2005.09.30.

危ないエステ
02
神野 舞
(加筆:木暮香瑠)



■ 第二話

「それではこちらに横になって下さい」
 ビニール張りの診察台に横になった美鈴は軽く目を瞑った。仰向けになっても潰れることのない双乳が、私の目に映る。私は媚薬クリームを棚の奥から取り出すと、掌に落とした。そして、彼女の胸元に塗った。ビクッと女の身体が震える。豊かな隆起がブルンと揺れた。
「大丈夫ですよ。このクリームは、血行を良くし新陳代謝を促進するのよ。マッサージ効果を高めてくれるの。コラーゲンも含んでいて美白効果もあるの」
 彼女は、頬を紅く染めた顔を小さく頷かせた。相手が女性でも、裸体を晒すは恥ずかしいのだろう。
 私は、女の肩先からくっきりと浮いた鎖骨、そして二の腕へとクリームを延ばしていく。若さを誇るかのような滑らかな肌。私が接してきたどのお客よりも肌理の細かい肌をしている。
 心の奥から嫉妬心が湧き上がってくる。私から裕也を奪ったばかりか、誰もが振り返る美貌、見惚れてしまうスタイル、手に吸い付くような美白の肌までをも備えている。
(悔しい!! 今に見てなさい……)
 私は、媚薬クリームを多めに全身に伸ばしていった。白バラの芳香がリッチな気分にいざなうはずだ。
「いかがですか? ご気分は」
「ええ、とっても気持ちいいです。もっと早くここに来ればよかったと思うくらい……」
「ええ、皆さん、そうおっしゃいます。アロマセラピーは心理的作用も大きく、ストレス暖和効果があるのですよ」

 クリームを塗り終え、マッサージに入っていく。
「美鈴様は固いお仕事のようですね。体がすこし凝っていますわ」
「判りますか?」
「ええ、こういう仕事をしておりますと、触れただけで判るものなんですよ」
 媚薬クリームを満遍なく美鈴の体に摩り込むようにマッサージする私。
「ええ……、上司が、仕事を二つも三つも同時に押し付けて、急がせて、それでいて遅いの、間違えているのと……」
「いますよね、そういう上司。自分が一番仕事できないのを棚に上げて、ですよね?」
 美鈴に話を合わせる私。悩みを受け止め、優しく頷く私を信頼させるのは訳なかった。

「あら、素敵な指輪ですね。婚約指輪かしら?」
 私は、二の腕をマッサージしながら訊ねた。
「ええ、来月結婚するもので。それでエステに来たくなって……」
(やっぱりそうだ。私と別れて、まだ一ヶ月しか経ってないのに……。二ヶ月で結婚するなんて……)
 とんだ道化師だった……、私……。私たちが別れる時には、裕也とこの女の結婚はもう決まっていたに違いない。あの時はあんなに泣いたのに……、今は笑いを抑えるのに必死だ。
「わかりますわ。エステで彼のためにも綺麗になって下さいね。あっ、ごめんなさい、エステの時には指輪ははずしていただく決まりなの。指マッサージも行ないますので……」
 眩く光るダイヤの指輪を美鈴の指から抜き取ると、白衣のポケットの中に落とし、一人ほくそえんだ。美鈴は何も疑わず、気持ちよさそうに目を閉じ、横になっている。私は女の指をマッサージしていった。

 私の手は、鎖骨から胸へとマッサージしていく。彼女の顔が耳まで紅くなっている。朱に染まっているのは、恥辱の為だけではない。媚薬クリームは、もう彼女の肌深くに染みこんでいる筈だ。マッサージによって血行の良くなった血液は、効果を全身に広げている筈だ。脳に流れ込んだ媚薬効果が、言葉にさえ反応し快感を味わえるだろう。

 私の指が彼女の肌を這うと、口が僅かに開き息が漏れ始めている。
「羨ましいですわ、きっと素敵な彼なんでしょうね」
 美鈴が裕也を思い浮かべた瞬間、私はぎゅうっと乳房を鷲掴みした。
「ああんっ」
 甘い痛みに悲鳴をあげる美鈴。
「あ、ごめんなさい。これは美乳を作るマッサージなのよ。我慢してくださいね」
 美乳を作るマッサージと聞き、けなげに痛みに耐える美鈴。
 なによりも許せない顔だ。
 私は乳房を毟り取るようにぐいぐい指を深く食い込ませた。媚薬が性感覚を倍増させ、火傷に似た痛みさえ快楽を導くはずだ。乳首に爪を当て、摘んで捻り上げた。体を浮き上がらせるほどに。その後、掌で乳首を転がす。のた打ち回りたいほど、たまらない快感のはずだ。
「ううっ、うん……、あんっ……」
 美鈴の唇が微妙に震えて、悟られまいとする喘ぎ声が漏れている。私の手は乳房から離れ、ゆっくり下りながら、強く弱くお腹の脂肪を掴んではマッサージしていく。全裸で横たわる美鈴の無防備さを笑う私。

 腰を揉んでいた手を止め、何かを確認するようにギュッと押す。
「ちょっと骨盤が緩んでますね。矯正しましょうね」
「は……、はい……」
 虚ろに漂う頭が、コクリと頷く。私は女の膝の裏に手を宛がい、思いっきり開いた。両足をM字に開かせ、さらにギュッと押し込む。あたかも、裏返しになった蛙のような惨めな格好だ。繊毛に飾られた恥丘も、その下のアヌスまで晒している。普通の神経なら、恥ずかしくて耐えられない格好のはずだ。しかし、媚薬効果が羞恥心までも和らげている。美鈴は顔を横に背け、普段なら耐えられない恥辱に耐えている。

 両足をM字に開いた太腿を、股間に向かって肉を削ぎ落とすように摩り上げる。こんもりと盛り上がった肉の丘に到達した指で、ヘアを掻き分けた。
「あんっ、そんな…と…こっ……」
 ラビアが開かれ、朦朧とした意識の中、一瞬、起き上がろうとする美鈴。
「いけません。横になっていて下さい。これは全身エステですから」
 冷静に説得する私。エステシャンを信頼し、なおいっそう美を求める美鈴は、なにをされても逆う事ができない。それとも、媚薬に酔った神経が、さらなる官能を求め否定することを拒んでいるのか。美鈴の眠っていた淫乱が、あなた自身も知らないスケベ心が眼を覚まし疼いているのか。
 ラビアの奥は、薄いピンク色だ。まだ、性経験は浅いらしい。媚薬を吸収した肌は熱を帯び、噴出す汗と媚薬クリームが混ざり合い濡れ光る。縦裂の中は、さらに凄い状態だ。自ら吐き出す淫汁に濡れ輝き、愛蜜が滴り始めている。媚薬は神経を蝕み、開いた亀裂の中の淫肉はひくひく蠢いていた。



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