速水「いよいよ、いよいよこの八百万間武闘会、決勝戦ですっ! アディム選手VS滝川選手、双方強者の名を冠するにふさわしい人間であることは間違いありませんが、両雄並び立たず、最強の名をほしいままにすることができるのはいつの世もただ一人っ! 現在DQでも最強の風格を持つアディム選手と、当サイト一番の古株にして最強の戦術能力者滝川、その熱い、おそろしく熱いぶつかり合いが今始まろうとしておりますっ!」
マスター「気合が入ってるな、速水。確かに見応えのある試合になりそうだが」
速水「さて、解説者の皆さんの予想はいかがでしょうかっ?」
舞「もはや言うべきことはなにもない。私は滝川を推す」
トロデ「同じく! わしはアディム殿じゃ!」
マスター「俺は、あえて予想しない」
速水「マスターさん、予想しないとはどういうことでしょうか?」
マスター「舞やトロデ殿と同じさ。もはや言葉は不要で無粋。最後ぐらい純粋に試合を楽しもうってね」
速水「なるほど、面倒くさいと」
マスター「……あのな。もう少し言い方ってもんが……」
速水「さぁ……最後の試合、どう転ぶか!? 以下次号!」
舞「たわけ。この期に及んで」


アディム「…………」
速水「さぁ、アディム選手。愛用のドラゴンの杖と王者のマント、太陽の冠に光の盾。完全武装で登場ですっ」
滝川「……へへ」
速水「対する滝川選手はウォードレス武尊を身にまとい、両手に超硬度カトラスを持っているだけの軽装備! さーてこれが試合にどう影響を及ぼすのかぁっ!?」
皆守「………(すぱー)」
アディム「……滝川くん。僕は、絶対に負けないよ」
滝川「俺も、負ける気は全然ないぜ」
皆守「………(すっと手を上げる)」
アディム「…………」
滝川「…………」
 しーん………。
皆守「―――始めッ!!」
アディム「っ!」
滝川「ぅっ!」
 ダッ!
 ドッ!
 キィン!
 ガッ!
速水「こ、これはぁっ!? は……速い速い速い速ーいっ! 両選手通常では考えられないほどのスピードで相手の後方へ移動し死角から攻撃を行っておりまーすっ! そして双方それが一発も体に当たっておりませんっ! 猛スピードで踏み込み、打ち込み、さばき、かわす、達人同士の戦いとはこうも凄まじいものなのかっ!」
トロデ「……よくそこまで見えるな。わしですらぼんやりとしか見えんというのに」
マスター「俺もだ。アディムも滝川も、今までとは挙動の速さの桁が違う。これはいったいどういうことだ?」
舞「滝川は最強のウォードレス、武尊を装着したためであろうが、アディムは……」
速水「おーっとここで情報が入りました。アディム選手は装飾品に星降る腕輪を装備しているとのこと! 速度が一気に倍になる力を利用し、人間外の速度を手にしたもようですっ!」
マスター「なるほど……それにしてもすごい速さだ。ステータスの限界を振り切った、この大会ならではの動きだな……むっ!?」
速水「こっ、これはっ!? 双方の選手の動きが止まりっ……」
アディム「……げほ!」
速水「アディム選手っ……血を吐いたーっ!」
滝川「……ぐは!」
速水「滝川選手も膝をつくっ! 真っ白い人工血液が肩から垂れ出したーっ!」


速水「これはいったいどういうことでしょうっ、双方互いの攻撃を完璧にさばいているように見えましたがっ!?」
舞「試合の模様を撮っていたビデオを! スロー再生だ!」
 ジャーッ、トットットッ……
トロデ「……残像しか見えん。よくわからんな」
舞「高速度撮影用特殊カメラで撮ったものを!」
マスター「そんなもんまで用意してたのか。すごいな舞ちゃん」
舞「一応念のために、速水と協議してな。二つしか用意していなかったのは不覚であったが。……む!?」
速水「こ、これは……お互いが正面からぶつかり合っていくっ!?」
マスター「そして滝川はカトラスをアディムの腹に突き刺し……」
トロデ「アディム殿はドラゴンの杖で滝川の肩を殴った……」
舞「………よもやとは思っていたが。これは、双方相手に誘いをかけて、双方がそれに同時に乗った、ということか?」
トロデ「なにっ、どういうことじゃそれは」
マスター「よく見てみろ。ここだ、この一瞬。滝川もアディムもわずかに隙を作ってるだろ。このままじゃ相手を捕らえられないと踏んで相手を誘う手に出たんだ、同時にな。そして双方、相手の予想を上回る反応速度でそれに乗った。相手の予想を上回る速度と気合をこめてそれに乗れば、相手は受けきれないと一瞬にも満たない刹那で判断したんだ。そして、その予想は当たった」
トロデ「双方共に互いの攻撃を受け損ねてダメージを負ったというわけか……」
速水「……この状況、果たしてどちらが有利と思われますか?」
トロデ「アディム殿じゃ。アディム殿は内臓にダメージを負っておるが、これはすぐに回復できる。それに対し滝川は肩をやられ、それでもなお回復方法が……」
速水「ですが、アディム選手も回復呪文を使っていないようですが?」
トロデ「なにっ?」
アディム「…………」
滝川「…………」


速水「双方寸毫も動かず睨み合っています……これはいったい、どうしたことでしょうか?」
マスター「……お互い微塵も隙を作らずに、相手の隙をうかがってるんだ」
舞「なるほど、な。一瞬でも隙を作ればその瞬間に一気に畳み掛けられる。回復呪文など使っている暇がないというわけか……」
トロデ「だ、だが! アディム殿の耐久力は桁外れなのだぞ!? 一撃程度で倒されるはずが」
マスター「滝川のスピードと攻撃力、流れを作る巧みさも桁外れだ。スキュラも一撃のパワーと圧倒的戦術能力。一瞬でも気を逸らせば、あっという間に斬りこまれて終わりだ」
トロデ「むぅぅ……」
アディム「…………」
滝川「…………」
マスター「膠着状態だな……」
舞「確かに……武芸の試合ならば、そうだったかもしれん」
マスター「ほう?」
舞「だが、滝川は武芸者でも武術家でもない。軍人として戦ってきた、戦士だ。あれは戦場の状況が刻一刻と変わることを知っている。巧遅と拙速、今はどちらをより尊ぶべきかという見極めもな」
速水「…………」
舞「あれは、今も思考している。相手を倒す方法を。そしてあやつの心身に叩き込まれた力と技の数々が、それに最適な答えを導き出す――」
滝川「……3、2、1」
 びゅおっ!
アディム「っ!?」
滝川「0っ!」
 どずっざっしゃぎぃんがずっ!
速水「……アディム選手、ダウ――――ンッ!!」


速水「今いったいなにが起こったのでしょうか!? 滝川選手がアディム選手の一瞬の隙を衝いて攻撃を仕掛けたように見えましたが、互いに隙をうかがって相対している状態でなぜアディム選手ほどの戦士が隙をっ!?」
マスター「カメラ! ビデオ回せ!」
 ジャーッ、ジーッ。
マスター「………そうか、わかった。風だ」
トロデ「風、じゃと?」
マスター「ああ。滝川の背中からアディムに向けて一瞬大きく風が吹いた。滝川はそれに乗せて砂を撒いたんだ」
舞「あれは、砂ではないな。煙幕用の薬剤だ。対人戦闘で相手の目を潰すのに使う」
速水「なるほど、それでアディム選手が怯んだ隙に攻撃をしかけたということですね?」
トロデ「し、しかし……風などいつどちらへ吹くかわからないものではないか! あやつはどうやって風の吹く一瞬がわかったというのじゃ!?」
舞「わかったのではない。予測し、推測し、その対処方法を考えたのだ」
トロデ「なに……?」
舞「滝川はあらかじめ今日の気圧、天候、風速と風向などを調べていた。そしていつ風が吹くかを何パターンも予測していた」
マスター「……てことはなにか? まさか滝川はそのことを常に頭に入れて、強い風が吹く方向とタイミングを計算しつつ戦って、あの状況を作り出したっていうのか!?」
舞「(こっくりうなずき)そうだ。むろん風は当てにならぬもの、自分の思い通りにならぬ可能性は非常に大きい。だが、ならばその状況から新しい策を考え、対処するのがあやつの力だ。そのためにさまざまな策の準備はしてある」
マスター「マジかよ……」
速水「……皆守審判がカウントをしています……」
皆守「……6。……7」
ビアンカ「……アディム……」
ルビア「…………っ(ぎゅっとセデルの服の裾をつかむ)」
セデル「……っお父さんは負けないもん! 負けるもんかっ!」
皆守「……8。……9」
セデル「お父さんっ……負けないで! 頑張って! ボク、一生懸命応援するから! いっぱいいっぱい、応援するからっ!」
ルビア「……お父さんっ……」
ビアンカ「あなた……アディム! 子供たちにここまで言われて起きなかったら、一生許さないからねっ、聞いてるのこのダメ夫ーっ!」
皆守「……じゅ」
双子『お父さーんっ!』
 ……フッ。
 ドゴオォォォォォォォォ!!!!
舞「! こ、これはっ!?」
マスター「竜巻……それも半端な大きさじゃない。試合場はおろか観客席まで巻き込むほどの巨大な竜巻……防壁を張ってなかったら大変なことになっていた……」
トロデ「これは……バギクロスのアレンジじゃ!」
 ふわっ、すとっ。
速水「……アディム選手、立ち上がりました。腹からはいまだ血を流しながら」
滝川「…………」
アディム「まだ……終わらないよ。さぁ、始めよう。――最後の戦いだ」


 ごぉん、ぎんっ! ががっ、ざしゅっ!
速水「竜巻の中で、アディム選手と滝川選手、ぶつかり合っています……! 立っているのも困難であろう竜巻の中で、どうすればあれだけのハイスピードで戦闘が可能なのか!」
マスター「超人的なバランス感覚だ……」
舞「しかし、この竜巻はなんのために? 維持するだけでも相当な力を必要とするであろうに……」
トロデ「……双方の動きを封じるためじゃ」
舞「それは……まさか」
トロデ「いかに滝川に力と耐久力があろうと、鉄をも砕くアディム殿にはかなわん。ならば互いに身動きを取れなくして、単純な殴り合いにしてしまえばよい。アディム殿はそう考えたのじゃろう」
舞「だが、竜巻を維持しながら殴り合いなど、生命力がもたんではないか!」
トロデ「その通り。じゃからこれは、アディム殿が力尽きるか、滝川がアディム殿のパワーに殴り倒されるか、どちらかの勝負になる」
マスター「滝川がアディムを斬り倒す、っていうのもあるぜ」
 ざしゅっ、ざすっ!
マスター「この状況でも滝川は完璧な機動を行って的確にダメージを与えている。アディムの攻撃も受けてはいるがダメージは軽い」
トロデ「うむ……」
舞「だが、アディムにも会心の一撃が出る可能性がある。それをもろに食らえば滝川はおそらく……」
マスター「ああ……つまり、どちらが勝ってもおかしくはない。アディムにラッキーヒットが出るか、滝川が押し切るか」
 がすっ、ざしゅっ!
セデル「お父さん……」
ルビア「お父さん……!」
ビアンカ「……あなた」
 どずっ、ずしゅっ!
舞「………滝川」
 ざむっ、ぞすっ!
速水「……双方竜巻の中で、互いに攻撃を放ちあっていますが……。っ!」
アディム「……っぐ!」
速水「こ、これはっ!? アディム選手の動きが止まったぁっ! 右足を挫いた……のかっ!?」
舞「……そうか! 滝川は試合の最初から仕掛けていたのだ! アディムの左足に負担がかかるような攻撃を! アディムの利き足は右、一番負担のかかるそこを封じれば動きは鈍る。だからその攻撃を同時進行させて……!」
速水「滝川選手の蹴りが……アディム選手の顎を……!」
 がずっ!
アディム「………っ」
速水「アディム選手……倒れ」
ビアンカ「まだよ!」
 だんっ!
速水「な……なんとぉぉぉっ! アディム選手、後ろに倒れそうになった瞬間ドラゴンの杖で支え、それを反動にして飛んだぁっ! しかし空中のアディム選手を滝川選手の攻撃が狙……!?」
 どっおおぉぉぉぉぉぉん!!!!
速水「…………アディム選手……空中でドラゴンに変身――――っ!!! それも半端な大きさではない、試合場をはるかに超える、マップ上では天空城並みにでかいマスタードラゴンに匹敵するほどの巨大なドラゴンだーっ! そ……そして、その体格で……滝川選手を、押し潰すっ!!!!」
皆守「……1。……2。……3。……4。……5。……6。……7。……8。……9。……10」
全員『…………』
皆守「……勝者、アディム」
 カンカンカンカンカンカンッッッ!!!
 ウワォワァォォォォォォッ!!!!


速水「……さて、みなさん。解説をお願いできるでしょうか?」
舞「…………」
トロデ「…………」
マスター「……ほんっとーに、二転三転したからなぁ。さすがに解説できる気力が湧いてこない。疲れたぞ、だいぶ」
舞「……試合中に最低限の解説はした。それ以上のことが聞きたいなら管理人に聞いてくれ」
速水「そうですかー、では僕が軽くプラスアルファを。
 この戦いは滝川選手の策とアディム選手の力のぶつかり合い、と見せかけて最後に勝負を決めたのはアディム選手の運と発想力でした。たとえば、あの竜巻がなければ滝川はドラゴンプレスから逃れることはできたでしょう。ダウン10カウントで勝負がつくというルールがなければ、滝川もドラゴンの下から抜け出すことはできたでしょう。あの一瞬でドラゴンプレスを思いついたのか最初から考えて隠していたのかはわかりませんが、アディム選手の発想力がルールと試合の流れにうまくハマって、あの結果を導いたということですね。もちろん、アディム選手の家族に対する愛と根性がそれを大きく助けたことには誰も異論はないでしょうが。
 ……こんなところで?」
三人『…………(オッケーのサイン)』
速水「はーい、では医務室行ってみましょうか! セデルくんルビアちゃん巴ちゃんっ、そちらの様子はどうですか!?」
巴『……えーっと、なんていうか、大騒ぎ? まぁ普通に大変なことになってまーす』
ビアンカ『バカッバカッバカッ、どうしてこんなぼろぼろになるまで無茶するのよ!?』
アディム『君だって負けたら許さないみたいなこと言ってたじゃないか……ちゃんと、勝っただろう?(笑み)』
ビアンカ『……バカッ……』
セデル『お父さん、大丈夫、お父さん? 痛くない、もうへいき?』
アディム『大丈夫だよ、セデルのベホマのおかげでもうすっかり。お父さんが丈夫なのはよく知ってるだろう?』
ルビア『お父さ……お父さん、お父さん……(泣き)』
アディム『……大丈夫。心配かけてごめんね、ルビア。おいで』
ルビア『(抱きついて)う……うう、うー……』
サンチョ『坊ちゃまあぁぁぁ! ご立派でした、ご立派でしたぞっ!』
ピピン『陛下、おめでとうございますっ! すごかったですよー!』
アディム『………(ぎろり)』
家族以外『………(かちーん)』
滝川『やーれやれ。あれじゃまともに近づけねぇなー』
巴『あ、滝川選手っ! 試合お疲れ様でしたっ!』
滝川『おう』
巴『どうですか最後まで戦い抜いたご感想はっ!?』
滝川『んー……すっげー悔し―――っ!! ってのが今の感想?』
巴『うわぁ(くらくら)。そうなんですか?』
滝川『ん、まぁ勝てると思ってたしな。油断もしたつもりはなかった。もう一回やればたぶん勝てると思う』
巴『おお、すごい自信』
滝川『でも、本番は一回だし、その一回で俺は負けた。だからすっげー悔しい。自信あったし全力尽くしたからよけいにな』
巴『なるほど……』
アディム『……でも、そのわりには落ち着いてるね?』
巴『わわ、アディム選手!』
滝川『(笑んで)そりゃ、もー終わっちまったもん。どんなに悔しがったってしょーがねーよ。それに、俺あんたのこと、すげぇなって思っちまったからさ。祝福するしかねーだろ』
アディム『……そうか。(すっと手を差し出して)ありがとう。君と戦えて、よかった』
滝川『……へへっ(がっちり握手)』
巴『うわーきたーきました友情・努力・勝利! 青春ですっ! カッコいー!』
速水「はい巴ちゃんありがとう。……次は、表彰式でーす」


 ちゃーんちゃーちゃちゃーんちゃーん、ちゃちゃちゃちゃちゃんちゃんちゃーん♪
速水「『アディム殿。貴殿は第一回八百万間武道会において、見事優勝を成し遂げられましたので、ここに賞します。平成十九年三月二十九日、八百万間堂管理人、八識一』」
アディム「ありがとうございます」
 ワーッ! ヒューゥウゥッ!
速水「続いて優勝商品の授与にうつりたいと思います。では、これをどうぞ」
アディム「! ……ありがとうございます(震えながら笑み)」
セデル「お父さんお父さん、優勝商品ってなに? 封筒に入ってるみたいだけど」
アディム「さぁ? まだ開けてないからね(隠し隠し)」
セデル「見せて見せてー! ボク、見てみたーい!」
アディム「こら、セデル。人のものを取るような真似をしちゃだめだって言ってるだろう?(額に一筋汗たらり)」
セデル「う……はぁい、ごめんなさーい」
アディム「(一瞬ほっとした顔をして)気にしなくていいんだよ、わかったなら――」
ビアンカ「………(ひょい)」
アディム「………! ビアンカ!?」
ビアンカ「(ぺりぺり)……『八百万間堂のキャラに、こころよくなんでも好きなことしてもらえる券』? ふーん……そんなにあなた、これが欲しかったんだ?」
アディム「いや、欲しいというか、あったら嬉しいというか、なんというか」
ビアンカ「誰に、なにを、頼むつもりだったの? そういえばあなた、最初から商品がこれだってわかってたみたいだったわよね? ねぇ、誰に、なにを頼むつもりだったわけ?」
アディム「いや、僕はただこれがあったら気兼ねなく頼めるなぁと」
ビアンカ「言いなさい(鬼の形相)」
アディム「……僕はただ、その。セデルとルビアが恥ずかしがって最近やってくれなくなった、おはようとおやすみのキスを復活させたいなぁと……(ぼそぼそ)」
ビアンカ「(ぶちっ)どうしてあなたはそういうことしか考えないのよ――――っ!!!(どごーんひゅごーんぼごーん)」
アディム「な……なにも、そんなに怒らなくても……(がくり)」
滝川「うわー……あの人、自覚ねぇ」
速水「処置なしって感じだね♪」
セデル「ねぇねぇ、なんでお父さんお母さんに怒られてるの?」
ルビア「……うーん……」
巴「まぁ、セデルくんも大人になればわかるんだよ! きっと!」


速水「さてさて、大会も終わり、表彰式もつつがなくすんで。現在こちらは宴会の真っ最中でーす!」
滝川「ぎゃっはははははっ、はやみぃ、お前も飲めよぉ? ぎゃっはははははははっ!」
速水「(一発蹴り)はーい僕が喋ってる間は黙っててねーv それでは会場を少し巡ってみたいと思います。……おーっと、こちらではなぜか善行さんとマスターさんが変態トークの真っ最中でーす」
善行「やはり女装の基本は羞恥と違和感だと思うわけですよ」
マスター「わかっているじゃないか。自分の妙な格好に恥らいつつも普段と違う自分の感触に逆らえない、そこが女装の醍醐味だよな」
ランパート「マスター……俺その話聞いてなきゃダメなの?」
マスター「聞かせるのもそれはそれでいいが。お前はよく頑張ったからな、今日は好きな格好して好きな奴と話してきていいぞ。もちろん俺と話したいというのならいくらでも話すとも」
ランパート「……へへ。ありがと。じゃ、俺いろんな人と話してくるっ!(たたっ)」
善行「さすが。よく仕込んでいますね」
マスター「愛のなせる業だ」
速水「こちらではシスプリ妹ズとサクラ女子ズがジュース片手に騒ぎまくってまーす。アルコール分がどんだけ入ってるかは不明ですが」
咲耶「だからね、お兄様はもっとはっきりしてほしいって思うわけよ」
サジータ「まったくだね! 新次郎はいっつも八方美人でどっちにもこっちにもいい顔しすぎなんだよ」
ジェミニ「ねぇねぇ、兄一さんて料理作ってあげたりしたらどんな反応する?」
白雪「にいさまはいつもありがとうと言ってはくださるのですけれど、いまひとつ喜んではくださらないんですの」
リカ「しんじろーはいっつもうわきするんだぞ。めっ、って言ってもやめないんだ」
雛子「ひっどーい! そういう時は撃っちゃえばいいんだよっ! ヒナもおにいたまの周りにメス猫が近づいたら狙撃するもん!」
兄一「……君も、大変だな。まぁ、一杯」
新次郎「あははは……いただきます」
速水「んー男子ズも共感しあっているようですねv おっと、こちらではなぜかしんのすけがビアンカさんを口説いております」
しんのすけ「ねぇねぇおねいさ〜ん、オラと一緒に危ない夏の情熱にその身を溶かしてみな〜い?」
ビアンカ「今は春でしょ。……本当に私の周りにはまともな男っていないのかしら……」
風間くん「しんのすけぇぇっ! なに考えてるんだ、人の奥さんをナンパするなぁっ!」
しんのすけ「いや〜ん、人妻って危険な香りぃ〜んv」
風間くん「お前な―――っ!」
しんのすけ「あら風間くんそんなに怒って、や・き・も・ち?」
風間くん「なっ……んなわけあるかぁぁぁぁぁ!!!」
ビアンカ「………(はー)」
アディム「ビアン、カ……」
ビアンカ「………なに?」
アディム「その……膝枕して、くれないか。この券で」
ビアンカ「え……」
アディム「燃えちゃったから、嫌だっていうなら無理にとは言えないけど……」
ビアンカ「……(ふふっ)。しょうがないわね……特別よ?」
セデル「……(こそこそ)すごいっ、本当にお父さんとお母さん仲直りできた!」
ルビア「(こそこそ)ありがとう、しんのすけさん。お父さんにお願いするよう勧めてくれて」
しんのすけ「なんのなんの。お兄さんに任せなさーい」
速水「んーアディムさん結局親バカですねv」


速水「ちなみに宴会の料理担当は企画の部屋百鬼夜翔より箕輪祐さんでーす。助手には九龍&きーくんがついてまーす」
祐「よろしければ店に遊びに来てくださいねー。はい次九龍くん、ジャガイモ揚げて。騎一くんサラダ混ぜて」
九龍「はいはーいっ」
天野「……箕輪さんってすごい手早いですね……」
箕輪「そりゃ、一応料理の神だから」
速水「おや、こちらではどっからアルコールが入ったのか酔った隼人くんがセオに説教してますねー」
隼人「いーか、セオっ。どんなこともなぁ、自分を信じられなきゃうまくいかねーんだよ。自分を信じるためにはなぁっ、自信持てるくらい頑張らなきゃいけねーんだ」
セオ「はいっ」
フォルデ「……十三歳に説教されてどーすんだよあのボケ勇者……!」
リョーマ「ていうか、説教の内容、身、なさすぎ」
速水「ふむふむ、こちらではロレくんとおっきーとナップくんが、男の子同士の話をしてますねぇ」
ロレ「やっぱ男は剣術だろ。剣と盾でこう、相手を追い込みつつだな」
ナップ「ちげーよっ、男だったら大剣で決まりだろ! 両手剣で一気に相手を」
澳継「ざけんなボケっ、最後に頼りになるのはてめぇの体だ、無手に決まってんだろ!」
サマ「あはは、ロレってばこういう話になると子供みたいになっちゃうんですよねー」
レックス「まあ、うちのナップは本当に子供なんだけど。男の子だなぁ、微笑ましいね」
龍斗「まぁ、俺も自分の技にはそれなりの自負があるから俺からしてみれば当然、という気はするが」
速水「保護者のみなさんもお揃いで。お、こっちではゲットがユーリルと意気投合してますな」
ゲット「そーかっ、わかるか! お前はいい奴だ、ほれもっと飲めっ!」
ユーリル「んぐんぐ、ぷっはー! だよなぁ、惚れた女がそんな姿見せたら押し倒さねぇわけねぇよなっ!」
マーニャ「……そんなにムキにならないのー。男なんてみんなガキなんだから、どっしり構えてるくらいでちょうどいいのよ?」
ユィーナ「それ以前の問題ですっ!」
速水「惚れられた女たちも飲み友達になれたようで。えーっと、これで全部回ったかな?」
ユルト「速水くーん」
速水「うわ、懐かしい呼ばれ方」
ユルト「速水くんもこっち来て飲もうよ。疲れたでしょ? ぱーっと憂さ晴らそー」
速水「……ふむ。それじゃそろそろお役御免といきますか。
 というわけで九ヶ月に渡ってお送りしてきた八百万間武道会はこれにて終了で〜す。少しでもお楽しみいただけましたならこれに勝る喜びはありません。
 さ〜て次回の拍手小話は、『恐怖! 迫り来るワールドクライシス』『ドキ☆ドキ入学式の出会い』『呪いと国王と美少年でドキュン』の三本で〜す! また見てくださいねー! じゃーんけーんぽーん、うっふふふーv
 ……はいはいそこどいてねーどけやコラ酒飲ませろーっ!」

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