2007.12.06.

人身御供
02
非現実



■ 怪奇伝2

今か今かと待ち遠しそうに肩越しからお茶を見つめる、まるで幼子の琴乃。

「熱いゆえ、よく冷ましておくのだよ?」
「はい」
「金剛に不動や、そち達は遠慮無く頂けよ?」

やはり無言のまま、一礼してから2人は茶に手を付ける。

「姫様のはお口に合うよう温めにしておりますゆえ、今でも召上れますよ?」
「流石じゃ、気が利くのう」
「よろしいの?」
「うむ、よく吟味してから味わうのだぞ」
「はい」

このやり取りは……まるで親と子そのもの。
少しずつ口に含んでいる琴乃が愛おしい。

「では、私めは夕食の準備してまいります」
「すまぬな」
「今日のご飯は何?」
「これ、茶がこぼれるぞ」
「あ……」

両手に持つ茶が大分傾いているのを、慌てて制してやる。

「今日の夕食は、魚の煮付けにございます」
「わぁ〜〜、楽しみっ」
「うむ」
「では美味に味付けを致しましょう」

そう言って奥へと下がる桔梗だった。
茶を飲み終えた金剛と不動も、一礼をして立ち上がる。

「程々で休めよ?」
「……」
「……」

大箱から地味な武具を取り出す大男達。
何も語らぬ金剛と不動は、私の武具を毎日磨いてくれるのだ。
暫くして台所から、トンットンッと心地良い包丁の音が聞こえてきた…… ……。

「貴方様!」
「ん?」
「肩をお揉みましょうか?」
「……そうだな、頼もうか」

特に肩凝る事もないので、今の私には別段肩揉みは不要だった。
だが、琴乃がしたいというのなら……。
私は素直に願い出たのだ。
琴乃としては、妻の役目をしたいという気持ちは果たして。
…… ……否。
それはただの、ママゴトにしか過ぎなかった。
幼子が母の真似をしたい……そんな気持ちだった。

小さな手が両肩に添えられる。
私は琴乃がやり易いように、気持ち頭を下げて待つ。
やがて肩揉みのやり方すら知らぬ力無き両手が動き出す。

「んしょ、んしょっ!!」
「いい手際だ」
「貴方様、気持ちいいですか?」
「あぁ、良い気持ちだ」
「ん〜〜……凝ってございます」
「う、うむ」
「貴方様の肩は、お広いゆえ遣り甲斐がありますねぇ」

恐らく桔梗が教えたのだろう、夫婦らしい言葉を並べる琴乃。
まるでママゴトなる会話だが……この我が家が一番寛げる。
私にとって至福の時であった。
目を瞑る。
嫌な事も考えなければならぬこれからの事も、忘れられる……。
(今はいい、今はこの屋敷で平穏なママゴトを……)
次第に、良い匂いが居間まで立ち込めてきた。


笑みを綻ばせ、桔梗は空になったお椀に再び米を盛る。
早くも私は3杯目だったが、琴乃の1杯目のお椀は中々減らない。
食べるペースを落として味噌汁に手をつける。
続けて茄子の漬物を摘む……米3杯が私の限界だ。
ペースを落とした理由は簡単。
琴乃は私と一緒に「ごちそうさま」をしないと嫌がるからだ。
(さて……どうしたものか)
今日の魚の煮付けは妙に飯がはかどり、勢いで2杯目を軽く食べてしまった。
「美味しい」「美味しい」を連発させ、箸で小さく切り取って口に入れる琴乃。
そして十分時間を掛けて噛んでは飲み込む仕草、見ていて飽きないのだが……。
(茶でも貰って時間を稼ぐか)
そう考え付いたその時だった。

ドォォォオンッ、ドォォォオオンッ、ドォォオンッ…… ……。

「むっ!?」
「な…ナニ、何なの!?」
(敵襲っ!!)

昼夜厳戒態勢の中、至る所に監視小屋が置かれており、常備されている大鐘が合図となっている。
その大鐘の音だった。
尚も連続して打ち付けられる大鐘に怯える琴乃。
箱入り娘の琴乃には、その事を言っていない。
何故なら、ここはやっと辿り着いた平穏なる地として教えていたからだ。
琴乃に血の臭いや戦の悲惨さを感じてほしくはない。
故に毎回、大鐘に恐怖する琴乃だった。
対照的に素早く行動に移していた金剛と不動。
金剛が武具を大箱から取り出し、不動は外へと飛び出していった。

「琴乃……こっちおいで」
「は…ぃ」

しっかりと肩を抱いてやり、片手で頭を撫でて落ち着かせる。
胸元に顔を埋めて、身を震わせ続ける琴乃。

「大丈夫大丈夫」
「栄弦様ぁ……」
「怖くないよ琴乃?」

ドォォォォン、ドオオオォンッ、ドドォンッ……。
のんびりとした夕食の時間が一転する。
帰った不動が一報を知らせてくれた。

「殿……海辺の村が襲われている様子……」
「なんとっ、海岸の警備兵らは何をしておったのだ?」
「解りませぬが……既に前線は破られている模様……」

淡々と状況を報じる不動。
そこへバタバタと、戸を勝手に開けた3人の伝令兵が姿を現した。

「火急にてご無礼つかまつりまするっ!!」
「よい」
「大殿より伝令を申し上げまする、至急出陣の間におこしあれとの事っ!!」
「承った」
「では……次に回りまする故、失礼致しまする」
「うむ」

平伏していた身を躍らせて3人の伝令兵は出て行った。

「金剛、武具はよい」
「……はっ」
「すぐにでも出るぞ?」
「ははっ」
「はっ」

琴乃の小さな手が、意外な程の力で私の衣服を掴んでいた。
両肩に手を置き、ゆっくりと引き剥がすが、イヤイヤをして離してくれない。

「琴乃……?」
「嫌ぁでございますぅ」
「心配要らぬ、敵はすぐにでも追い払えよう」
「〜〜〜〜」
「その為に、私は行くのだよ?」
「栄弦様…… ……死なない?」
「あぁ、私がお前を置いて死ぬ訳が無い」
「〜〜〜」

両手を琴乃の頬に添えてやる。
暖かい温もりと艶々の肌が心地良い。
(守らねばならぬ……絶対に)

「姫様、主様が負ける事などありえませぬ」
「桔梗……?」
「そうだ、案じよ」
「栄弦様」

ようやく小さな両拳が衣服から離れた。
私は心眼で琴乃を見つめてから、桔梗へと目を移した。

「桔梗、琴乃を頼んだ」
「お任せ下さいませ」
「……出るぞっ」


海岸の最前線を破られ、海に一番近い村が襲われている。
緊急事態であった。
私と金剛に不動、城の出陣の間に着いた頃には、各将が武具を纏い揃っていた。
党首、総布兵重が馬上で声を掛けてきた。

「ご苦労である、軍師殿」
「いえ」
「急を要する故、旗本しか揃わなんだ」
「敵の数は?」
「物見の話じゃと、40名程度じゃ」

武勇に長けた先駆けの者「魏志四郎」が代わりに答えた。
私はざっと旗本衆を目算した。
(およそ50名)

「この旗本衆で十二分に可能でしょう」
「もう少しすれば、ワシの兵等も付こうぞ?」
「魏志殿の旗本衆を付けずとも、これで十分です」
「やけに自信があるようだが?」

総布兵重の言葉に、私は口元を緩ませて見せる。
それを見た総布兵重は言った。

「軍師殿の知略を信ずるのみっ、者共ぉっ出撃じゃっぁ!!」

出陣の間に集まった兵等の、気合の怒声が響いた。

〜怪奇伝6〜

我らは、村が真下見える丘に辿り着いた。
だが時既に遅し、辿り着いた時には阿鼻叫喚の地獄絵図があった。

「ぅん…ぁっぁあああっぁ〜〜〜ぉおぅ!!」
「ホレホレ、もっと腰を動かせぇ!」
「ぃやぁっぁ…ぁぁ〜〜んぅ、はっぁ!!」
「コラァッ、口がお留守になっとるぞっ!!」
「ぁぉむっぅ…ふぅっぅ、ふぅぅ」
「何じゃ何じゃっ、今度はワシの方を手抜くかっ?」
「ぅぃ…はぁああ、んぅふぅっぉ!!」

女房と思しき熟れた女子が犯されていた。
衣服は剥ぎ取られ、膣は雑兵に塞がれ、もう1人の雑兵のチ○ポで口は塞がれ……。
更に両手でしごくは、3人目の雑兵のチ○ポ。
確かにこの女房は感じていた。
口に這わせるチ○ポを舌で、裏スジと尿道に這わせる。
レロォレロと音を立てて。
教え込まれた訳ではない、ただ互いの欲望のまま。
かの女房の身体は……完全に熟れ火照っていた。

「っぅ…むぅ〜〜ぐぅっは〜〜〜〜ぁぉう」
「くくく、良いぞ口の中ぁ!!」
「何じゃ何じゃ、途端に膣も暴れだしたぞ?」
「〜〜〜くぅ〜〜〜んぅ〜〜ふぅ!」

自然と腰が動き、根元まで唾液を塗しながら咥える熟した唇。
何度となく精液を浴びたのであろう身体中は、乾いた精液の上に真新たな精液で重なっている。
周囲は精液と犯された女の甘い臭いで充満し、次から次へと雑兵が集まるのだ。

「ホレホレッ、どうだぁ旦那と違う物はあっ!」
「あぎぃっ〜〜〜……ふぅぁ…んあぁ〜〜〜」
「ええんかぁ、ホレっ、ええんかぁ?」

激しく腰を振る雑兵に、その女房は合わせるかのように腰を振るのであった。
汗だくの裸体を震わせ腰を動かし、口一杯にチ○ポを含み、両手はチ○ポを包み刺激を繰り返す。
狂った狂艶……。
確かに女房は狂っていた。

「むぐぅっぉ、うぅああ〜〜ンゥ、ハッァああ!!」
「やるかっ、気をやるかよぉ!!」
「ぅやぁ…ぃぅ…ぃくっぅ!!」
「けっけっけ、十分にいけぇ、中に出してやるでよ」
「あ〜〜〜ぁ…中……はぁ〜〜〜!」
「心配無いぞけ〜、今まで何度中出しされたんじゃぁ」
「ううぁああっぁ……はぁ〜〜〜…〜〜ぁ」

ビクビクと打ち振るわせる女房。
纏わり付く雑兵が嬉々と行為を早める。

「次はワシじゃぁっ!!」
「なんのっ、ワシが狂わせちゃるっぅ!」

まるで烏が獲物を臭いで辿るように……。
そういう地獄絵図が、村一面に展開されていた。
所謂、乱取り。
金品や金目に思しき物、その他使える女子を陵辱して我が物とする。
一般の農兵が戦に参加するは、この乱取りがあってこそ戦に参加するが理由。
襲った側が形振り構わず手に取れる所業、それなるが乱取り。
(やれやれ……狂った島民な事よ)
特に三党は、乱取りをこの上なく好む。
他家を滅ぼして、そこなる島を奪い取ってやろうという気はあまりないようだ。
あくまで敵地の村々を荒らして金品を奪い取り去る。
こんなもの戦とは云えない。

兵馬の整列がようやく終わり、馬上の総布兵重に呼ばれるのだった。
たった50人以下の兵馬を整えるのに、えらい時間を掛けるものだ……。
これが本国における本場の戦だったら生きてはおれないであろう。

「軍師殿、如何致す?」
「これなるは勢い先立った者達故、退路を断てば即座に姿勢をくつがえましょう」
「ふむ……退路を絶てと」
「恐らくこの者達は、主に無断で出参った者達。
戦を展開するまでもないかと……。」
「あい解った、者共聞いたであろうっ!!」

気合の号が辺りを包んだ。
(どうせ、この戦は負け戦)
最前線をいつの間にか割られ、1つの村を壊滅された事実。
撃退したとしても、被害は大きい。



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