ねえ、ピストル撃つの?」
机の上にある拳銃が目に入ったらしい。俺の方へは視線を向けないままそう言った。
「わかんね。でも姉ちゃんを守る為なら撃てると思う」
「それで人を殺しちゃうかもしれないんだよ。それでも?」
「……死ぬほど後悔するかもしれないけど、でも姉ちゃんを守りたい」
「ケンプファーだから?」
「そんなの関係ねえよ。姉ちゃんは俺の一番大切な人だから守りたいんだ」
「ねえ、立って」
俺は言われた通り立ち上がった。
俺の方に向き直った姉ちゃんはぼろぼろと泣いていた。
「キスして」
え?
泣きながら姉ちゃんは俺をじっと見ていた。
「で、でも俺達兄弟だし」
しどろもどろ、まさにそんな感じで俺は視線を左右に動かす。赤く染まった頬と、ちょっと開かれた唇がたまらなく可愛らしい。想像では何度も行った場面だが、さすがに現実に起こるとは思わなかった。
「ううん、そんなの関係ない。勇君はわたしのこと嫌いなの?」
「嫌いなはず……ねえだろ……」
「じゃあキスして」
そう言って姉ちゃんは目を閉じる。
ここまでされたら後には引けない。俺は覚悟を決めて姉ちゃんの両肩に手を置き、そっと引き寄せた。
そのまま姉ちゃんのしっとりとした唇にキスをする。舌を伸ばすとおずおずという感じで姉ちゃんも舌を絡めてくる。
そのまま俺はほっそりとした腰に腕を回し抱きしめる。姉ちゃんも俺の首に抱きつき身体が密着する。夢中になって舌を絡めているうちに俺の息子は完全に勃起してしまった。本能に従い、姉ちゃんの身体に押し付けてしまう。
どれくらいそうしていただろうか。
さすがに息苦しくなって唇を離すと、至近距離に姉ちゃんの綺麗な顔がある。
「勇君キスうまくない?」
「へ?……いや俺初めてだけど」
「本当に? なら嬉しいな……わたしも初めてだよ」

どきん
心臓が大きく脈打ったような気がした。
姉ちゃんが俺に体重を預けてくる。そのまま素直に二人抱き合ったままベッドに倒れこんだ。
「わたしたち兄弟だけど兄弟じゃないんだよね」
「何で?」
「だって兄弟だったらこんなことしないでしょ」
クスクスと笑う。
「そうだな」
俺も何だか面白くなってしまって同じように笑った。
「勇君元気だね」
俺の息子の事らしい。
「だって姉ちゃんが」
「わたしのせい?」
「ん……そうかも」
「そうなんだ」
そう言って軽くキスすると姉ちゃんは俺から離れる。そしてベッドの下にしゃがむとすらっとした指で俺の息子に服の上から触れた。たったそれだけの事なのに俺は電流を流されたような快感を感じてしまう。
「ね、姉ちゃん……」
「黙ってて」
ズボンのベルトを外し、チャックを下げ、ズボンごとトランクスも下げられてしまった。我ながら元気な息子がぶるんと現れる。
「わあ……」
顔を赤らめて息がかかるほど近い位置から姉ちゃんが見つめる。これはちょっと恥ずかしいかも。
「気持ちよくなって」
そう言うと息子に唇を触れさせる。
そして舌を伸ばして竿を舐め始めた。裏筋につーっと舌を這わせ、竿の根元を右手で上下させながら左手が優しく袋を揉む。はっきり言ってやばいくらい気持ちいい。一気に射精感が押し寄せてくる。
「ね、姉ちゃん……もう駄目だ」
我ながら情けないが仕方ない。
姉ちゃんはそのまま竿を口に含み上下させる。俺の目を見ながらいいよと言ったようだった。
「で、出るっ」
今まで経験した事がないほどの強烈な快感と共に俺は姉ちゃんの口の中に射精していた。喉が動き、そのまま精液を飲み込んでいる。
精液を飲み込んだ後も残りを全て吸いだすように姉ちゃんは舌を這わせていた。まさかあの姉ちゃんがこんなことをするなんて……。
快感の余韻に浸りながら俺はそんな事を考えていた。



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