あとがき。

 まず、最初に申し上げておかなければなりません。
 今回……2008/1/26に更新したMOTHER2、ジェフトニ三作品はすべて、自分の完全なオリジナル……二次創作でオリジナルってのも変ですが、ともかく原作から自力で考え出した作品ではありません。
 この三作は、リンクしている『S’LABO』の信濃川鈴太さんという方がサイトの企画で作品募集をされた際、自分が送りつけた作品なんです。以前更新した、っつか今回更新した三作の下に置いてあるMOTHER2作品のあとがきに書いてあった鈴太さんと誼を通じるきっかけになった贈り物というのがこの三作。
 自分は同人誌で鈴太さんを知って、サイトをいろいろ見てその作品設定に惚れ込んでしまったので、ついつい調子に乗ってこんなに長い作品を送ってしまったわけです。しかも鈴太さんの好意に甘えて「挿絵描いてv」なんておねだりまでしてしまいました。その上お返しに自分のオリキャラを請求するような真似まで……今思い出すと顔から火が出そうです。
 で、まぁ基本的に鈴太さんにお送りしたものですからこの三作はもう鈴太さんのものだと認識しておりましたので、サイトに載せる気はあんまりなかったんですが、鈴太さんがサイトを改装なされて贈り物を飾る場所を消されたので、じゃあ載せてもいいかな、と。鈴太さんの許可を得て今回更新作品に加えてみたわけです。
 まぁよそ様の設定で書いた作品ですから、自分の作品と胸を張っては言えないんですけど、それでもこの三作はどれもノリノリで書けたけっこう気に入っている作品なので、どうせだから来訪者の方々にお見せしたいなー、と思ったので。気に入られたら気が向いた時にでも一言送ってやってください(笑)。
 で、ですねぇ。自分はサイト等から鈴太さん(相方さんとご一緒に設定されたそうですが)のジェフトニ設定を調べて書いたので、鈴太さんの公式設定、というか……ジェフトニの出会いだとか出てくるキャラの性格だとかその他もろもろを完全にトレースしているわけではありません。設定を教わるためチャットまでしといてなんなんですが。というか調べたり教わった設定と矛盾してないようにはしてるけど、そのほかはけっこう好き勝手やってます(なので書いた後で出てきた鈴太さん設定やら作品やらと違っているところも多々あったり、heart〜なんて脇役のキャラが明らかに鈴太さん設定と違うと指摘されたりしましたし)。
 ですから、読んだ方々にお願いなのですが、この三作を『S’LABO』の信濃川鈴太さんの公式設定だとはどうか思わないでくださいね。自分が勝手に書いたいうなれば三次創作ですから。

 さてさて、それじゃよそ様のサイトのもので恐縮なんですが、作品を読むのに支障ない程度に設定とか書いておきましょうかねー。
 原作のゲーム+久美沙織氏の小説から設定を膨らませたそうです。ジェフたちが在籍する学校はヴィスコンティ大学付属モーリス校。生徒数は七歳から十八歳までおよそ100人という規模の小さい学校、でも名門。七歳で入寮し七歳から十歳までは十人部屋だけど十一歳になる前にがくっと数が減るので(経済的に通うのが難しくなるらしい)二人部屋になる。……自分が書いた時はそこまで知らなかったんですがね……。
 で、基本はゲームに出てくる通り、ジェフとトニーとガウス先輩が出てくるんですが、それ以外にも作品内にはいろんなキャラが出てきます。それがウィル、エディ、アレク、ルゥ、ラルフ、彬の六人。
 ウィルはFF5のバッツをモデルにしたキャラなんだそうで(笑)、趣味が旅≠セったりします。寮の学年責任者をやったりしてる仲間内ではリーダーシップを取る方のキャラっぽい感じ。サリサちゃんという彼女持ちです。
 エディ(エドワード)はウィルと一緒に学年責任者をやってるんだそうで、ウィルと仲がよさそう。糸目。存在感が薄いという特徴持ち。そこからついつい妄想してあんなことを言わせてしまいましたすいません。
 アレク(アレックス)は自分のことを綺麗で上級生からプレゼントされたりするのを当然だと思っているようなタイプの男の子。半ズボン。綺麗なものが好きで猫かぶりでちょい高慢な女王様タイプ? そしてガウス先輩に憧れている。
 ルゥ(ルートヴィッヒ)は大農園の息子で、アレクの幼馴染。土いじりが趣味。ぽっちゃりタイプ。基本的にのんびりした性格で人のフォローに回る性格、っぽい。
 ラルフは基本的にフツーな子。フツーに一通りの遊びや趣味には手をつけるし、フツーに優しい。で、自分ってちょっと没個性? と少しコンプレックスに思ってたりするせいか、特殊なジェフがちょっと気になってたりします。別にマジで大好きとかいうわけじゃないんだけど、周囲に男しかいない閉鎖的な環境の中でちょーっとあれ、俺もしかして……とか思ったりときめいたりしちゃってる(ちなみに彼の脳内ではジェフは受)。
 彬は某経済大国、すなわち日本からやってきた転校生です。フォギーランドに進出した車会社の子会社の社長を任された人の息子、まー金持ちの子ですな。ただし成績は悪い。雪乃ちゃんという妹がいて、悪い虫がつかないかと気にしていたり。背がちっちゃくて背の高い奴が嫌い。しかも寒いのも嫌いなので寒冷な気候のモーリス校ではいつも不機嫌。感情表現が豊かな、まーすぐぎゃんぎゃん喚くような男の子。
 で、この子はジェフがゲームの旅に出ていた時に転校してきてトニーと同室になった子で、ジェフのことは最初知らないんですよ。そんでまぁトニーと仲良くなってくんですが、トニーはジェフがいなくなったのを当然ながらすごく寂しく思ってて、彬が来たからジェフの荷物まとめさせられたりするのがもうすんごいショックなわけですよ。なのでついつい彬と接する中にも翳りがちらついちゃったりするんです。お人よしのいい子なので彬に当たったりせずいろいろ親切にしてあげるんですけど。
 で、それが気になって、もとより短気な彬とトニーは喧嘩するんです。それでその時彬はトニーの事情を知って、でもトニーがゲイだって事実をなかなか受け容れられないんですよ。生理的に。
 そこにガウス先輩が登場し、諭してあげて彬とトニーは仲直りを果たす……んだそうです。なんか自分の設定みたいに語っちゃってすいません……でもいちいち『なんだそうです』とかつけるの面倒だしなぁ。
 えーと、で、彬はトニーの性癖を受け容れて、それがゆえにジェフという人間に対し悪印象を抱くんです。トニーの気持ちに気付いてるはずなのにトニーを放っぽって旅に出たヒドイ奴、みたいな。
 そんでそこにジェフが帰ってきて、しかもトニーの気持ちを受け容れてしまう。で、彬としてはじゃー今までのはなんだったんだよ! と思ったりするわけです。でもトニーの気持ちを思うと自分が部屋を出ないわけにはいかないわけで、そんで先生たちに言われて渋々寮長であるガウス先輩と同室になるわけ、なんだそうな。
 まぁそういうわけで彬はトニー(と自分)をさんざん振り回した上に自分を部屋から追い出し、ガウスと同室にさせ、顔を合わせるとすぐ馬鹿にしたようにフッと笑い(バルーンモンキーを思い出すからなんだそうな)、トニーといちゃいちゃし、しかも背の高いジェフが嫌いなんです。わーずいぶん長くなったな。
 さて、ここからはゲーム内のキャラ。まずガウス先輩。このお方は(鈴太さん設定では)ジェフたちより六歳年上なのにも関わらず、いつもおちゃらけてて傍若無人で悪戯好きという困ったお方なんですが、実は根っこには根深い孤独感を抱えたお方です。というのもこのお方は孤児で、奨学金とかもらって研究で生活してる方で、だからというか寮の主的存在で生徒たちと騒いだりしつつ面倒見るのが楽しいから寮にいるんですが、寮生をからかったりすることはあるけど一人に限定して仲良くするということができないんですな。
 で、そんなところにふとしたことからからかいがいのあるおもちゃ(=彬)が生活圏に転がり込んでくるわけです。ガウスとしては彬はトニーがゲイだと受け容れられないぐらいだからどノーマルだと知っているので、『俺のことを好きにならない奴』と認識したため、安心していろいろかまうんです。
 でも一緒に生活しているといろんなところを見たりするわけで。ガウスの意外なもろさとかキレたところとか。ガウスも彬の意地っ張りだけど素直なところに思ったよりハマっちゃったりして。で、彬も駄目なのに、俺そんなんじゃないのに! とか言いながらうっかり落ちてしまうわけで。
 そういうわけでガウスと彬はできているわけです。でもガウスはジェフのことも何気に好きだったりするみたい。いっつもからかってばっかで本気は見せませんけどね。
 で、トニー。自分の書いた作品ではトニーは七歳ですでにゲイの自覚がありますが、鈴太さん設定ではジェフへの気持ちが恋だとわかるまでには五年かかるんだそーです(ある意味一目惚れではあるらしいんですが)。ジェフがトニーを親友だと認めるまでに三年かかったというのは公式ですがたぶんああいう認め方じゃない。ちなみにジェフがトニーを自分にとって一番大切な人だと気付くまでには五年三ヶ月かかるんだそうな。
 で、まぁゲーム内のようなことがあったりいろいろあって二人は十三の時にくっつくんですが、それからもトニーはけっこう苦労します。といってももーこの二人ラブラブなんではたから見たらアホらし、の一言で終わらせられそうな苦労なんですけどね。
 まずですね、トニーはジェフよりはるかに恋愛力が高いんですよ。人生における恋愛の比重が高いと言い換えてもいい。なので基本的に大好きなジェフを中心に世界が回っていて、尽くすタイプなこともあり炊事洗濯家事掃除、ものぐさなジェフの面倒をいちいち見てやって、エニイタイム愛を注ぎ続けるわけですが、ジェフは基本的につれないわけですよ。別に冷たいってんじゃないけど、かまってくれないの。研究やら実験やらに熱中してて、一生懸命作った料理を食べようともせず生返事しながら研究続けたり自分から申し込んだデートの約束忘れたりしてくれるわけですよ。
 で、まぁトニーは常に不満が溜まりまくりなわけですが、そこはうまくできているというか、トニーの不満が限界に達するギリギリあたりにジェフがふいっと恋愛にエネルギー傾けたりするんですよ。ふと気が向いていちゃいちゃしてみたりするんですよ。で、ジェフが好きで好きでしょうがない乙女体質のトニーは、ぽわーんと嬉しくなって不満を忘れちゃうんですね。……つい語っちゃいましたが余計だったらごめんなさい……。あ、あとポーラと仲がいいそうです、鈴太さんのトニー。
 ジェフは……まぁ今までので大体性格は見えたと思うのでいっか。あー、ひとつだけ言うならジェフって寮内ではことに及ばないと決めているそうです。

 いろいろ書きましたが、そういう設定に燃えて書いたこの三作なんですが、自分としてはどれもかなり楽しく書けた作品でした。自分は連想で小説を書くようなところがあるので、よそ様の二次創作読んで創作意欲を刺激されることかなりあるのですよ。なので燃え上がった創作意欲をぶつけられて、自分としては満足できました。
 さて、こっからはちょっとネタバレトークいってみましょーか。まだ小説を読んでない方は読んでからにしていただけると嬉しいですよ。
『stand〜』は、まず最初なので……というか、鈴太さんの設定をお借りするとはいえ書く以上は自分の世界を創らなきゃならないわけで、自分なりにジェフトニの始まりを書こうという意識が働いたんだったと思います。一年以上前のことなので定かではありませんが。
 まぁ書きたいという気持ちのままに書いたのであんまり意図とかなかったんですけどね実際。でも贈り物なわけですから、鈴太さんに喜んでもらいたいわけですから、ジェフトニをラブラブにしなければならないわけで、そこらへんからも馴れ初めを描くということは脳内で既定事項となったわけです。
 自分的にはジェフがトニーのために祈るところが泣きどころでジェフがトニーの告白を受け容れるところ(抱きしめて囁きとか)が悶えどころでジェフがトニーの可愛いところを並べ立てるのが笑いどころかな。あとこれ掲示板に載せたので作品をぶつ切りにしなくちゃならなくて、その作業のせいで自分的締め切りだった鈴太さんのお誕生日に間に合わなくなりそうだった、というような記憶があります(笑)。
『ヘッジホッグ〜』は……ですねぇ。自分彬がキャラ的に好みなんですよ。ショタだからさ。黒髪でちびっちゃくてぎゃんぎゃん喚く素直じゃない子ってつい目がいっちゃうの。
 で、その子がガウス先輩とくっつく、ということを知り燃え上がり、これは二人が仲良くする作品を書かねばなるまい! と思ったのでラブらせてみました。もちろん楽しかったですよ。個人的には彬の『こっち見んなばかぁっ!』と最後の『すき』という台詞を書きたくて書き始めたような話ですが、鈴太さんにはエピローグ的存在のジェフトニラブ会話が一番喜んでいただけたような記憶がありますこれは(笑)。タイトルはエヴァで知ったハリネズミのジレンマから。なんか彬っぽいなーと思って。
『The heart of the world』。タイトルは某SFから。これはですねぇ、自分当時恩田陸の『ネバーランド』にハマってたんですよ。『飛ぶ教室』とかの萌えも再燃してたし。少年たちが寮に残されてクリスマスを迎える、というのを鈴太さんの設定したジェフトニキャラでやってみたかった。
 自分共同生活ものって好きなんですよねー、若い男の子たち(女の子が入っていてもむろんおいしくいただけますよ)が喧嘩したり仲良くしたりしながらひとつ屋根の下でなんじゃかんじゃするの。だから冒険者とかパーティとか大好きだし。なのでそういう自分の燃えと萌えを全力でぶっこみつつ、ジェフトニをラブらせましたという感じですかね。苦しかったけど楽しかった、みんながきゃんきゃら騒いでるの書くの。ガウス×彬も入れられたしさ(彬と雪乃ちゃんの日本語の会話が書きたかったの)。
 でもジェフトニについてもこだわりはありました。なんていうか、自分の中ではトニーは根っからのゲイだったので(ゲーム中の印象が強くてさー)、そこからの連想なんですけど……『ゲイと家族』というテーマを書いてみたかったんですよ。
 ゲイという性癖を家族に明かすか否か。それはたいていの人にとって非常に重い選択になるでしょう。明かしたとしてもセクシュアル・マイノリティである人はたいてい、家族には申し訳ないような想いを抱いているんじゃないかと思うんですよ。自分のせいで後ろ指差されてごめんなさいとか、普通じゃなくて気苦労かけてごめんなさいとか。ゲイなら親に孫の顔見せて上げられないとかね。家族仲がよければいいほどそうだと思う。
 自分のセクシュアリティとか恋する気持ちとかを否定することはできないんですよ。真摯に人生を送っていれば。でも後ろめたい気持ちはいつだってどこかにあるし、愛する人を見つけてしまったら、しかもその人がノーマルと呼ばれる性向の持ち主だったら自分が引きずりこんでしまったと罪悪感は倍増するはず。
 そこらへんをね、自分としてはしっかり書けたんじゃないかなーと自画自賛したりしてる作品です。

 長くなりましたが、自分としては本当に楽しんで書けたので、鈴太さんのご厚意に甘えてアップしてしまいましたが。基本的にはこの作品は借り物だと考えております。文責はすべて自分、八識一にありますが、面白く書けていたらそれは『S’LABO』の鈴太さんのおかげということで、よろしくお願いしますね。


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