Checker Frag
「走一君……いい?」
「うん……」
 走一君は頬を紅く染めて、僕の顔の下でうなずいた。恥じらったようにうつむき加減に目をそらし、体を隠すように組まれた手を小さく動かしながら時々潤んだ目でちら、と僕を見上げる。
 …か、可愛い……うるうるした瞳といい、緊張を表して震えるおとがいといい、少し開いた紅い唇といい……そしてその下に見える白い肌身……! 腕の端から小さくのぞくピンク色の乳首……!
 なぜ乳首が見えるかというと、当然脱いでいるからである。
 上半身だけではない、下半身もすっぽんぽんだ。
 僕も当然素っ裸で、ベッドに横たわる走一君にのしかかるような格好になっている。
 こういう状況下でやることは一つ。
 ついに、この時が来た……! と、僕は内心感動しつつよっしゃやるぞ! ともう一度気合いを入れ直した。

 僕の名前は北澤昇治。現在高校二年生。
 五歳年下の同級生にしてエクスドライバー、菅野走一君と僕は(それなりにいろいろあって)おつきあいを始めた。
 そして、今。僕は走一君と、想いを遂げようとしていた。
 ……ついに、ついにこの時がやってきた……! (走一君の好みの車関係の場所で)デートすること十数回、車関係でちょいと気の利いたものをプレゼントすること五回以上、走一君と話を合わせるべく必死こいて車の勉強をし、小川さんに頼んで整備の方法まで学んだ成果がついに現れたのだ!
 もちろんそれはそれで楽しかったけど、やはり健康な青少年のはしくれとしては性的関係を結びたいと思うのはごく当然のことだと思う。
 走一君の年では早すぎる、と言われるかもしれない。僕も確かにそう思う。
 でも、僕は今の走一君とすぐしたいのだ。したいのだったらしたいのだ。第一走一君が大きくなるまでなんて……待てるかー!
 そんなわけで、常識と良識の砦は愛の嵐の前にあっさりと崩れ去り、僕は走一君に誘いをかけて今日のお泊りを勝ち取った。
 そしてムードを高め、走一君の性に対する好奇心を利用してこの状況までこぎつけたのだ。
 これで失敗してなるものか……! 今日この時のために、僕は前々から準備してきたのだ!
 最初は相互オナニーぐらいから、という考えもあるだろうが、僕は違っていた。はっきり言ってそこまで行ったらもう止まれない自信がある。
 なんとしても最後まで行くぞ! と内心燃え上がりながらも、僕は表面上は安心させるように笑ってみせた。
「大丈夫、僕に任せて。怖くないから……」
「うん……」
 上目遣いでちらっ、とこちらを見上げる走一君。
 くう、可愛い……!
 もはやアクセル全開で突っ走りたい気持ち満万だったが、万が一にも走一君を怖がらせるようなことがあってはならない。僕は表面上はあくまで余裕たっぷりに、優しく走一君にキスをした。
 合わせた唇の隙間から舌をもぐり込ませる。走一君も舌を出して応えてくれた。
 既にディープなキスは何度もしている。まずはここらへんでリラックスさせなきゃ。
 たっぷり五分近く舌を絡め合わせあい、ゆっくりと舌を離す。唾液が糸を引いて、二人の唇の間できらめいた。
 走一君ははあ、と息をつく。いい感じに蕩けてるようだ。
 僕は内心ほくそえんで、走一君の体を眺める。せっかくだからやる前に隅から隅まで見ておきたい。
 つかずっと見たいと思ってたもんな〜!
 走一君は体の前で手を組み合わせているので、大事なところは上手い具合に見えないようになっている。
 でも初々しいピンク色の小さな乳首とか、柔らかそうな二の腕とか、寝転んでるとへっこんだ感じになるお腹とか、吸い付きたくなるような白くしなやかな太腿なんかはよく見える。
 僕が視姦を楽しんでいるのに気付いたのか、走一君が顔を赤くして言った。
「北澤さん……あんまり、見ないでよ……」
「なんで? ちゃんと見せてよ、走一君の綺麗な体。隠すなんてもったいないって」
 リラックスしてもらおうと軽い口調で答える。だが本能には勝てないということか、僕の視線は走一君の股間に釘付けだった。
「ね、走一君。手、どけて」
「やだ……恥ずかしいよ……」
 恥じらって目をそらす走一君。その仕草はとっても可愛いが、僕の本能は止まらない。
「大丈夫だって。Hするっていうのはお互いの一番恥ずかしいとこを見せ合うみたいなもんなんだよ? そうでなきゃHなんかできないよ。思いきっちゃえばすぐだから。さ……」
「………」
 走一君は真っ赤になってためらう様子を見せながらも、覚悟を決めたかばっと手をどけて背中に回した。
 走一君の大事なところがついに御開帳、というわけだ。
「………」
 僕はちょっと感動しながら走一君の股間を見つめた。まだ肌と同じ真っ白い色をしてほとんど先っぽまで皮をかむったそれは、ペニスと言うよりちんちんと言った方が似つかわしい。
 だが幼いなりに走一君のちんちんはしっかりと自己を主張していた。全開とは言わないまでもそれに近いほどしっかり上を向き、びくびく震えている。
 思わずごくりと生唾を飲み込む。『走一君のここ、元気だね』とかそういうオヤジくさいことを言いたい。でもそんなことを言って走一君に顰蹙を買ったらヤだし。
 そんな僕の内心の葛藤に気付かず、走一君は顔を真っ赤にしてうつむき加減に言った。
「だから……頼むから、そんなに見ないでってば……」
「……なんでさ。こんなに可愛いのに」
「恥ずかしいもん……」
「そう? 僕も裸だよ、同じだから恥ずかしくないでしょ?」
「でも、見られてると……やっぱり、恥ずかしいよ……」
「……そっか。それじゃあ、恥ずかしいなんてこと考えてる暇ないようにしてあげようか」
「え……」
 ちょっと怯えたような顔をした走一君に、僕は大丈夫だよ、と微笑んでおでこにキスをした。
 そこから唇を肌に触れ合わせたままずらしていく。まぶた、鼻、頬。走一君は戸惑ったようにされるがままになっている。
 そしてもう一度ディープキス。さっきよりは軽いが、それでも数分間舌を絡め合わせる。
 走一君がまた蕩けてきたのを見計らって唇を離す。といっても唇を合わせるのを止めたというだけで、僕の唇は走一君の体に触れたままだ。
 唇からまだつるつるのあごを通り、のどぼとけのないのどへ向かう。つい悪戯心が湧いてきて、ちょっとだけキスマークをつけた。
 のどから白くて薄い肉のついた胸部へ。胸の肉をさんざん味わってから、ピンク色の乳首を口に含む。
「ひゃっ!」
 体を震えさせる走一君に、僕は唇を離さないまま上目遣いで安心させるように微笑んだ。そして唇の中の乳首に、本格的に愛撫を開始する。
「んっ……やっ……ひゃっ、うん……」
 走一君が妙な声を上げるのにかまわず、僕は走一君の乳首を徹底的に舐めまわす。唇で挟み擦り上げながら先端を舌で舐めたり、周りを舌先でなぞってちょっとだけ歯を立ててみたり。
 もういっぽうの乳首も空いている手で摘み、撫でたり擦ったり押し潰したり、と手を変え品を変え愛撫する。
 口の中の乳首がもう充分に立ってきたと思ったら、唇を移動させて愛撫する乳首をさっきと逆にして続けた。
「北澤さん……くすぐったいよ……」
 走一君がそんなことを言ってきた。
「くすぐったいだけ? 他には?」
「うん……なんか、むずむずする……」
 うーん、まあ初心者だからこんなものだろう。むずむずするだけ上出来か。
 僕は唇をずらし、今度は腋の下に顔を突っ込んだ。
「ひゃっ!?」
 鼻を動かして思う存分走一君の腋の匂いを嗅ぐ。思った通り汗臭かったが、それでもどこか甘酸っぱいような、すえた感じの全くしないさわやかといっていいくらい健康的な匂いだ。
 こういうので興奮するのは我ながら変態っぽいなあ、と思ったがしてしまうものはしょうがない。思わず股間に手が行きそうになってしまうのを抑え、舌をちょろっと突き出してみた。
「やはっ……何すんだよ、北澤さん! くすぐったいってば!」
 うーん、そりゃそうだろうなあ。ここで感じられる……というか、くすぐったさを快感に変えるにはそれなりに経験がいると思う。
 僕はふざけたふりをして手も使って走一君の腋をつついてみた。
「ほらほら、どのへんが一番くすぐったい?」
「わっ、ひゃはっ、どこもくすぐったいよ! やめてってば、北澤さん!」
 そうやって走一君を暴れさせておきながら、僕は唇をまた移動させていた。腋からお腹へ。小さなおへそとへっこんだお腹を舌でなぞり、そしてさらにその下へ――
「んっ!」
 走一君がびくりと体を硬直させた。僕が走一君のちんちんを口に含んだからだ。
 一番感じやすい刺激なうえ、この年頃は大きくなってからより格段に快感の度合いが強い。走一君は完全に硬直して、僕の愛撫に耐えていた。
 皮を唇で挟んで軽く上下させてみたり、舌を先端に少し突っ込んでみたり。舌で全体をぷるぷると回すようにしてみたりもした。
 走一君は完全に快感の虜になってしまったようだった。口を半開きにして、はあはあと荒い息を漏らす。
 このまま一回イかせちゃってもいいんだが……個人的な好みで、それは止めることにした。
 最初なんだからどうせなら一緒にイきたい。一回イかせちゃった方が力が抜けていい、と聞いた気もしたけどここはあえて好みを優先しよう。
 唇を離して、脚の愛撫に移る。内股からしなやかな筋肉のついた太腿に、ふくらはぎに、何度もキスを落とす。この際だからキスマークもたっぷりつけさせてもらった。
 もぞ、と走一君が体を動かした。僕が太腿の間にいるから閉じることはできないが、内股を擦り合わせるように脚をうごめかせている。
 顔を見上げてみると、慌てて目をそらす。だがそっぽを向いた顔の色はみごとに真っ赤だ。
 ははーん、と大体見当が付いて、僕は走一君に笑ってみせた。
「大丈夫、心配しないでも、また気持ちよくしてあげるからさ」
「そっ、なっ、俺そんなつもりじゃ……」
「わかってるって」
 言いつつ軽く走一君のちんちんを手で包む。
「あっ……」
 走一君は顔を真っ赤にしながらも、気持ちよさに喘いだ。
 うっかりしてた。走一君の体を愛撫するのはこれからのためにも欠かすベからざることだが、それで走一君を退屈させてしまってはなんの意味もない。
 やはり絶えず気持ちよくなっていてもらわないと、いろんな意味で困る。
 僕は走一君のちんちんを緩く愛撫――撫でたり、少しだけ擦ったり、玉の部分を揉んだりしながら走一君の足の先へ唇を移動させる。
 ふくらはぎから足の甲へと移り、それから細い足の指をぱく、と口に含んだ。
「き、北澤さん!」
「なに?」
「そんなとこ舐めて……汚くないの?」
 予想通りの質問に、僕は笑った。
「走一君の体で、僕にとって汚いところなんてないよ」
 そう言いつつつま先にキスをする。
「どこも、すごく綺麗で可愛い。食べちゃいたいくらいだよ」
 そう言って足の指を一本一本、それこそ食べるようにねぶっていく。
 食べちゃいたい″というのは実は結構本音だ。本気で食べるわけじゃないが、走一君の白い体を見ていると、隅から隅まで口に入れて味わいたくてしょうがなくなってくる。
 僕としては最初から走一君の体の隅から隅まで舌を這わせる気だったのだ。足の指を一本一本念入りに舐めていると、ほとんどフェラチオをしているみたいな気分になって、めちゃめちゃ興奮する。
 本当に変態そのものだなーと思うが、事実そうなんだからしかたあるまい。第一十四歳未満とHするっていうのは問答無用で強制わいせつなんだし、いまさら言うまでもなく世間的には変態だろう。
 足の指を全部舐め終わると、僕は走一君に体をひっくり返してもらった。
「何するの……?」
「大丈夫、後ろの方を気持ちよくしてあげるだけだから」
 言って足の裏から膝裏へと唇を移動させる。
「くすぐったいよ……」
「そう?」
 軽くちんちんを握ってやると、走一君は「んあ……」と喘ぎ声を上げた。
 そのまま手で愛撫しつつ、僕はゴクリと唾を飲み込んで目の前のそれを見つめる。
 他の場所と比べても明らかに白い、柔かそうに盛りあがった肉……走一君のお尻。
 うう、本当にふるいつきたくなるような可愛いお尻だ。食べちゃいたいって言ってもこのお尻なら罪にならんだろう。
 僕は我慢できずに、目の前のお尻にかぷっと噛みついた。
「ひゃっ!」
 声を上げる走一君。僕はそれにかまわず走一君のお尻を空いている方の手で撫でたり、軽く噛んだり舐めまわしたりに夢中になった。
「き、北澤さんっ……そんなとこ、舐めないで……っ」
「なんで?」
 言いながらも僕はお尻に噛みついて、噛みついた部分を舌でレロレロと舐めたりしている。
「だって……汚い、よぉっ……」
「走一君の体で僕にとって汚いところなんてないって言ったでしょ。それに、さ……」
 思いきって、肛門からその上にかけてをべろんと思いきり舐め上げてやる。
「ひゃんっ!」
「お尻を舐めたりされるのって、結構ぞくぞくして気持ちよくない?」
「………」
 走一君は顔をベッドにうずめて、黙ってしまった。
 一瞬、ヤバイ! 失敗したか!? と思ったものの、ここで慌ててしまっては今までの苦労が水の泡だ。あえて余裕な態度で、お尻を撫でながら言う。
「ね、走一君? こことか、どう?」
「ひあっ!」
 肛門を舌先でつついてやると、走一君の体は思わずといったように跳ねた。
 ここが正念場だ! と僕は気合いを入れ、走一君の肛門、そのすぐ前にある玉と棒を舌と手で思う存分愛撫した。
 じゅる、くちゅ、ちゅぱ、れろ、ぴちゅ、にちゃ、ぐちゃっ……。僕の唾液、走一君の先走り、それらが入り混じってどうしようもなくいやらしい音を立てる。
 走一君がはあはあと息も絶え絶えな様子になっているのを確認して、僕は口を離した。
「あっ……」
 走一君がさびしそうな、というか、もっとしてほしそうな(僕の欲目じゃないと思う。多分)声を上げる。
 僕はいけるかどうか内心ひやひやしながらも、優しく声をかけた。
「気持ちよくなかった?」
「………」
 走一君はそう訊ねられるとまたベッドに顔をうずめてしまった。
 まずかったか!? と内心パニックになる僕。が、走一君は顔をうずめたまま、小さく言った。
「……気持ち、よかった」
 よっしゃあぁぁぁっ!
「じゃあ、もっとしてもいいかな?」
 この期に及んで断られたらどうしよう、とびくびくしながらのオヤジくさい問いに、走一君は無言で小さくうなずいた。

 ――三十分後。
「ああ、んっ、そこ、だめ、だよ、やめ、てぇっ……」
 走一君はかなりいい感じに蕩けてるようだった。この三十分の間、僕は潤滑剤その他の道具も使って走一君のお尻を馴らしに馴らしまくったのだ。
 そのおかげで既に走一君のお尻は指を三本も飲み込めるようになり、僕も走一君のお尻のイイところを飲み込んできた。
 前の方をごく軽く揉みしだきながら、指の腹で第二関節の辺りを軽く擦ってやる。
「ひあっ! 駄目、そこ、駄目だってばっ……!」
 ……ううう、嬉しい……! 走一君が僕の手で感じてくれることがこうも嬉しいとは……! 予習を重ねた甲斐があった……!
 でも初めてで感じてくれるってことは、もしかしたら僕たちはかなり相性がいいのかもしれない。だったら嬉しいな。
 じゃあ、いいか? そろそろ行くぞ! 自分で自分に確認して、僕は走一君のお尻からゆっくり指を抜いた。
「はうんっ……」
 指の抜けた感触に喘ぐ走一君に、僕はできるだけ優しく声をかける。
「走一君。挿れていい?」
 ……ううう、我ながら間抜けな台詞だ。でも他になんて言えばいいかなんて思いつかなかったし。
「……そんなことっ……聞かないでよっ……!」
 息も絶え絶えな下から走一君は半ば泣き声になりながら言う。僕はなんだか走一君がめちゃくちゃ可愛く感じられて(今までも可愛いと思ってたけどさ)暴走しそうになる心と体を全身全霊で抑え込みながら、うつぶせになっている走一君の首筋になだめるようなキスをした。
「……力を抜いて。挿れるよ……」
 素早くコンドームを装着した(しょっぱなから中出しはいくらなんでもできない。いずれはやってみたいとか思っちゃったりもしてるけど……)僕のペニスを走一君の肛門にあてがうと、きゅっと走一君の体に力が入るのが感じられた。これだけ馴らしてもやっぱり緊張しちゃうのか……。
 僕は走一君をリラックスさせるべく走一君のちんちんを片手で優しくいじりながら耳元に囁きとキスを落とす。
「……大丈夫。僕を信じて。痛くないよ……息吐いて……力抜いて……」
 どちらの行為により効果があったのかはわからないが、走一君の体のこわばりがだんだん解けてきた。はぁぁ……と息を吐いて、体を弛緩させていく。
 僕は走一くんに体をぴったりくっつけて(でも重くないようにちんちんをいじってるほうの腕の肘で体を支えつつ)空いている方の手で肛門を広げ、先っぽを挿入しようと試みる。
 はっきり言ってめちゃくちゃ神経使った。走一君の体を傷つけないようにしつつ、走一君をリラックスさせるべく気持ちよくなってもらいつつ、不安にさせないようにしつつ、でも荒く息をつく走一君のうなじはメチャクチャ可愛くて、速攻で突っ込みたくてしょうがなくさせる――てなわけで僕はもーパニクりそうだった。
 でも! 僕は走一君に気持ちよくなってもらいたいし、自分も気持ちよくなりたい。走一君と気持ちよくなりたいのだ!
 僕は一生分の忍耐と集中力をここに注ぎ込むつもりで走一君の肛門を開いていき、そしてついに……!
「あっ……!」
 走一君の中に、僕の先端が入った……!
 一気に貫きたい衝動を必死に抑え、僕はゆっくりと走一君の肛門から指を抜いていき、一秒に1mmくらいの速度でペニスを走一君の奥に押し進める。走一君のちんちんへの愛撫はやや控えめにし、その代わりに空いた手で体中をまさぐった。
 しかし、予想はしてたけど、キツい……! ちぎれそうとまではいかないまでも、痛いくらいの強さで僕のペニスを締めつけてくる。
 ……走一君も同じような……いや、もっと強い苦しみを味わってるんだろうな。そう考えると、なんかジーンと……。
「…はあっ……!」
 ぜ……全部入ったぁっ!
 走一君は一声あげたきり、痺れたように動きを止めている。ゆっくりゆっくり腰を進めてきた僕は、ただでさえ精神的肉体的疲労でぐったりしているところにギューっとペニスを締めつけられ危うく悲鳴を上げそうになった。
 痛い……けど、ようやく走一君と合体(うわ、ストレートな)できたんだー。そう思うとなんだかものすごく感慨深い。ていうか感動だー。走一君のバックバージンを僕がもらえたんだと思うと……うう、涙出そう……。
 とかのんびり感慨にふけってる場合じゃない! やっと走一君と合体できたんだ、いざ行かんセックスのクライマックスへ……!
「動かすよ……?」
 そう言うと僕は走一君を万が一にも痛がらせないようにゆっくりゆっくり抽送を開始した。体を曲げて走一君の首筋に何度もキスを落とし、体中を――もちろんちんちんも――愛撫しつつ。その際、できるだけ走一君のイイところをペニスで擦るように心がける。
「……んくっ……んはっ……はぁっ……!」
 走一君が苦しそうな声で喘ぐ。僕の手の中のちんちんはビンビンだから感じてはいると思うんだけど、体を限界まで開かれてぶっとい物を突っ込まれてるんだから苦しいのは確かだろう。
「……大丈夫だよ、走一君。大丈夫……」
 僕は我ながら無責任なことを言いながら抽送を続ける。だってこの状態で止めろというのはあまりにムゴすぎる――!
 走一君の締めつけは相変わらず痛いくらいなんだけど、動かしてると走一君の中の微妙な凹凸が僕をゆるゆると擦って……き、気持ちイイ……。
 猛烈に動かしたい! という欲望を必死で抑えてゆっくり動かしてんだ、止めることなんてできるもんかーっ!
「んあっ!」
 走一君が急に声を上げた。
 ……今のは……? 悲鳴かと思ったけど、どっちかというと嬌声に近かったような……。
 僕は抜くのをやめて、さっきと同じところへもう一度ペニスを押し進めた。
「やんっ! ああんっ……!」
 ………!
 ここが走一君の一番イイところなんだな!? 走一君、お尻に僕のペニスを挿れられて感じてるんだな!?
 そこで僕の理性の糸が、ぷっちーんと音を立てて切れた。
 さっきまでとは比べ物にならない勢いで、僕は抽送を再開した。いったんぎりぎりまで引き抜いてから、ぐぐぐぐっと奥へ。それを何度も繰り返し、走一君の一番イイところを嫌というほど押してやる。
「んはっ! んっ、あんっ! んひっ、あふっ、くはっ、んあうっ……!」
 くちゅくちゅ、ちゃっちゃっ、ぴたんぴたん。
 走一君のちんちんが、僕と走一君の繋がったところが、いやらしい音を立てる。走一君のお尻と僕の体がぶつかって音を立てる。
 走一君の小さな体がびくびく震える。思いきり大きく広げられた走一君の肛門の中に、僕のペニスがすごい勢いで出入りする。
 耐えに耐えてきた僕のペニスは、聴覚と視覚からの刺激、そして強烈な締めつけにあっという間に爆発寸前まで上りつめた。
 と、走一君が顔だけでこっちを向いた。その顔は、涙と涎でぐしゃぐしゃだ。
「きたっ……ざわさん……そこ……やめて……俺っ、おかしくなっちゃうよおっ……!」
 ………!
 涙をボロボロこぼして泣いている、懇願するようなその表情の底に明らかな快感を見つけて、僕は思った。
 走一君可愛過ぎる。もうこのまま死んでもいい。
 体を強引に折り曲げて走一君の唇を奪い、舌を絡め合わせる。走一君のちんちんを思いきり扱きあげる。そして猛烈な勢いでペニスを抜き差しし――
「………!」
 唇をお互いに塞いで声も出せないまま、僕と走一君はほぼ同時に絶頂を迎えていた。

「走一君大丈夫? 痛いところない? 喉渇かない? 何か持ってこようか?」
「……別にいいよ」
 絶頂を迎えて、余韻に浸る暇もあらばこそ、僕は我ながら滑稽なほどかいがいしく走一君の世話を焼いていた。体を拭いたり肛門を調べたりマッサージしたりと、そりゃもういろいろ。
 ……だってー! 走一君に嫌われちゃったんじゃないかって不安なんだもんっ!
 走一君の肛門は傷ついてはいなかったけれど赤く腫れていた。それもみんな僕が理性をぶち切れさせちゃったせいかと思うと……
 ああっ、あそこまで我慢に我慢を重ねてゆっくりじっくり進めてきたのにぃっ!
「……なんか、体中が痛い」
 ぼそっ、とこぼした走一君の言葉に、僕は飛び上がりそうになるほどびくりとした。
「あっ、そ、それは普段使わなかった筋肉を長い時間緊張させてたからだよっ! やっぱり運転とかしてる走一君でもこーいうことに使う筋肉は持ってないんだねって……は、ははは……」
 ……寒い。
 なんてしょーもないことを言ってるんだ、僕。辺りの気温が零下まで下がったぞ。
 愛想笑いを浮かべたまま硬直した僕を横目で睨むと、走一君はふんっ、と背を向けた。
 ガァァァァン、と頭の中で音が鳴った。
 や……やっぱり、嫌われちゃったんだろうか……?
「あ……あの……走一君……」
「……北澤さん、なにオロオロしてんの? まるで悪いことしたみたいじゃないか」
 う……。
 だって悪いことをしたと言われたら、なんの申し開きもできないのが今の僕の状況なわけで……。
「……俺としたの、そんなに嫌だったわけ?」
 え!?
「いや、それは違う! 僕はむしろ走一くんの方が嫌だったんじゃないかって……」
「嫌じゃないよ!」
 走一君がようやく僕のほうを向いてくれた。……こっちを睨みながらだけど。
「俺は……その……気持ち、よかったん、だから……」
 ………
「ほんと!?」
「……ほんとだよ。なのに北澤さん、まるで俺としたのが間違いだったみたいなそぶりするしさ。俺……ちょっと、ショックだったんだからな……」
 僕はがばぁっ! と走一君を抱きしめていた。走一君の顔に自分の顔をすりつける。
「き、北澤さん、苦しいよ!」
「走一君、ごめん! 僕は君のこと大好きだよ、君とだったら何を引き換えにしても惜しくないくらい! 走一君の足が動かなくなったら代わりに足を、心臓が動かなくなったら自分の心臓を上げてもいいくらい大大大好きだよ! 世界で一番君のことが……!」
「も、もうわかったから!」
 ぜえはあと息をつきながら僕を押しやる走一君に、僕はちょっと(いまさらって感じだからなー)照れながら言った。
「……僕も……メチャクチャ気持ちよかったよ」
「……そ、そう……」
 走一君は真っ赤になってうつむいてしまった。
 可愛いなーv 走一君はやっぱりはにかんだ顔が一番可愛い気がする。
 僕は調子に乗って、走一君の唇にちゅっとキスをして言った。
「体が痛くなくなったら、また気持ちよくしてあげるからね?」
「……う、うん……」
 走一君はさらに赤くなっておずおずと、でもはっきりうなずいた。


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