2011.04.30.

プチSM千夜一夜ものがたり
08
二次元世界の調教師



■ 寝取られ男の復讐1

「田島さん、もうカンバンですから……」
「……あ、ああ……すみません」

 行き付けのスタンドバーでママに起こされた俺は、自分がぐでんぐでんに酔い潰れていたことに、なかなか気付かなかった。

「珍しいですね。何かおありになったんですか?」
「……まあね……」

 身長180センチ、体重100キロを超える巨漢の俺は、少々の酒で乱れることは、まずない。この店でこんな醜態を見せたのも初めてのことだ。だからママも心配してくれたのだが……

――ヤケ酒を呷ってる場合じゃねえのに、何やってるんだ、俺……

 ズキズキと痛む頭で、改めて今日の出来事を思い返すと、目の前が真っ暗になる思いだった。職を失って、まずは明日からどう食い繋いでいけば良いのか算段が必要だ。確かに飲み屋で大酒を呷って酔い潰れてる場合ではないのだ。ママに今日の勘定を尋ねて、財布の中の持ち合わせでは間に合わなかったのでツケにしてもらったが、それを払うアテすらない。次の給料日が来ても、俺には何の支払いもない。クビになったのだから当然だ。それもただのクビではなく、俺が雇われていた高校の理事長の逆鱗に触れ、追い払われるように厄介箱になったのだ。退職金のような気の利いたお金もあるわけがない。正にお先真っ暗と言って良い状況だった。

――愛華さん……くそう! くそう!

 だが失職しただけならまだ良かった。俺にとってより深刻なダメージだったのは、恋人の女性まで失ってしまったことだ。そう、恋人だ。その女性、木村愛華さんは俺が体育教師として雇われていた山川女子高校の国語の教師だ。女性との付き合いの苦手な俺が、40歳を過ぎて初めて真剣に交際していたと言うのに。実際俺は、近い将来プロポーズしようと心に決めていたのだ。愛華さんも30台半ばで、恐らく受け入れてくれるに違いないと、俺は勝手ながら思い込んでいた。

 だが、俺のはかない夢は、今日はっきりとついえてしまった。それはもう完膚なきまで無残に。山川理事長の、最後の言葉が脳裏に浮かんだが、当分俺の頭から消えてくれることはないだろう。もしかしたら一生トラウマのように痕跡として残るのではなかろうか。

「……と言うわけで、君との契約は本日を持って打ち切りとする。全く見損なったよ、田島君。我々の前から一刻も早く姿を消し、二度と愛華に近寄らんでくれたまえ」

――うう……一体俺がどんな悪いことをしたと言うのだ? ただの平教師が、理事長の義理の妹と付き合うのは許されないことなのか? そんな、そんな……

 俺はその時、愛華さんとの交際を知って激怒する理事長に何も言い返すことが出来なかった。同席していて、いつものクールな眼鏡の下の無表情な美貌で俺を見ていた愛華さんの姉に当たる木村校長は、一体どんな目で俺を見ていたのだろう? 理不尽(と俺には思われた)な言いがかりを付ける、彼女の夫である山川理事長の権力におもねって、ただ一言の抵抗も口に出来ない虫けらのように情けない俺のことを、やはり妹の結婚相手にはふさわしくないと見切りをつけただけのことだったろうか?

 確かに俺は柔道しか取り柄のない役立たずな人間だ。小学校の頃から続けた柔道に打ち込み、国体で入賞するまで上り詰めた。だが、それは何の役にも立たない肩書きで、内向的で人付き合いが苦手な俺は、極度の口下手も災いして40歳まで定職にも就けず、親元で暮らして時々日雇いの肉体労働をやる程度だったボンクラだ。そこを柔道部の強化を狙った山川理事長に拾われ、体育教師として雇われたのだ。もちろん教員免状も持たず、経験もなかったが、この高校の権限一切を取り仕切っている理事長が、強権を発動して採用してくれたもので、俺が理事長に頭が上がらないのも当然だろう。

 だから今日突然、理事長の妻である校長と共に理事長室に呼び出され、愛華さんと真剣な交際をしていることを認めた途端理事長に激怒され、いきなり解雇処分を申し渡されたのは、天国から地獄に突き落とされたような悪夢の出来事だったのだ。

「タクシー呼びましょうか?」
「ああ……い、いや、今日はいい……」

 タクシー代すら持っていないのだ。俺は残酷な現実の前に、ますます胸ふさがれるような辛い思いを噛み締め、俺がいるために店をお開きに出来ないママに申し訳ない、と下らないことを考えていた。その時だった。俺1人しかいないと思っていた店内で、もう1人チビチビとグラスを傾けながら様子を伺っていた男が、声を掛けて来たのは。

「なあお前、信一じゃないのか?」

――え!?

 俺はそのでっぷりと太った小柄な男に見覚えはなかった。なのになぜ俺の名前を知っているのだ? 俺がいぶかしんでいると、その男は名前を名乗った。

「貫太だよ、黒岩貫太。小学校で一緒だっただろ?」
「貫太か……」

 俺は思い出したが、残念ながら気持ちが沈んでいるので声は弾まない。それどころか、昔仲の良かった黒岩貫太に再会してもほとんど何の感慨もわかなかった。だが、貫太の方はニコニコと上機嫌で俺のそばにやって来る。小柄だが肥満体で腹がぽっこりと突き出ている様子は、布袋様のようだと思った。コイツ昔はやせていたから、初めなかなか気付かなかったのだ。実の所コイツに会うのは小学校以来だと思うが、その頃はとても仲が良かった。貫太は俺に、せっかくだからこの後付き合え、と言う。俺は正直億劫だったが、もう明日から仕事に行くわけじゃなし、昔の親友に付き合ってやることにした。が、問題は財布の中身だ。

「悪いけど、金は持ってないぞ」
「何、心配するな」
「実は、リストラされちまってな」
「よくあることさ、ハッ、ハッ、ハッ……」

 俺は半ば自棄になっていて、失職してしまったことを思い切って打ち明けたのだが、貫太はその言葉通り、そんなことどうってことないさ、と言わんばかりに笑い飛ばしやがった。コイツは昔からそうだ。小学校ですでに人より頭1つ高い巨体だった俺は、性格的には内向的で神経質。貫太は反対にひょろっとしたチビだったが、明るく社交的なやつだった。要するに見た目も性格も対照的だったのだが、なぜかとても良くウマが合い、一番の親友だったのだ。

 時刻はまだ12時を少し回ったくらいで、次に行った居酒屋で俺たちはこれまでの互いの人生を語り合った。正確にはよくしゃべる貫太の方が、まず一方的に自分の身の上を話したのだが、それは凡人の俺には思いも付かない驚くべきものだった。

「俺の親父ヤクザだろ。だからさ……」

 そうか。小学校の頃はさほど気にしていなかったが、俺たちの住む町は暴力団関係者が多く、貫太の親もそうだと言う噂だったな。何度か家に遊びに行ったことがあるが、割と大きな一軒家だったからチンピラでなくそれなりの地位だったのではなかろうか。別に変わった家ではなかったが、お母さんが着物でケーキを持って来てくれたのでビックリした記憶がある。

「実は中学校もまともに行ってないんだ……」

 仲が良かったくせに、コイツとの思い出が小学校までで途切れているのは、そう言う事情だったのか。貫太は将来親の跡を継ぐべく、中学もロクに行かず修行させられたのだと言う。ヤクザの修行がどんな代物なのかわからないが、同年代の友人と遊べず、次第に嫌気がさして来た貫太は親に逆らい家出する。

「まあ、後から思えば、親父は俺の反抗もお見通しで、ずっと手下に見張らせて遊ばされてたんだよな。でなきゃのたれ死んでたかも知れねえよ……」

 その後の話が凄い。家出しても生活する術を持たない貫太は、何と自分から売り込んでホストになったと言うのだ。

「ホストって……本当か?……」

 俺がヤツの太鼓腹をまじまじと見つめながらそう反応すると、貫太は笑いながら答えた。

「その頃はやせてたんだよ!」

 ううむ。確かに昔と体型は違うのだろうが、俺の頭にある「イケ面」と言うホストのイメージと貫太はどうしても重ならない。明るく面白いキャラだから女子にも人気があったが、顔はどう見てもお笑い系で、まだ俺の方がマシだと思ってたくらいだ。するとそんな俺の気持ちを見透かしたように貫太は言う。

「あのなあ、ホストと言ったって皆が皆イケ面じゃねえんだよ。俺は若さと明るさでお笑い系のホストとして売り出したのさ……ま、わかるだろ、親父の差し金だったんだ。ああ言う業界とか風俗関係なんかは、全部ヤクザと繋がってるんだ。だけど、おかげでずいぶん女とヤラせてもらって、いい思いをしたよ。親父の思惑通りとも知らず、毎日女の歓ばせ方を研究して、修行した」

 お笑い芸人は女性にとてもモテるらしいから、案外「お笑い系ホスト」と言うのも通用するのかも知れない。その通りだとすれば実に羨ましい話だ。それに比べて、40を過ぎても童貞と言う俺の人生は、何と悲惨なのだろう。俺はヤツのホスト話を聞いて、嫌な表情をしていたらしい。貫太はここで俺の肩をいきなり叩いて言った。

「どうした、そんな暗い顔をして……ははん、女か? リストラされただけじゃなくて、女のことでも悩んでるんだろ。後で聞いてやるよ。お前どうせ独り身だろ?」

 貫太は実に鋭かった。やはりホストをやっていたと言うだけあって、万事鈍感な俺と違い人間観察に長けているのだろう。俺が、ああ、と生返事を返すと、ヤツはさらに自分の身の上話を続けた。若い頃は大人気だったらしい貫太だが、30歳を過ぎた頃から次第に通用しなくなり、お払い箱になる。そこでずっと「遊ばせて」いた暴力団から再び声が掛かり、結局親父さんが幹部を務める組の「調教師」として収まり今に至るのだと言う。俺は情けない童貞だが、女性への興味は人一倍強い方だと思う。いつの間にか大いにヤツの話に引き込まれていた俺は質問した。

「調教師って、何をやるんだ?」
「そりゃお前、ワケあり女の調教さ。例えば、旦那が借金でクビの回らなくなった奥さんを、金を作るために風俗で働かせるとする。だが変に貞操観念を持ってたりすると使い物にならない。すると組に連れて来られて、俺がこってりかわいがり、セックスが大好きなスケベ女に調教してやるんだ」
「なるほど」
「興味あるだろ? 実は今も調教してる女がいるんだ。良かったら、見に来てくれよ」
「いいのか?」
「ああ。実はそうしてもらうと俺も助かる。女ってのは、えっちしてる所を別の男に見られると、より一層興奮するもんだからな」

 泥酔していたにも関わらず、ヤツの話を聞きながら俺はズボンの前をはっきりと膨らませていた。貫太はそれを観察して俺を誘ったのかも知れない。酔い醒ましにゆっくり歩いて行き、その道すがら今度は俺の話を聞かせることになった。貫太は店の支払いをしてくれたのだが、その時出した札入れは随分分厚かったので、暴力団の調教師と言うのは羽振りが良いらしい。

 貫太から突っ込んだ身の上話を聞かされ、今から調教師としての仕事現場まで見せてくれることになって、俺も昔のようにコイツに心を開く気になり、情けない人生と今置かれた状況を包み隠さず語っていった。貫太も相槌を打ちながら熱心に聞いてくれ、一通りのことを聞き終えると言った。

「そうか。エライ目に遭ったわけだ。で、その女とよりを戻したいんだな? 俺が手伝ってやるよ」
「いや、そこまで考えちゃいないよ」
「どうして? このままじゃお前、ただの負け犬だぞ」
「別に彼女と婚約してたわけじゃない」
「プロポーズするつもりだったんだろ?」
「受けてくれるかどうか、わからないし」
「煮え切らないヤツだな! 悔しくないのか、寝取られたようなもんじゃないか」
「い、いや、その……」

 寝取られ、という言葉に俺は動揺を隠せなかった。頭の中の妄想では幾度となく愛華さんを犯しているが、現実にはキスをしたことすらないのだ。なのに俺は、何度かデートを重ねただけで、愛華さんも俺を愛しているに違いないし、プロポーズすれば受け入れてくれるだろうと勝手に考えていたのだ。はたから冷静な目で見れば、とんだピエロではないか。

「まさか、その女を抱いてもない、と言うんじゃないだろうな?」
「いや、そのまさかだ。笑うなよ、俺は童貞だからな」
「そうか……」

 俺は自己嫌悪に陥って、童貞だと言う恥まで告白したのだが、意外にも貫太は笑ったりせず、逆に真剣な表情になった。俺は昔の親友が、俺のことを思いやって傷付けないようそういう態度を取ってくれたのを感じ、胸が熱くなる。やっぱり持つべき物は親友だ。

「じゃあ、俺がお前にその女を抱かせてやるよ。晴れて童貞卒業だ」
「……無理だろ」
「任せなよ。ダテにこんな仕事やってるわけじゃない」

 そこまで話したところで、ヤツの仕事場だと言う、老朽化したアパートにたどり着いた。

「こんな所に住んでるのか?」
「まあな。だが、女とねんごろになってかわいがってやるには、このくらいでちょうど良い」

 俺はヤツの金回りの良さからして、ここはただの仕事場に過ぎないのかと思ったのだが、意外にも貫太はこんなオンボロアパートに暮らし、女を囲って調教しているのだと言う。

「と言うことはお前も独身か?」
「当たり前だろ。1人の女とずっと一緒に暮らすなんて、今さらそんなバカらしいことが出来るか」

 愚問だった。いろんな女の調教を手掛ける「調教師」が、まともに1人の女と所帯を持つことなど出来るわけがない。ヤツはともかく、女性の方が耐えられないだろう。だが、未だに童貞で愛華さんとの結婚を夢見ていた俺と、貫太の暮らす世界のいかにかけ離れていることか。昔からコイツとは何もかも正反対だったよな、と俺が下らない感慨に耽っていると、貫太は玄関を静かに開けて上がるように身振りで合図した。何しろ真夜中だから、さすがに近所迷惑も考えなければいけない。そして上がってすぐのふすまをやはり静かに開けた貫太は、真っ暗な中に向かって言ったのである。

「帰ったぞ、優美」

 そしてヤツが明かりをパッと点けると、「優美」と呼ばれた女性ーいや少女と呼ぶ方がふさわしいだろうかーが、しどけなく横座りで転がっていたのだが……

――何い!? 女子高生なのか?……まさか……

 が、そのまさかだったのだ。調教中のためだろうか、全身に縄掛けされて転がっていた少女は、何と見紛うはずもない山川女子高校の制服を着ているのだ。オーソドックスな赤いリボンがブラウスの胸元に着いたセーラー服だが、薄い夏服の上からギリギリと縄掛けされているのが、何とも痛々しく見える。こんな夜中なのに少女はまだ眠ってはおらず、後ろ手に縛られた体を仕切りとモゾモゾ蠢かせていたが、貫太は少女を乱暴に起こして座らせた。

「オラ! 正座しておけと言っただろうが!」
「だって……」

 らしからぬ、甘えてむずかるような色っぽい声を発した少女は、いかにも辛そうに顔を歪めて正座し直し、そして入口付近で突っ立っていた俺と目が合った。まさかと思っていた俺が言葉を発するより先に、その見覚えのある少女の方が言った。

「せ、せんせい!?……」
「何い? お前、ひょっとして……」

 貫太もさすがに驚いていた。

「ああ、それは山川女子の制服だ……」

 俺は必死でその少女の名前を思い出そうとしていた。美少女と言っても良い、色白で整ったその顔には確かに見覚えがあるのだが、小規模校とは言え学年に3クラスあるのだ。そうそう全校生徒の顔と名前が一致するわけはない。だが、少女の方はこんな巨体だけに俺のことがすぐにわかったわけだ。

「教え子だったわけか。めったにない偶然てのは、重なるものなんだな……」

 貫太は小学校以来の俺に出会った偶然のことを言っているのだ。そして正座しても妙に落ち着かず、仕切りと腰を浮かせたりモジモジさせたりしている少女に言った。

「へへへ、どうした優美。トイレに行きたいのか? いいんだぜ、遠慮なく垂れ流せ。俺が後始末してやっからよ……」

 これも調教の一環なのだろうか。良く見ると優美ちゃんを雁字搦めに縛った縄尻は後ろ手を拘束してから部屋の柱に括り付けてあった。これでは優美ちゃんはこの部屋を出ることも出来ないから、当然トイレに行くことも叶わないわけだ。一体いつから監禁しているのか知らないが、何とも悩ましく腰を揉んでいる美少女を見ていると、俺は異様な興奮を覚えて来た。この後お洩らしして泣いてしまうであろう優美ちゃんの、ビチョビチョのパンツを脱がせて「後始末」をしてやるのか……などと妄想を逞しくした俺は、股間の方もいつになく逞しくしていたのだが、違っていた。優美ちゃんが完全な甘えんぼ口調の鼻声で貫太に訴えたのだ。

「あん、イジわるう……痒いの、何とかして!」

 ところが貫太は優美ちゃんにこんなことを言う。

「お前、恩師に会ったのに挨拶もなしか!」
「いいよ、そんなの……」
「黙ってろ! 人としての礼儀を教えてやるのも、大切な調教なんだ」

 暴力団雇われの調教師が吐くにはまるでふさわしくない言葉だと思った。それに俺は優美ちゃんというこの少女に授業をしてやった覚えすらないのだが、彼女が身も世もないと言ったいたたまれない様子で痒みに腰を揉みながらも、俺に頭を下げるので驚いた。

「あ、あの……高校在学時は大変お世話になりました……アン、痒い、痒いのおっっ!!」

 妙に格式ばった挨拶を終えた優美ちゃんが、その直後我慢できず洩らした悲鳴の悩ましさに俺はズキンと欲情をそそられてしまった。だが、相変わらずこの娘のことは思い出せない。俺は仕方なく聞いてみた。

「申し訳ないんだけど、君、誰だったかな?」
「河原林優美です……あ、あ、あん! もうダメ、我慢出来ないいっっ!!」

――河原林だって! そう言えば……

 優美ちゃんはとうとう痒みが高じたのか正座の腰を大きく曲げたり伸ばしたりしながら、泣き声になって悲鳴を上げたのだが、その珍しい苗字のおかげで俺はようやくこの美少女を思い出していた。確かにそんな生徒がいて、色白で美形なので俺もおっと思い顔だけは覚えていたのだ。確か家庭の事情で学校を辞めたはずだが。すると優美ちゃんが泣き出したのを見て貫太が言ったのである。

「どうだ、おま○こがしたくなるクスリが少しは応えたか?」
「は、はいっ! おま○こしたいですっ!」
「じゃあ、教えられたようにおねだりしてみろ」
「ゆ、ゆみは、恥知らずでえっちな女の子です。どうか、ゆみと、えっちしてください、お願いします……」
「ふん、少しは素直になったじゃねえか」

――なるほど、これが女を調教すると言うことか……

 すっかり従順になって礼儀正しく挨拶したかと思えば、信じ難い淫らな口上を述べる優美ちゃんを見て、俺は貫太の徹底したしつけに感心した。学校の教育などよりよっぽど効果的ではないか。そして同時に俺は、色白な美少女のそんな姿に酔いも吹き飛び、これまで経験したことのない新鮮な興奮を覚えていた。すると貫太はそんな俺の気持ちを察したかのように嬉しいことを言う。

「じゃあ、せっかくだから、先生におねだりしてえっちしてもらいな」
「そ、そんな……貫太様がいい……」
「もちろん俺も後から抱いてやるからよ。それにお前ももう学校を辞めてるし、先生もクビになったそうだ。何の遠慮もいらねえぞ」

 余計なことを言うなよ、と思ったが、次の瞬間優美ちゃんはこの間まで女子高生だったとは思えない色っぽい流し目を送って言ったのである。

「先生、お願いします! 優美とえっちして下さい」
「よし、決まりだ! 信一、まず手マンでもしてやりながら、チンポをやってくれ」

 俺はまだ童貞だ。情けないが女性の体に触れたことすらない。俺がためらいと戸惑いを見せて貫太の方を伺うと、ヤツも理解してくれたのか、こうやるんだ、と近寄って教えてくれた。俺が教えられた通りに、正座の腰を屈伸させて痒みを堪えている優美ちゃんのミニスカの下に片手を差し入れると、彼女の方が嬉しそうに股間で俺の手をギュッときつく挟み付け、すでに湿っていたパンツ越しにアソコを擦り付けて来た。

「パンツの上から寿司でも握る要領でギュウギュウ揉んでやれ」
「こ、こうか……」
「あーっっ!! せ、せんせい、それ、いいっ! 気持ちいいですうっ!」

 本当に気持ち良さそうに目を細め、整った美貌をウットリと緩めた優美ちゃんは、もう堪らないとばかりに激しく股間を俺の手に擦り付けながら言う。

「先生、優美に、ご奉仕させて下さい!」
「チンポを出すんだよ」

 貫太が俺のズボンのベルトに手を掛けて来たので、俺は自分の不明を恥じ、いやいい、と自分でズボンを下ろしていった。こんな状況で今さらためらっていては、本当に男の恥のような気分になっていた。パンツをずり下ろすと俺のシンボルはもうギンギンに勃起していて、それを優美ちゃんの顔の前に近付けたのだが。

「あ、あの、すみません。皮を剥いて頂けませんか?」

 そうか。俺が仮性包茎の包皮を剥くと、泥酔していて後だけに、自分の鼻にまで匂って来るほど悪臭紛々たる亀頭が露出した。正直彼女に申し訳ない、と思ったのだが、優美ちゃんはまるで意に介せず、パクリとまるで犬がエサにありつくように頬張ってくれたのだった。

――うう! 何だコレは?! メチャクチャ気持ちいいぞ……

 もちろん初めて経験する女性の口の中は想像以上に甘美であった。恐らく貫太の調教のおかげなのだろう、クチュクチュと唇で強く締め上げながらストロークし舌を巧みに使って舐めしゃぶる優美ちゃんのテクニックも絶妙で、俺はこの歳までこんな気持ちの良いことを経験しなかったことを大いに悔いていた。

「少しはサマになって来たじゃねえか、優美。だがまだそんなもんじゃ男は出せねえぞ。俺が乳でも揉んでやるから、もっと気分を出すんだ!」

 貫太はそんなことを言うと、正座して俺のナニをしゃぶってスカートの中をまさぐらせている優美ちゃんの背後にしゃがみ込むと、縄に挟まれてニュッと突起させている乳房をノーブラと思われるブラウスの上から揉み始めた。制服を着たままなのは縄掛けされているからだが、色白黒髪の典型的美少女である優美ちゃんは全裸よりむしろそそられる眺めになっていた。そして俺にもわかる巧みさで貫太に乳房をなぶられ始めた彼女は、やはり興奮が募るのかより一層激しく体をおののかせ、俺への「ご奉仕」もさらに熱を帯び嫌らしい口使いになる。大人しそうな美貌がどんどん熱を帯びて真っ赤に染まり、めちゃくちゃに悩ましかった。

「そろそろパンツの中に手を入れて、直にイジってやれよ」

 俺は少し苦労してきつく挟み付けてアソコを擦り付けて来る彼女の股間から手を引き抜き、パンツの中に侵入させて
ギクッとした。あるべき毛の感触がなく、いきなり軟体動物のような柔らかい肉の感触があったからだ。

「毛を剃ってるからいらい易いだろ? 穴を探して指を2本入れてクチュクチュしてやるんだ」

 童貞にムチャなことを言うなよ、と思ったが、優美ちゃんの方も協力してくれたので、何とか人差し指と中指を揃えてそれらしき部分に挿入し、クニクニと動かし始めることに成功した。すると優美ちゃんは程なく体をガクンと弓なりに反らせてビクビク痙攣させ、俺はその瞬間たまらずドッと彼女の口中に射精した。

「でかしたぞ、信一。お前、優美をイカしてやったんだよ」

――そうか。これがえっちして、女をイカせると言うことか……

 俺は大いに感激したが、優美ちゃんはイッタ後も指をギュッとくわえ込み、股間で手を挟み付けて離してくれない。さらに口の方も舌をペニス全体に這わせて亀頭と胴体の溝に溜まったザーメンまで丁寧に舐め取ってくれるものだから、一旦放出して萎えかけた俺のイチモツはあっと言う間に勢いを回復していた。優美ちゃんはゴックンと喉を鳴らしながら俺の精液を残さず飲み干してくれ口を離すと、何と、先生、ありがとうございました、などと頭を下げる。うーん、何て素晴らしい良い子なんだろう。

「それじゃ本番といこうぜ」

 貫太はそういうと、優美の縄掛けされた体を仰向けに転がし、パンツをずらして抜き取ると俺に手渡した。

「記念にもらってやれ」

 白地にピンクの縁取りが付いたパンツは、お洩らしでもしたようにグショグショに濡れそぼち、少し黄ばんでいたが、チーズとおしっこが混じったようなツンと鼻に来る刺激臭がして、これがこの子の女の匂いかと思うと、そういう趣味はないと思っていた俺も頭がクラクラするほど興奮してしまった。が、パンツごときに悩殺されている場合ではない。いよいよ40年間心ならずも保っていた童貞を捨てるときが来たのだ。見ると優美ちゃんは仰向けでひざを立ててから大きく脚を開き、ミニスカがはだけてモロにアソコを露出させて待っている。厳しい縄掛けは上半身だけで、性交には何の支障もないようだ。

「信一、お前まさか童貞を捨てるのは例の愛華先生で、と決めてたわけじゃないだろうな」

――優美ちゃんの前で余計なことを言うなよ!

 童貞だの、愛華先生を狙っているだのと言ったことを、同じ高校に在学していた彼女に聞かれたくはなかったが、当のセーラー服美少女はそんなことは意に介せず、大股開きのあられもない姿で、早く来て、と言わんばかりの燃えるような視線で俺を見つめている。初めての経験は愛華先生で、と言う考えは確かにあったのだが、ここで引き下がるのは正に「据え膳食わぬは武士の恥」に他ならない。俺は中途半端だったズボンを完全に脱いで下半身だけ全裸になった。

「お前、童貞のくせにデカいな。ホラ、これを使いな」

 そう言った貫太はコンドームを寄越す。俺にも無論知識はあるが、実際に使うのは初めてだ。包皮をしっかり剥いたペニスに装着していくと非常にピチピチで、思わぬ形とは言え40年間捨てられずにいた童貞ともいよいよオサラバかと言う実感がわくと同時に、奇妙な優越感まで覚えていた。

――俺のって、デカいのか……

 大きければ良いと思ってしまうのは女を知らないお子様の証拠だと後で教わるのだが、経験のない俺は単純にそう思ってしまったわけだ。

「先生、早くう! お願いします!」

 一昔前の、ババアがセーラー服を着たビニ本モデルのようなモロ出しの格好だが、正真正銘のカワイコちゃんである優美ちゃんにそう声を掛けられた俺は、童貞ながら大いに奮い立ち、彼女に覆いかぶさると片手で握り締めたムスコをパックリ開いたアソコに当てがいゆっくりと挿入した。

「あ、あ、あ! せ、せんせいっ! す、すごい、おっきいのおっっ!!」

 俺が初めておま○この感触に全身が慄えるほどの興奮を覚えながら、ジワジワと侵入していくと、優美ちゃんはそんな嬉しい言葉を吐きながら声を上擦らせた。

――うお、何だコレは!?……メチャクチャ気持ちいいぞ……

 さっき彼女の口で楽しませてもらったときも感激したのだが、優美ちゃんのおま○こはもっと素晴らしかった。すっかりグズグズに濡れていたアソコはまるで生ゴムみたいなきつさだったが、挿入を深めていくと軟体動物みたいな肉襞が何段にも別れてキュンキュンと俺のペニスを締め付けて来るのである。自分の手でシコシコと慰めていたのがバカらしく思えるほどの心地良さで、俺は有頂天になり、ずっぽり根元まで挿入を終えた時点で早くも出してしまいそうになっていた。優美ちゃんもアンアンと気持ち良さそうな声を放って、ますます俺を奮い立たせる。

「ははは、先生のデカチンはそんなに具合がいいか、優美。ではお前の口にもご褒美をやろう」

 そう言った貫太もいつの間にか下半身を露出させており、勃起ペニスを優美ちゃんの小ぶりな口に捻じ込んでいった。自分で言った通りで、俺より小さなシンボルだったが。優美ちゃんは嬉しそうにくわえ込み、目を細め愛おしくてたまらない、と言った表情でチュパチュパと口を動かしていた。

「信一、ゆっくり出したり入れたりしてみろ」

 色事に慣れている貫太はチンポをしゃぶられながら平然とした様子でそう言い、俺は慌てて腰を動かし始めた。うむ、これがセックスと言うものか。優美ちゃんのアソコがネットリ絡み付いて来るみたいで、素晴らしく心地良い。こんな気持ち良い行為をずっとやらずにいたなんて、俺は正真正銘の大馬鹿者だった。

「信一、優美のおま○こは最高だろう?」
「あ、ああ、そうだな。凄く気持ちがいいよ」

 実際もう少しでヤバくなりそうだった。

「だが勘違いするんじゃねえぞ。コイツのま○こは俺が何日も掛けてじっくり調教してやったから、そんなに具合がいいんだ」

 なるほど。俺は童貞だったのに、こんなにうまくセックスが出来た理由を納得し、貫太に感謝した。

「お前のチンポはちとデカ過ぎるぞ。子供を産んでアソコがガバガバになった女が歓ぶような困ったサイズだ。普通の女をヤルときは、十分時間を掛けて愛してやり、おま○こを開かせなければ駄目だ。痛がってまともなセックスは出来ないぞ」

 そんなことを言う貫太はカワイコちゃんにおしゃぶりされながら余裕綽々みたいだったが、俺の方は頑張って数回優美ちゃんの中に出し入れしただけで、もう我慢出来なくなって来た。

「駄目だ、もう出ちまう」
「いいぞ、遠慮なくドバッと出しちまいな」

 さすがに今度は彼女をイカせることは出来なかったようだが、俺が二度目の射精で急速に萎え始めたチンポを引き抜いて離れると、優美ちゃんは口をクチュクチュ動かし、ゴックンと貫太のザーメンを飲み下していた。

「お前も出したのか?」
「合わせてやったんだよ。女ってのは子作りの本能があるから、出してやると歓ぶもんだ。よし、優美、お前のえっちなま○この中にお情けをやろう。うつ伏せになってケツを突き出しな」
「は、はい、貫太様……」

 俺が生まれて初めて白濁液のたまったコンドームを外して処理していると、優美ちゃんは緊縛された上半身を器用にうつ伏せに変え、ヒザを立ててミニスカノーパンのお尻を高く上げる獣の交尾の姿勢を取っていた。俺の股間はもう役に立ちそうにないが、良い所のお嬢様みたいな容姿の優美ちゃんがセーラー服でそんな格好をすると、すさまじくエロチックに見えた。上半身を縄で縛られているのでなおさらである。わざわざ在校時の制服を着せているのはきっと貫太の趣味に違いないが、俺もつい共感してしまった。

「淫乱なお前にふさわしい格好だな。嬉しいだろ? 優美」
「は、羞ずかしい……」

 俺が見ていることが少しは関係しているのだろうか。色白の美貌を血管を薄っすらと浮き立たせて紅潮させ羞じらいを見せる優美ちゃんはしかし、従順にはしたなくお尻を突き出して嬉しそうだった。

「へへへ、いいケツだ。何だか一回り大きく、嫌らしくなったんじゃねえか?」
「イヤン……そんなこと、ありません……」

 貫太はミニスカをどけてペロンと優美ちゃんの桃尻を露出させると、嫌らしい手付きで撫で回しながら言う。そのお尻は貫太が言う通り、お人形さんみたいなルックスの少女にはふさわしからぬ豊かさで、見ている俺の方がゴクリと唾を飲み込むほど迫力満点の卑猥な眺めであった。そして、貫太はついにその豊尻を両手で抱え込むと、後ろからペニスをゆっくりと刺し貫いていった。すると優美ちゃんはたちまち歓喜の悲鳴を張り上げる。

「あーっっ!! 貫太様、いいっっ!!」
「先生の前だぞ。少しは慎め」
「だ、だってえ!……あああーっっ!! いい、いい、いいのおっっ!!」

 貫太は女は人に見られると興奮すると言ったが、優美ちゃんはもう手放しの歓びようで、俺のときとは比べ物にならなかった。大きければ良い、というものではない、と言うヤツの言葉は嘘ではないようだ。

「グイグイとえらい締め付けようだな、優美。男に飢えた人妻も顔負けだぞ」
「そ、そんな……アン、すごい、すごいの! 貫太様あー!」「
「へへへ、タップリ出してやるからな」
「お、おい! いいのか?」

 固唾を呑んで見守っていた俺が驚いてそう聞くと、貫太は平然と答えた。

「俺はパイプカットしてあるから種なしなんだ。だがザーメン自体はいくらでも出せるぞ。抜かず3発、一晩で5発くらいなら朝飯前だ」

 なるほど。子作りを諦めた「調教師」らしい選択だった。それにしても「抜かず3発」とは、40代に入った男とは信じられない精力絶倫ぶりだ。やはり童貞だった俺とは住む世界が違うようだ。俺がそんな気持ちになっていると、妙にゆっくりと一定のペースで優美ちゃんをバックから突いてよがり泣きさせている貫太が言う。

「おい、信一、ちょっと手伝ってくれ。あそこに転がってる黒い玉が繋がった棒みたいなのを持って来てくれないか」
「だ、ダメえっ! おかしくなっちゃううっ!」
「お前は大人しくよがり狂って、おかしくなればいいんだ!」

 俺がその黒い団子が何個も繋がったような道具を持って来ると、貫太は優美ちゃんに言った。

「オラっ! 痛くないようにしっかりしゃぶれ!」

 その意味を察した俺が口に入れてやると、嫌がっていた優美ちゃんも観念したような表情でチュパチュパと口を動かし全体を唾液まみれにしていった。

「信一、コイツを優美のケツの穴に入れてやってくれ」

 薄々勘付いていたが、その数珠繋がり棒を優美ちゃんの排泄口に入れるという恐るべき用途に、俺は興奮した。そして貫太の大きくはないが固くて相性がピッタリらしい肉棒が彼女の秘穴をゆっくり出入りする淫猥な眺めに圧倒されながら、唾液でテカテカ光るソレをおちょぼ口のような尻穴にソロソロと捻じ込んでいく。すると優美ちゃんのよがり声が明らかに1オクターブ高くなって切迫したものに変わるのがわかった。

「全部入ったら、そこに落ちてるガムテープで、底をしっかり押さえてから貼ってくれ」
「ほおーっっ!!」

 俺がそうやって押さえ付けると、底がスイッチになっているのかブイーンと手が痺れるほどのバイブレーションが掛かり、優美ちゃんは一際生々しい強烈な悲鳴を上げた。

「驚いたか、信一。コイツはケツの穴が一番の性感帯と言う、嫌らしい女だ。こうすると反応が全然違うだろ?」

 ヤツの言葉通り優美ちゃんの乱れぶりはそれまでとはケタが違い、貫太の決して乱れない着実なストロークに対して、自分から浅ましく腰をうねり狂わせてはしたない快感を貪っているようだった。上げる声も、おお、うああ、などと獣が呻くような意味のないものとなり、しばらくブーンとくぐもったバイブ音とヌチャヌチャと肉の擦れる淫靡な水音だけが聞かれた後で、優美ちゃんは一際大きな声で、イクウ! と叫び激しく達していった。そしてその瞬間コントロールの利く貫太も射精して、彼女の中を歓ばせたようだ。が、二度目の射精を終えても彼女との結合を解かず、アナルバイブも動かしたままで、貫太は肩の近くで切り揃えた優美ちゃんの髪を乱暴に掴んで後ろを向かせた。

「どうだ、1日ぶりのえっちの味は?」
「良かったです……」
「お前はもう1日たりとも、男なしではいられない、エロい女になったんだ。わかったか優美」
「ああ、そんなことは……」
「なら抜くぞ」
「イヤッ!……もっとして、欲しいの、お願い」

 一見清楚な外見からは想像も付かない淫乱さを見せる優美ちゃんだったが、俺はそれは痒みを引き起こす薬のせいではないかと思っていた。だが後で貫太に聞いた話では、あれは薬局で市販しているありふれた回春剤で、多少カッカする程度の効果しかないのだと言う。だが1日中緊縛されマゾヒズムに目覚めた優美ちゃんは勝手に暗示に掛かり、本当は効いてもないのに、アソコが異常に痒くなり、男が欲しくてたまらなくなったと言うのだ。どこまで信じて良いのかわからないが、優美ちゃんが夜の仕事で稼ぐのにふさわしい立派な淫女に変身したのは間違いない。正に貫太の調教師としての面目躍如である。

 こうして第二ラウンドが始まり、優美ちゃんはもう半狂乱になって大声でよがり狂い、激しく腰を振って先ほどよりさらに強烈なアクメを絶叫したかと思うと、白目を剥いて完全に失神してしまった。

 時刻はもう未明と言って良い頃だった。気絶した少女に毛布を掛けてやっている貫太に、俺は聞いてみた。

「この子は一体どうしてお前の調教を受けることになったんだ?」
「そんなことは知らない。ただ、客を取らせて稼ぐことが出来るように調教しろ、と上の人間に言われてるだけだ。彼女のことなら、お前の方が良く知ってるんじゃないのか」

 どうやら調教師とは意外にビジネスライクな仕事らしい。が、俺の方も、彼女のことを知らない点においては貫太とほとんど変わらない。

「気になるんなら、聞いてみればよいだろう。案外、愛華先生を取り戻すための、良い情報が聞けたりしてな」

 持つべき物は友達で、貫太は本気で俺と愛華先生の仲を修復することを考えていてくれたのだ。世事にうとい俺にはどうして良いものやら皆目見当も付かなかったのだが。そしてそれが、このイキ狂って幸せそうな顔でスースー寝息を立てている美少女と関係して来ようとは、この時点では思いも寄らないことだったのである。

「うう〜ん」

 一体どのくらい眠ったのだろうか。次に俺が一声呻きながら意識を取り戻すと、あれだけグデングデンに泥酔していたのが嘘のように、ずいぶんスッキリした目覚めであった。周りを見回し、ここが貫太の住み家兼調部屋であることをすぐに思い出した俺は、昨夜の素晴らしい童貞喪失で、それまで思い悩んでいたことがすっかり気楽になっていることに気付いた。破天荒でお気楽(と俺には思われた)な貫太の生き方を目の当たりにして、人生どうにでもなるさ、と言う楽観が俺の中に芽生えて来たようだった。1つにはやはり童貞と言う肩の荷を下ろしたことが大きいのだろう。愛華先生と引き離されて生きる目的を失ったような気分だったが、その気になれば女だって他にいくらでもいるではないか。

 部屋の掛け時計を見るともう夕刻である。今日の未明まで記憶があるから、ほぼ半日ここで眠りこけていたわけだ。目覚めがいいわけである。

――貫太と優美ちゃんは?

 部屋の中に2人の気配がないので、俺は立ち上がって下半身を露出したままキョロキョロ見回した。すると玄関と反対側の部屋の向こうで物音がする。俺はとりあえずズボンをはいてそちらに向かった。

 向こうの部屋は小さな台所兼ダイニングだったが、その隣のガラス張りの部屋に2人はいるようで、俺の気配に気付いた貫太の方から声を掛けて来た。

「信一、起きたのか?」

 そして同時にガラッとガラス戸が開いたのだが、風呂から上がった所らしく貫太も優美ちゃんも全裸で、俺は慌てて目を反らした。

「先生、おはようございます」
「今さら遠慮しなくてもいいんだぞ。湯は張ったままだから、お前も入って来いよ」

 そう言われて2人を見ると、貫太が床に座った優美ちゃんの体をバスタオルで拭いてやっていた。よく見ると優美ちゃんは縄でなく手錠で背中に回した両手を拘束されている。

「優美はまだ俺のかわいい奴隷だからな。俺がこいつの体もキレイに洗ってやったよ」

 それはむしろ立場が逆ではないかと思った俺は、少し考えてから思い直した。逆ソープみたいだが、手を縛られて体中を洗われるのは、女性にとって恥辱に満ちた刺激的行為に違いないのである。しかもセックスのプロである貫太が相手とあっては。

「オラ、シャンとしろ! 体をキレイにされてよがりまくるとは、お前はやっぱりどうしようもない淫乱だな。羞ずかしくないのか!」
「ああ……だって、だってえ〜」
「ケツの穴を洗われて、気をやってんじゃねえよっ!」

 文字にすればキツイが、貫太はわざとそんな言葉使いでイジめてやってるだけであり、優美ちゃんがそれを歓んでいることは俺にもわかった。そのため優美ちゃんの体を拭いてやる貫太の手付きは、まるで赤ちゃんを扱っているみたいに丁寧で優しい。優美ちゃんの方も完全に甘えた猫撫で声で、脂肪がたっぷりついた下腹部越しに貫太の顔をウットリと眺めており、どう見ても仲睦まじいカップルそのものだ。俺は心の中で「勝手にしろ」と軽く毒づいていた。

「じゃ俺は晩飯を作ってるから、風呂に入れよ。いいか、ケツの穴までよく洗っておくんだぜ」

 どうも貫太は「ケツの穴を洗う」のが好きらしく、俺はその時余計なお世話だと思ったのだが、それが意味のあることを知ったのは後からだ。

――おい! お前らスッパダカじゃないか……

 俺が脱衣所に入るのと入れ替わりに、2人が仲良く全裸のまま出て行くので少し驚いた。が、泥酔した後の入浴は実に気持ちが良く、俺は貫太に言われた通り「ケツの穴」までキレイに洗い流してから、湯船につかりしばし幸福にひたった。よく考えると事態が何ら好転したわけではないのだが、旧友に再会し、童貞を捨てただけで、こうも気持ちが明るく前向きになるのは驚くべきことのように思われた。長年苦しんで来た悪い憑き物でも落ちたような、晴れやかな気分なのである。 

 そして童貞こそ思わぬ形で捨ててしまったものの、すっかり諦めかけていた愛華先生への思いが再燃し、何とかして取り戻して抱いてやりたいと言う闘志がわいて来た。それは昨夜俺の話を聞いた後、貫太が言ったことだったが。

 され風呂から上がり、抵抗を覚えながらも仕方なく着ていた物を再び身に着けてから脱衣所を出ると、貫太が全裸で台所に立っていたので驚いた。が、もっと驚いたのはやはり全裸の優美ちゃんが、貫太のブヨブヨの下腹部に隠れるように下にしゃがみ込み、ヤツのチンポを嬉しそうにしゃぶっていたことである。

――一体、何てことをしてやがるんだ!

 が、呆れた俺が口を開くより前に貫太が言う。

「オイ、俺たちは裸だぞ。お前も服なんか着ないで裸で過ごしなよ」

 う〜む。これは正直な所非常に気が引けたが、着替えもないし、優美ちゃんがカワイイ顔を上げニッコリ笑い掛けて来たので、思い切って裸で過ごすことにした。脱衣所に戻り、服を脱ぎ捨ててから戻ると、貫太のチンポにむしゃぶりついていた優美ちゃんが口を離して、愛らしい悲鳴を上げる所だった。

「アン! い、いくうっ!」
「又、ケツでイキやがったな。お前ほホントに堪え性のない淫乱なメスイヌだ」
「だ、だってえ〜……どんどん良くなって来るの……ああ、もう、許してえ!」
「駄目だ。お前はメンスの時にも客が取れるように、アナルセックスを覚えなくちゃならねえ。ケツの穴がしっかり広がるまで、そのブルブル棒をくわえときな」
「ああ………いい……」
「その調子じゃ何回気をやれるかわからねえな。ケツでイクのは限りがねえから、覚悟しな」

 見ると感極まってうずくまっている優美ちゃんは色白ですべすべのお尻をワナワナと慄わせていたが、大事な所にガムテープを貼られていたので、昨夜俺が入れてやったアナルバイブを挿入されているのだろう。

「オラ! 出してやるから、しっかりしゃぶれ!」
「ああ……貫太様あ〜……」

 何か炒め物をしていた貫太は手も休めずにそう言ったが、優美ちゃんは従順に頭を上げると再びチュパチュパと奴の肉棒に「ご奉仕」を始める。危なくないのか。全く性懲りのない奴だ。

 俺は少し離れて眺めていたのだが、昨夜使い過ぎた股間はまだ回復せず、同級生の貫太の強精ぶりには感心するばかりだ。そして言葉通り出したらしいザーメンを優美ちゃんがングングと後始末して口を離すと、貫太が言った。

「よし、スッキリしたぞ、優美。今度は先生にお情けをもらって来い」
「はい……ああ、ま、又イキそおっ!」
「遠慮しねえで、ケツでイキまくれ。そうやってえっちのことしか頭にないエロ女になるんだ」

 貫太がそんなひどいことを言うと、優美ちゃんは切なく慄える腰を上げて俺の方へやって来た。

「先生、お願いします。優美にご奉仕させて下さい」

 貫太が仕込んだらしいアナルバイブの快感で優美ちゃんの声は甘くしゃがれ、でくのぼうみたいに突っ立った俺の股間にしゃがんで見上げる視線がゾクッとするほど色っぽかった。だが肝心の俺のムスコはダラリとだらしなく垂れ下がっている。

「悪いけどこんな状態なんだ」
「いえ、構いません。優美が元気にして差し上げます」

 すると炒め物を終えた貫太が言う。

「信一、優美は手が使えねえから協力してくれないか。包茎の皮を自分でめくって、ケツの穴を指で広げてくれ」
「何だって!」
「ハハハ、だまされたと思って優美にケツの穴を舐めさせてやれよ。きっと人生変わるぜ……」

 俺はさすがに抵抗を感じたが、優美ちゃんが軽く口に含んでもムクリともしないフニャチンに見切りを付けて口を離すと、チンポの皮をめくり指で尻穴を開いて見せた。

「あ、ありがとうございます、先生」

 アナルの快感が募って来たのか、切迫した悩ましい口調でそう言った優美ちゃんが舌を俺の尻穴に這わせ、ズブズブと侵入させて来た。

――うおっ! な、何だ、コレは……

 俺は貫太が言った「人生変わる」と言う言葉を実感していた。優美ちゃんの愛らしい舌の感触は素晴らしく、生まれて初めて味わう不思議な心地良さがあっと言う間に込み上げて来たのだ。ハッキリ言ってめちゃくちゃ気持ちが良い。優美ちゃんの軟体動物のような舌がスルスルと出入りを繰り返すと、まるで快楽源を直接刺激されているような強烈な感覚に見舞われ、俺は下腹部全体をジーンと甘い痺れに包まれていた。あまりの心地良さに、俺は何かだらしなく呻いていたかも知れない。

「はい、元気になりました、先生。では、頂きます」

おお、何と言うことだ! 優美ちゃんの尻穴舐めに心を奪われている間に、俺のペニスはすっかり新たな生命を吹き込まれて、あり得ないようなビンビンの勃起を取り戻していたのである。そこをすかさず優美ちゃんのオクチにパクリとくわえられた俺は、思わず慌てた声を出して彼女の後頭部のセミロングの髪に手をやっていたのである。

「ゆ、優美ちゃん! ちょっと待って……」
「だらしないぞ、信一。しっかり出してやれよ」

 貫太に笑われてしまったが、俺は予想外の自分の肉体の反応に戸惑い、少しうろたえていた。そこへ優美ちゃんのジュバッジュバッと音を立てて猛烈なスピードでしゃぶり上げる「ご奉仕」を受けて、もうノックアウト寸前である。と、優美ちゃんが急に口を離し切羽詰まった口調で訴えた。

「ゆみは、もういきます! 先生も出して下さい!」

 すぐにフェラチオを再開した優美ちゃんが、体を激しくおののかせてアナルの快感に果ててしまうのがわかると、俺もたまらず彼女の口中にドピュッと放出していた。そんなに大量ではなかったが、この歳になって絶対に無理だと思っていたペニスが活性化し出すことが出来るとは、カルチャーショックを覚えるに十分だった。

 それから全員裸でテーブルに付いたのだが、貫太が3人前作ってくれた夕食はご飯に味噌汁、さらにはおかずが数種類付くと言う本格的なもので、これには大いに驚かされた。

「調教師ってのは、ずっと1人暮らしだからな」

 貫太はこともなげに言うが、やはり俺とは住む世界が違う。俺はと言えば、40を過ぎて情けないが親元で暮らし食べさせてもらうていたらくなのだ。そして食事をするテーブルには、俺と貫太と言う巨漢とデブの醜い男2人に挟まれて、小動物のようにかわいい優美ちゃんが座った。でも相変わらず手は拘束されたままである。すると彼女がこんなことを言った。

「あ、あの、貫太様。私お料理くらい出来ます。優美に食事のお世話をさせてくれませんか?」

 それは俺が不思議に思っていたことである。すっかり奴隷気分に染まった従順な女性が一緒に暮らしているのだ。どうして彼女に家事を言いつけないのだろう。だが貫太の言葉は俺には思いも寄らないものであった。

「いや、俺の調教は女に何もさせねえ主義だ。俺と過ごしている限り、お前は何一つやらないで良い。メシも食わせるし、フロにも入れてやるし、トイレの始末も俺がやる。お前はただえっちなことだけを考えて集中しろ。そうすればすぐに、誰にも負けない立派な夜の女になれるんだ」

 こうして貫太の言葉通り、手を縛られ何も出来ない優美ちゃんの口に俺たちが交互に食事を運んでやると言う、実に奇妙な食事が始まった。全員裸と言うこともあり、俺はこれが現実の出来事なのかと一瞬自分の正気を疑ってしまいそうな不思議な気分になって来た。

「ところでよ、優美。先生は愛華先生と付き合ってることが理事長にバレて、クビになったそうだ」
「お、オイ、やめろよ!」
「まあ、いいじゃねえか。お互い隠しごとなしの、ハダカの付き合いで行こうぜ」

 優美ちゃんにご飯を食べさせるのは、まるで発育の良い赤ちゃんに食事をさせているような楽しさがあり、至近距離で彼女の色白でムチムチの若い裸身が、アナルの快感に悶々としだんだん美しく紅潮していく様を眺めるのも絶景だったのだが、貫太がいきなりそんなことをバラすものだから俺は慌てた。それを優美ちゃんに聞かせる必要はないじゃないか! ところがこの話を聞いた優美ちゃんは食べていた口を休め、情欲にけぶる燃えるような瞳で俺の方を見つめる。うう、ヤバいくらいに色っぽい! そして彼女がボソリと口を開いた。

「先生も、ですか……」

――何!? それは一体、どういう意味だ……

「優美ちゃん、それ、どういうこと?」
「あの理事長はとんでもない人です」

 貫太の勘恐るべし。ここで優美ちゃんの語った言葉は、権力をかさに着た山川理事長の非道さを物語るものだった。

「私、あの高校には特待生入学だったんです……」

 母子家庭で家計の苦しい彼女は、授業料全額免除と言う山川女子高の特待生推薦入試を受けて見事合格。だがそれは彼女自身信じられない合格だったと言う。

「絶対受からないと思い、駄目元で受験したのでビックリしました。私、そんなに成績がトップクラスでもないですし」

 謙遜が入っているだろうから、いかにも聡明そうな優美ちゃんがそれなりに成績優秀だったのは間違いない。だが、授業料全免で特待生と言うのがちょっとやそっとでは受からない難関なのも確かだ。そう言えば、特待生は理事長が面接でかわいい女子を選抜していると言う噂があったのを思い出した。そして、それはビンゴだったのである。

「理事長は、母が夜飲み屋で働いていたのを見初めて、私に特待生を受験させるよう持ち掛けて来たんです。母は、その……私を入学させるために、理事長に抱かれました……ああん!」

 話が話だけに優美ちゃんは辛そうだった。そして大きな声で呻くので、すわ、と思いきや、これは又もアナルバイブで彼女が昇り詰めてしまったのである。俺は貫太の調教の過酷さを思いやり、もうバイブを外してやれよ、とヤツに言ったのだが、何と優美ちゃん自身が、すみません、いいんです、とそれを断った。そんな健気な彼女を見ていると、俺は自分のことより優美ちゃんのために理事長に一泡食わせてやりたい、と言う復讐の念が強くなった。

「母は私を高校に行かせるために、一度だけと思い我慢したんです。なのに、あの男は入学後もことあるごとに母を呼び出して、無理矢理関係を迫りました。娘を高校に通わせたいなら、わしの女になれ、と言われたようです」
「とんでもねえ野郎だな!」

 貫太が自分のやっていることは棚に上げて憤慨した。優美ちゃんはこんな美少女だから、お母さんもさぞかしいい女なのだろう。

「それでお母さんが断ったら、学校をクビになったのか?」
「い、いえ、そうじゃないんです……ある日、私も理事長に呼び出されて変なホテルに連れ込まれたんです。そこには縄で縛られた母がいて、えっちなことをされていました。そしてあの男は私に、高校を続けたかったら犯らせろ、と迫って来たんです……」
「許せねえ!」

 それは俺も同感だった。当然ながら優美ちゃんが断ると、理事長は怒っていきなり彼女を退学処分にしたのだ。被害者でありながら、体を売って不正入学を頼んでしまった負い目があるお母さんは泣き寝入りするよりない。実に陰湿で鬼畜のようなやり口ではないか。

「母は心労が重なって体を患い入院してしまいました。親戚の方にも助けて頂きましたが、とても入院費が工面出来ません。それで……」

 こうして優美ちゃんは自分の判断で夜の仕事に手を染める決意をし、いかがわしい店に自分を売り込みに行く。だが、美少女でも性経験の乏しい彼女にとっては耐えられる仕事ではなく、かわいそうに貫太の所へ送られ性調教を受ける羽目となったわけだ。俺は彼女に掛けてやる言葉も見つからなかったが、貫太は言った。

「理事長のやったことは立派な犯罪だ。だけどこんなことを表沙汰にされるのはお前も辛いだろう」
「はい。出来れば、このことは伏せて下さい。お願いします……」

 世間知らずの俺は、理事長の行為を暴露してとっちめてやれば良いと思ったが、そんな簡単な話ではないようだ。それに自分勝手だが、やはり愛華先生も取り戻したい。冷静な貫太はそんな俺のことも考えて、緻密な復讐計画を考えてくれたのである。

「この分なら、理事長を叩けばいくらでもホコリが出て来そうだな。まず、コイツの素行を徹底的に調べよう。組に専門家がいるから任せな」

 そういう裏仕事は暴力団にとってお手の物らしい。

「そして理事長の決定的な弱みを握ったら、愛華先生から堕とす」
「え? それは、彼女を脅迫する、と言うことか?」

 俺は惚れた弱みで、彼女にひどいことはしたくないと思ったのだが、貫太はもう何やら計画を立ててしまったようだ。乗りかけた船には乗るよりないだろう。俺は覚悟を決めていた。

「まあ心配するな。お前の悪いようにはしねえよ。もちろん、優美、お前もだ」
「ありがとうございます……ああ、貫太様あ〜 抱いて下さい!」

 話をしながら夕食は終えていたが、その間一度ならずアナルで極めていた優美ちゃんは悩ましくそう言うと、隣の席に座る肥満体の貫太にしなだれかかって来た。深刻な話はここで終わりである。

「へへへ、理事長にはさせなかったくせに、俺には抱かれたいんだな」
「あん、イジワルう……」
「お前、ケツでしっかり楽しんでるじゃねえか」
「オシリだけじゃなくて、アソコにも欲しいの!」

 お互い全裸なだけに話は早く、貫太は優美ちゃんを連れて隣の畳敷きの居間に移動し、俺も後について行った。そしてやはりそう言う趣味なのだろう、貫太は優美ちゃんにわざわざセーラー服のミニスカとブラウスを着せてから行為に入った。

――面倒臭いことをするヤツだな……

 正直そう思ったが、あっと言う間に制服を身に着けた優美ちゃんは、全裸よりそそるエロティシズムを発散しているようで、俺は貫太の趣味に共感を覚えた。

「うつ伏せでケツを上げろ」

 優美ちゃんのようなカワイコちゃんが、セーラー服を着てノーパンのお尻をワンワンポーズで高く上げるのは、男なら誰でも悩殺されること間違いない格好で、俺は信じ難いエネルギーが股間に滾って来るのを感じていた。貫太はアナルバイブの快感でムクムクと蠢く、真っ白な桃尻を嫌らしく撫で回して言う。

「へへへ、しっかり味わって、早くこちらでも男を楽しませることが出来るようになるんだぜ」
「ああ……わかりました、貫太様あ……オシリ、すごく気持ちいいです、うう、いい……」
「おい信一、お前チンポが勃ってるか?」
「い、いや無理だよ」
「じゃあフニャチンでもいいから、優美の口にくわえさせてくれ」

 フニャチンは余計だろうと思いながら、俺が少し回復気配のあるチンポを手に持って彼女の前に行くと、優美ちゃんの方から、お願いします、と言うので、恐縮しながら膝を折り柔らかいままのペニスをくわえてもらった。

「オラアッ!」
「んんんっ!」

 俺のチンポをパックンチョと言う感じでかわいいオクチに頬張った優美ちゃんのアソコを、貫太がバックからズンと貫いていくと、彼女は塞がった口元から快楽の呻きを発したが、それは俺の萎えた肉塊にも跳ね返る心地良い刺激となった。なるほど、これが妄想したことしかなかった3Pの楽しみか。貫太が決して性急ではない一定のリズムのストロークを優美ちゃんの早熟な美腰に打ち付ける度に、いかにも気持ち良さそうに表情を緩めた美少女が小刻みに体を慄わせながら、愛情タップリに俺のムスコにネットリと舌を絡み付かせチュパチュパと吸い上げて来るのだ。俺はそれでもなかなか回復しようとしない我がシンボルの情けなさを嘆き、彼女の熱意に報いようと下腹部に力を入れて血液が流れて来るのを懸命に待った。

「どうだ、上下に2本の男をくわえ込んだ気持ちは? いや、ケツにも入れてるから3本かな……ハハハ、マ○コが歓んでグイグイ締め付けて来やがる、よっぽどいいんだな、優美」

 3Pの楽しみは、1人で2人を相手にする女性の方が、より濃厚なものだろう。俺の情けないチンポでも男性自身を2本体に迎え入れるのは、興奮を煽る極めて刺激的な行為に違いない。優美ちゃんは、俺を含んだまま何やら呻くと、体をビクビクと痙攣するように激しくおののかせる。とうとう気をやってしまったみたいだが、貫太は相変わらず彼女をリズミカルに突く腰の動きを緩めず言った。

「ははは、又イッチまったのか、優美。お前はもう1日たりとも男のチンポなしでは過ごせねえ、淫乱な体になったんだ。ホラホラ、気持ちいいか、よく覚えておけ」

 そして貫太は腰の突き上げを休めず優美ちゃんを歓ばせながら、俺に言った。

「信一、交代出来るか?」
「あ、ああ。何とか出来そうだ!」

 驚くべきことに優美ちゃんの口の中で俺のナニは奇跡的に十分な勃起を取り戻していたのである。目が覚めてすぐのさっき、とても勃たないと思ったチンポを優美ちゃんの尻穴舐めによって何とか回復させたが、そこで一発出してしまったのだ。普段は一度射精すると半日は役に立たない俺のムスコが、こんな短時間で臨戦態勢を取り戻すなんて信じられなかった。

「よし、俺と場所を替われ」

 こうして俺は、貫太に手渡された避妊具を被せると、勇躍優美ちゃんのプリプリのお尻を抱えてバックから犯していった。するとさっさと貫太のナニに塞がれた口元から優美ちゃんが嬉しそうな鼻声で呻く。

「んぐうんっ!」
「何だ優美、デカいチンポに替わって具合が良さそうじゃねえか。一段とエロい声と表情になって来たぜ……」

 それは貫太が俺を勇気付けようとわざと言った言葉だろうが、心地良くプライドをくすぐられた俺は、これまで覚えたことのない男らしい力の漲りを覚えていた。

「信一、予行演習だ。愛華先生を犯ってるつもりで、目一杯突いてやりな」

 貫太はそう言うが、俺はもう目の前でかわいいお尻を差し出したセーラー服少女とのえっちに夢中だった。何しろ貫太が言ったように、優美ちゃんのアソコはまるで意志を持った軟体動物のように俺の肉棒にきつく絡み付き、グイグイと締め付けて来るのである。クシャックシャッと出し入れするのに苦労するほどだ。ふと見ると貫太は余裕タップリの表情で、優美ちゃんのノーブラの乳房に両手を掛けて揉んでやったりしている。そして嬉しいことに優美ちゃんが俺の懸命な突き上げにしっかり反応し、体を激しくおののかせて達していくと、俺もどこに残っていたのかわからないザーメンの残滓を放出し、貫太もそれに合わせて彼女の口中で射精してやったようだ。

 貫太と優美ちゃんのおかげで2度目のセックスも大満足な結果を収めることの出来た俺は、名残惜しかったが一旦家に戻り、連絡を待つことになった。貫太からは、1か月は掛かるかもな、と言われていたが、2週間ちょっと経ってからその吉報は届けられたのである。

 さっそくヤツの根城に向かうと、まだ同棲が続いているのか、優美ちゃんも一緒に出迎えてくれた。2人とも薄手のシャツにジーパンと言うごく普通のラフな格好だったが、俺は優美ちゃんがまだアナルにバイブを埋められているのだろうか、と妄想してしまった。もう両手を縛られたり、首輪を着けられたりしていない優美ちゃんは、人の好いよく太った親戚のおじさんの家に遊びに来た、大人しい娘さんみたいだったが。

「コイツの調教は終わったんだけど、理事長をとっちめる件でしばらくここに通わせることにしたんだ」
「ありがとうございます、貫太様。何とお礼を申し上げれば良いのか……」
「よせやい! それに俺は理事長からたんまり金をせびり取ってやるつもりだからな」

 貫太はまだ優美ちゃんを夜の仕事には就かせず、かなりの金までやってお母さんの入院費に当てさせているそうだ。すっかり情が移ってしまったのかと思いきや、ヤツの計画によれば山川理事長から相当な額の金を強請り取る予定だと言う。そのために理事長の悪行の被害者で、学校のことに通じている優美ちゃんの力も必要なのだそうだ。

「あの山川って理事長は、やっぱりとんでもない輩だ。調べたらすぐにボロが出た。金があって、権力があって、やりたい放題してやがる。マジで、イケすかねえ野郎だな。こんなヤツをとっちめてもバチは当たらねえ。俺が天に替わって成敗してやる!」

 貫太は自分もヤクザで、ワケあり女の調教という悪事に手を染めているくせに、妙に興奮して理事長に対する敵意を露にした。おかしなヤツだなと思ったが、貫太が理事長の悪事の証拠として見せる写真を見て、俺はヤツの気持ちを理解した気持ちになった。要するに貫太は、「女好き」と言う自分と同類である理事長に近親憎悪を抱いていたのだろう。片や学校法人の経営者、方や表には顔の出せないヤクザの雇われ、と言うステータスの違いも、貫太の憎悪に火をそそいだようだ。

「コレを見ろ。毎日のように取っかえ引っかえ違う女をホテルに連れ込んでるんだからな……」

 ダイニングのテーブルに座って貫太が見せてくれた写真には、なるほど山川理事長がさまざまな違う女性とラブホテルにしけこむ場面が押さえられていた。きっと優美ちゃんのお母さんのような保護者に手を出していたに違いない。それだけではない。ホテルの中での理事長の行為までバッチリ撮影されているのだ。よほど凄腕の調査屋が組にいるのだろう。

「コイツの性癖は困ったことに俺と同類だな」

 貫太がそう言うのは、理事長が連れ込んだ女性を縄で縛って辱める写真ばかりだからである。

――そう言や、優美ちゃんのお母さんも縛られたとか言ってたな

 木村沙希校長と言う10歳近く年下で美形の妻を持ちながら、この山川浩一と言う男、全く呆れて物も言えない。ちなみに夫婦別姓なのは、理事長が学校の教師だった木村先生を見初めて結婚し、彼女をゴリ押しで校長にさせていることを生徒に悟らせないためと思われるが、何のことはない、誰でも知っている「公然の秘密」だ。木村校長は眼鏡を掛け謹厳実直を絵に描いたような女性だが、夫の浮気三昧に気付いているのだろうか? あまりに真面目過ぎて近寄り難く、あまり好印象を持っていなかった木村校長にも、俺は哀れみを感じた。

「だがこの程度の浮気くらいじゃ十分とは言えないな。コレを見ろ」

 貫太が見せた次の写真は、なるほどヤバい状況だった。恐らく優美ちゃんと同じようなやり口なのだろう、理事長が無防備にも自分の学校のセーラー服を着た人目を引く美貌の女生徒をホテルに連れ込み、いたいけな少女に縄掛けして淫行を働いているのだ。

「この人知ってます。3年の特待生の人です」

 優美ちゃんが言ったが、確かに俺にも見覚えがあった。

「信一、ここの学校はこんなカワイコちゃんばかりなのか? よく童貞なんか守ってたもんだ。理事長じゃなくても、俺なら毎日ウハウハだけどなあ……」
「女子高だからって、そんなことはないさ。優美ちゃんや、この子みたいなのは特別だ」

 突然名前を出された優美ちゃんは照れくさそうに笑ったが、実際そこそこカワイイ子は沢山いたと思う。だが、体が大きいだけでからっきし口下手で引っ込み思案な俺は、「キモイ」と言われて生徒から敬遠されており、とてもそんな関係になど発展するわけはなかった。柔道部の生徒とは親しく接していたが、こちらは俺を小型にしたようなおデブちゃんばかりで、そんな気になる子など存在しなかった。俺は勇気を出して告白し交際を始めた愛華先生一筋だったのだ。

「犯っちまうのを前提にした特待生制度か。学校の私物化もいい所だな。どうせこの子の母親も食っちまってるんだろう」

 これは世間に暴露すれば理事長に大ダメージを与えるに違いない一大スキャンダルではないか。しかし、さらに衝撃的で決定的な写真が次に待っていたのである。

「そしてコレだ。優美に確かめたから間違いないな。お前の愛しの先生だぜ」

 見紛うわけもない木村愛華先生が、山川理事長と連れ立ってラブホテルに入る写真は、俺にとっては十分にショッキングだった。この外道が俺と愛華先生の仲を知って怒り狂った理由もハッキリした。理事長は何と、自分の妻の妹と出来てたのだ。それがわかった俺は急激に頭に血が上る気がしていた。

「信一、お前やっぱり寝取られてたんじゃねえか」
「ああ……」

 いつの間にかカラカラに乾いていた俺の口からは、しゃがれた声でそう搾り出すのが精一杯だった。

「それにしても、愛華先生ってのはスゲえ別嬪さんだな。信一、お前を見直したぜ」
「愛華先生は、山川女子で一番の美人です。みんな憧れてました」

――そんな女性と、俺が付き合うなんて分不相応だったのだろうか……

 貫太だけでなく優美ちゃんにまで愛華先生の美しさを褒めそやされると、俺はそんな複雑な心境になってしまった。よくあんな美人が俺に付き合ってくれたものだ。

「見たくもないか知れねえが、こんな写真までバッチリだぜ」

 どうかすると生徒と間違われそうな小柄でキュートな愛華先生が無残に縄掛けされて、醜く太った大柄の理事長に淫らな行為を働かれている何枚もの写真は、正に目の潰れそうな衝撃だった。中でも最も目を背けたくなったのは、全裸を縄で雁字搦めにされた愛華先生が正座して、鬼畜野郎のイチモツを口に含まされている写真だった。愛華先生は決して同意しているわけでなく、いやいやながら理事長に無理矢理関係を持たされているのだろう。どの写真の愛華先生も辛そうな泣きベそ顔なのだ。俺はそうであることを信じ、愛華先生を理事長の魔手から救出してあげるのだ、と決意を新たにしていた。 

「自分の学校の生徒だけじゃなくて、嫁さんの妹にまで手を出しているとなれば、十分な材料だな。信一、出来るか?」

 俺は一瞬意味がわからずキョトンとしてしまった。

「この写真を使って、愛華先生と話をするんだ」
「やっぱり脅迫するのか?」
「人聞きが悪いな。この写真を表沙汰にされたくなかったら、一発ヤラせてくれ、って頼むんだよ。恋人同士だったんだから、出来るだろ?」
「……あ、ああ、わかった」

 それを脅迫と言うのではないかと思ったが、理事長に陵辱される愛華先生の痴態写真を見て、はしなくもビンビンになってしまった股間が承諾したようなものだった。夢にまで見た愛華先生と関係を持てるなら、何をためらうことがあろう。元彼女を卑劣に脅迫すると言う後ろめたさも、暴虐な理事長から救ってやるためだと言う勝手に考えた屁理屈が緩和した。だが、貫太はさらにとんでもないことを企んでいたのだ。

「愛華先生がオッケーしたら、手脚を手錠で拘束しろ。ホントは縄がいいが、お前には無理だろう」
「何だって!」
「それから隠れていた俺が登場する」
「……意味がわからねえ」
「美人先生に、理事長みたいなジジイじゃなくて、本物の男の良さを教えてやるのさ。俺がこってりかわいがって、女の歓びを叩き込んでやる」
「オイ! 何バカなことを言ってるんだ!」
「まあ待て、よく聞け! もちろん、それはお前のデカチンを使ってやるんだ。愛華先生がお前のチンポにメロメロになって、忘れられないようにしてやるよ。そうすりゃ彼女は絶対お前の所に戻って来る。信一、お前自分だけでそんなことが出来ると思うのか?」
「い、いや……頼むよ」

 確かに俺だけでは無理だろう。憧れの愛華先生とうまくセックス出来るかどうかさえ、怪しいものだ。ここはやはり真面目な優美ちゃんをとんでもない淫女に変えてしまった、プロの調教師である貫太の力を借りるのが賢明だろう。すると、そのエッチギャルに変身した優美ちゃんまで、こんなことを言い出した。

「あの、私にも参加させてくれませんか。私、愛華先生にとっても憧れてたんです。愛華先生に、女の子の歓びを教えてあげたいです」
「ははは、面白くなって来たじゃねえか。じゃあ決行するのは明日以降と言うことで、今日は練習しよう。優美、お前が愛華先生の役になって、縛られてイタズラされろ。いいな?」
「はいっ!」

 こうして成り行き上仕方なく、優美ちゃんを愛華先生に見立てて拘束する3Pプレイに突入したのだが、これはほとんど予行演習にならなかった。なぜなら全身これ優秀な性感帯と言った感じの優美ちゃんは、俺がぎこちない手付きで両脚を開かせて柱に繋ぎ、後ろ手錠を嵌めて人の字縛りにされた時点で、もう目をウルウルさせて熱い吐息を洩らし始め、ちょっと体に触れただけで我慢出来ず身悶えてしまう有様だったからだ。

「お前、体を固めて絶対に感じないぞ、と言う演技をしろよ!」
「だ、だってえ〜! ああ〜んっ!」
「愛華先生は、そんなはしたない女じゃねえぞ!」
「イジわるう〜!」
「信一、乳搾りでもする要領で、力一杯握り潰すように乳を揉め。痛くて絶対女が感じないくらいにな」
「ああ〜っっ!! す、素敵い〜っっ!!」

 わざと下手クソな女扱いをしろと言うことかと、やや鼻白む思いで思い切り乳房をギュウギュウ搾ったつもりだったが、どMな優美ちゃんにとっては、痛みも快感に転化してしまう。

「前戯なしでデカチンをぶちこめ!」
「なあ貫太。前戯も何も、優美ちゃんのマ○コはもうベチョベチョだぜ……」
「しょーがねーな」

 さすがの貫太も俺もバカバカしくなって、優美ちゃんとの3Pを素直に楽しむことにした。「調教」が完了した彼女は、アナルもしっかり拡張されて易々と男根を呑み込む上、前部以上に強力な生ゴムみたいな締め付けを味わうことが出来た。しかも優美ちゃん自身、アナルが一番の性感帯だと言うのだからこたえられない。俺たちは交互に彼女の前後を犯す「サンドイッチファック」に興じたり、1人が股間をもう1人がオクチを犯したりして、感極まった優美ちゃんが完全に失神してしまうまで、素晴らしいプレイを心ゆくまで楽しんだのだった。

「なあ貫太」

 ことが終わってから俺はヤツに聞いた。

「今日、愛華先生と話しに行っても良かったんじゃないか?」

 実際時刻はまだそんなに遅くはない。

「それはダメだな。組の調査によると、彼女は今日理事長と会う日らしいんだ。今頃、縛られてヤツのモノをしゃぶらされてるんじゃねえか」

 運命の決行日を前に、俺の闘志にメラメラと火が点いたのは言うまでもない。

――愛華さん、遅いな……

 翌日俺は、指定した喫茶店で2杯目のおかわりをしたコーヒーを少しずつ飲み、ジリジリしながら今か今かと愛華先生が現れるのを待った。店内の誰にも見られていないことを確認して、握り締めたケイタイの画面で今日突然送り付けた愛華先生とのメールのやり取りをチェックする。

 午前中に俺が送ったメールの文面はこうだ。

「添付した写真のことで話があります。『純喫茶K』に1人で来て下さい。今日何時に来れるか返信して下さい。もし来られないなら、写真を校長先生や僕の知る限りの先生、生徒のケイタイに流します。by 信一」

 そして送信したはずの写真を眺める。愛華先生が義理の兄に当たる山川理事長といかがわしいラブホテルの入口をくぐるスキャンダル写真だ。もっと衝撃的なプレイ中の写真もあるのだが、貫太のアドバイスで後出しすることになっていた。万一彼女が無視しようものなら、次は緊縛SM写真が送信されるわけだ。

 俺は何度も見直したラブホ写真を見て、愛華先生の顔が引きつっているように感じ、彼女が無理矢理理事長に付き合わされているに違いない、とほぼ確信していた。だとすれば元恋人に会ってSOSを送っても良いだろう。俺の頭の中ではそういう勝手な思い込みがでっちあげられ、脅迫と言う犯罪行為に手を染める後ろめたさを中和した。果たして、彼女から昼過ぎに返信がある。短く「7時」だけだったが、愛華先生がメールと添付写真を見て、会うことに同意してくれたと言うだけで、俺は一気に緊張した。

 だが、7時になっても愛華先生は現れなかった。5分たち10分過ぎて、俺は次第に動揺して来るのを感じていた。彼女は本当に1人で来てくれるのだろうか? 万が一警察に通報した、などと言うことは? 俺は絶対にあり得ないはずの可能性まで頭に浮かんで、冷や汗をかきながら『純喫茶K』の片隅に座っていたのである。

 この『純喫茶K』は、いつも愛華先生と待ち合わせてデートに出掛けた場所だ。学校からさほど遠くないのだが、寂れた住宅街の外れみたいな所にあり、生徒の通学路と離れているので好都合だったのだ。そのため、彼女とのよりを戻そうと言うこの機会に、ここを待ち合わせに指定したのは必然だった。ちなみに、理事長から退職勧告と同時に理不尽にも愛華先生に近寄るなと言われたあの日から、俺は彼女と会うことはおろか一言も話してはいない。ストーカーのようなまねは出来ないし、電話を掛けても出てくれない。もちろん彼女の方からの連絡もなしのつぶてだ。仮にも付き合っていた俺に対する仕打ちとしては、あまりに冷た過ぎるのではないかと思ったが、理事長から彼女にも強い圧力が掛かっているのだろう。俺はそう自分に言い聞かせて納得しようとしていた。こうして脅迫じみたやり方で愛華先生と会うことになったが、まずは彼女自身の口から事情と本当の気持ちを聞かせて欲しかった。

――もしかしたら、彼女はもう俺のことなど眼中にないのかも知れない・・・・・・

 そう思うと怖かったが、それならそれで卑劣な脅迫者として、彼女の体を頂くのだ。そんな薄情な女性に遠慮はいらない。童貞を卒業して、男の本能に目覚めつつある俺は、以前なら考えも及ばなかった凶悪な考えが頭に浮かぶ自分に驚いていた。夢にまで見た美しい彼女と肌を合わせて、写真をネタに理事長を強請り大金をふんだくってやるのだ。そうしたら愛華先生など捨てても、又新しい女を探せば良い。俺はなかなか現れぬ愛華先生を待つ間に弱気になりそうな自分を奮い立たせ、貫太の考えに共感したような妄想を膨らませていたのである。

 そして約束の時刻を15分ほど過ぎた頃、ようやく愛華先生は姿を現した。仕事帰りとあってパリッとした紺のミニスーツを着こなした彼女は、小柄なこともあり三十路半ばとは思えないほど若々しく美しい。だがその表情はいつになく硬く、周囲の様子をキョロキョロ見回しながら、オドオドした様子でゆっくりと俺の方へ向かって来る。間違いない。彼女は今不安で胸を一杯にして怯えているのだ。なるべく彼女に余裕を与えず、手早く主導権を握ってここへ連れ込め、と言う貫太のアドバイスが頭に浮かんだ。

「木村先生、メールは見て頂けましたか?」

 無言で俺の向かいに座った愛華先生にさっそく話を切り出すと、やはり押し黙ったままコクリとうなずいた。

「写真の件でお話があります。こんな所じゃ誰に見られているかわからないから、場所を変えたいのですが」
「……はい」

 ようやく蚊の鳴くような小声で答えてくれた愛華先生。俺は呆気ないくらい易々と第一関門を突破して、心の中でガッツポーズを取っていた。

「ではタクシーを呼びます」

 伏目がちだった愛華先生が切れ長の目を上げてありありと不安の色を走らせるが、ここは強引に押し切らねばならない。俺は彼女が付いて来るに違いないことを確信してすぐに席を立ち、後ろも振り向かずにレジへ行って支払いをすませ、ついでにタクシーを呼んでもらった。果たして愛華先生は黙ったまま、やや離れた場所で立っている。俺はもう彼女には一言も掛けず、程なくタクシーがやって来ると愛華先生をさっさと一緒に連れ込んだ。貫太と優美ちゃんの待つ「アジト」までは10分も掛からない。助手席に乗り込んだ俺は、後部座席の彼女には話し掛けず、ドライバーのどうでもよい世間話に適当な相槌を打つと、後は黙っていた。なるべく下手にしゃべるな、と貫太に言われていたのである。

「ここは僕の家です。入ってください」

 俺はそんな嘘をついて貫太に渡されていた鍵で玄関を開け、愛華先生を中に招いた。俺の暮らす実家はここよりはまだましなアパートだが、どの道彼女を連れて来たことはないのだから問題ないのだ。玄関には優美ちゃんの女物の靴もちゃんと片付けられていたので、俺は安心した。さすがは貫太。俺ならこんな詰まらない所でボロを出してしまいそうだ。

 そしていよいよ居間の変色した汚い畳の上に愛華先生を対面に座らせ、話を始めた。テーブルも座布団も何もないが、むさ苦しい男の1人暮らしっぽくていいだろう、とは貫太の言ったことだ。それにこの後彼女に迫ってえっちさせてもらうつもりなのだから、余計な物がない方がやり易いのだ。

「この写真ですけど」
「何かの間違いです!」

 俺がプリントアウトしていた例のラブホ写真を出して見せると、愛華先生は即座にそう口走った。恐らくシラを切って切り抜ける腹づもりだったのだろう。

「でもこれ、山川理事長と木村先生でしょう? そしてこれはいかがわしいホテルではありませんか。どんな用事があって、こんな場所に一緒に入られたのですか?」
「それは……仕事のことで内密の話があって……」

 言い逃れの出来ないほどバッチリ顔の映った写真を前に、愛華先生は苦しい言い訳を始めた。が、これは俺の思うツボだ。

「実の所、僕は突然クビになってあなたに近寄るなと言われても、到底納得出来ませんでした。そこで何か事情があるのではと思い、申し訳ありませんが興信所にあなたの身辺を調べさせたのです。そしたら、こんな写真を見せられたもんですから、もうビックリですよ」
「ですから、それは仕事の話だったんです!」
「へえ、面白い仕事があるんですね……」

 ここで俺が、ついに全裸の彼女が緊縛されている写真を出すと、愛華先生は劇的な反応を見せた。サッと表情が凍りついたかと思うと、俺の手から素早く写真を奪い、ビリビリに引き千切り始めたのだ。そしてパッと立ち上がると、愛華先生はこうキッパリ言った。

「帰ります!」

 どうやらパニックを起こしているらしい愛華先生を見て、俺は申し訳ないがサディスティックな快感を覚えていた。そして本気で去ろうとする彼女に向かって大きな声で叫んだ。

「写真はもっと沢山あるんですよ!」
「返して下さい! 全部!」

 振り向いた彼女はそう言うと、今度は俺に詰め寄って来た。

「返してもいいですけど、プリントアウトしただけですから。データは僕のケイタイとパソコンにあるんですよ」
「じゃそれも返して! 返しなさいったら!」
「まあまあ、落ち着いて……」

 俺が興奮した様子の愛華先生をなだめようと手を差し伸べると、その手を払いのけた彼女はだらしなく手足を投げ出し横座りになると、シクシク女っぽく泣き始めた。彼女は見かけによらずとても気の強い女性で、付き合っていた時も彼女の方が主導権を握り俺を引っ張っていたくらいで、泣き顔を見せるのも初めてだ。そのため絶対的優位に立ったこの状況に俺は大いに気分が高揚し、股間はもう爆発寸前になっていた。だが、急いてはことを仕損じると言うではないか。俺は努めて冷静に口を開いた。

「僕は、あなたが理事長とこんなことをされていたなんて信じられないんです。何か事情があるんじゃないですか? 僕に教えて頂けませんか?」
「あなたに言う必要はありません!」

 涙を見せたかと思った彼女はそれでも強情で、俺は困ってしまった。柔道の心得のある巨漢の俺にとって、小柄な愛華先生を無理矢理組み伏せて拘束してしまうのは、赤子の手をひねるような容易いことだ。だが、いくら何でもホレた女性にそんなマネが出来るわけはない。肉体そのものが凶器と認定される柔道家は、実生活で絶対に暴力に訴えないことが身に染み付いているのだ。これが叩きのめしても良い悪漢が相手なら、どんなに楽だったろう。だが、今さら後戻りは出来ないし、やきもきしながら隣室で観察しているであろう貫太の目も気になった。ともかくここは何としてでも、彼女を脱がせて拘束しなければ。俺はもううまい話の進め方がわからなかったので、単刀直入に頭を下げてお願いしてみた。

「木村先生! ぼ、僕にあなたを抱かせて下さい! お願いします!」
「え!?」

 愛華先生は驚いて泣き顔のまま俺をじっと見ている。よし、今がチャンスだ! 俺は恥も外聞もなく土下座して彼女に頼み込んだ。

「ぼ、僕、あなたとえっちがしたいだけなんです。一度だけでいいから、あなたを抱きたい! ずっとそう願って、夜もおちおち眠れませんでした……お願いします、木村先生! そしたら、こんな写真もデータも、全部お返ししますから!」
「……はい……」

――やったぞ!

 俺は小躍りしたい気分になったが、貫太と打ち合わせていた手順を慎重に踏んだ。

「ありがとうございます! 一生恩に着ますよ! じゃ、じゃあ、服を脱いで下さい、僕も裸になりますから……」

 愛華先生は何か言いたげに目線を上げたが、俺が構わずどんどん脱衣を始めると、意外なくらい少女のような羞じらいを見せながらゆっくり服を脱いでくれたのである。土下座までして下手に出過ぎかと思ったが、ここまでの首尾は上々のようだ。俺は隣室で見張っている貫太に、どんなもんだい、と胸を張りたい気分であっと言う間に全裸になると、まるで女学生のように真っ赤になっている愛華先生の脱衣を見守った。

――ゲ〜ッ!

 愛華先生は予想していた白系の清楚な下着ではなく、セクシーな黒いブラジャーだったので、俺はビックリした。だが、彼女は少女ではない。三十路半ばの立派な大人の女性なのだから、どうと言うことはないはずなのに、こんなことで動揺してしまう自分に俺は苦笑した。そして当然下にはいていたのも黒だったが、これは何とTバックではないか! 俺は、あの学園のアイドル的存在の愛華先生がこんなセクシーな下着を着用して教壇に立ち、女生徒たちのあこがれの視線を一身に集めていたのかと思うと、ますます興奮が高まって来るのを感じていた。

「あ、あの、下着はぼ、僕に脱がさせて下さい! お願いします!」
「…… はい」

 俺はその場でピョンピョン飛び跳ねたくなりそうな興奮を隠し切れず、どもりながら彼女にお願いした。いよいよ最愛の愛華先生が、俺に体を開いてくれるのだ。透き通るような雪白の美肌に貼り付いた黒い下着は、是が否とも俺の手で脱がしてやりたかった。そして黒いブラジャーに手を掛けゆっくりずらしていくと、中から現れた素晴らしい膨らみに、俺は息を呑んで目を奪われてしまった。

――美しい……それに、大きい!

 よくわからないが、Dカップはあるのではないか? 身長は150センチくらいと低く、華奢に見える愛華先生が着やせするタイプだったことに俺は感激し、先端の蕾がキレイなピンクでフルフルと慄えているのを見ると、むしゃぶりつきたくなる衝動を抑えるので懸命だった。貫太から手足を拘束するまで絶対体に触るな、と言われていたが、納得だ。ここで手を出したら、間違いなく俺の理性は崩壊し野獣と化して、彼女を拘束するような面倒な手順はとても踏むことが出来ないだろう。

「そ、それじゃ、パンツを取りますよ。腰を浮かせて下さい」
「ああ……はい」

 素直に従う愛華先生が発散する濃厚な女のフェロモンにクラクラしながら、俺はTバックショーツを彼女の下肢から慎重に剥がしゆっくりと抜き取った。彼女の股間の漆黒の茂みが見えた時点で、俺は興奮のあまり倒れそうになり、努めて彼女の大事な部分に目をやらないようにした。

 こうして一糸まとわぬ生まれたままの姿になった愛華先生は、本当に子供みたいな小さな体を丸め手で大事な箇所をガードすると、あちらの方を向いている。だが、俺があえて何も言わず、ある作業に没頭していると、後ろを向いて驚いたような声を出した。

「な、何をしているんですか!」

 俺はまだ愛華先生の体のぬくもりと湿り気が残る黒いブラ、そしてTバックショーツを鼻に近付け、クンクン匂いをかいで陶然としているところだった。優美ちゃんのベチョベチョパンツをもらった時には、こんな物をありがたがるのは悪趣味な変態だなと思いながら興奮してしまったのだが、最愛の女性が着用していた下着の匂いをかぐのは、ごく自然な衝動のように思った。有頂天になった俺は、こんなことまで口にしたのである。

「う〜ん、先生のおま○この、いいニオイがしますよ。何だかちょっとオシッコのニオイもしてますね……」
「やめて下さい……」

 愛華先生は年端も行かぬ少女のように羞ずかしがり、目線を伏せてしまった。

「いいじゃないですか。今から僕に抱かれてくれるんでしょう?」
「そんなことをするのはヘンタイです。羞ずかしい……」

 彼女が羞ずかしがってくれると、俺の方はますますいきり立ってしまう気分だったが、さすがに羞ずかしくなって来たので下着の匂いをかぐのをやめ、愛華先生が脱いだ服を全部まとめて持つと立ち上がった。

「何をするんですか!」
「先生の気が変わって逃げたりしないように、服は没収して隣の部屋に片付けさせてもらいます」
「そんな!」

 本当は隣の部屋に別の用事もあるのだ。相変わらず体を丸めあちらを向いている愛華先生を残し、俺は彼女の脱いだ服一式を持つと台所に入った。

 中で待っていたのはもちろん貫太と優美ちゃんだ。隙間から覗いていたらしい引き戸を慎重に開けて、先生に悟られないように注意して入り込むと、肥満体の貫太は全裸で、優美ちゃんは山川女子のセーラー服姿だったが、悪戯っぽく笑った彼女がペロンとミニスカをめくるとノーパンだった。珍妙な外見の2人に俺は吹き出しそうになったが、笑っている場合ではない。こんな羞ずかしい格好で待機していてくれた2人のためにも、なんとか無事愛華先生の体を拘束しなくては。

 俺はもちろん無言で先生の服を置くと、貫太から黒い革製の手錠を3つ渡された。貫太の顔には、ここまでは上出来だな、と書いてあったので、俺も自信を持って手錠を受け取った。ふと見ると貫太のペニスは俺にも負けないくらいビンビンの強烈な勃起ぶりを見せており、それに背後から手を伸ばした優美ちゃんに優しくシゴかれていた。全く飽きない連中だ。俺は見てろよ、と目で合図を送ると再び今に戻った。

 後ろを向いていた愛華先生は、俺が戻った気配を感じると後ろを振り向いた。俺は慌てて手錠を背中の後ろに隠す。まだこんなSM道具を用意したことを彼女に知らせて警戒させる段階ではない。果たして彼女は不審そうに見ているものの、俺が手錠を隠し持っていることには気付いてない様子だ。俺は何も言わずに彼女ににじり寄ると、背後から声を掛けた。

「両手を背中に回して下さい」

 オドオドと回した彼女の繊手をムンズと掴んだ俺が、両手首にガチャリと手錠を掛けることに成功し、やったぞ! と心中快哉を叫んだ次の瞬間だった。愛華先生がビックリするような大声を出して立ち上がった。

「イヤあ〜っっ!!」

 そして続けて、俺に向かい強い口調で言った。

「外して! 外して下さい、こんな物……」

 俺は大人しく身を任せてくれるはずの愛華先生の激しい抵抗に戸惑いながら、言ってしまった。

「いいじゃないですか、手錠くらい。理事長には体中を縛られてたくせに……」

 が、理事長のことを持ち出したのは逆効果だった。愛華先生はさらに表情を強張らせて言うのだ。

「あなたも、お義兄様と一緒なのですか? 見損ないました、女を縛らないと抱くことも出来ないんですね、最低です!」
「木村先生! そ、そういうわけでは……」
「さあ早く手錠を外しなさい! 婦女暴行で訴えますよ!」
「そ、それは……あの、手錠を外したら、えっちしてくれるんですか?」
「バカにしないで!」

 拘束されることに猛烈な抵抗感を示す愛華先生にタジタジとなった俺は、急遽予定を変更して譲歩しようとしたのだが、すっかり怒ってしまった彼女はプンプンで取り付くシマもなく、俺は情けないことにうろたえるばかりであった。するとその時だった。隣の部屋から貫太が飛び出して来たのは。

「オイ、このアマッ! 黙って聞いてりゃ図に乗りやがって!」

 貫太は何とズカズカと愛華先生に近付くとピシャリと平手打ちし、よろける彼女にさらに蹴りまで入れたのだ! 小柄な彼女はもんどり打ち、その場に崩れ落ちてしまった。

――オ、オイ! 何てことをしてくれるんだ、愛華先生に!

 再会してからと言うもの、ニヤけて優美ちゃんとイチャイチャしてる所しか見たことがなかったが、ヤツも暴力団の端くれなのだ。俺は初めて目にした貫太の暴力に度肝を抜かれながらも、愛華先生に乱暴を働いたことに抗議の視線を送る。すると貫太は軽く、すまん、と言う感じで手を上げたが、この後彼女に掛けた言葉が振るっていた。

「実の姉さんの旦那と不倫してる女が、どの面下げてそんな生意気な態度を取ってやがるんだ! 大人しく縛られて、コイツに抱かれてりゃいいんだよ!」

 愛華先生はショックでしばらく転がったままだったが、顔を上げて全裸の百貫デブの無様な姿を見ると、口を開いた。

「一体、どなたですか?」
「俺はな、興信所の者だが、田島信一とは幼馴染の親友なんだ。お嬢さん、アンタはどういうつもりだか知らないが、コイツはリストラされてアンタにふられたショックで、自殺しちまう所だったんだぞ! なのに、アンタと来たら自分のことばかりで、コイツの気持ちなんざちっとも考えてやらねえ……俺はそれが許せねえんだよ!」

――勝手な嘘を付くなよ……

 実の所実家で食べさせてもらっている気楽さで、自殺するだなんてこれっぽっちも考えてはいなかったのだが、そんな貫太の作り話が応えたのか、愛華先生は複雑な表情で俺の方をうかがった。よし、良心は痛むが、ここは貫太に任せて自殺寸前まで思いつめていたフリをすることにしよう。俺が好きになった、勝気で正義感が強いが優しい彼女なら、もう俺を邪険に扱うことは出来なくなるに違いない。

「コイツから相談を受けた俺は、アンタと山川理事長の素行を調べさせてもらった。そしたら案の定出来てやがる……付き合ってた男をソデにして、義理の兄との不倫に走るとは、一体どういう了見なんだ!」
「……違うんです……」
「うるせえっ! 言い訳は後で聞いてやるから、大人しく縛らせろ!」

 愛華先生はボソリと抗議を口にしたが、ヤクザの本性を現した貫太は再び暴力的な態度に出た。かわいそうにすっかり怯えている彼女の体を押し倒すと、用意していた白い縄をキリキリと掛け始めたのだ!

――縄って、こんな簡単に掛けられるものか……

 さすがはその道のプロと言うべきか、ショックで再び泣き始めグッタリとなった愛華先生の体に、貫太が掛けていく縄捌きは見事なもので、あっと言う間に上半身が網の目のように雁字搦めにされていく様子に、俺は感心してしまった。衝撃的な写真だった理事長が彼女を緊縛していた縄掛けより、明らかに数段上のプロの業だ。とりわけ芸術的だとさえ思ったのは、格子掛けの厳しい緊縛なのに、愛華先生の小柄な体に似合わぬふくよかな胸の膨らみには一切縄が掛けられず、根元を締めキレイに括り出すように縄が絡んで、より一層豊満な乳房となってニュッと突き出ていたことだ。そして理事長が使っていたケバ立ちの目立つ痛そうな縄と違って、縛ればそれなりに痛いだろうが、貫太の白い縄はどういう素材なのか肌に優しそうで、行動は制限しても愛華先生の体を痛めるものではなかった。そしてなぜか俺の嵌めた手錠は外され、下半身も自由な状態で、貫太は彼女に言った。

「観念して、信一に抱かれてくれるんだな、先生」

 手足は自由だがもう抵抗を諦めたような愛華先生はコクリとうなずいてくれた。貫太の作り話が効いたのだろうか? それとも上半身だけでも貫太のツボを心得た厳しい緊縛が、彼女の抵抗力を奪っているのだろうか? いずれにしろ俺は貫太に感謝して、愛華先生の素晴らしい涎のこぼれそうなボディーに目を釘付けにされていた。

「あ、あの……違うんです。話を聞いて下さい……」

 すると観念した様子だった愛華先生が、手遅れのようにそんなことを言い出した。

「何でい、理事長との不倫のことか?」
「……無理矢理なんです」
「強姦されたとでも、言いたいのか?」
「ええ……内密な仕事の話があるからとだまされて、いかがわしいホテルに入ってしまいましたた。そしたら、いきなり……裸にされて、縛られて、乱暴されました……写真を撮られて、バラまかれたくなかったら、黙って言うことを聞け、と……」
「ひでえ野郎だな!」

 貫太は声を荒げたが、写真を撮って脅迫と言う同じ手口なので、俺はやや気が引けてしまった。彼女に理事長と同じ鬼畜な人間だと見られてしまうのは辛い。

――だから彼女は縛られることに抵抗があったのか……

 俺は愛華先生も辛い立場だったのだと思うと、彼女に掛けてやる言葉が見つからなかった。だが持つべきものは親友で、貫太がそんな俺の気持ちを察して聞いてくれたのだ。

「それじゃ、コイツと別れさせられたのも、理事長のためなんだな?」
「はい……信一さんが嫌いになったわけでは、ありません」

――愛華先生っ!

 俺はそう呼び掛けて抱きしめてやりたい気分になったが、続いて彼女の口から語られた真実は意外でかつ俺にとっては辛いものだった。

「お義兄さんは、私の結婚相手を勝手に決めて見合いするよう、うるさく言って来てたのです。だから私があなたとお付き合いしていることを知って、お義兄さんはあんなひどいことを……あなたのことを忘れさせてやる、と言って乱暴されました……」
「屁理屈もいいところだ! ただ自分の嫁さんのキレイな妹を犯りたかっただけじゃねえか、この鬼畜などスケベ野郎め!」

 貫太が激怒しているのはもっともだったが、俺の頭の中にはそれより、愛華先生が理事長に強姦されたのは自分のせいだったのか、と言う慙愧の念が渦巻いていた。そこでその素直な気持ちがそのまま俺の口から出る。

「すみません、僕のせいだったんですね、こんなことになったのは……」
「あなたのせいではありません!」
「そうだぜ、信一。よく考えるんだ、悪いのは理事長じゃないか! お前が謝ることは何もねえぞ……」

――愛華先生を、理事長と同じ手口で縛ってしまった……

 何と言うことだ。結局俺は憎むべき悪漢の理事長と同じことを愛華先生にしようとしているのではないか! 急速に気持ちが冷え込み、萎えかけた俺をしかし、驚くべきことに当の愛華先生が救ってくれたのである。

「信一さん、私を抱いて下さい。そして、汚らわしいお義兄さんとのことを忘れさせて……」
「けっ! 何でえ、結局好き同士なんじゃねえか……理事長をとっちめる方法は後で考えるとして、とりあえずベッドインと行こうぜ」
「あ、あの、もう解いて……」

 俺に「抱いてくれ」と言った愛華先生は、縄掛けを解いてくれと頼む。俺はそうしてあげても良いと思ったのだが、貫太は許さなかった。そして結果的にはそれが正解だったのである。この歳でついこの間まで童貞だった俺は本当に情けない男で、この後貫太の助力がなければ愛華先生との初体験は悲惨なものになっていたに違いない。

「お嬢さん、いや先生、そいつは出来ねえ相談だ。何しろ、信一はアンタ一筋にと思い詰めてまだ童貞なんだ。コイツの初えっちがうまくいくよう、協力してやってくれ」
「あっ! な、何を……」

 貫太が愛華先生に「協力」態勢を取らせていくと、俺の目はテンになった。

「へへへ、童貞は穴の位置すら良くわかんねえからさ、先生のおま○こをパックリ開いてやってくれ……」
「ああ、こ、こんな……は、羞ずかしい!」

 何と貫太は愛華先生の右手と右膝、左手と左膝を括り付けると、まるで赤ん坊がオムツを取り替えられるような格好でモロに股間を晒け出す格好に縄を掛けていったのだ。AVで見る「まんぐり返し」に近いだろうか? まるで愛華先生が自分から手で脚を開きアソコを露出させて誘っているようで、見ていると頭がクラクラするくらい卑猥だ。

「へへへ、アンタ、ホントに30過ぎてんのかい? マ○コも木の芽もキレイなピンクじゃねえか。ほら、ケツの穴までおちょぼ口みてえでかわいらしいと来ている。畜生、信一が羨ましいぜ……」
「イヤッ! イヤッ! こんな格好……信一さん、お願い、見ないで……」

 見ないでと言われても俺の目はもちろん釘付けだ。当然だろう。そして一旦萎え掛けた股間も荒々しく復活して痛いくらいになっていた。

「よし、信一。キスしてから抱いてやりな。いいか、絶対に、いきなりチンポを入れたりするんじゃねえぞ」
「せ、先生! 愛華さん……
「ああ、信一さん……」

 俺はもう貫太の手前気恥ずかしくて「木村先生」とかしこまった言い方をしていたのをやめて下の名前で彼女を呼び、夢中で唇を合わせていった。何とこれが彼女との、いや俺の人生を通じてもファーストキスだ! 貫太と再会しなければ、一生女を知らない悲惨な人生だったかも知れなかった。俺はもう自分の唇と彼女の柔らかい唇が触れ合った瞬間に感激と興奮のあまりわけがわからなくなり、激情のままに唇を吸い続けながら両手を彼女の素晴らしい豊乳に被せて揉みほぐすようにした。

「んんーっ!」

 愛華先生も俺の乳揉みに感じてくれているのか、唇を外そうとする勢いで熱い呻き声を洩らした。どのくらいそうやっておっぱいを揉んでいただろうか? もう十分だろうと思った俺は股間でドクドクと爆ぜんばかりの勢いで脈動するイチモツを手に持つと唇を離して、いよいよ彼女に突撃しようとした。ところが。

「嫌っ! やめてえっ!」
「こら信一! おめえ何やってるんだ!」

 確かに俺のペニスを目にした愛華先生は大声で拒絶の意を表し、俺は貫太に羽交い絞めにされて彼女の体から引き離されてしまった。

「何するんだ!」
「ちょっと待て! 冷静になれよ、信一……」

――こんなときに、冷静になれるかよ……

 だが柔道で鍛えた俺にも負けないほど貫太の力は強く、しばらく揉み合っていると、次第に頭がさめてきた。

「オメエのチンポはデカ過ぎるから、しっかり女を感じさせて、アソコを開いてやらなきゃいけねえ、とあれほど言っただろうが!」
「い、いや、だからそのつもりで……」

 長々と乳房を揉んでやったつもりだったのだが。

「乳搾りじゃねえんだ。バカみたいに力一杯乳を揉んでも女は感じやしねえぞ。なあ、先生、痛かっただろう? 正直に言ってやれ」
「……はい。すごく痛かったです……」

――何てこった。愛華先生が呻いてたのは、苦痛を訴えていたのか!

 俺は正真正銘の大馬鹿者だった。

「これだから童貞に任せちゃおけねえな」
「あ、ああ、すまない」

 貫太に謝るのもどうかと思ったが、俺は素直な気持ちを口にした。まだ浅い性経験なりに必要な前戯のつもりで、熱を込め、十分な時間を掛けて乳房を揉んだつもりだったのに、愛華先生に「痛かった」の一言で片付けられてしまった。もう砂上の楼閣に等しかった男のプライドなど雲散霧消していた。

「しょうがねえな。俺が少し手伝ってやるよ。いいな? 信一」
「ああ、悪いな」

 だからこの道のプロである貫太の申し出に、俺は一も二もなくすがることにした。が、問題は愛華先生の気持ちだ。今日会ったばかりの得体の知れぬ百貫デブの中年男に易々と気を許すとは思えなかったし、勝手ながらそうであって欲しいと言う彼女への憧憬の念もあった。

「先生、ちょっくら体を弄らせてもらってもいいかい?」
「そ、そんな! イヤです!」

 やっぱりと言うべきか、ホッとしたと言うべきか、愛華先生は貫太の参戦に「ノー」と答えてくれた。だがもちろんここで貫太にアッサリ引き下がられても困る。俺は非常に複雑な心境であった。

「そうですか。それは困ったな……そうだ!」

 本当に困ったのかどうか知らないが、そう口にした貫太はしばらく考える格好をしてから、思い付いたように手を叩く。そして貫太の提案は俺には思いも寄らぬことだった。

「おい信一。お前先生にしゃぶってもらいなよ」
「何!?」
「先生、コイツのチンポをよく見てて下さいよ……」

 俺は貫太の真意を測りかねていたが、言われた通りペニスを手で持ち彼女の目の前で誇示して見せた。

「どうです。ずいぶんと大きいでしょう?」
「はい……」
「こんなのと、えっちしなきゃならないんですよ。俺が見た所アンタのおま○こはとてもキレイで、まだあまり使い込んじゃいないと見える。大丈夫かい?」
「怖いです……」
「だから、大きさになれるためにも口でしてやってくれよ。それがアンタのためでもあるんだ。いいな?」
「ああ……はい」
「よし信一、先生の気が変わらないうちに、しゃぶってもらえ!」

 俺は何となくマヌケだなと思いながら、お願いします、と頭を下げ、ダルマのように縛られた愛華先生の後ろに膝を突き、後頭部の方から勃起が過ぎて痛いくらいに疼いている肉棒を差し出し口に挿入していった。

――うおっ! これが愛華先生のオクチの感触か……

 嬉しそうに頬張って積極的に口を使ってくれた優美ちゃんと比べると、テクニックも何もなかったが、あの愛華先生が俺のナニを受け入れ口にくわえてくれたと言うだけで、感激のあまり、俺は全身が慄えるほどの興奮に包まれた。そして男のモノをくわえた女性の本能なのか、彼女の口はたどたどしく動き始めたのである! 俺は一気に股間に血が逆流するような気分に陥り、すぐに出してしまわぬよう、尻穴に力を入れて踏ん張らねばならなかった。

「それじゃこの間俺は、先生のカラダがこのデカイのを受け入れる用意が出来るように、細工をさせてもらうよ」
「んんーっ!」

 愛華先生は拒絶の意思表明なのか何やら呻いたが、あいにく俺のイチモツが口を塞いで言葉にならない。なかなか考えた策略だ。そして貫太はさらに意外な行動に出た。

「俺のような正体不明の男が相手じゃ、先生も不安だろう。助手を呼んで来るから待っててくれよ。信一、出してもかまわねえが、本番に備えて残しておけよ」
「ああ、大丈夫だ……」

 俺は太過ぎるせいか苦しそうに美貌を歪める愛華先生の口に含まれる歓びに浸りながら、意外と保ちそうなので驚いていた。フェラチオは女性に奉仕してもらう精神的満足感が大きく、よほど上手な女でなければ肉体的な快感はそれほどでもない、とは後から貫太に聞いたことだ。今の俺は正にそんな状態で、愛華先生にしゃぶってもらうこの幸せな状態を望むなら、いつまでも持続できそうな気分になっていた。

「かわいい助手を連れて来たぜ。担任だったそうじゃねえか、先生」
「木村先生、お久しぶりです。在学中大変お世話になりました、河原林優美です」
「んんんっっ!!」

 山川女子の制服を着た優美ちゃんが貫太に連れられてやって来ると、愛華先生の目は驚きで見開かれ、何やら大きく呻いた。担任までしていたとは知らなかったが、女性器を晒け出し口に男性器を突っ込まれた状態での教え子との対面は気の毒だった。だがそれを慮ったのかエロ娘優美ちゃんは自分でスカートをめくって見せて言う。

「先生、羞ずかしがらないで下さい。私だって、ホラこんなえっちな格好。お世話になった先生が気持ち良くなれるように、心を込めてお手伝いします。一緒に気持ち良くなりましょう、先生」

――優美ちゃんって、ホントに不思議な子だよなあ……

 恩師に向かってミニスカをめくりノーパンの股間を見せただけでなく、指でキレイなピンクの淫唇をビロンと広げて見せた優美ちゃんは、やってることはメチャクチャに卑猥だが、外見はおっとりして性格の良さそうな美形の女子高生時代と変わらず、丁寧に挨拶する姿とのギャップがあまりにも激しい。そしてさらに、俺の巨根をくわえ込むための貫太の言う「細工」に彼女まで参加の意思を示したことに、愛華先生はどんな思いになったことだろう。だが俺の大きなシンボルに喉の奥を突くほど口の中を占拠された愛華先生は呻くことしか出来ず、目を白黒させている。そして優美ちゃんは小道具まで用意して来ていたのである。

「先生、目隠しをさせてもらいます。こうされると女の子はいつもの何倍も良くなってしまうんですよ……」

 なるほど、実に手の込んだやり方だ。優美ちゃんに目隠しされた愛華先生は目に見えて体をワナワナとおののかせ、小刻みな慄えが止まらなくなったのが、俺にもわかった。

「これは、えっちがシタクてたまらなくなる、魔法のクスリだぜ、先生。優美は乳に塗ってやりな。俺は下の方に失礼して……」 

 それは優美ちゃんが痒いと言って泣き出した回春剤だろうか、2人は愛華先生の胸と股間にチューブに入った怪しげなクリームを塗り付け始めた。あのとき貫太が言った通りなら、縛られて「えっちがシタクなるクスリ」を塗られた愛華先生も暗示に掛かってしまい、男が欲しいと泣き出すのだろうか? いつもの勝気な姿からは想像も付かない気がしたが、そう思うと彼女の口にペニスをくわえられた俺は、徐々に気分が盛り上がり射精欲求が込み上げて来るのを感じていた。

「先生、きれいなおっぱいですね。乳首もピンクで女子高生みたい……」
「全くだ。ホレ、木の芽は剥いてタップリ塗ってやるよ」
「んんーっっ!!」

 又呻いた愛華先生の顔が、ハッキリ喜悦を浮かべているのがわかった俺は、もう我慢が出来なくなった。

「うわ、もうダメだ、出ちまう!」
「いいぜ信一、好きなだけタップリ出しちまいな!」

 優美ちゃんと貫太の指で、あらぬ所にクスリを塗られている愛華先生の口中に、俺はドッと精を放出してしまった。が、淫靡な作業に没頭している2人は笑ったりせず、乳首に丁寧にクスリをまぶしていた優美ちゃんが言った。

「先生、ゴックンしてあげなきゃ、ゴックン!」



▲ BACKNEXT ▼



この小説は、完全なフィクションであり、実在の人物、
団体等と何の関係もありません。
この小説へのご意見、感想をお寄せください。
感想メールはcopyright下のアドレスまで


NEXTBACK TO NOVELS INDEX


18's Summer : 官能小説、恥辱小説とイラストの部屋