闇に銃声が響き、マズルフラッシュが炸裂する。その中を軽い足音が三つ、全速力で通り抜けた。 「でぇぇぇぇぇぇぇっ!」 最後は大きく跳躍して一気に階段を飛び降り物陰に隠れ、やっと人心地ついたというようにふうっと息を吐く。 「んもー、諜報部全然ちゃんと仕事してないじゃん。通常装備で楽勝とか言っといてめっちゃ数多いんだもん」 足音の一つが口を開いた。まだ若い、幼いとさえ言えそうな少女の声だ。 しかしその服装はその年頃の少女にふさわしいとは言えなかった。 ほぼ全身を覆った黒のボディスーツに暗視機能付き赤外線ゴーグル、腰にはコンバットナイフを差し左肩からはやや奇妙な形状のアサルトライフルを下げているのだ。 「そうですわね。もしかしたら偽情報をつかまされたのかもしれませんわ。少しばかり、面倒なことになりましたわね」 答えたその声もやはり少女のものだったが彼女はさらに妙な格好をしていた。白い着物に赤い袴という巫女か武道家かという服に、同じような赤外線ゴーグルをつけ腰には反り身の日本刀が二本、である。 「ヒナもう疲れた〜、走りたくな〜い」 三つめの声も少女のものだったが、これは前の二人よりさらに幼かった。服装も一段と幼い。ピンクハウスとまではいかないがあちこちにフリルがついた生成り色のブラウスにフレアスカート、白い飾りつき靴下に茶色い革靴という走りにくそうな格好だ。その上から赤外線ゴーグル、ベルトポーチ、身の丈半分近いライフルを装備している。 ――実際、とんでもなく奇妙な少女たちではあった。 最初の少女のゴーグルからピピッと音がしてインカムが下りてきた。どうやらこのゴーグル通信装置も兼ねているらしい。 『衛ちゃん、雛子ちゃん、春歌ちゃん、大丈夫!?』 インカムから聞こえてきたのは、これまた可愛らしい少女の声だった。 「うん、なんとかねー。まあ目的のブツは手に入れたんだけど、配備兵員がめっちゃ多いんだよ! このままじゃ脱出難しいかも」 『ええ!?』 「シスプリ号″乗ってくればよかったね。あれに乗ってればここの敵さんなんてみーんなけちょんけちょんにしちゃうのに」 「そうですわ! シスプリ号送ってくださいませんこと? あれがあれば……」 『ダメダメ、無理だって!』 今度は別の少女の声が通信に割りこんできた。 『そりゃアタシの作ったシスプリ号だもん、射出の衝撃なんかは楽勝でイケるけどさ。送る時には中に乗りこんででもいないかぎり座標固定しとかなきゃダメなんだからね。あんたらあちこち動きまわってんでしょ? ヘタしたら敵に奪われちゃうよシスプリ号″!』 「そんなこと言ったってさぁ……うわっ!」 「撃ってきましたわ!」 遮蔽物に身を隠してはいるものの、銃弾は雨霰と三人の少女にふりそそぐ。 「ったくもう、しつっこいなぁ!」 最初の黒いボディスーツの少女がポーチから手榴弾を取り出し、素早く安全装置をはずすとポイッと弾の降ってくる方向に投げた。 ――数秒後。 どっぐわおぉぉぉん! 爆風が身を伏せていた三人の少女の上を通りすぎる。 自分の起こした惨状を確かめもせず、ボディスーツの少女は立ち上がった。 「さ、行こ! ここにいたらもうヤバいよ」 「ええ、そうですわね」 「えー、ヒナ走るのやだなぁ……」 「ほら、雛子ちゃん! がんばって!」 「はーい……」 三人の少女はさらに奥に向け走り出した。 「状況はどうなってるの!?」 上から二番目の席に腰掛けた栗色と金髪の中間のような明るい髪の色をした少女が苛立たしげに叫んだ。 「三人とも無事ではいるみたいなんだけど……どんどん奥に向かっているみたい」 スクリーンのすぐ近くに座った亜麻色の髪の少女がそれに答える。 ここは発令室のような場所だった。巨大スクリーンが一面に張られ、そこには地図が表示されその上を光点が三つ移動している。 その前にはいくつもの複雑な電子機器が並び、それに付随するように椅子が備え付けられていた。 スクリーンの反対側は段が高くなっていて、いくつも椅子が備えてあるのだが、一番上の椅子が空席になっていて、他の椅子は三つだけ空いて他は全部埋まっていた。埋めているのはまだ年若い少女ばかりだ。 「鞠絵ちゃん、なにかいいアイデアない?」 明るい色の髪をした少女が、すぐ脇の黒髪の眼鏡をかけた少女に聞く。 「……あの三人が脱出が難しい、と言っているとなるとこれは相当にまずい状況ということになりますわ……半端な援軍を送っても無駄でしょう。せめてA装備のステルス戦闘機でもあればなんとかなったのですけど……」 「絶対楽勝だって言うから装備ほとんど一斉に整備に出しちゃったもんね……」 明るい色の髪の少女は端っこのほうに座っている茶色の髪の少女を横目で睨みつけた。 「ゴ、ごめんなさいデス……でも四葉が調査した時は本当に楽勝のはずだったデスよ?」 「とにかく、早くなんとかしないと……!」 力む少女たちを無視するように、亜麻色の髪を後ろで縛った少女が静かに発令室を出ていった。誰も気付いたものはいなかった。 「ヤッバイなぁ……なんかどんどん増えてくるみたい」 ボディスーツの少女が響き渡る銃声の中走りながらひとりごちる。 古武道着をまとった少女はそれにうなずきつつも言う。 「いくらなんでも数が多すぎますわ……米国にいつもいつも一研究所にここまでの人員を配備できるほど余裕があるとも思えませんし。これはやはり……」 「罠……とか?」 走りながらうなずく古武道着の少女にボディスーツの少女はチェッと舌打ちをした。 「それじゃあやっぱり諜報部が悪いんじゃん! 帰ったら四葉ちゃんのこととっちめてやらなきゃ……」 「きゃん!」 3人目のブラウスの少女が何もないところで転んだ。 「だ、大丈夫、雛子ちゃん!?」 「ふえ……」 ブラウスの少女の顔が泣き出しそうに歪む。 「あーもうこんな走りにくい服着てくるから……」 「だってね、だってね……今度お出かけする時はこのお洋服着るって決めてたんだもん……」 「お出かけ、って雛子ちゃん……」 「それはかなり意味合いが違うような気もするのですけど……」 ごちゃごちゃと話している隙に、今度は前方から銃弾が飛んできた。 「うそっ! 挟み撃ち!?」 慌ててそちらに弾幕を張るボディスーツの少女。この場所はちょうど凹型の通路の底辺に当る場所で、挟まれたら身動きが取れない。 古武道着の少女はぎゅっと唇を噛み、ブラウスの少女は泣き出しそうに眉を寄せて他の二人の顔をくりかえし見上げる。 ボディスーツの少女はガリガリと頭をかいてインカムに小さく怒鳴った。 「あのさぁ! そっちでなんかいい作戦ないかなあ!? こっちマジヤバイ状況になってきてるんだけど!」 『待って……今鞠絵ちゃんたちが作戦考えて……あっ!』 おろおろしていた通信向こうの声が、急に嬉しげな声を上げた。 『衛ちゃん、雛子ちゃん、春歌ちゃん! お兄ちゃんよ! お兄ちゃんが来てくれたわ!』 『…あにぃ(&おにいたま&兄君さま)が!?』 3人の声が同時に響いた。 「お兄様!」 明るい髪の少女が駆け寄ろうとするのを、入り口のところにいた男は右手で制した。見られるだけで体温が上がりそうなほど熱い視線で周囲を見まわすと、しんっと辺りが静まりかえる。 そこに狙ったようなタイミングで男が呼ばわった。 「鈴凛!」 「は……はいっ!」 中央の方に座っていたショートカットの少女が、座ったまま背筋を伸ばす。 「俺のシスプリ号を準備してくれ。現場まで輸送ロケットで飛ぶ!」 「え……ええええっ!?」 その場にいた少女たちが思わず一斉に叫ぶ。 「アニキ本気!? 射出時のGハンパじゃないんだよ!? アニキの体が耐えきれるかどうかわかんないのに……!」 「他にあの3人を救う方法はない。シスプリ号以外に装備はないんだろ?」 「う……そりゃシスプリ号だけはアタシしか整備できないから残ってるけどさ……」 「それに」 男はここで初めて、ちょっと微笑んだ。 「お前の作ったものなら大丈夫だろう? 信頼してるんだ、俺は」 「う……」 言葉に詰まったショートカットの少女はガリガリと頭をかくと瞳をきらめかせてぐっとガッツポーズを作ってみせる。 「OK! そこまで言われちゃあ仕方ないよね。まかしといて、5分で全部準備してみせるから!」 「頼んだぞ!」 コンソールを猛烈な勢いで叩きはじめたショートカットの少女に一声かけてから、男は全員を見まわして叫んだ。 「鞠絵! 四葉! データを見直して逃走経路を作成してくれ!」 「わかりましたわ!」 「はいデス!」 眼鏡の少女と茶色い髪の少女が答える。 「咲耶は全体の状況を確認しつつサポートに。亞里亞はそれを手伝ってくれ!」 「はい、お兄様!」 「……うん」 明るい髪の少女と、銀髪の人形のようなフリフリの服を着た少女がうなずく。 「可憐、しっかりオペレート頼むな。千影、うまくいくように祝福の呪術かけといてくれ――知らせてくれて、ありがとな」 「うん!」 「……ああ」 亜麻色の髪の少女と、髪を後ろで縛った少女が答える。 「白雪、帰ってきたときのためにメシ作っといてくれ。花穂、応援よろしく頼むぞ」 「はいですの!」 「はいっ、お兄ちゃま!」 巻き髪の少女とボブカットの少女が答え、ボブカットの少女は手に持っていたバトンを振り回しはじめる。 「衛、雛子、春歌! ちょっと待ってろ、すぐに助けに行ってやるからな!」 『うんっ!』 『はいっ!』 『はぁ〜いっ!』 『待ってるよ、あにぃ!』 「ああ……」 男はぐっと奥歯を噛み締めて、スクリーンを睨みつけた。 「えいっ、コノォ!」 ボディスーツの少女は前方に大きく跳躍した。そこめがけ銃弾が雨霰と降り注ぐ――だが、少女の跳躍は銃弾の軌跡よりもずっと高かった。 「!?」 視界から少女が消え、うろたえる射手たち。 「こっちだよっ!」 慌てて声のほうを見上げた時はもう遅かった。アサルトライフルが一秒で数十発の弾丸を吐き出し、たちまち相手を沈黙させる。 ボディスーツの少女はスタッと床に降り立った。なんと、彼女は一瞬で天井まで跳躍し、足で天井に張りついて攻撃してきたのだ。 「お見事ですわね」 そういう古武道着の少女に、ボディスーツの少女は照れたように笑う。 「この着脱自在接着シートのお蔭だよ」 「わたくしも負けてはいられませんわねっ!」 次の角の向こう側から銃弾を注いできた敵に向かい、古武道着の少女は走った。 その体には一発も銃弾は当らない。角からでは射撃の不可能な死角に完全に身を潜めているのだ。 射撃可能な範囲に入ったときには、既に彼女の間合いだった。 「はああぁっ!」 「ぐへぇっ!」 「ぐぼぁっ!」 「げぼぉっ!」 あっという間に敵兵を全員叩きのめし、古武道着の少女は刀を鞘に収めた。 「春歌ちゃん、さっすがぁ!」 「いいえ、このくらい……」 「むーっ、ヒナもヒナも! ヒナも頑張っておにいたまに褒めてもらうんだもん!」 頬を膨らませてそう言うと、ブラウスの少女は目にも止まらぬ早さで肩からかけていたライフルを準備し壁に向けて数初発射した。 誰もいない場所にどうして、と他の二人が思う間もなく、敵の悲鳴が聞こえてきた。どうやら気配だけで敵が迫っていることを察知し、跳弾で壁越しに敵を射撃したらしい。 「雛子ちゃん、すっごぉい!」 「えへへ……だってあんな人たちに負けてらんないモン」 「そうですわよね。だって……」 『あにぃ(&おにいたま&兄君さま)が来るんだ(です)もん(もの)ね!』 角を曲がるとそこは巨大な吹き抜けのホールになっていて、少女たちは素早く壁に沿って走ろうとするが、目の前にあるものを見て思わずピキッと固まる。そこにはキュラキュラと音を立てる戦車が五台、低空でホバリングする戦闘用ヘリが二機、ホールに進み出ていたのだ。 「うっそぉぉ……」 「これは、ちょっと……」 「どうしよどうしよ?」 思わずあとずさる三人の少女。ヘリは銃口を少女たちに向け、戦車はコンクリートの床をキャタピラで踏みしめ少女たちに近寄っていく―― と、その時。 どずががぎぎががががががっ!!!! という感じの凄まじい音をたてて、天井を破り壁を破り、コンクリートの破片を周囲に撒き散らしながら4m×6mのずんぐりしたロケットが少女たちの目の前に着陸した。 もうもうと立ち上る煙の中から、電子音がかった声が少女たちの耳を打つ。 『衛、雛子、春歌! 無事か!?』 『あにぃ(&おにいたま&兄君さま)!』 ロケットのハッチが吹き飛び、身の丈4mのこれまたずんぐりした感じの人型が姿を表した。頭部と肩部が一体化して、手足が短い。 その人型は素早く戦車とヘリに向き直ると、右手を向ける――やいなや、右腕からどどどどどどどん! と強烈な音がして蒸気の線がいくつも走ったかと思うと、音もたてず戦車とヘリがほぼ同時にぐしゃっとつぶれ、一瞬後に猛烈な音をたてて吹っ飛んだ。 右腕につけた電磁反導式レールガンを連射したのだ。 爆風から守るように少女たちの目の前に立った人型は少女たちのほうを向き、その頭部から肩部にかけてをぱっくりと開け、中の男の姿を見せる。 「三人とも、来いっ!」 『はぁ〜いっv』 三人の少女が嬉しげに人型の中に飛びこむと男はハッチを閉めた。中はほとんど動く隙間もないほどきゅうきゅうだ。 「せっ……せまぁ〜! けど……」 「ああ……兄君さまがこんなにおそばに……v わたくし……わたくし……」 「あはっ、おにいたまといっしょ、おにいたまといっしょ!」 「こら、三人とも、動くな! ……鞠絵!?」 『はい、兄上様! そこからまっすぐブーストジャンプ機能を使って上へ! 天井を突き破って下さい!』 「……なに?」 『それが一番の近道かつ安全な方法です! そうすればもうすぐ迎えが行きますわ!』 「迎え?」 『滋野さんがステルス輸送機を出しておいてくれたんです!』 「そうか…あとでお礼を言っとかなきゃな」 男は少女たちの顔を見まわした。少女たちは目を潤ませて、男にしがみつきながらその顔を見上げている。 「覚悟しとけよ、お前たち。帰ったらたっぷり説教だからな?」 『え〜っ?』 「よし…行くぞ!」 男はレバーを思いきり押し上げつつペダルを踏みこむ。ブーストジャンプ機能が作動し、人型が大きく跳躍すると同時に背中と足元からロケット噴射剤が燃焼されつつ噴射される。 ガツン! すぐに天井に突き当たるが男はかまわずペダルを踏みこみ続ける。Gと人型の硬度に構造材の耐久度が負け、すぐに天井がガラガラと崩れ落ちた。 いくつもの天井を突き破り、頭上のカメラが写す映像に夜空が見えてきた。 「よしっ、抜けた!」 『やったぁっ!』 少女たちが歓声を上げると同時に―― どっぐわぁぁぁんおうんぉぉぉぉぉん!!! 足元が大爆発し、人型は数十メートル先に吹っ飛ばされた。 『きゃああっ!』 「ぬおおぉぉっ!」 狭い操縦席で必死に男は人型を操り、足から見事に着地する。衝撃は関節の緩衝材が殺してくれた。 「……なんだ?」 「あ、いっけなーい、忘れてた。燃料庫に時限爆弾仕掛けてたんだっけ」 「……時限爆弾?」 「うん、鈴凛ちゃんお手製の超強力なやつ」 「……衛……お前な……」 ゴオンゴオンと音がする。人型の頭上にあるビューに、輸送機が映されていた。 「可憐花穂衛咲耶雛子鞠絵(息継ぎ)白雪鈴凛千影春歌四葉亞里亞っ!」 発令室に戻った男は、十二人の少女たちを一列に並べ怒鳴りつけた。 びくり、と体を震わせる少女たちを睨み回すと、男は冷静な中にも怒りを秘めた声で言葉を続けた。 「俺がどうして怒ってるか、わかるな?」 『はい……』 「俺はこの前も言ったよな? 危ないことはするなって。某国の国家機密とか、秘密組織の秘密計画とかに関わったりしないようにって言ったよな?」 『はい……』 「そんなことばっかりしてたら命がいくらあっても足らないだろう!? ましてお前たちはまだ高校生とか中学生で、しかも女の子なんだから。危険なことに関わらないで普通に学校に行ってだなぁ……」 「でもさ……今回のあの研究所、法に触れるような危ない実験ガンガンしてたんだよ? 国の威光をかさにきてさ」 「うっ……」 言葉に詰まる男に、少女たちは言う。 「しかもあの化学薬品を、貧民の方々の大量虐殺に使用するつもりで研究してましたのよ?」 「……あのね、後で糸を引いていた政治家とか会社とかもマスコミにリークしたし、証拠もちゃんとそろえてあるの……」 「あそこにいた悪い人たちは、もういっぱいいーっぱいやっつけちゃったからもう二度といけないことできないんだよ?」 「ううううう………」 腕組みをして唸る男に、少女たちは上目遣いになって、目を潤ませつつ言った。 「お兄ちゃん(&お兄ちゃま&あにぃ&お兄様&おにいたま&兄上様&にいさま&アニキ&兄くん&兄君さま&兄チャマ&兄や)、可憐(&花穂&ボク&私&ヒナ&わたくし&姫&アタシ&四葉&亞里亞)のこと、キライになっちゃった……?』 男は腕組みを解いて、そっと苦笑した。 「そんなわけないだろう? お前たちはみんな世界で一番大切な俺の妹なんだから」 『お兄ちゃん(以下略)……!』 わっと男に群がってひっつく少女たち。こら、やめろよなどと言いつつも男の顔は笑っている。 「いつものパターンだな……」 ボソッと髪を後ろで縛った少女が言った。 実は研究所から奪ったデータと研究サンプルは自分たちが別のところで使うのだし、相手が法に触れることをやっていたからといってこちらが違法行為(一つの研究所を消滅させるようなことまでしたのだから)をやっていい理由には全然ならないのだが、そういうことがいつのまにかうやむやになっている。 いつもこのパターンで、男は――兄は妹たちにほだされてしまうのだった。 今少女たちに囲まれている男、兄ただ一人のために将来世界を征服する(かもしれない)少女たち―― それがこのシスター・プリンセス″である! |