2007.09.27.

家畜な日々
03
非現実



■ 〜追記〜2

暫く睨み合いが続く時間が進み、大野が切り出した。
奴の発する声のトーンは明らかに、自分が圧倒的に優位に立っているのだという確信じみた口調。

「まず、ここが何処かを教えてやろう」
「……」
「私の酪農のな、雌牛や雌豚が出産する時に使う、家畜が出産する為の場所だ。」
「……だ、だから?」

精一杯の抵抗。
だが、大野はそれを面白そうにしている。

「お前は所謂、産まれたての変態家畜だと云う事だよ?」
「……それが…… ……楽しいの?」

反吐が出そう。

「牛や豚の家畜もな、色々と仕込まないと売れないんだ、これ本当の話」
「…… ……」
「同じ家畜としてお前も同等の仕込みと、それ以上の仕込みをしてやるからな」
「あんた本物マジ馬鹿ね、Hビデオの見過ぎじゃない?」
「実際にそうなるのは、お前だけどな」
「…… ……」
「取り合えず、今の現状では全く動けないだろう?」
「動けなくしないと、女を扱えなんだ?」

私の挑発を無視して大野は続けた。

「両手両足は、後ろで鎖で繋いでおいたんだ」
「……」

どうりで全く動かない訳だ……。

「裸ではちょっと辛いだろう?、ちょっと待ってろよな?」
(何? ……何か着せてくれるの?)
「ちょっと安堵したその顔、中々ソソられるな」

出てゆく間際で心を見透かされた失態に、私は本気で悔やんだ。
なんで、あんな男に…… …… ……。


「待たせたね」

数十分後、大野が何枚かの布を持って再び現れた。
投げ捨てられたその布は、服であると解った。

「枷をといてやろう、ソレに着替えるんだ。
風邪でもひかれたらたまらんからな……。」

そう言いながら、後ろに廻って枷を次々とはずされて行く。
ようやく自由になった手首を摩りながら、私は再び服へと移す。

「着ないのか?」
「下着は?」

無駄だと解ってたが、一応聞いてみる。
私のその問いに大野は、何も言わない。
諦めて、私は上着を手に取った。
シルクの白いブラウスと、黒のタイトミニ。
結構センスは悪くないと不覚にも思ってしまった。


手っ取り早く身をそれに包ませて、私は裸の視姦から免れた。
ようやく得られた服は私にピッタリで、それが逆に気味悪くなる。
だけど肌に心地良いシルクは、心から安堵する。
真っ白な光沢を放つシルクと黒のタイトミニで、ようやく人間としての尊重を取り戻した気がした。


だけど…… ……


「さて、手を加えようか?」
「な、何を……」

ハサミを取り出した大野は、いきなりタイトミニの裾を大きく切り取りだした。
出来上がった裾は、大体股下10cm以下……。
更に…… ……。
タイトスカートの真正面股部分に、骨盤の位置までスリットを入れられる。

「な、何を……!?」
「まだだ」

そう言いながら後ろへ廻った大野は、今度はお尻の真正面の中心に、ハサミを入れる。
これも骨盤の位置までだ。
捲れば前と後ろの恥ずかしい部分がモロに見えてしまう……。

「初めとは云っても、家畜なんだから大事な所もなにも曝け出さないとな?」
「……く」
「嬉しいだろう?」
「……馬鹿じゃないの?」

左右の手で、前後のスリット部分を抑えながら私はいってやる。
だが…… ……。

「ふむ……言っただろう?、家畜も躾が大切なんだと……なぁ?」


地雷を踏んだ…… ……私は失言したと感じた。


「第一段階としての、名前を用意してやる」
「……」
「何にしようか?」

親が付けてくれた由紀、それしか私の名はない。
でもこの男、自分の世界に酔っている。

「そうだね……」

短く言って、何かの作業に取り掛かる大野健三。
私からは、その後姿しか見えないのだが、不安と恐怖は更に募る。

「どうだ、これに命名してやろう」
「ひっぃ!?」
「雌奴隷由紀、良い名だろう?」

約20cm位の木版プレートには、黒の極太マジックで「雌奴隷由紀」と書かれていた。
ショックで言葉が出ない……。
大野は後ろの袋から、赤い色した大きな首輪を取り出して、木版プレートをフックに取り付けた。
これは何に使うのか……私でも理解できる。

「ヒドイ、よぉぉ」
「家畜にも名前を付けるのは常識だよ?」

私の目前で方膝を付いた大野が、いきなり髪を引っ張りあげられた。

「あ、あいぃぃっ〜〜〜っ!!」

拘束された手足を動く限りバタつかせ、首を左右に振って懸命に抵抗してみせる。
……が。

カチリ

「あっ、うぅっ!」

いきなり呼吸が少し苦しくなった。
そして、首を意識して支えないと駄目になった私。
(…… ……嵌められた)

「見てみたまえ、首輪は見えないだろうがプレートは、よく見えるだろう?」
「く、首が重いぃ……」

下を見ると木版プレートには、例の卑猥な文字。
(雌奴隷……て?)
赤い首輪を繋いだ、大きな南京錠も見える。

「いいだろう、俺の拳と同じ大きさの南京錠だ。
測ったら12キロ位あったよ。」
「くぅ……」

息が荒くなる。

「じきに、それが当然だと思ってもらえるよ」
「こんな、の……が、慣れる訳」

大野は立ち上がって、入り口からキャスター付きの、一畳分はある姿見を移動させてきた。
咄嗟に反対側へ目を逸らす。

「さぁ、よく見ろ」
「嫌っ!!」


パァン!!


一瞬……何が起きたのか解らなかった。
耳元で乾いた音。
そして、徐々に右頬が熱くヒリヒリとする。
(殴られた……んだ?)

「よく見ろっ!」
「っ!?」

ショックが支配していた私は、言付け通りに姿見へと顔を戻していた。

満足したのか、大野健三が説明をしだす。

「シルクの白ブラウスは、お前の純潔さをイメージしてみた」
(何、が純潔……よ)
「黒のタイトミニは、貞操を守りたいというお前の拒んでいる姿勢を現したんだ」
(真正面からスリット入ってるじゃん!!)
「両手両足は、枷と鎖で繋いであげてるんだよ?」
(どうりで、少し動くわけだ……)

自分の目で確認する気はなかったが、後手で拘束されていた手を少し動かしてみる。

「大型兼用の赤い首輪と、ネームプレートは当然、奴隷の証」
(何言ってるの、この男は……コレってナニ?)

腕を組みながら、私を姿見越しで見る大野健三。
私も姿見越しで大野を、いや……この悪魔を見る。


「お前はここで生活をして躾を受けるんだ、どうだ最高だろう?」
「そんな……訳」

私は、小さく呟くように喋る。
先程の殴られたショックが忘れられない。

「取り合えず少しここで待っていろ、雌奴隷由紀」
「……」

ポカンとする私、いきなり全くの別名で呼ばれた感じ。
そんな私の態度に、威圧の言葉を掛ける大野だった。

「返事はどうしたっ、雌奴隷由紀っ!!」
「は、はい」
「よろしい」


そう言って大きく頷いた後、大野が小屋の扉へと消えていった。
ゴトゴトと扉の外で音がした後、周囲は無音となる。

(鍵、掛かってるよね……)



▲ BACKNEXT ▼



この小説は、完全なフィクションであり、実在の人物、
団体等と何の関係もありません。
この小説へのご意見、感想をお寄せください。
感想メールはcopyright下のアドレスまで


NEXTBACK TO NOVELS INDEX


18's Summer : 官能小説、恥辱小説とイラストの部屋