十二月二十六日、朝。 俺は温かいものに包まれながら、ほんわりと目を覚ました。 俺は仕事上寝起きはかなりいい方なんだけど、この日は珍しく起きてもしばらくはぼーっとしていた。まあ、昨日の疲れもあるけど、それ以上に妙にあったかい気持ちになっててそれをもうしばらく味わいたかったんだ。 まぁ、言ってみりゃアムさんの腕の中で、後朝の幸福感なんつーものを感じてたわけで。 ほわほわした気分のまま体を回転させる。アムさんの腕が(励んだまま寝ちゃったから当然裸だ)俺の肌の上で滑った。 アムさんの顔をのぞきこむ。アムさんは、たぶんこんな顔なんだろーなーと思った通りの間の抜けた寝顔でよく寝ていた。 グラサンはもちろんベッドの横。小さめの目が閉じられて、まぶたがぴくぴく動いている。トレードマークのヒゲの下の口はいびきと共に大きく開け閉めをくり返し、端からよだれをこぼしていた。 間抜けな顔。 間近で好きな人の顔を観察しつつ、俺はにまにまと笑った。した朝の相手の寝顔をこうしてまじまじ見るのって、もしかしたら初めてかもしれない。 なんだか幸せだなー。好きな人と濃いエッチした翌朝に、こうして同じベッドでくっつきながら相手の寝顔見れるのって。 間抜けな顔だけど、でも嬉しい。ていうかそこんとこがかえって可愛かったりして。 惚れたらあばたもえくぼってやつ? しかし俺ってなんでアムさんが好きなんだろうなー。こういうタイプは確かにわりと好きだけど。顔も性格も。でもそれでいったら基本的に俺に嫌いなタイプなんてないし。ここ! っていうポイントがあるわけじゃないんだよな。 でもなー、なんかこの顔見てると好きー! って気持ちになっちゃうんだよなぁ。会えなくなったら寂しいし会えたら嬉しい。キスしてほしいしエッチだってしたい。一緒にいろいろいちゃついたりしたい。 なにもかもを犠牲にできるほど激しい恋ってわけじゃないけど、恋し始めぐらいその幸せに浸ったって悪くないよな。 俺はしばしにまにましながらアムさんの寝顔を見つめ、それからおもむろにアムさんの鼻をつまんだ。やっぱりお約束としてこれは押さえておかなくちゃな。 「………ンが!? んむっふ、ふがふぐ」 「おはよ、アムさん」 俺がにこっと笑いかけてやると、アムさんは寝ぼけ眼で俺を見つめた。 「……九龍?」 「そーだよ。昨日のことちゃんと覚えてるか?」 「……覚えてるさ。せっかくの初夜明けだってのに色気ない起こし方するなぁ」 「そうかな? 初夜明けの鼻つまみ起こしはわりとデフォルトだと思うけど」 「俺としては熱烈なキスの嵐とかの方が嬉しいがね」 「アムさん大口開けてたからキスはちょっと難しいだろ。それに寝てたアムさん、間抜けでなんか可愛くて悪戯したくなっちゃったんだよな」 へら、と笑う俺に、アムさんは一瞬固まってからにやりと笑い、ばさあと毛布を翻して俺にのしかかった。 「わ!」 「そういうこと言う子にはいけないお兄さんが悪戯しちゃうぞ〜」 「うわ、ハマりすぎ! シャレになってないって!」 俺たちは笑いながらしばしベッドの上でじゃれあった。それなりに頑丈なベッドが男二人分の体重を乗せてぎしぎしときしむ。 二転三転しつつつつきあったり微妙なところを触ったり。異様なくらい楽しくて、抑えようとしても笑い声が漏れる。 アムさんをまたぐようにしてマウントポジションを取った俺は、軽く息を荒げながら両手を上げて降参のポーズを取るアムさんに、顔を近づけ囁いた。 「悪戯してよ、カッコいいお兄さん」 アムさんは一瞬固まってから、ふっと笑って俺を引き寄せた。 「言ったな? お兄さん本気になっちゃうぞ?」 「本気になってよ。俺お兄さんの本気の顔スキなんだ」 「こいつぅ……」 ちょっとだけ怒っているような笑顔を見せて、アムさんは俺に口付ける。唇の間からアムさんの、ぬめぬめして大きい舌が入ってくる―― と、その時、どんどんどんと俺の部屋の扉が叩かれた。 「………!」 アムさんはやべぇ! という顔をするとばっと唇を離し、大急ぎで服とサングラスを取るとパンツだけ穿いてがらりと窓を開けた。 「……って、ちょっとアムさん」 「悪いな、ベイビー。また来るからな!」 言うやウインクをひとつして三階から飛び降りていってしまう。下でけっこうすごい音がして、大丈夫かなと心配になったけど、ここで声をかけでもしたらかえってアムさんが危険なので見に行きはしなかった。 扉を叩く音はどんどんと強まっている。俺はぽりぽりと頭を掻いて、やれやれと思いつつも毛布を体に巻きつけ扉を開けにいく。 アムさんもなにも逃げることないのに。どうせこの叩き方は―― 「ほらね」 「なにがほらねなんだ」 予想通り、そこには甲が立っていた。俺を見て、いつもの無愛想面がきゅっと眉を寄せる。 「なんだその格好。もう年が終わるんだぞ、寝る時でも服はちゃんと着ろよ」 「あーうん、俺も普段はちゃんと寝巻き着てるんだけどさ、昨日はちょっとアムさんとセックスしてたもんで」 「…………」 甲は、目をまん丸に近いくらい見開いて、ぽとりとアロマパイプを落とした。 「………………は?」 「だから、アムさんとセックスして、そのまま寝ちゃったから服を――」 「お前ちょっと黙ってろ! 口開くな動くな考えるな!」 「んむ」 俺は口を塞がれると、甲に部屋に押し返された。なんだよ、自分が聞いておきながら黙れはないだろ。 俺と部屋に入った甲は、素早く鍵をかけ窓を閉め、俺をベッドに座らせて上から睨みつけた。 「………どういうことだ」 「もう口聞いてもいいのか?」 「ふざけるな! さっき言ったのはどういうことだって聞いてるんだ!」 「どういうって、そのまんまの意味だけど。昨日の夜ここにアムさんが来てさ、泊めてくれっていうわけ。そんで俺は昨日アムさんにラブだって自覚したばっかだったからさ、いろいろやってるうちにお互い盛り上がってきてそのままベッドに」 「当たり前のことみたいに言うなッ!」 甲がものすごい顔で喚く。……これって当たり前じゃないことなのか? 「なんだよ、俺がアムさんに惚れたらそんなにおかしいのかよ」 「おかしいが、そういう問題じゃないッ!」 ぶー。それはちょっと傷つくぞ。俺は唇を尖らせた。 ……でもそういう問題じゃないってどういう意味だ? 甲は首を傾げる俺に、殺気すら感じさせる顔を近づけてきた。 「お前、なにを考えてるんだ。惚れただと? セックスだと? あれだけ男も女も見境なく落としておきながら、男の、しかもあの探偵相手に寝ただと? 馬鹿かお前は!」 「…………」 「お前の馬鹿な行動にはいい加減慣れたと思ってたが、これは桁が違うぞ! そんなもん当たり前な顔してできるもんじゃないだろうがッ! それをお前は……」 「甲太郎」 俺は手を伸ばして、甲の腕に触れた。甲がわずかにたじろぐ。 「なんだよ」 「心配してくれるんだな。すっげー嬉しい」 「な……」 俺は絶句した甲ににこりんと笑いかけた。 「だいじょーぶだよ、俺どんなことになっても後悔しないから。そりゃまーちょっとは傷ついたりするかもしんないけど、恋するんならそれくらい当たり前のことだろ?」 「な、なに言ってんだ! 俺は別にそんなことを心配してるわけじゃなくてなァ……」 「うんわかってる、他のみんなのことも心配してるんだろ? だいじょぶ、俺だって女の子相手にセックスだなんだって言う気はないからさ」 「………―――もう、いい」 甲は肩を落とすと、くるりと背を向けて部屋を出て行こうとする。俺はその腕をがっしとつかんだ。 「……なんだよ」 「せっかく来たんだ、お茶でも飲んでけよ。一緒にお喋りでもしよーぜ」 「馬鹿馬鹿しい。のろけ話でも聞かせるつもりか」 「うんっ!」 「………は?」 呆然とした顔になる甲に、俺は我ながら嬉しそうな顔で言う。 「俺さー、セックスの経験はあっても恋愛の経験ってなくてさー。恋って幸せなんだって感じるのも初めてなんだよなー。だから今もーれつに誰かに話したいわけ、その喜びを。友達のよしみでちょっと聞いてくれよ」 「冗談じゃない、誰が聞くか。俺はとっとと帰る」 「聞いてくれたら今後一切一昨日のことは持ち出さないっつっても?」 「…………」 甲が足を止めて、振り向いた。 「本当か?」 「ホントホント。今後一切一昨日のことを理由に甲ちゃんに拷問や嫌がらせはいたしません。――聞いてくれたらな」 「………………」 甲はぶすっとした顔で戻ってくると、ベッドの脇に座った。そしてぶっきらぼうに言う。 「とっとと服着ろ。そんな格好した奴の話聞くほど俺は趣味が悪くないぞ」 「りょーかーいっ♪」 紅茶と生徒会への差し入れ用に焼いたパウンドケーキを前に、俺は語っていた。 「――ってわけでさー、アムさんって基本的にねちこいエッチすんだよな。弱いと見るとその一箇所を徹底的に責めるみたいな。焦らし方もしつこいし。俺はもーちょいさっぱりめっていうか、緩急取り混ぜてるエッチの方が好きなんだけどさ。あばたもえくぼっていうか、惚れたら弱いっていうか、気持ちが入ってるせいだと思うんだけど、気持ちいいんだよな〜」 「…………」 「あ、でもさ。アムさんのエッチが好みじゃないってわけじゃないんだぜ。そりゃ体の相性バッチよしってわけじゃないけど、アムさんってしつこいけど、優しいんだー。俺をぎりぎりまで追い詰めて焦らす時さ、俺は辛くてがくがく震えてたりすんじゃん? そういう時にアムさんの顔見ると、すっげー優しく笑ってくれてたりすんだー。そんで体にちゅってキスしてくれたりすんの。そうすると体中が一瞬ほわーってなるんだよなー」 「…………」 「まー俺がその時嬉しそうな顔したせいでアムさんも調子乗って体中にキスマークつけたりしたんだけどさ。もう冬だし見えないから別にいいかなって。それにさ、体中にいっぱいキスマークつけられるのって、なんつーか所有されてるって感じがしてみょーに嬉しいものがあったりすんだよなー……」 「いい加減にしろッ!」 げし、と上段蹴りを食らって俺はベッドの上にひっくり返った。ちょっと本気入った蹴りに、俺は目を丸くして起き上がる(なにをされてもすぐに体勢を立て直せるのは宝探し屋の必須条件だ)。 「なにすんだよ」 「なにすんだよじゃないッ! なんで俺がお前らの性生活を事細かに聞かなきゃならないんだッ! しかも男が男に組み敷かれた時の話だぞ! そんな話嬉しそうにされて、俺が楽しく聞けると思うのかッ!」 「なんだよー、心狭い奴だなー、いいじゃんそのくらい。お前だって別に経験ないわけじゃないんだろ? 普通に聞けよ、別にそこまでえげつない話してないじゃん」 「…………」 「? 甲?」 俺が言っても、甲はうつむいたまま黙りこんで動かない。なんだ? と首を傾げて、はっと気づいた。 「あの……甲、もしかして、さ。経験、ないとか……」 ぶおんっと凄まじい勢いで蹴りがくり出されて、俺の顔面一mm前で止まった。甲はその体勢のままぴくりとも揺れず、マジで殺る五秒前みたいな顔して笑った。 「……本気で殺されたいか?」 「すいませんごめんなさい俺が悪うございました」 俺は素直に平伏した。久々に甲に対して本気で悪かったと思った。 甲は意気消沈した様子でその場に座り込む。しばしの間沈黙が降りた。 そして、先に口を開いたのは甲の方だった。 「九ちゃん」 「……なんだ?」 「お前、あの馬鹿探偵のどこがいいんだ」 「…………」 「お前を好きな奴は他にいくらだっているだろう。よりにもよってなにもあんな奴を選ばなくてもいいだろうが。あいつのどこに――お前は惚れたっていうんだ」 「んー……」 俺は首を傾げて少し考え、言った。 「別に、大した理由なんてないような気がするなー」 「…………」 「いやホント。俺だってなんであの人に惚れたのかよくわかんないもん。本当に突然なんかときめいちゃっただけで。けどさ、そんな安い恋でも、心があの人と一緒にいたいって言うんだよ。好きだって言うんだよ。会えたらキスできたらセックスできたら、嬉しい嬉しいって体中が叫ぶんだよ。――そんなに簡単でいいのかって気もするけど、あの瞬間の喜びのためだったら、俺はたいていのことはすると思う」 「…………」 甲がばりばりと頭をかいた。そしてじろりと睨むようにして俺を見る。 「あの探偵も、お前が好きだって言ってるのか」 「一応一度愛してるとは言ってくれたよ。それがリップサービスじゃないとは限んないけど。なにせほとんど成り行きのままにエッチしちゃったからなー」 「お前、それでいいのか?」 「んー、絆をしっかり作るのはこれからだと思ってる。正直恋人って形はどーもそぐわないような気もすんだけど、お互いそうなりたいって思うんだったらなろうとしてみるし。俺はあの人のために宝探し屋をやめる気もないし、今の自分を捨てる気もない。アムさんだってそうだと思うよ。お互い好きなんだろうなーとは思うけど、その気持ちが絶対確かなもんだと断言はできないし、いつまで一緒にいられるかも正直言ってわかんない」 「…………」 「けど、それって他の人間関係も同じだから。確かなものなんてなにもないけど、それでも今この瞬間一緒にいたいと思うからそばにいるし、その関係を持続させるために努力もするわけで。他のみんなと同じように、アムさんとのこの関係も大切にしたいと思ってるよ」 「…………」 甲はおもむろにアロマパイプに火をつけると、深々とアロマを吸いこんだ。そしてすっくと立ち上がる。 「どした?」 「話聞いてるのが馬鹿馬鹿しくなった。帰る」 「そっか? じゃ、またな」 甲はしばし俺の方をじっと見つめると、小さく言った。 「じゃあな」 そして部屋を出ていく。俺はその背中をしばらく見送って、けっきょくアイツ紅茶飲まなかったでやんの、なにしに来たんだ結局、とか思った。 その日一日はいつものように過ごした。甲ややっちーと大忙しで仕事してる生徒会の奴らに差し入れ持っていったり(甲って副会長のくせに全然仕事してないよな)、みんなで図書室で課題片付けたり、遊んだり。学校に許可を得て居残ってる奴以外はみんな家に帰り始めてるから、周りに人は少なかった。 夕食を終え部屋に帰ってきて。俺はうーんと考えこんで、しばし辺りをぐるぐると歩き回ってみたりもして、そして結局H.A.N.Tを起動した。 メールが来てないのはわかってるけど、俺の方からアムさんにメールとか送ってみようかな、とか思っちゃったからだ。 そりゃウザいとか思われる可能性もあるけど、そんなことに怯んでいたら人付き合いはできない。 ――それに、やっぱりこうして一人部屋にいると、猛烈に会いたくなってくるし。 今何してるんだろ。やっぱ部屋探しかな、仕事はしばらく休みだって言ってたし。俺としてはもうしばらく同じ部屋で寝起きしてもいいんだけど。 だって今俺めちゃくちゃアムさんになにかしてあげたい。ご飯食べさせてあげたい、服洗濯してあげたい、もちろんベッドでだってうんとサービスしたい。 一緒の時間過ごして、いちゃいちゃして、相手になにかして応えてもらうのって、ちょっと考えられないくらい幸せだって気がする。 俺は使い慣れたH.A.N.Tのキーボードをタタタンと叩いた。 『アムさん、今どこにいる? お腹すいてない? 寒くない?』 一分もせずに返事が返ってきた。 『そこまで心配してくれるとは俺って愛されてるね。寒いし、腹減ってるよ』 俺はアムさんの素早さに嬉しくなって、またキーボードを叩く。 『俺の部屋来なよ。メシ食わせてあげる。そんでこっそり一緒に風呂入ろうぜ、風呂エッチはNGだけど。そのあと俺があっためたげる。メシなにが食べたい?』 今度はなかなか返事が来ない。まだかなーまだかなーとH.A.N.Tの前でぐるぐるしながらじっとH.A.N.Tを見つめていると――ぺろり、と後ろから頬を舐められた。 「俺は、君が食べたい」 「アムさん!」 俺は振り向くと勢いよくアムさんの胸の中へ飛び込んだ。見た目より薄いアムさんの胸板が、俺の体を受け止めてくれる。 「……熱烈な歓迎感激の行ったり来たり。君も宝探し屋なら背後の気配にくらい気づけよ」 「気づかないようにしてたくせに。いつ来たの?」 「ついさっき。君の部屋に向かってる途中にメールが来たから驚いたぜ」 「………じゃあ、最初から俺の部屋に来てくれるつもりだったんだ………」 「おいおい、卒業まではこの部屋自由に使っていいって言ったのは君だろ?」 そう言って悪戯っぽくアムさんは笑う。俺はじんわりと湧き上がってくる嬉しさに、頬を緩ませた。 「アムさん、俺に会いたかった?」 「さあ、どう思う?」 にやりと笑って煙草をくゆらせるアムさんを、俺はぎゅっと抱きしめた。 「俺は会いたかったよ」 「――――」 「一人になったらすぐアムさんのこと考えちゃって、会いたくて会いたくてしょうがなかった」 「…………九龍」 アムさんはすっと軽く体をかがめ、俺の後頭部に手を回した。俺もちょっと背伸びして、両腕でアムさんにの頭に抱きつく。 「――――ん……」 ちゅ、と軽く触れてから唇を舐め、べろべろれろれろ口の中で舌を絡めてくるキス。 しつこいキスだけど――俺はこのキス、好きになった。 しばらくキスに没頭して、俺を抱き上げようと腰にやられたアムさんの手を、俺は叩こうかどうか迷って、結局やめた。 先に食事して体力つけてもらって、そんでしばらくエッチなしでいちゃいちゃするつもりだったんだけど、気持ちいいからいいや、流されちゃえ。エッチしたあとでもいちゃいちゃはできるよな。 エッチしたら特別にカツ丼を作ってあげよう。売店で買った、四百万円から割り引いて二百八十万円で買った霜降り肉でね。 そんなことを考えながら、俺はアムさんに押し倒された。 俺の作ったカツ丼をアムさんは「めちゃうまい!」と言いつつ食べてくれたけど、食事のあとでその肉二百八十万円したんだよ、と言ったら冗談だろ、と笑いつつもかなり冷や汗をかいていた。 |