あとがき。

 ここまでお読みいただき、大変ありがとうございます。
 いや〜なんというか……まさか自分がW小説を書くことになるとは思ってもいませんでしたよ……。むしろこれは書かんなぁと思っていた作品でした。人生ってわからないね……。
 で、のっけから申し上げますが、自分は別にアンチクリアリというわけではありません。
 むしろクリアリ自体は普通に好きだと思います。サーチエンジンで検索して気になった小説読み漁ってみるくらいには。
 なのに、なんでこういう小説を書いたかと申しますと。
 自分がクリアリを嫌いじゃない数十倍のパワーをもって、自分がクリフトが気に入らないからです。
 トークとかではもう書いてるんですが……自分W実際にプレイした時(FC版でしたが)サントハイム三人衆気に入らなかったんですよ。いざという時はほとんどライアン&マーニャ&ミネアでした。デスピーはライアン&アリーナ&ドランで倒しましたが(オイ)。
 なぜか。
 それには以下の理由が挙げられます。
1.ビジュアル。
2.性格。
3.椎名誠が京都を嫌いなのと同じ理由。
 ……つまりはですね。あまりに人気があるから気に入らなかったんです、正直言うと。ビジュアルが気に入らなかったのもあいまって、なんでこいつらこんなに人気あるんだよーとムカついてふんじゃーわしが応援しなくてもいいんじゃろーと拗ねるような気持ちでサントハイムズを遠ざけてきたわけです。
 で、最近……一、二年前までめったにW創作、特にクリアリはケッ、というかなんでこんなに作品数があんだよ気に入らねー、というような気持ちでまず読まなかったんですが。
 他に読むものがない時にちょいちょいと読んでみて、あーなんだ普通に楽しいや恋愛小説楽しい楽しい、と意外にハマってしまったんですよねー。ハマるっつーほどでもないか、なかなか面白いなーという感じで。
 いまだサントハイムズに対する偏見は消えたわけではないんですが、読む分には普通に楽しめるようになりました。
 ですが。それでも、受け容れられなかったのは。
 クリフトでした。彼のアリーナの愛し方でした。
 ファンの方ごめんなさい、クリアリファンはたいていクリフトが好きっぽいように自分は思っているんですが、自分クリフト嫌いです。いやある意味愛してるがそれは殴り愛というかあっはっは相変わらずやってくれるねぇクリフト君死ねやコラ。と本気でぶん殴りたくなってしまうような愛情なんです。
 なにが気に入らないかっていうのは……作中でもーユーリルにさんざん語らせてますが、アリーナ第一主義なとこ。そして想いを臣下としての忠誠心と誤魔化すところです。
 アリーナが世界で一番好きなのは別にいいんですよ。大切な人がいるのは別に悪いことじゃない。
 だけどね。冒険を共にするパーティの中で、あからさまにひいきしてんじゃねぇよボケがぁ! とか思うわけですよ自分は!
 だってねぇ、一緒に冒険してるんですよ? 戦ってるんですよ? 命預けてるんですよお互いに? だっつーのにあからさまに一人をひいきして、かすり傷だろうがなんだろうが常に一人の人間を優先するっつーのは、パーティ内に不和走りまくりじゃないですか普通に考えて?
 そんな人間が回復役じゃ戦士は突っ込んでいけませんよ。回復役がいてくれる、危ない時には助けてくれると思うからこそ勇気を振り絞って突撃ができるわけでしょ? それがかすり傷を優先させられて死ぬようなことになったら……普通はパーティ解散ですよ。ねぇ。
 曲がりなりにもパーティメンバーの一員であるならば、その信頼に値するだけのことをしろってんですよ! 共に戦う味方の信頼を裏切るっていうのははっきり言って人として最低だと思うんですけど!?
 アリーナだって複雑だと思うんですよ普通に考えたら。作中でも書いてますけどね。どこまでもあからさまにひいきされて、共に戦う仲間として扱ってくれないのは自分の考えるアリーナの性格からすると悔しいし悲しいし腹が立つと思うんですよねー。ひいきの引き倒しって言葉知ってますかクリフトさんって感じですよ。
 それにアリーナしか見えてないところも非常に気に食わん。自分は基本的にただ一人の人間以外に価値を認めない人間というのは大嫌いです。恋愛小説とかにはよくいますけどねこういう奴。自分は嫌い。超ムカつく。二人のためにしかない世界なんてつまんねーよ絶対と思うわけ(TALK――ガンパレ速舞の速水についてで語ってますが)。
 つまり共に戦う仲間たちをアリーナ以外その他大勢と認識しているところがもーっ、超気に食わんのですよ! お前にとって共に過ごした日々はなんの価値もないというのかぁぁ! と殴りつけてやりたい。自分仲間友情スキーだからさー。すいませんね好きな方。
 はっきり言って、こんな男にはアリーナはもったいないと、強く強く強く思うわけで!
 で、そんな超ムカつくクリフトの恋愛模様をなぜ書きたいと思ったかというと。
 クリアリでですね、いくつか男勇者が登場する作品を読んだんです。で、そん中でですね、クリフトと勇者が普通の友人やってて、アリーナと勇者が仲良し、っつーのがもうっ! もう大好きで!
 W勇者には微塵も興味がなかった自分ですが、この勇者にはハマりました。可愛い。なんて可愛い関係なのあなたたち。
 友人友情関係と言うのが大好きな自分にとって、この可愛い勇者はたまらなくラブでした。クリアリをくっつけようとそれなりに尽力する優しい友達。双方の一番の理解者。ああ素敵! この勇者なら書きたい! と思ったわけ。
 でも自分はクリアリをくっつける気は微塵もなかったし。第一アリーナがクリフトを好きになる理由というのが……基本的に一番そばにいた身近な異性だから、って理由っぽいですよね、たいていのクリアリで? それがちょっと面白くなくてですね。
 なんつーかクリフトに比べあまりに軽いって思っちゃったんですよねー。自分はアリーナにも恋をしてもらいたい。誰かを思って胸を焦がす感覚というのを味わってもらいたいと思ったわけですよ。
 で、個人的趣味でクリ→アリ→勇→マー、というカップリングを考えたわけです。マーニャっていい女だと思うんですよー、少なくともW女キャラの中では自分は一番好き。そんなマーニャに相手を作ってあげたいと思ったのですね。
 ライアン×マーニャも好きなんですが。あちこちの小説で添え物のようにライアン×マーニャが扱われているのを見て、少し食傷気味になったというか……ライアンにはホイミンがいるだろ!? という想いの方が強くなったというか。自分ライアン×ホイミンなんで。久美沙織さんの小説を読んだ時からねー
 ちなみに勇マーというカップリングにした理由は、公式カップリングである勇者×シンシアにあんまり魅力を感じなかったっていうのもあります。なぜかというと、理由はいろいろあるのですが……。
 まず、シンシアのキャラがつかめないということ。わずかな台詞から感じ取れるシンシアのキャラ性は書き手によって本当にいろいろですが……なんというか基本的に、あんまり個性が感じられないんですよね、シンシアって。自分には。
 典型的なヒロインっていうキャラタイプで、強烈な個性とか魅力とかあんまり感じない、勇者のカプ相手としてのみ存在を許されているような。そういうとこがどうも気に食わんのですよ。
 あとは自分が仲間萌えなので一緒に旅ができないからつまらんとか(マイ好みですまん)……目の前で勝手に死なれてムカつくとかですかねぇ。シンシアのキャラ設定と物語の作り方次第で非常に魅力的なカプになるとは思うんですけど。
 では自分的勇マーの魅力を上げてみましょうか。その1ー、年下攻の魅力!
 マーニャは年齢設定はありませんがWの中では基本的に年増扱いを受けているキャラです。年上の女として勇者やクリフトをからかい翻弄し時に包み込む余裕たっぷりの女、そこがマーニャの魅力のひとつ。
 そこをあえて崩す。年下の男のひたむきな思いで、ペースをどんどん狂わせていってしまう、こんなはずじゃないのにとか言いながらいつの間にか翻弄されている、これぞ年下攻の底力! どうですか萌えませんか!
 その2、純真×あばずれの魅力! マーニャはねー、基本的に自分をいい加減であばずれな女だと思ってると思うんです。真っ当じゃない、不真面目な女だとね。
 実際マーニャはいい加減ではあるんですが、筋は通す女だと思うんです。自分をあばずれだと思っている心根は純真な女! それが純真な男に惚れられる! こんな女に惚れちゃいけないと男の純真な思いを拒否する女! でも心のどこかが信じたいと悲鳴を上げている! でも私のような女はあの人にはふさわしくない……とか思ったりなんかして。くうっ、素晴らしい!
 あ、それと自分をあばずれだと思っているからこそ体で慰めたりできるっていうのもありますね。童貞を捨てさせてくれた女、初めての女、不安を体で解消させてくれた女になれる強み! 年上の女ならではですよこれは!
 その3! 自分を救ってくれた人への恋≠フ魅力!
 マーニャとミネアは一番最初に会う仲間。世界を壊されて目的もなにもなく放浪する勇者に道を示してくれる人です。
 はっきり言ってこの人たちの存在は勇者にとってすんげー大きいはず。だって自分Wプレイしてた時ミネアとマーニャに会うまでかなり切なさ炸裂してましたもん。世界に自分ただ一人、みたいなどこか虚しい思いがつきまとってました。勇者も絶対、その何倍もそう思うはず!
 自分を救ってくれた、道を示してくれた、世界に自分一人じゃないと思わせてくれた。そんな相手への恋! なんというか情熱的で素敵だと思いませんか!
 というわけで自分はなにげに勇マープッシュっぽいです。ウフフ、楽しい。
 アリ→勇の恋が報われないのは最初から決めてました。初恋は報われないもの……だからというわけでもないですが(笑)、自分アリーナに失恋してほしかったんですよねー。クリフトに甘やかされて、なんのかんの言いつつわがまま周囲にいっぱい聞いてもらいながら育ってきて、それで恋もそのまま成就なんてことになってほしくなかったの、面白くないから。
 アリーナには失恋を、挫折を、自分の必死の想いがどうにもならないという無力感を味わってほしかった。一回めいっぱいくじけてほしかったのですよ。そこから立ち上がってこそアリーナという少女の魅力が輝きを増すというものではないですかv
 勇アリも好きなんですけどねー。このカプの魅力はやはり仲間というか異性の親友から恋の相手へと繋がるコンボが素敵でしょう。恋じゃないうちからその仲のよさでクリフトを思いっきり妬かせられるというおいしさもありますしね。
 勇アリでアリーナが勇者を好きになる理由はですね。同じものを見れるという感覚だと思うんですよ。生まれた時からずーっと姫様としてしか扱われてこなかった自分を、姫と知っていながら普通の女の子と同様に扱ってくれる相手。その上自分と同じように戦いに生きる、自分と同じくらい強い相手。その上ありのままの自分を受け容れて仲間と認めてくれる相手。これは惚れて当然というものでしょう。クリフトへの不満点とちょうど裏返しになったところで勇者を好きになれる。
 クリアリを報われさせなかった理由もそこらへんにあります。勇者を好きになって、失恋して、ひとつ大人になったアリーナから見ると、クリフトって絶対食い足りないと思うんですよ。もちろん嫌いじゃないけど、恋愛対象としては物足りない。クリフトの魅力ってアリーナ様命! なとこでしょ? そういうただの自分を好きでいてくれる人≠ェ魅力的に見えるのは、その人か自分の周りの恋愛対象者がいなくなってからですよ。
 なのでクリフトには要修行を申し渡す、という感じで結局アリーナがクリフトとくっついたか否かは不明ということにしました。まぁクリフトも男を磨けば……いや無理かな。まずクリフトは臣下だなんだって言い訳を捨てるとこから始めなきゃ駄目だから。
 アリーナは絶対自分を対等の存在として見ることを相手に求めると思うし、女王となる者の夫というのは臣下であってはならない。対等なパートナーじゃなくちゃいけないんです。クリフトがアリーナに添うには、そこらへんの……なんというか自分の殻を破らないとですね。
 そんなわけで自分はクリ→アリ→勇→マー小説を書きました! お付き合いくださった方ありがとうございました、楽しんでいただけたら嬉しいです!

戻る   『そのほか』 topへ