あとがき。

 ※このあとがきにはゲームのネタバレがありますのでご注意ください。

 今回のキリ番は340000HIT、リンクさせていただいているサイト『BABEL 16』管理者ミナトさんからのリクエストで、『だんじょん商店会〜伝説の剣はじめました〜』の小説、でした。サイトでは取り扱っていなかったゲームの小説なんですが、既知のゲームだったので(たぶんそういうこともあってこのリクにしてくださったんだと思います)、ネタ的には戸惑いもなく。
 で、どういう小説にしろ、とは明言されていなかったので、好きに書いていいんですが、自分は勝手にミナトさんにレスの時『アイサラでいきますっ!』みたいなことを明言してしまいました。アイオン×サララね。魔王候補生の少年×主人公の魔女。
 このゲーム、検索していただければ見れると思うんですが、キャラデザの佐々木亮さんの絵柄のよーに全体的にほわーんとした可愛くて優しい雰囲気のゲームでして、システム的にはダンジョンに潜ってそこで得たアイテムを売る、を基本にしたお店経営&RPGみたいな感じなんですが。のほほんとした世界観の中に、ときおりペーソスが挟まってるのも特徴だったりするんですね。
 冒険者の死体がアイテムだったり(教会に持っていくと所持金の半分と引き換えてくれる)、勇者というものの認識がシビアだったり(ここだけじゃないけど、有名RPGのオマージュ的な感じ)。で、その中でもっともいろんな人に印象深くシビアだろうと思うのが、魔王候補生の魔族の少年、アイオンなんです。
 彼は一緒にダンジョンに潜ってくれるパーティ(いくつか固定のパーティがある・組み替え不可)のひとつのリーダーでして、まぁいろいろあって一緒にダンジョンに潜ってくれるようになるんですが。まぁ魔王候補生とか魔族とかいうだけあって、いちいち陰を背負ってる子なんですな。クールで無口でいかにも心閉ざしてますーって感じのスタイル崩さないし。言葉の端々にけして幸せではなかった半生がうかがえたりするし。
 でもですね。そんな彼が、サララには、サララにだけはその心を開いてくれるんですよ。微妙に優しいんですよ! それでもクールなんですけどね! なんというかサララが、サララだけが彼の心のよりどころ、みたいな雰囲気ぷんぷんなんですよ!
 その最たるものがエンディング。このゲームどのパーティで魔王を倒すかでエンディングがけっこう、というか相当変わるんですが、アイオンと一緒に魔王を倒すとですね。アイオン、魔王になっちゃうんですよ。魔族の軍勢率いて人間世界に侵攻しちゃうんですよ!
 で、戦争が起きてばかすか人が死んでー、みたいな中で、サララは一人死者のためにお墓を作って、そんな彼女の脇にアイオンはたたずんで言うんですよ。『お前は、優しいな』って。『自分が死んでも墓標はいらないが、サララにだけは自分のことを覚えていてほしい』って。
 なんというか……もう……アレですよね、乙女的に強烈なフィニッシュブロウですよね。自分アイオン一目見た時から好きでしたけど、これでもう全面降伏しました。
 で、第一印象からそのまんま自分はアイサラなんですが。主人公の魔女サララ。彼女って、喋んないんですよね。名前も変えられる、わりとDQ的な主人公で。
 あちこちの二次創作見た感じだと、彼女は優しくてほんわかしてる、でもしっかりした商売人って感じなんですが(ゲームブックでもそれっぽい感じだったし)。自分のイメージもそれに近いんですが、自分サララって無口≠チて印象が非常に強くってですね。客がなんか言っても無言の笑顔でてきぱき対応、みたいなイメージがありまして。たぶん目が髪で隠されてるせいもあるんじゃないかと思うんですけど。
 で、そこらへんからなんか話を膨らませて、できるだけたくさんキャラを出しつつ(他のキャラもいちいち可愛いので)アイサラにできないかなー、とぐるぐる考えていたら……最終的にはこんな話になってしまったわけです……。商売以外で人と話すことに怯えてしまうサララの話。
 いや、アイサラだけど、少なくとも自分的にはアイサラなんだけど、なんだか最初の予定とか求められているであろうものとは、違う、ような……。自分がこれまでたくさん書いてきたぐだぐだ悩み小説の香りがする……。
 ううう、違うんだサララはもっと明るくほんわかした子なんだー、と思いつつもこれはこれでそれなりに完成してしまっている気がするので消せないままアップさせていただくことにしてしまいました。ミナトさん、自分に甘い奴で申し訳ありません。この小説、どうぞ煮るなり焼くなり好きに料理してくださいませ。
 機会があったらこの『無口なサララ』という題材をもっとうまく料理してみたいなぁ……と思います。いやすいませんそれよりも先に予定の更新物なんとかするべきですねすいません。
 ……自分はもしかして、明るい子を書くのが、下手なのか……? まずいいろいろ思い当たってしまう。ラブラブ甘々とか前振りがないと書けない奴だし……いちゃいちゃしてるとこ書くの楽しいけどそれよりもぐだぐだ悩んでるとこ書いてる時の方が圧倒的に多いし……うああ自分の根暗さをこんなところで思い知らされることになろうとは……。
 ちなみに題名の意味は『ある日、ありふれたかけがえのない話』って意味のつもりです。

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