舞「第五試合か……滝川VS大河。いよいよだな」
速水「そうですねー、今回の試合は双方愛用の人型兵器、士翼号とスターに乗り込んで戦います。ロボット対決としても見応えのある試合になりそうですねっ。では、みなさん試合結果はどう予想されますか?」
舞「……ふむ。七三で滝川、だな」
トロデ「わしは五分というところじゃと思うておる」
マスター「俺は……六四で滝川、かな」
速水「ほほう、全体的にやや滝川有利という方向のようですが。トロデさんはなぜ五分と?」
トロデ「純粋に戦闘能力として見た場合、士翼号はスターに大きく勝る。その機動力は驚異的じゃし、そもそも大きさがまるで違う」
速水「士翼号は全長9m、スターは全長4mですから倍以上違いますね」
トロデ「じゃが、スターには士翼号にはないものがある。回復能力と必殺技じゃ。これは大きい。おまけに士翼号はダメージに極端に弱い。いいのを数発もらえばあっというまにまともに動かなくなる。それを考えれば、大河にも勝機は十分以上にある、とわしは見ておる」
速水「なるほど。では残りのお二人は?」
マスター「おおむねトロデ氏の意見に賛成だが、俺は耐久力の差で滝川と見た。確かに故障率の高さは問題だが、士翼号が壊れても滝川はウォードレスを装備してるからまだ戦える。その状態でも十分な戦闘力はあるしな。滝川の体力は驚異的だし、それを全部削り取る前にスターがぶっ壊れる方が早いだろうと俺はふんだ」
舞「うむ。私はそれに加え、滝川と大河の戦闘経験の差、それに伴う戦術眼により滝川を有利とした。大河も演習の数は滝川に劣っていないが、実戦を戦った数には大きく差がある。そして大河は隊長として隊を動かすための戦術を、滝川は自らが生き残り敵を全て倒すための戦術を研鑽してきている。一対一の戦いでどちらが上回るかは自明、この差は小さいようで大きいぞ」
速水「ふむふむ〜。……さぁ、両選手の搭乗したちょっとだけ巨大ロボがそれぞれ舞台の上に上ろうとしておりますっ!」


 ギギィ、ガッション。ガッシャガッシャガッシャ。
 ブォン、ブーン。ズシン、ズシン、ズシン。
皆守「……………………」
速水「さすがの皆守審判も見上げるほどにでかいロボたちにちょっとビビってる模様です」
皆守「誰がだッ!」
滝川『行くぜ、新次郎』
新次郎『……よろしくお願いします』
皆守「……クソ、誰がビビってるって……? 始め!」
滝川『フッ!』
速水「おーっと滝川選手すり足で一気に間合いを詰めたーっ! 両手の大太刀を振りかざし、一気に攻撃の構えだーっ!』
新次郎『……狼虎滅却』
速水「なんとっ! 大河選手間合いを取りながら必殺技の構えっ!」
滝川『ち!』
新次郎『天、地、人、いくぞっ!』
速水「滝川選手踏み込むが……それよりも大河選手の方が早いっ!」
新次郎『暴虎氷牙!』
 ズッドォーン!
滝川『……ぐ……っ!』
速水「……滝川選手、大ダメージーっ! 装甲が一気に吹っ飛んだーっ!」


新次郎『………………』
速水「どうやら大河選手、必殺技を放ったあとは間合いを取って様子を見ているようですが……滝川選手、動けるのか……?」
滝川『……………………!』
マスター「! あれは!?」
舞「……(ふっと笑って)そうでなくてはな、滝川」
速水「滝川選手っ……幅跳び前っ! 士翼号の驚異的な機動力を活かし、JFで一気に間合いを詰めるーっ!」
滝川『らぁっ!』
 ガスッ!
速水「滝川選手大太刀で突いたっ! JFSのコンボ、さらにっ……」
滝川『せぇっ! いっ! のっ!』
新次郎『ぐっ、あっ、くっ……!」
速水「振り上げる→突く→振り上げる→突く! さらに返し刃でJFSAFSAFSV! 防御のことを考えていない超攻撃型コンボーっ!」
舞「……攻撃されれば体力はどんどんと削られる――だが、士翼号であのコンボを使えばスキュラも一撃だ」
滝川『これで……どうだーっ!』
新次郎『が……っ!』
 プシュゥン……
速水「スター、活動停止ーっ!」
皆守「………勝者、滝川」
 カンカンカン!
 ウォォォッ!
速水「……ど? 滝川の戦い、満足いった、舞?」
舞「……たわけ。あやつがこの程度で満足するはずなかろうが」


速水「では、今回の戦いを振り返ってみましょうか。今回の戦いの決め手はなんでしたか?」
舞「身体能力のクロック数の違いだな」
マスター「端的に言えば、スピード。だろ?」
舞「うむ」
速水「といいますと?」
トロデ「最初の一発の攻撃力は新次郎の方が高かったのじゃ。ダメージに弱い士翼号は、これで大きく性能低下した」
マスター「だが、そこから滝川は、機動力でかく乱させることではなく速攻で勝負をつけることを選んだ。性能低下したから分が悪いにもかかわらず、な」
舞「おそらくは性能低下した士翼号でも全力で攻撃すればスターが士翼号を破壊するよりも早くスターを倒せると思ったのだろう。そしてその考えは当たった」
トロデ「スターが一挙動動く間に士翼号は1.5動くことができる。その差を利用して一気に畳み掛けたわけじゃな」
速水「なるほど〜。そこを読むのが絢爛舞踏の戦闘力、というわけですねっ」
舞「そういうことだ」


速水「では選手たちの様子を見てみましょう。セデルくん、ルビアちゃん、巴ちゃーん?」
セデル『はーいこちら選手控え室でーす。なんか負けた方の新次郎さんたちが大騒ぎしてまーす』
ジェミニ『新次郎っ、惜しかったね! あともうちょっと頑張れば次はきっと勝てるよ!』
サニーサイド『この試合のシステムじゃ一度負けちゃったら次とかないけどね〜、HAHAHAHA!』
サジータ『黙りな、サニーサイド! ……ったく。こんなところで負けるなんて、それでもあんた星組隊長かい? 帰ったら一から鍛え直しだね!』
新次郎『ううう……すいませーん……』
リカ『しんじろー、がんばったぞ。生きてるんなら負けじゃない! 次は勝て!』
新次郎『……うん、ありがとう、リカ』
ダイアナ『そうですよ、大河さん。大河さんは本当に頑張りました。その……素敵、でしたよ?(ぽっ)』
新次郎『え……ダイアナさん……(ぽっ)』
昴『……ふむ。だが、負けは負け。我々の代表が一回戦負けしたことには変わりない』
新次郎『う……すいません……』
昴『今度は勝てるよう、精進してもらおうか。たっぷりと……ね?(くいっと新次郎の顎を扇子で持ち上げ)』
新次郎『は……あ、昴さん……(ぽっ)』
ラチェット『昴! 大河くんをからかわないの!』
昴『別にからかってはいないさ。ああそう、大河?』
新次郎『は、はい?』
昴『試合内容はそう悪くなかった。よく頑張ったな、大河?(にっこり)』
新次郎『は……はいっ!』
巴『……という感じでなんかハーレム作ってますー』
速水「……滝川は?」
ルビア『えっと、なんか男の人に囲まれてます……』
若宮『はっはっは、滝川、さすがだな! お前がこんなところで負けるはずはないとわかってはいたが!』
来須『…………(こくり)』
善行『まぁ曲がりなりにもこのサイト一番の古株ですからね。あっさり負けてもらっては困りますが』
滝川『……不公平だ。なんで勝った俺は男にばっか囲まれてて、負けた新次郎が女の子に囲まれてんだよー!?』
速水「滝川は密会も天才も持ってないから、女の子と仲良くできないもんねぇ。争奪戦対策で」
舞「……ほう。そなた、私の前でそんなにも女に囲まれたいと……?(ゴゴゴゴゴゴゴ)」
滝川『あ、嘘っ、マジ嘘っ、すっげー嘘っ! 俺は舞だけで十分幸せですー!』
セデル『では滝川さん。今回の試合どうでしたか?』
滝川『え? ……だいたい予想通りの展開だったけど』
ルビア『予想通りだったんですか?』
滝川『うん。新次郎の通常攻撃は接近戦用だけど、必殺技は射程すげーじゃん? 究極必殺攻撃なんか出されたら逃げようねーし。だから速攻で片付けようって思ったわけ。ダメージ食らってもこっちが壊れる前に相手倒せると思ったから。間合いも通常攻撃ならちょっとこっちのが長いと思ったしな』
巴『はー……すごいですねー、そんなとこまで読んでるんだー』
滝川『ま、一応サイト一の古株だしな(へへっと笑う)』
セデル『と滝川さんは言っていますが、どうですか大河さん?』
新次郎『うー……ぼくはまだまだ未熟だなって再確認した感じです。回復しつつ攻撃していけば望みはある、と思ってたんですけど……そんな暇もなかったですし。これから修行して、もっと強くなって戻ってきたいです!』
ルビア『ありがとうございました!』


速水「次は第六試合、ロレイソム選手VSサウマリルト選手。正式名称はめっちゃ長いのでカットさせていただいております。……みなさん、この試合はどういう展開になると思われますか?」
トロデ「ふうむ……情報を見たところ、ロレイソム選手の装備は稲妻の剣、ロトの鎧、力の盾、ロトの兜。サウマリルト選手の装備は光の剣、ミンクのコート、力の盾、不思議な帽子か……ならば、ロレイソム選手でほぼ決まりじゃろう」
舞「その理由は?」
トロデ「攻撃力、防御力ともにロレイソムの性能はサウマリルトを凌駕しておる。力の盾で回復が可能な以上、分はロレイソムにあるじゃろう?」
舞「ふむ……それも確かだが。難しいところだな。私は……どちらが勝ってもおかしくない、とだけ言っておくか」
マスター「俺はサマくんに一票だな」
速水「その理由は?」
マスター「ロレくんは戦闘力、戦闘のセンスそのものはサマくんよりもはるかに高い。だが戦略眼――いかに戦闘の状況を自分に有利に持っていくか、という点においてサマくんはロレくんよりも秀でている」
舞「試合形式ということでロレイソムに有利な形になってはいるが。サウマリルトの仕込みはこの段階ですでに始まっているかもしれんしな。なんともいえん」
速水「ううむ、一瞬の判断力か先読みの能力かというところでしょうか。そろそろ試合が始まりそうですが……」


 ワーッ!
速水「歓声の中ロレイソム選手とサウマリルト選手は舞台の上に上っていき……数mの距離をおいて対峙しました」
ロレ「……サマ」
サマ「ロレ………」
ロレ「俺はずっとこの時を待ってたような気がするぜ。一度お前と、全力全開でどっちが強いか確かめてみたかった……」
サマ「そんなの決まってるよ」
ロレ「……なに?」
サマ「ロレの方が強いよ。相手を倒す、その能力において僕は君に遠く及ばない」
ロレ「……お前な。試合前に――」
サマ「だけど、それでも勝つのは僕だけどね」
ロレ「は……」
サマ「(にこにこ)」
ロレ「………(ふっ)。上等ォ!」
皆守「……始め!」
ロレ「でぇりゃぁっ!」
サマ「っ!」
速水「サウマリルト選手、ロレイソム選手の攻撃を盾で止めたっ!」
ロレ「せっ! はっ! りゃぁっ!」
サマ「っ! くっ! のっ!」
速水「サウマリルト選手防戦一方ーっ! 剣を振るうことすらまともにできませーんっ!」
ロレ「この程度で……終わりじゃねぇだろっ!?」
速水「ロレイソム選手、サウマリルト選手の盾を回すように剣で押し……」
サマ「……っつ!」
速水「おーっとっ! サウマリルト選手の左腕がだらーんと力なく垂れ下がるっ! なんと巧みな剣技で、ロレイソム選手サウマリルト選手の左腕を挫かせた模様っ!」
マスター「大した技だな……普通できんぞ、狙ってなんぞ」
ロレ「せぇ……やっ!」
速水「ロレイソム選手の疾風のごとき剣がサウマリルト選手に襲いかかるーっ!」


 カッ!
ロレ「……っ!?」
サマ「………(すっ)」
速水「なんとっ……ロレイソム選手の攻撃が止まったっ!? 閃光が一瞬瞬いた瞬間、ロレイソム選手の動きが止まりましたーっ!」
トロデ「……そうか! これは光の剣の特殊効果! 道具として使うことでマヌーサの効果を発揮できるのじゃ!」
ロレ「……この程度で、俺を……止めたと思ってんじゃねぇぞっ!」
速水「ロレイソム選手、斬りかかーるっ! サウマリルト選手を捕らえたっ!」
 ズバッ!
サマ「………っ」
舞「マヌーサは気配を感じ取る能力すらかく乱するというのに……ロレイソムの戦闘に対する勘はマヌーサをも凌駕するか!」
ロレ「うらぁっ、もういっ……」
サマ「生ける者の命奪う死の精霊よ。その手を速やかに伸ばせ。眼前にあるは我が敵。命あらざるべきもの。その冷たく凍れる腕をもって、我が敵の命の根、疾く容赦なく刈り取るべし!=v
ロレ「……ぐっ……! あ……(ぱったり)」
皆守「……勝者、サウマリルト」
 カンカンカン!
 ウワァァッ!
サマ「命の精霊よ、ルビスの定めし理を思い出せ。この者の魂はいまだ転生の輪に加わらず。我はここに宣言す、この者の命と魂、今ひとたびこの体に戻ることを願うなり。律と意思と力によりて、この者に新たな生を与えたまえ!=v
ロレ「………う………」
サマ「大丈夫、ロレ?」
ロレ「……のやろ、やってくれやがって。俺の負けだよ、あークソ」
サマ「でも最初の台詞はハッタリだったからね。うまくいったからよかったけど、今度やったら勝てる保証はないよ?」
ロレ「たりめーだボケ! 今度やったら負けるか!(ヘッドロック)」
サマ「いた、痛いよ、ロレ!」
マリア「………ロレイス………」


速水「さて、鮮烈な逆転劇でしたが。あれは、ザラキの呪文でしたね?」
トロデ「うむ、相手を一定の確率で即死させる呪文じゃ。一定以上の力量の相手にはなかなか効かぬものなのじゃが……」
マスター「サマくんはDQUの魔法の裏技を使って強制的に効果を発揮したわけだな」
速水「裏技、ですか?」
舞「うむ。……『マヌーサの効果がもたらされた相手には、必ずザラキが効果を発揮する』」
速水「かなり有名な裏技ですね。しかしそれを使うにはまずマヌーサが効果を発揮しなければならないわけですが?」
マスター「サマくんはマヌーサが極めて効きやすい状況を作り出してたわけだな。頭に適度に血が上り、光の剣の輝きをもろに直視するような状況を。防戦一方だったのも、最初の会話もその仕込だったんだろう」
速水「なるほど。今回はサウマリルト選手の先読みの技術が勝った、ということですね」


速水「では、選手たちの状況を見てみましょう。いかがですかお三方?」
セデル『え、えーっと……』
ルビア『……なんていうか……』
巴『ちょっと、あの、なんかよくわかんないんですけど……』
速水「けど?」
ディリィ『ぶっちゃけ修羅場だ』
速水「おおー、あなたはUの狂言回し、竜王のひ孫ディリィさん。修羅場といいますと?」
ディリィ『見ての通り聞いての通り……』
マリア『……別に、サウマリルトが勝つのが悪いなんて言ってないわよ、私。ただ、ロレイスが心配なだけ。そばにいて、看病してあげたいと思うのは当然のことじゃない?』
サマ『別にそれが間違ってるなんて一言も言ってないよ? ただ、ロレにザラキをかけたのは僕だから。僕も当然看病しなくちゃ駄目だよね、ってそう言ってるだけ』
マリア『そうね。サウマリルト、あなたの言っていることは正しいわね』
サマ『ありがとう、マリア。君の言っていることも間違ってないと思うよ』
マリア『間違ってはいないけど正しくもない?』
サマ『ううん、なんで? 僕はマリアとロレが幸せになることを願ってやまないのに』
マリア『そう? ありがとう。私もサウマリルトが幸せになって欲しいと思うわ』
サマ『自分と関わってはほしくないけど、って気持ちがあるなら正直に言っていいんだよ?』
マリア『なんで? 私はあなたたちと一緒にいられてとても嬉しいのに』
サマ『そうなんだ。あはは』
マリア『うふふ』
ロレ『……………………(だらだらだら)』
ディリィ『まー、あれだな、ふとしたきっかけでこういう修羅場は繰り広げられるわけだな。お互い別に嫌いあっているわけでもないのだが、なんとなく面白くないマリアの苛つきが頂点に達すると、お互い遠まわしに面白くないという感情をぶつけ合ってすっきりするわけだ。間に挟まれたロレイスはそりゃもー大変なわけだが……』
三人『そこうるさい』
ディリィ『失敬(にやり)』
巴『え、えーっと。選手のお二人に試合の感想をお聞きしたいんですけど?』
ロレ『……今度やる時は、俺が勝つ』
サマ『そうだね、たぶん今度やったらロレの方が勝つと思うよ。今回勝ったのは僕だけど』
ロレ『てめぇ……言ってくれんじゃねぇか』
サマ『え? 僕なにか悪いこと言った?』
マリア『なにも悪いことは言っていないわよ、サウマリルト。負けたのはどこまでもロレイスのうかつさのせいですもの。ねぇ?(にっこり)』
ロレ『う……わ、悪かったなっ!』
サマ『ロレ、あのね……(こしょこしょ)』
ロレ『ンだよ……へ?』
マリア『…………』
ロレ『……あー。マリア?』
マリア『………なに』
ロレ『……その。心配かけて、悪かった、な』
マリア『………別に、いいわよ。今に始まったことじゃ、ないし』
ロレ『……ああ。けど……心配してくれて、サンキュ』
マリア『………………(赤)』
ディリィ『ひゅーひゅー』
ロレ『やかましいぞそこっ!』
セデル『よくわかんないけど……めでたしめでたし、なのかなぁ?』
ルビア『うん、たぶん……』
速水「はーい三人ともありがとーv 今月はこれで終わりでっす! 来月もチョーゥ、面白カッコいいぜ!」
舞「……何語だ、それは?」

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