2013.11.13.

緑色の復讐
004
百合ひろし



■ 第一話4

「……ハアハア……ハアハア……ンッ、ハ……ッ」
少しずつ声が出て来た。初めての感覚なので遥は混乱もしていた。薄目で周りを見ているとは言っても白いモヤが掛っている様で、更にそこから入って来た景色を景色だと認識しなくなって来ていた。遥の感覚を支配しているのは、乳房や股間から来る不思議な感覚だけだった。小夜子はそんな状態にある遥の声を聞くと遥の肩に手を掛け上体を起こす様に促した。そして、
「続けなさい、止めたら───」
と言って態と途中で言葉を止めた。遥はその命令に対して頷くしか無かった。いや、止めたく無いという気持ちさえ新たに出て来た。まだはっきりとは自覚していないが、この白いモヤの中にいる様な不思議な感覚は性感帯を愛撫しないと得られない───。
そして小夜子は遥の乳首に指を掛けると、さっきと違い勃って、いい形をしている事を確認すると、指でチロチロとこねくりまわしてから離した。遥は、
「ん……あっ」
と声を出した。その間も右手はゆっくりと股間を擦り続けていた。その瞬間───、
ビクッ
と突き上げる様な快感が来た。乳首、股間から同時に一気に来た快感の第一波に遥は堪らず崩れ落ちた。以前バレーボールのスパイクを頭に食らってしまい崩れ落ち、尻餅を着いた後勢い良く後ろに倒れた事があったが、その時の様に尻餅を着き、後ろに倒れて仰向けになった。その時と違うのは崩れる時に意識があったかどうか───だったが。
片膝を立てて仰向けになった遥の右手の動きは止まり、ハアハア言っていただけだったが、数秒後に軽く腰を持ち上げて一回両手でパンティをキュッと直した。クロッチには既に染みが出来ていた。
今度は右手をパンティの中に突っ込んで直接クリトリスを愛撫した。赤くなった顔はクラスメートと反対に向け、更に左手で隠した。今まではうつむいていたから多少顔を見られても良いと思っていたが、仰向けで両足を開きパンティに右手を突っ込んでひたすら愛撫を続ける姿───その時の顔は見られたく無かった。
教室内からは余計な音は一切消えた。最初は遥の姿を見て笑い物にしたりしていた声も聞こえていたがそれらの声も一切消えた。いや、小夜子が全て消した。その為、遥のパンティの中で手が動く時に発する音、遥の体が動いて床を擦る様な音、そして遥自身のあえぎ声が響くという異様な光景だった。
「あっ……あっあっ……イヤ……」
遥はあえぎ、腰をビクつかせながら続けた。そしてパンティの中の右手の指は不思議な感覚に誘われる様にクリトリスの愛撫から膣に移動した。
すると今までとは違う音がしてきた。
ピチャピチャ───。

「私はキッカケを与えただけですよ。それが気持ち良くなると勝手にこうやって続けちゃうんです」
小夜子はオナニーに耽っている遥を見下ろした後、クラスメート達の方に振り向き言った。そして、
「しかも青山さん、初めてみたいね。彼女みたいに真面目な人がこんな状況でしたら───」
と言い、その後真由羅を呼んだ。真由羅が恐る恐る、音を立てない様に来ると一辺が赤茶色でザラザラしている小さな箱を渡した。真由羅はそれを見てギョッとした。しかしそのまま下がるしか無かった。

これで青山遥は完全に堕ちる───明日からは忠実な奴隷にならざるを得ない。人間は弱いもので、1人だと何も出来ないものである。今まで遥を放課後に呼び出して誰にも判らない様にいたぶったのも全ては今日への布石───。
今まで一寸付き合い悪い程度で普通に暮らしていたのがある時急に公開オナニーさせられているのを他のクラスメートが見たら何て思うだろう。可哀想だなんて決して思わない。
公衆の面前でオナニーする恥じ知らずの恥女というレッテルを貼り、向ける眼差しは軽蔑である。そして思う事は青山遥は裏でこういう事を散々やらされていたのだから、関われば自分も同じ目に逢わされる───。
である。そうやって友人を奪い味方を奪い孤立無縁にしてしまえば、選択肢は無くなる。もうこの件は、高校を卒業してからも一生ついて回る。同窓会等に出ようものなら周りが避けて通る様になる。青山さん?久し振りだね───ああ、そういえば、あの時オナニーしてた人だね、今でも毎日やってるの?といった具合いで叩かれる存在なのである。
それを避けるには小夜子のグループに入るしかない。少なくとも小夜子のグループにいれば叩かれる事はない。但し奴隷として、である───真由羅の様に。


「ああっ、あっ、あっ……ああっ」
遥はうつ伏せになっていて額を床に付け顔は見えないように、そして最大限に声を抑えてあえいだ。そして足は左足は真っ直ぐ伸ばし、右足は大きく開き膝を曲げていた。右手はパンティの中でグチャグチャと膣をいじり、左手で左の乳首をコリコリと弾いていた。腰はヒクヒク動き、そしてパンティに広がる愛液の染みは大きくなっていた。手が入ってるので直接マ○コにクロッチが触れている訳ではないが、愛液でグッショリと濡れた手が中で動くのでそれが着いて濡れていってた。


遥は右手はパンティの中に入れたまま再び仰向けになると左手で尻の食い込んだ所を直した後、また顔を隠した。そして右手を激しく動かし、
「あああっ!ああああっ!!」
と声を抑え切れなくなって大きな声を出し、更に背中を反らせ腰を激しくくねらせた。もう何も見えない聴こえない、認知できる感覚は、もうここが教室なのか、そして何人がこの空間に居るのか、そういう事は一切無しで膣から上がってくる強烈な快感のみだった。快感という麻薬を知らずに真面目に生きて来た女がそれを知ってしまったなれの果ての姿だった。

「ああ……ああーっっ!!」

もやの様な世界が真っ白な壁の様に前に立ちはだかって一寸先も全く見えなくなり、乳首からクリトリスから膣から、性感帯から濁流の様に流れてくる感覚に飲み込まれると同時に、遥は腰を突き出すようにピクピクと震えた後崩れ落ちた。そして、大量の愛液を流し、ビクッビクッと腰を痙攣させた。
「あ……あ……あ……」
まだ夢の中から醒めない様な声を小さく上げ、遥は快感が終わってしまう事を惜しんだが、それは教室の中でクラスメートの目の前でオナニーしたという現実に帰って来たという事だった。
右手の人指し指と中指はまだ膣の中にあった。ぐちゃぐちゃに濡れた手は恥ずかしくて出せなかった。仰向けになった時は終始顔を覆っていた左手もまだ顔の上だった。これも恥ずかしくてどけられなかった。痙攣が収まるまで遥はずっとそのままでいた。その間小夜子はクラスメートに何やら説明というか解説をしていたが何を話していたのか良く判らなかったしどうでも良かった。

「もう……いいでしょ?」
どの位痙攣して余韻に浸っていたかはわからなかったが、痙攣が収まり現実に帰って来た遥は左手を顔から退けて恥ずかしさから赤くなっている顔を小夜子に向けた。小夜子は、
「そうね、そろそろみんなも───そして貴方も帰してあげる」
と完全勝利を確信した表情を見せた。青山遥はもう明日からまともに学校には来れない、来る為にはもう小夜子の庇護が必要なのだ。しかし、念には念を押しておく必要があった。
「真由羅───やりなさい」
小夜子は真由羅に指示をした。真由羅は指示通り素早く遥の体に馬乗りになり、自由の利く左腕を自分の膝裏に挟んで遥の自由を完全に奪った。そして右のポケットから箱を取り出して開けた。

入っていたのはマッチの頭が3個とマッチ数本───。

真由羅はマッチの頭3個を取り出し遥の乳首を避けるようにして右の乳房に乗せた。そして頭だけではないマッチを取り出し、摺ろうとしたがうまく火が着かず何本も折った。
遥はその間、自由が利かない体をくねらせ脱出を図るも完全に押さえられて逃げられなかった。
「真由羅、何やってるのよ。早くしなさい」
小夜子はマッチ1本にまともに火をつけられない真由羅に催促した。真由羅は遥の乳房から落ちたマッチの頭を拾い、もう一度乗せ、箱からマッチを取り出してすった。今度は火が着き、それを遥の乳房に近付けた。遥は乳房の上で火が上がる事に恐怖して顔をそらしかけたが───、

火の着いたマッチを持った真由羅の震える右手、マッチの頭が乳房から落ちない様に乳房に添える左手、そして歯をカチカチさせながら泣いている真由羅の表情を見て───、彼女は私より酷い目にあって来たんだ、と悟った。その真由羅は声に出していたのか、それとも万が一でも小夜子に聞かれるのはまずいから声には出さなかったのか、わからなかったが真由羅の口が、
「ごめんなさい───」
と動くのを見て完全に抵抗するのをやめ、目を閉じた。
「早く、楽になろうよ」
遥は真由羅にだけ聴こえる様に呟いた。真由羅は同様に遥にしかわからないように頷き乳房の上のマッチに着火した。
炎は激しく上がり、遥は乳房から来る強烈な痛覚に叫び声を上げ、体を跳ねさせた。真由羅は遥と同じ位の割りと大柄の体格だったが遥の力にはね飛ばされ横に転倒した。
辺りには燐の燃える臭いに混じり僅かに皮膚の焦げる臭いが混ざり、近くに立ち込めた。遥は横向きになって背中を丸め、マッチで焼かれた乳房を押さえ、痛みに堪えるように歯を食い縛っていた。
そして何とか痛みに慣れ、目を開けてみると───。尻をついた状態で顔を覆って泣いている真由羅のスカートの中がモロに見えていた。白の可愛いパンティから出ている太股の内側に醜い火傷の跡があった───。

遥は気付いた。自分には乳房に、そして真由羅には太股の内側、股間から5cmも離れていない所に火傷を負わされた理由を───。もし教師に、小夜子にやられたと言うなら、やられた証拠を見せなければならないが、クラスの担任も学年主任も男性である。その教師に、ブラジャーを外したりスカートを捲ったりして火傷させられた、と見せられるだろうか?答えは否。仮に覚悟を決めて言いに行ったとしても見せている現場を押さえられて、教師による生徒への不純行為やら生徒の方から教師を誘って売春してる等と騒ぎ立てられて教師もろとも潰されてしまう───小夜子はここまで考えていたのだ、と。
遥は思った。これ以上この学校では生き残れない。生き残るには真由羅の様に何でもいう事を聞く小夜子の奴隷になるしかないんだ───と。


小夜子はショーはお開きという事でクラスメートを帰した後自分達も帰り支度を始めた。そして、遥の制服を手に取りその中からリボンを見付けた。
「約束の証としてこれはこうしておくわ。きちんとした物が欲しかったら───」
と言ってリボンをほどき、ハサミを取り出し半分に切ってしまった。そして半分になったリボンを同じ様に結んだ。小さいのは言うまでも無い、校則違反で内申点は減点である。
「真由羅、後は頼むわよ」
小夜子はそう言ってグループのメンバーを連れてサッサと帰ってしまった。

教室に残されたのはパンティ一枚姿の遥と真由羅だけになった。遥はゆっくりと起き上がり、なにも言わずに窓際に行き、外を見た。そして、
「全国大会……出たかったな」
と一言だけ呟き、暫く何も言わずに外を見ていた。掃除をしない小夜子に目を付けられ暴行を受けた時は、中学の時やっていたバトミントンを高校でもやろうと仮入部をしていたが、特別補習なるいじめを受ける様になってからは部活には行けなくなっていたので入部自体が消滅してしまった。
その件について謝罪してバトミントン部に入ったとしても、この高校にいる限り、小夜子にいじめを受け続けるだけである。それこそ死ぬか、真由羅の様に奴隷として生きるかするまでは───。小夜子が言った約束の証とは、奴隷になるのならばリボンを買って返してやる、という事だった。真由羅を見ながら言ったそれらの言葉からはそういう意図があった。


真由羅は遥に制服と、その上にブラジャーを乗せて返した。そして、
「私が掃除するから……」
と言って遥が汗と愛液で濡らした床を掃除した。遥は掃除をしている真由羅に対して、以前の様に自分がやるとも手伝うとも言わず、黙ってブレザーの中にはしまってあるハンカチで手を拭いた後、ブラジャーを着けその上からワイシャツを着てリボンを着けた。そしてスカートを穿いて、最後にブレザーを着た。それから鞄を手に取り、
「じゃ、帰るよ……」
とだけ言いい、ドアに手を掛けた。真由羅は切られたリボンが半分床に落ちてる事に気付き、
「あ、青山さん……!リボン、半分……」
と遥を呼んだ。遥は振り返り、
「あげるよ、記念に。生まれ変わったらお互い幸せになろうね」
と言い、教室を出た。そして早足で校門を出て一度だけ振り返った。
「夢に……終わったな……高校生活」
遥はそう呟いた後走った。もう、振り返る事は無かった。



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