あとがき。

『知恵の樹に愛の花咲く』という作品のあとがき自体はとうの昔に(もう何年前だ……? DQ3書き始めてからそんな時間経ってない頃だもんなぁ、けっこう昔だよなぁ……)書き終えているわけですけれども、せっかくですので100のお題版のあとがきも少し。
 いやー、やっとのことで100のお題、『知恵の樹に愛の花咲く』終えることができました。ようやくマイDQ3・2nd、完全終了です。まぁキリリクとかされたらお望みに合わせて書きますけれども。
 知花は自分にとっても初めて書き終えたDQ3話として、かなり思い入れのある話です。キャラもストーリーも、自分なりにけっこう好きな形に仕上げることができたという気もしていますし。
 なので、100のお題は(他にページがある作品は)DQ3の二次創作の掟にのっとり(掟って)、ゲーム内ストーリーのその後話を書きたいな〜と思っておりましたのですが、そちらの方もおおむねきちんと書き終えることができたと思います。自分的には、ですが。
 特にラストの『禁忌』……ゲーム終了から二十七年経って、本編に出てきたキャラはみんなおっさんおばさんになって、作った子供がもう成人とかしちゃって……とかいうの、DQ3二次創作的にはえ〜? って思われる方もいるかと思うんですよ。本編でラブラブしてたキャラがおっさんおばさんになったところなんて見たくない! みたいな。……ゲットとユィーナは相変わらずのバカップルで本当に申し訳ないんですが……(沈痛に)。四十五であれってはっきり言ってかなり痛いですよね(でもあの二人はああいうのしか思いつかなかったのごめんなさい)。
 でも、自分的に知花ってそういう話っていうか。なにせゲーム内の記述無視して、パーティ内のメンバーがラダトームに残って、がっつり王国改革までしちゃってるわけですから(子供たちが通う中高大学とか創ったのもユィーナ主導でしょう)……老後の人生設計まで込みの話なように思うんですよね。なんていうか、すごく地に足がついてるっていうか。ユィーナの思想が反映されてるのかもしれませんが。
 なので伝説的に美しく『二度と姿を現すことはなかった……』とフェイドアウトせずに、英雄としての名声と実力をがっつり発揮して、おっさんおばさんになってもバリバリ仕事してしっかり生きてる逞しい奴らになりました(笑)。ちなみにディラとヴェイルを上の世界へ帰らせたのは……まぁ単純に、いつでも行き帰りができて仲間ともいつでも会えるんなら上にいても別にいいし(家族とかもいるし)、ユィーナがラダトームに取りかかってる分アリアハンの方を自分たちが引き受けてもいいんじゃないか、と思うんじゃないかな、と。まぁ、ディラもヴェイルも政治家にはあんまり向かない性格してますが……実はヴェイルは盗賊の新技術(つまりそれは防犯の新技術でもある)の研究家として名を馳せつつも、アリアハンの民主化のため駆け回る政治活動家でもあったりするのですよ(ディラの協力あってのことでもありますが。ちなみにディラは一流派の主として道場を構えてます)。なんのかんので、ヴェイルけっこう男を上げてるんじゃないかと思います。
 えー、あと、ディラとヴェイルがほとんどなんの前振りもなくくっついたりしてますが(いや、隠しにはがっつりありますが、前振り)……自分的にはあの二人はくっつくだろうと最初から思ってたのですよ。バカップルの間で手助けしたり困らされたりしてたあの二人の心の距離は非常に近かったですし、どっちかが強い好意を持って押しまくったら(他に好きな人がいるとかでなければ)あれよあれよと流されて落ちちゃうんじゃないかな、と。
 たぶんディラが猛禽の鋭さと毒蛇のしつこさをもって、時に押し、時に引きとその恋の駆け引きテクニックを駆使して『好きだ』と言わせたんじゃないかな、と思っておりますが。とにかく、こいつらも何気にかなりラブラブ仲良し夫婦ではあると思います(四十八と四十六の夫婦でも)。
 そして二つの夫婦から産まれた十三人の子供……と(笑)。いや、実際金持ちじゃなければこれだけたくさん子供作っても大丈夫! とかできないですよね。別に無計画じゃなく、レベルが上がったゲットのユィーナ孕ませ能力を防ぐためには(そのための薬を作るには)十人子供を作るだけの時間がかかった……というまいったオチなわけですが。
 ともあれ、十人子供ができまして、そのうちの一人が寂しさを感じていたのを、大人たち(と他の子供たち)が後押ししてなんとかしてやりました、という話でした(『禁忌』は)。ちなみにディラとヴェイルの間の子供たちですが、ジリエラはディラの道場の師範代をやっており(武闘家)、クロードは政治を志しており(ディラたちの働きかけで新しく作られた職業である政治家≠竄チてます)、サイファはセーヴァのお嫁さんになれたらなぁと思っている乙女です(まだ十三なので職業は決まっていない)。ついでに言うとサイファがセーヴァを好きになったのは、五歳ぐらいの頃両親と喧嘩して森へと飛び出し、そこを追いかけてこられて(『おじさんとおばさん、しんぱいしてるよ』とか言いつつ。ここでいろいろ言ったのが『あんたが言ってくれたことでもあるし』なわけなのですよ)、迷ったり獣に追いかけられたりと子供には命懸け的なトラブルに見舞われつつも、諦めずに自分には優しい言葉をかけながら、自分も不安で不安でしょうがなかったり実はけっこうひどい怪我とかしてるということを見せずに両親のところへと導いてくれた、という少女漫画(少年漫画?)な思い出があるせいなのでした。
 しかし、まぁ……隠しの話の頃と比べると、実際ヴェイル成長しましたよね〜……というか、成長したように書こうと頑張ったつもりなんですがいかがでしたでしょうか。言葉遣いとかもちゃんと大人の男〜、という感じにした、つもり、です……。ゲットへの失恋を乗り越えて、ディラという伴侶も得て、愛する子供たちを作って育ててという経験の中で、イイ男に育っていったという感じにしたかったのですよ〜。ゲットへの態度もかなり変わってると思うんですが。『かつて恋した大切な仲間』的に……。あと、ゲットの考えとかちゃんと読んで、それに対応してうまくなんとかしちゃう、ゲットムカつくけどなんとかされちゃうのがあんまり不快じゃない、的なところも書きたかったの……。
 ゲットとユィーナは基本変わってませんが……それでも長い年月を経て丸くなっているところはあると思います。特にね、子供育てるとかユィーナにだって初めての体験だったわけですからね。基本はベビーシッター(乳母じゃないと思うんですよ。自分の母乳を無駄にしたくないっていう気持ちもあるだろうし、第一育てられる相手が一年ごとにころころ変わってたら子供も混乱するでしょうし。たぶん基本は搾乳した母乳を飲ませてたんじゃないかな)に任せてたでしょうが。育児書とかも読み漁ったでしょうが、ラダトームにはそういう育児とか教育についての学問とか確立されてないでしょうからね、一から学問を創るみたいな苦労は必要になったはず(そしてその成果を書物に著してベストセラーに)。
 自分たちの間に、自分たちの血を受け継ぐ、でも自分たちじゃない人間が入ってくる……っていうこと自体、バカップルとしていろいろ考えるところもあったでしょうし。特にゲットは、自分たちの邪魔者に対するムカつきと自分たちの血を受け継ぐ者に対する父性愛に引き裂かれて無駄に大変だったんじゃないかと。たぶん今でもはっきりした結論出てないんじゃないかな。考えるのに向いてない奴だし。ただユィーナ愛≠フ他にも子供たちを護る≠ニかの感情が生まれただけで。
 そんな彼らの教育法はたぶん子々孫々まで受け継がれる気がするので、DQ1の時代とかでも勇者ロトの血を受け継ぐ本家としてクランズ家残ってたりするんじゃないかと思います。自分的には他のDQ3話と違って、3〜1の間にはせいぜい五百年くらいの時間しか空いてないんじゃないかと思うんですが、そのくらいは残ってるんじゃないかな、普通に。そんでもはや象徴として形骸化した王家に頼られて、仕方なくたまたまゲットの使ってたグレートヘルムがぴったりだったクランズ家の若者の一人が(そりゃ武芸はそれなりに達者だったでしょうが)旅に出されて、うっかりラダトームを救ってしまうんじゃないかなーと。
 2はその百年後で、その若者がローラ姫と世界をうろついていてうっかり蛮族というか、あんまり文明化されてない集落の人々を魔物とかから救って王家として祭り上げられ(そういう人たちには民主政治の理念とかなじみにくいものでしょうし)、仕方なく本家に協力を得て民衆を啓蒙しつつ頑張っていたら、なんとハーゴン出現、曾孫が倒してうっかりますます王権が強化されちゃいました、みたいな。ご先祖様も苦笑なさることでしょう。
 まぁ、いろいろ書きましたが、とにかく自分的には知花の面々はみんないつまでも幸せに暮らしました、っていうのが一番ふさわしいんじゃないかと思ってます、ってことで。これまで読んでくださったみなさま、本当にありがとうございました。他のDQ3話はまだまだまだまだ続きますんで、気が向いた時にでも読んでくださると嬉しいです。

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