あとがき。

 この話は『女郎花の唄う頃』、『ナスタチウムの見上げる空』、『蓬の声で叫ぶ恋詩』同様、リンクさせていただいているサイト、『雨上がり☆AfterSchool』の看板息子くんの一人、梶木剛くんの小説です。
 前回送った贈答品から相当間が空いて、ぶっちゃけ木元さんサイトからpixivとかに活動場所変更なさってるんですが(その上仕事もお忙しくなってるせいで同人活動そのものが難しくなってきてるそうで)、自分梶木くんの話はもうかなり書き進めちゃってたので、全部書かないともったいない気がするという貧乏性精神と単純に自分でこの話が気に入っていたという物書きとしての執着のもとに、木元さんにお願いしてこうして書き上げさせていただきました。
 梶木くんのキャラ設定は、『面白いことが大好きで、いつも騒ぎを起こすトラブルメーカー。あっけらかんとしており、怒られてもこたえない猛者』というもの。その活発なところが買われてか、お年賀みたいな記念絵の時なんかにもわりと描かれてる印象でした。
 で、その設定をこね回して膨らませて、『普通なら捕まるレベルのいたずらをあっけらかんとやってのける悪ガキと、それを怒鳴りつけながらも真正面から向き合う元ヤン教師』という感じに話の筋立てはわりとあっさり決まりました。自分的にはその筋立てを最後までずらさず、楽しく書けたなーと思っております。
 ただまぁ、自分的に教師が教え子に手を出すというのは、それなりにワンクッション必要というか……真面目に教師という仕事と向き合っている人が、ほいほい生徒に手を出すってのは自分の倫理的にアウト感あるので、それに言い訳が利くようにというか(笑)、自分的にこの二人が結ばれるのは間違ってない! と胸を張って言えるようになるためにはそれなりにがっつりお互いの心情とか信条をぶつけ合わせて昇華する必要があるんですよ。
 そのせいで話が長くなっちゃったとは思うんですが、自分の場合、話の中で真っ当な人物として描いているキャラに、真っ当じゃないことをさせたくないというか、真っ当じゃないことをしておいて自分が間違ってないと思わせるのはなんかすごい都合のいいように使われてる感あって嫌なので、長々あれこれ書き連ねさせていただきました。これも自分なりの書き手としての倫理のためとご容赦ください。
 あと、ですね……なんで梶木くんの実家、というか御祖父をヤクザの組長にさせちゃったかというとですね……(笑)。自分の中で梶木くんが身勝手な両親に育児放棄されながらも逞しく楽しく生きてる子、という感じにイメージが固まってたので、そーいう両親の都合に煩わされずに梶木くんを想っていてくれて、いろんなとこに顔が利いて権力持ってて、なおかつある程度距離を置かざるをえない職業って考えると、どうしてもそっち系になっちゃってですね……というか、なんか梶木くんのキャライラスト見てたり設定とか木元さんと喋ってるうちに、いつの間にか自然と『梶木くんの実家はヤクザの組長』って自分の中で決まってました(笑)。
 梶木くんがしょっちゅう和服を着てるせいもあったのでしょうか……。でも、なんか梶木くんって権力に連なる家の子って感じがするんですよー! 悪ガキなところが逆に! そんでその権力が裏とか闇的な感じしそうだなーとか、でもそれに染まらずにひょうひょうとその中を泳ぎ渡ってる感じがいいなーとか勝手な妄想が迸ってそういうことに……(笑)。
 ただ、自分の場合、自分自身が基本的にヤクザとかヤンキーとかそういう類の人間が嫌いなので、主人公には真っ当な人間でいてほしい自分には、その手の人間と仲良くするのはまだしもそういう人間の倫理観を全面的に受け容れさせるのはどうしても抵抗感があるので、祖父と孫という微妙な距離感で、お互い大切に思い合っているけれどもある程度の距離がある感じに書いてみました。ヤクザ稼業継がせちゃうのにもやっぱ抵抗あったので、組長のたった一人の孫だけれども組は継ぐ叔父がもう他にいる、ってことに。それなら当たり前みたいに和服の着付けができるとか和食だけ食べ方がすごくきれいとかのヤクザ的お坊ちゃんムーブに素直にニヤニヤできるので……(おいおい)。
 ただ、自分で書きながらも思ったんですけれども、途中でおじいちゃん組長をちょっと目立たせすぎてしまったかなぁという感はあります。雨上学園理事長と過去に学園通ってる頃ショタ同士でホモ関係だった、なんて特徴も作っちゃいましたし。他にも家政夫さんが理事長以外で唯一の男だとか……自分的には書いてて楽しかったんですけど、やっぱり基本的にはいつも主人公を目立たせるべきだよなぁと少し反省。まぁ雨上学園の理事長を出すことで、雨上学園の特徴が経営陣にどう思われてるかってのを書けたのはよかったですけど(ただ理事長のお相手そんなにあっさり決めてよかったのかみたいな気持ちはありますが・笑)。
 でも、最終的には梶木くんとお相手が全力でいちゃつき思いきりエッチするところも描けたので、自分的には楽しかったですし満足してます。梶木くんの喘ぎ声がちょっと危ない感じになってますが、毎日四回のオナニーを欠かさなかったエロ猿である梶木くんが一ヶ月禁欲したことで、マジでヤバいくらいの感度を得てしまったということでご容赦ください。っていうか書いてるうちになんかそういうことになっちゃったというか、エロ悪ガキである梶木くんが惚れた相手に触られるだけでトロ顔になってビクンビクンするところを書くのが楽しかったというか……(笑)。
 とにかく、今回は本当に楽しく書くことができました。木元さん、ありがとうございます。自分的に梶木くんってあっちこっちにちょっかいかけてちょこちょこ動いてるキャラってイメージがあるので、そういうキャラを主人公に据えて話が書けるというのは心地いい体験でした。お相手の元ヤン教師も(途中でぐだぐだと内面語らせちゃってよくないなーとかも思ったんですが)、梶木くんのことがなんのかんので大好きで、一生真正面からぶつかっていけるキャラというところに着地できて、よかったと思います。……エロ的な意味でも二人を非常に相性よく書けたと思いますし(笑)。
 ちなみに今回のタイトルになるスターチスの花言葉は、いたずら心∞同情≠サして変わらない誓い≠セそうです。タイトル内のコエ≠ヘ声≠ニ恋え≠フダブルミーニングのつもり。

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