非幻想異端的日常
2005年 9月 30日 (金)
デクスター 最近毎日ビデオでアメリカのアニメ「デクスター」を見ている。字幕がないのでたまに英語が解らないが、とにかく笑える。毎回毎回シュールな物語の展開が面白い。

2005年 10月 1日 (土)
 夜、仕事の打ち合わせで天野がやってきた。何やら社内業務の進行を円滑に管理するシステム開発の提案をされ、赤字の切羽詰まった状況でシステム増強も糞も無いかと思ったが、話しを聞いているうちにだんだんその気になってくる自分がいた。

2005年 10月 2日 (日)
 久々にカレーを作ってみた。失敗したので、まずかった。困ったことに、かなり大量に作ってしまった。まあ明日には旨くなるだろう。カレーは便利な料理だ。失敗しても、後でひとりでに食える味になる。

2005年 10月 3日 (月)
 先週撮影現場見学にお邪魔したとみき監督の「秒読み」(9月26日の日記参照)の予告編が流れるというので、江古田の自主映画上映会に参加した。
 上映会は「秒読み」の予告編の他に、いくつか自主映画が上映された。予告編は予告編と言ってもまだ撮影中なので、予告編というより「速報」といったものに近かった。とりあえず早く完成品が見てみたい。
 自主映画はどうも面白いものが少ない。日本映画の現状を見れば、プロが作った作品でもそうそう大したものがあるわけじゃないし、映画制作は手間がかかる上に様々な状況の絡みが不本意に作品の出来に影響を与えたりするものだから、素人が集まって制作した自主映画に至っては、仕方がないのかもしれない。
 上映会の後、近くの中華料理屋でささやかな飲み会が開かれた。自主映画を制作されている方々に様々な意見を聞き、大変勉強になった。

2005年 10月 4日 (火)
 夕方俳優のぶらっきぃ!さんから電話が来て、用事ですぐ近所に来ているというので、一緒にお茶をした。その後デニーズに行き、途中で映画監督の山崎氏も合流し、三人で深夜まで映画について熱く語り合った。

2005年 10月 5日 (水)
 歯医者に行く日だったが、寝坊して行けなかった。俺は最低の人間だあ。

2005年 10月 6日 (木)
 今日広告の仕事の打ち合わせをしていて、コピーをもっと解りやすくしないと消費者が解らないという話になって、ふとマスメディアというのは視聴者をなるべく考えさせないように、バカにさせるように方向性としては突き進んでいるとしみじみ思った。テレビのバラエティ番組の無意味なテロップや、情報番組の過剰なナレーションを横目で見つつ、俺もその風潮の一支流に成り下がっているのを感じ、如何ともし難い念に苛まれた。

旧キャラメルコーン 最近、キャラメルコーンを見つけると、つい四五袋購入してしまう。それをまた、二日くらいで貪り食ってしまう。キャラメルコーン、幼い頃よく食ったものだが、この歳になってまたハマるとは思わなかった。実にうまいじゃないか、キャラメルコーン。しかしパッケージは昔の方が好きである(画像参照)。

2005年 10月 7日 (金)
バートン・フィンク コーエン兄弟の映画「バートン・フィンク」を見た。
 わけわからんとこがいいね。世の中、わからないことはたくさんある。そのわからない何かを表現するのに、わからない映画を作る、なんぞという手法があることを改めて思い知った。
 納得いかない点はいくつかある。しかしそれはコーエン兄弟の映画だと思って見るからで、一般的にこんな面白い映画は滅多にないので、まあ文句を言うのはやめよう。



 あと題名さえここに出すのもはばかられる、つまらん日本映画をひとつ鑑賞。

2005年 10月 8日 (土)
 ついにDVDプレーヤーを買った。前のが壊れて四ヶ月。よく我慢したものだ。
DVDプレーヤー 見なければいけないビデオが大量にたまっていたので、これを機会に、家に眠っている未見のビデオを全て見るまでは、新しいDVDプレーヤーを買わないと心に決めていたのだ。
 お陰でこの四ヶ月、50本ほどある未見のインド映画のDVDもせっかく買ったミスターブーDVDボックスセットもスケバン刑事DVDボックスセットも、何も見れず、昔友達にダビングしてもらった空手映画や音楽ビデオや古い日本のテレビや福袋に入っていたつまらない普通の映画やアメリカのアニメなどを見てきた。インド映画を見れない生活がこれほど苦しいものとは思わなかった。
 ちなみに買ったDVDプレーヤーは東芝のSD270J。7800円。東芝でもこんな安い機種あったんだな。さすが安定していて、前のプレーヤーで途中で止まって見れなかった輸入版のDVDが全部見れた(嬉嬉)。

2005年 10月 9日 (日)
 新文芸座で映画鑑賞。
 現在ここでは日本映画の暗黒時代とも言えるべきかのATG特集が開催されており、本日は増村保造監督の作品が二本公開されていた。
 まず最初に見た作品が「音楽」。三島由紀夫原作。近親相姦のトラウマから、股間がハサミになり、男のあれを切り落とす妄想に取り憑かれたヒステリー症の美女の物語である。なかなかよく出来てて、面白かった。これほどよく出来た日本映画は最近でも滅多にない。三島が原作だけに細部がしっかり描かれていて、納得いった。主演女優の神経症的演技が可愛く、印象的である。
 映画の休み時間に霊子くんを発見し、合流。
 次に見たのが「曽根崎心中」。梶芽衣子、宇崎竜童主演。文字通り、愛し合った男と女が状況に切羽詰まって心中を図る映画である。ロミオとジュリエットのような「そんなむざむざ死ななくてもよかったのに…」的な伏線もあったりして、映画の主旨としては愛の力の凄まじさと、やっぱり状況を受け入れ耐えることが一番みたいな教訓が表現されているかに思われる。これもなかなかいい映画だった。
 そのまま新文芸座に居残り、オールナイトのゴダール特集に突入。実は俺はこちらが今日のメインだったのだ。増村保造は先日スカイプで霊子くんが見に来ると聞いて、ちょっと早めに来てついでに見ただけだった。
 ゴダール特集で見たのが「パッション」「ゴダールのマリア」「愛の世紀」「そして愛に至る」の四本。比較的最近の映画である。ゴダール特集は二夜目で、初日はもっと昔の代表作が上映されていた。本当は一夜目に行きたかったのだが、都合で行けなかったので、仕方なく今夜の回を見に来たのである。
 ゴダールの映画を今までほとんど見たことがなく、今夜初めてまともにゴダールの映画を見た。しかしわからない。ゴダールの映画はわからない。
 今までゴダールの映画をまともに見たことがなかった理由がはっきり解った。そういえばレンタルで借りて何度か見ようとしたことはあるのだが、全部途中で寝てしまったのだ。
 「パッション」で久しぶりにハンナ・シグラを見た。ハンナ・シグラは二十代前半の若造だった俺に、年増女の魅力というものを初めて教えてくれた記念すべき女優であった。なつかしい。でも映画はわからない。
 「ゴダールのマリア」だけは19歳のときに一度見たことがあった。前半の30分の短編「マリアの本」は面白かったが、後半の本編はわからなかった。今日改めて見てもやっぱりわからなかった。「マリアの本」はまあよかったが、これはゴダール監督ではないのだな。
 「愛の世紀」は最近の作品で、やっぱり解らなかった。
 最後の「そして愛に至る」はゴダール特集でありながらゴダール監督ではなく、「ゴダールのマリア」の冒頭の短編「マリアの本」を監督した人である。ならばまだゴダールの映画より解りやすく、楽しめるかと思いきや、これが殺人的に退屈だった。なまじっか解るだけに、退屈さは拷問に近い。そうか、わからない映画はそれだけで人を惹き付ける要素となり得るのだ。エヴァしかり。ひとつ勉強になった。
 そんなわけで、ゴダールの映画はわからない、という結論である。

 それにしてもついでの増村保造監督の映画がなかったら正直、今日の映画鑑賞は苦痛以外の何者でもなかった。増村保造、好印象。

2005年 10月 10日 (月)
 ひとりでぶらぶらと映画を見に渋谷へ出掛けた。見たのは俺がこの世で一番好きな文章を書く作家・チャールズ・ブコウスキーのドキュメンタリー伝記映画「ブコウスキー:」オールドパンク」である。
 やたら混んでて、意外なブコウスキーの人気にちょっと驚いた。人種もいかにもブコウスキーを好きそうな奴らばかりで、どいつも毎晩酒を飲みながらほろ酔い気分でブコウスキーの文庫本を繰り返し読みふけっているような光景が想像できた(酒を飲んでいたときの俺の姿だ)。
 チケットを買うと整理券を渡され、受付に「今からだと整理番号が後ろのほうなので、いい席とれませんよ」と言われた。立ち見でなければ構わない。後ろの方に並んで劇場入りすると、ちょうどド真ん中のいい席がひとつぽつんと空いていたので、そこに座った。混んでいるのに詰めて座らないからこういうことになるのだ。ラッキー。
 寝不足だったのでえらく眠かったが、何はともあれ映画が始まった。
ブコウスキー 詩の朗読会、ラジオ出演、インタビュー、女たち、原作映画の撮影現場、関係者、もろもろの映像資料が年代別に理路整然と並んだ映画で、ドキュメンタリーとしてはなかなかまとまってて見やすい。寝不足だったので途中ちらほら眠ってしまったが、構成が時間軸にそって正しく並んでいるので、目が覚めるとどれくらい眠っていたのかが解って便利だった。
 ブコウスキーの生きて動いている姿をたくさん見れてよかった。とくに酒を飲みながらのらりくらりと詩の朗読をしているところや、女と喧嘩して暴力をふるっているところなど、なかなか貴重な映像で面白かった。面白がっちゃいかんと思うのだが。いきなりキレて一緒に飲んでいた奥さんを蹴飛ばすところなど、奥崎兼三のドキュメンタリーを思い出す。
 よい仕事でした。

2005年 10月 11日 (火)
シン・シティ ぶらぶらと映画「シン・シティ」を見に行く。言わずと知れた、タランティーノ&ロドリゲス映画の最新作だ。
 今回のタランティーノはアメコミの原作ということで、その原作者まで世界に引っ張り込み、斬新な映像と豪華キャストとパルプフィクション的ストーリー展開の再来と残酷シーンのパレードをひっさげ、「キル・ビル」の興奮も醒めやらぬ今、賛否両論の渦をかき分け、やってきた。
 更に上記の要素からキャストの部分を細分化すると、また面白半分に無理にイメチェンさせたなという感じの復活ミッキー・ローク(無理は笑顔のアップにさりげなく出ている)、「ジャッキー・ブラウン」のデニーロに続くこの俳優をこんな使い方びっくり第二弾イライシャ・ウッド(「ロード・オブ・ザ・リング」のフロドがこんな異常な殺人鬼に成ってしまうとは)、どこに出ていた!?本当に出ていたのか!?ルトガー・ハウアー(キャストに名前が)、相変わらずのブルース・ウィルス、編集長が好きなジェシカ・アルパ、面倒くさいのでその他もろもろ。
 それから映像。あちこちでよくこの映画は「白黒」と言われているが、白黒ではない。所々着色してあるからとかそういうことでなく、完全に白黒に見えるカットもよく見るとギリギリまで色を落としているだけで、うっすらと色はついている。着色部分も濃度がすべて違い、そのシーン毎のエモーションを見事に表現している。光る絆創膏など芸術的でさえあった。白黒に部分的に色を塗っただけの、黒澤の「天国と地獄」のピンクの煙のシーンをただ映画全体でやっただけみたいな程度にたかをくくっていた俺は、激烈に期待を裏切られた。画期的な映像というのはこういうのを言うのだ。
 ここまでメインイベントを鮨詰めにして出されて、映画そのものはアメコミの忠実な映像化、アメコミの映像的再現の枠にすっぽり見事におさまっているのがまた素晴らしい。これはもう、名人芸の域に達していると言ってもぜんぜん過言ではない。
 そんなわけで、他のアメリカ映画や日本映画の九割の映画なんだかもう断末魔の悲鳴なんだかワカらないものばかり見ている映画ファンの皆様には、この映画を目の穴かっぽじって見て、これからの映画の未来はどちらに燦然と輝いているか、まのあたりにするがよい。(しないかもしれない)

2005年 10月 12日 (水)
ラニー 久々に銀座に行ったので、インド料理を散策。七丁目に「ラニー」という店を見つけて入った。店内は外観ほどインド料理っぽくなく、店員も日本人。メニューがなくて、AランチとBランチだけ。とりあえずBランチのチキンカレーとサフランライスを頼んだ。味は好みの路線ではないが、まあ食えない味ではない。サモサはうまかった。
 以上、インド料理レポート。

ロロ DVDプレーヤーを買ったので早速ひさびさのインド映画を鑑賞。「Raja Babu」を見た。カリシュマ・カプール主演。カリシュマ初期の作品で、顔立ちがまだ初々しい。演技も可愛い。インド映画らしいお下品なダンスシーンがいくつかあって、割と楽しめた。
 物語はインド映画の恋愛ものによくあるパターンで、まず主人公がヒロインに恋をする。しかしヒロインは主人公が嫌い。いろいろあって、何とか主人公はヒロインのハートを射止めることに成功する。しかしいろいろな誤解やら邪魔が入って、今度は主人公がヒロインを嫌いになる。ヒロインは手を尽くして主人公のハートを射止めようとする。前半はそんなお決まりのパターンが続いた。さあ後半はどんな展開になるのかと思ったら、今度はまたヒロインが主人公を嫌いになり、主人公はヒロインのハートを射止めようと頑張る。で、次はまたその逆。そうか、これはいつものインド映画の前半に展開されるお決まりのパターンを最後まで繰り返すという、そういう主旨の映画だったのか。アホで面白い。さすがインド映画。
 ちなみに画像は本編とは一切関連ありません。

2005年 10月 13日 (木)
リバーダンス 渋谷オーチャードホールにて、リバーダンスを見に行った。リバーダンスとは、アイルランドのダンス・エンタテイメントである。俺にしては珍しいものをと思われるだろうが、まあたまたま数ヶ月前ホタルさんにビデオを借りて、見てたら意外とよかったので、ときどき繰り返し見ていたら、ある日いつものようにビデオを見て停止ボタンを押した瞬間、テレビの画面にリバーダンス日本公演のCMが出たので、これも何かの縁かと思い、思わずチケットを購入してしまったのだ。
 ビデオで見ていたのと構成はほぼ同じだったが、出ている人は違った。どうやら3つくらいグループに別れて世界を回っているらしい。ビデオの方がクオリティは高かったような気がする。会場はドレスコードがあるんじゃないかと思うくらいバシッと着飾った人で溢れていて、一応ジャケットは着て来たもののスニーカーなんぞを履いてきた俺はちょっとびびった。しかしホールは音が悪いのか、後ろのほうの席だったからか、俺の耳が遠いのか、歌の声も小さいし、タップダンスの音がほとんど聞こえず、やたら音楽だけがデカかった。盛り上がってきて手拍子が始まると、タップの音など完全に聞こえなくなる。俺は子供の頃から手拍子というやつが大嫌いなのだ。うるさいし、面倒臭いし、意味がない。手拍子廃止運動でもするか。
 リバーダンスを見ていたら、なぜか久しぶりに歌舞伎が見に行きたくなった。

2005年 10月 14日 (金)
 手塚眞監督の「白痴」という映画を見た。原作は坂口安吾。手塚眞監督が七年の歳月をかけて完成させた大作である。先日大道寺くんに「映画が街にやってきた」という本を借りて読んだ。これは「白痴」制作の裏舞台を、主に新潟での資金繰りを中心に描いたドキュメントである。なかなか力作みたいだったので、映画本編に興味を持った。
 ビジュアルイメージだけの映画みたいで、物語はわけがわからず、ただ手塚眞監督の頭の中からはち切れたビジュアルイメージを安吾の原作という器に入れて放出させた映画である。手塚監督自身もそう言っている。原作からインスピレーションを得たのではなく、これなら自分のやりたいことが全部のせられる、と。「やりたいこと」というのは、戦時中の焼け野原でファッションショーのグラビア撮影が行われていたり、残酷で妖艶な軍国主義的未来派アイドル歌手であったり、シュールな街の爆発シーンであったり、いわゆる全編にちりばめられた不可思議な映像世界なのかもしれない。もっと深い意味もあるのかもしれない。とにかくわからない。
銀河 不覚にもアイドル歌手・銀河のキャラに萌えた(画像参照)。美しく残酷で、恐くてミステリアスで踊りがうまい。銀河のシーンだけ摘出して1時間くらいの映画にしたら俺の今年見た最も心に残る映画オブジイヤーになってたかもしれない。実際、テレビ局のシーンは安吾の原作の本編と大凡分離しており、切り離してくれても差し支えないかと。ここの部分だけ原作はむしろオスカー・ワイルドだし。
 映画全体としては評価のしようがない。わけわからないし、各シーンや要素が分裂していてひとつのまとまりのある映画として考えられない。演出はところどころぎこちなかったような。まあ見てよかった。

 夜、墨森先生が来て、静香とコジロウさんと四人で豆腐料理の店「月の雫」に行った。うまれて初めてうまい汲み出し豆腐を食った。甘くて至極美味であった。これぞ旨い豆腐オブジイヤーである。また来よう。

2005年 10月 15日 (土)
サドの本 サド侯爵「ふらんす浮世草紙」(論社創)を読む。昭和二十三年に出版されたサドの短編集の現代的復刻版である。
 ページを開いて、その訳の悪さにびっくり腰を抜かす。男と女の会話で、女しゃべりと男しゃべりがごっちゃになってたり、日本語の文法が破綻してたり、やばいくらいに訳がめちゃくちゃ。
 とてもではないが最後まで読めなかった。師匠、ごめんなさい。





チャン・ツィイー 映画「MUSA -武士-」を見た。日中韓合作。ド根性アクション歴史物語である。ちょうど昔の梶原一騎の熱血スポーツ漫画のような精神を、歴史もののリアリティをくずすことなくすっぽり表現した感じで、ただ主人公がイケメンのアイドル顔なのはちょっとあれだが、気になるほどではない。韓国の兵士たちが、中国のお姫様を守って、モンゴル軍と死闘を繰り広げるというストーリーで、ちょっと話しがダルく思うところもあったり、低予算な感じが画面からにじみ出てたりするが、全体的にはなかなか見事な映画だった。
 チャン・ツィイーの型にはまったお姫様っぷりが最高。
 ラストが消化不良だとも言えるが、ここまで熱いものを見せられたら、もうこれで十分、結果なんてどうでもいいじゃん、てな気にさせてくれるところがこの映画の偉いところである。

 久しぶりに悠里がやってきた。何をしに来たのかは不明。
 デニーズでめしを食った。元気そうでなにより。

2005年 10月 16日 (日)
 最近なんだか映画を見まくっている。もともと映画は見る方だったが、それにしてもめっきり増えた。
 そんなわけで、本日は東京国際ファンタスティック映画祭【追悼!石井輝男】オールナイトに行ってきた。石井輝男特集と言っても、上映四作品のうち石井輝男監督のものは二本だけで、他二本は別の監督作品。しかし俺はそちらの方が目当てだったりする。なんせ、あの石井聰亙の名作「狂い咲きサンダーロード」がデジタル・ニュープリントで公開されるのだ。観ない訳には行かない。川越祭りもぶっとびだ。
 映画祭だけに、司会者がステージにあがって、ゲストとかも来たりして、本編上映の合間に予告編やら特別VTRなんぞを流しつつ、単なる映画の上映だけにとどまらないイベント的な盛り上がりをみせていた。特にプレステ3の10分ほどのデモ映像がものすごかった。
 まず最初の作品が「直撃地獄拳 大逆転」。石井輝男監督。千葉真一主演。これは去年か今年ビデオで見たことがある。一応アクション映画だが、むしろつまらない下ネタのギャグ中心のバカ映画に近い。映画祭だけに観客のテンションが異常に高く、会場は大爆笑に包まれビデオで見た時よりはるかに楽しめた。上映の前に脚本を書いた橋本新一さんがステージに上がり、映画制作の裏話や、石井輝男作品の予告編を流しながら解説をしてくれたりした。石井輝男は特に好きな監督ではないが、興味深くて楽しめた。
 次に「やさぐれ姐御伝 総括リンチ」。これも石井輝男監督。意味なく女性が裸になって、悪い男を殺しまくる映画である。このクライマックスは「キルビル」の青葉屋のシーンまんまじゃないか。なるほど、ここらへんの映画に影響を受けて、あんなシーンが出来たのか。深いな。
 次が「狂った野獣」。中島貞夫監督。渡瀬恒彦主演。二三年前にテレビで見たことがあったので、外でタバコを吸ったり寝たりしてさらっと流した。
石井聰亙 そして最後が「狂い咲きサンダーロード」。上映の前に石井聰亙監督本人(画像参照)がステージに出て、会場は大盛り上がり。俺もテンションがハイになりひとりで大声をはりあげ声援を送っていた。本編を見るのは二十年前の三百人劇場で見て以来である。よかった。
 映画が終わり、ロビーでは本日限定発売の狂い咲きサンダーロードTシャツが売り出されていた。買うつもりはなかったが、「最後の一着!」の声にふらふらと買ってしまった。最後の客だったので周囲から完売の拍手が鳴り響き、注目が集まってしまいかなり恥ずかしかった。まあ残り物には福があると申します。俺はTシャツは寝間着でしか使用しないのだが、まあいつもの無地の味気ないTシャツよりは寝心地よかろう。
 外に出ると、既に朝7時過ぎ。歌舞伎町で蕎麦を食って帰った。

2005年 10月 17日 (月)
 またカレーを作った。前回(2日の日記参照)の失敗点を考慮に入れて今度はうまく作ったつもりだったが、どうも今回も失敗っぽい。どうしてインド料理屋で出るような味にならんのだ。料理はまっこと難しい。悔しいので来週もまた作ろう。

2005年 10月 18日 (火)
とんぼ 涼しくなってきたので最近は事務所の窓を開け放して仕事をしている。
 すると、明かりにつれられ、いろいろな蟲がやってくる。
 今日はトンボがやってきた(画像参照)。生のトンボを見るのは割と数年ぶりだったりする。
 トンボが出て行って数分後、今度はカナブンがやってきた。

2005年 10月 19日 (水)
Taal インド映画「Taal」を見た。監督は実力派スパーシュ・ガイ。アイシュ主演。あとアニル・カプールとアクシェイ・カンナが出ている。音楽はかのラフマーン。ストーリーは「Dil to Pagal Hai」あたりの焼き直しだが、映像がきれいで、音楽も素晴らしく、演技もよくてラストはなんだかんだ言って泣けた。インドはこういう中身がないのにノリで泣かせるような映画が多い。でもインド映画なら騙されてもいいと思う。俺はインド映画を愛しているのだ。コカコーラの間接キスから始まる恋物語で、コカコーラは主人公のふたりをつなぐアイテムとして最後まで重要な役割を果たしていた。それ以上に重要なのが歌と踊りと音楽で、美貌の頂点に達したアイシュがラフマーンの音楽にのり、宝石のように輝きながらスクリーンの中を舞い踊る(画像参照)。アイシュだけに限って言えば、俺が宇宙で最も美しいと思う映画「Devdas」を見事に超えている。
 いいもの見せていただきました。っつう感じです。

2005年 10月 20日 (木)
 スカイプで久々に外人に話しかけられた。上海出身日本在住の中国人女性で、中国語はもちろん、フランス語と英語に堪能。最初フランス語で話しかけられ、その後はフランス語と英語と日本語ごちゃませで話した。
 日本語が読めるというので拙作「西遊記Z」を読んでもらった。
 次の日早速感想のメールが来た。
 「わたしが子供の頃、中国で読んだものとはずいぶん違って、とても可笑しかったです」だって。そりゃ違うだろう。
 とにかく本場の中国人に読んでもらえるなんて感激だ。
 インターネットの素晴らしさだな。

2005年 10月 21日 (金)
 第八回幻想異端文学大賞優秀賞受賞のふみえださんの「人間解体」を諸事情によりサイト上から外すことになった。幻想異端文学連盟は俺の身体の一部であり、オンライン作家の方々に投稿してもらった作品の数々は、ひとつひとつが俺の大事な子供のようなものなので、サイト上から削除の依頼は身を切られるような悲しさであるが、事情とあらば致し方ない。幻想異端文学連盟開設以来二度目。サドマニアの頃から数えると三度目ですな。

2005年 10月 22日 (土)
バトロワ こないだレンタル落ちのビデオを100円で買ってきたので、映画「バトルロワイヤル」を久しぶりに見た。この作品はいろいろ言われてはいるが、何度も気をつけてよく見てみれば、割と巨匠が神業を発揮している映画である。恐れ多くも神の最後の力作を、ビデオとは言え、小さなレンタル屋の店頭に風にさらされ、100円で売られている事実が日本映画現状の問題だと思えてしょうがない。でもまあ普通の物語じゃないし、仕方ないのかね。

2005年 10月 23日 (日)
 携帯でやってる三国志のシュミレーション・ゲームのオフ会で、渋谷に行ってきた。20人以上の人が出席した。幹事である海鳥氏は根っからの幹事体質の方で、大人数を実によく仕切っておられた。幹事道の神髄を垣間みたという感じだ。
 俺はほとんど人様の飲み会というものに出席したことがなく、だいたいいつも自分で主催する方なのだが、実際、こうして人様の飲み会に呼ばれるときも、自分で主催するときも、結局やってることはあまり変わらず、ただボーッと他の出席者と同じようにだらだらとやっているだけなので、ちょっと反省させられるものがあった。店の予約だってたまに他の人にやってもらったりするしなあ。
 オールつき合うつもりで来たが、疲れて眠くなってきたので、深夜1時すぎタクシーで帰った。

2005年 10月 24日 (月)
 出掛けたいところがあったのだが、友人もどきが何か相談があるというので、家で待っていた。そしたらメールが来て、携帯なくしてうちのビルのオートロック解除の番号が解らないので来れなくなったと、約束の時間を1時間も過ぎてからドタキャン(と言うより後キャンだ)の連絡があった。結局、貴重な休日が一日無駄に潰れた。
 こういうのを絵に描いたような「いい迷惑」と言う。

2005年 10月 25日 (火)
 最近胃がすっかり弱ってロクにものが食えない状態が続いていたが、今日風邪ひいてることに気がついた。胃からくる風邪ってのもタチが悪い。栄養補給もできない。
 風邪を引いたら栄養のあるものをたくさん食べて体力つけるべきだという説と、逆に断食するべきだという説と両方あるが、どちらが本当なのか。最近は後者に信憑性を感じている。とりあえず夜はコーンフレークと納豆を食った。

2005年 10月 26日 (水)
恋の門 松尾スズキ脚本・初監督作品「恋の門」という映画を見た。ついに見た。楽しみにしてたのにいつのまにか劇場公開が終わってしまい、DVDは出たがずっとレンタル中で、今週やっと借りれた。要するに恋愛映画である。インド映画などで最近の俺の専門ジャンルだ。
 セリフや世界観など松尾スズキ節炸裂だが、スト−リーはこれでも恋愛映画の王道を行っている。冒頭でヒーローとヒロインが知り合い、幾多の障害を乗り越え、最後に愛を勝ち取る。障害とは趣味のギャップであり、ライバルの存在である。恋愛映画を多く見ていれば解るが、愛する二人の恋路を邪魔するライバルの存在が両人の前に現れても、ここから四角関係にもつれ込むことは滅多になく、片方はクライマックスの直前にフェイドアウトし、片方のライバルがクライマックスに絡んでゆく(それ考えると四角関係・五角関係などざらに当たり前だった古の大映ドラマはすごかったな)。そして最後はダメかと思わせ、ほっとさせる。何から何までインド映画でも繰り返されている、恋愛映画のパターン通りだ。きっちりストーリーラインはパターンを踏み外すことなく、映画自体は踏み外しまくりというか、かなりイッている。イッているようで、人間描写は鋭い人間観察力と天才的な演出力の賜物であった。キャストを知らずにこの映画を見て、「あの」役を演じていたのが尾美としのりだと気がついた人が何人いるというのだ。あれを演出の神髄と言わずして何と言おう。
 冒頭からギャグがツボに入りまくりで、日本映画でここまで笑ったのは初めてだってくらい腹をかかえて笑いまくった。主人公たちを取り巻く無数のキワモノキャラたちと、珠玉のセリフの数々。バカバカしくも、どれもある種の人間性の真理をついている。リアリズムの不条理とでも言ったらいいのかね。
 胸にくるいいシーンもたくさんあった。大竹まことの名演技には敵わないが、松田龍平もなかなかで、初めて彼がいい俳優だと思った。キスシーンも泣ける。一番好きなキスシーンかもしれない。最近の日本映画にしてはまた照明が素晴らしい。絵心のない人は立派な映画監督になれないと言うが、さすが松尾スズキは元漫画家見習いだけあって、このあたりもちゃんとしてるな。編集も完璧。小島聖も酒井若菜も塚本晋也もむちゃくちゃよかった。賞賛の言葉並べたてるだけの映画感想って文章として逃げてるみたいで嫌なのだが、今回ばかりは久々の完璧な日本映画にすっかり脳をやられてしまって、こんな文章しか書けません(風邪のせいだという説も)。

2005年 10月 27日 (木)
隠し剣 鬼の爪 「隠し剣 鬼の爪」を見た。山田洋次監督の時代劇第二弾である。ストーリーが「たそがれ〜」にやたら似てて、ほとんど同じものを部分的に変えたくらいな印象。こっちはこっちでいいところもあるが、恋愛エピソードに前作のような微妙さがなく、ちょっとベタで、おまけに本筋から分離してたりするところがややバランス悪い感じ。
 いやでもよかった。感動した。よく考えたら華麗なるマンネリズムこそ山田洋次の真骨頂じゃないか。この俺としたことが、愚にもつかない批評を。失念しておりました。

2005年 10月 28日 (金)
 風邪は治ったが、胃がボロボロになった。もう四六時中胃が痛い。まともな食事ができないほど胃が痛い。今日はハンバーガーとフレンチフライだけだった。昨日はコーンフレークだけだった。ベルトがやたらゆるい。インド料理屋やラーメン屋の前を通ると死ぬほど食いたい。でも食えない。力が入らない。仕事は忙しい。仕事に限らず、やることは後を絶たない。あれっぽっちのエネルギー源で、これだけのことをやってる自分が恐ろしい。そのうちプツンと生命の糸が切れて、道ばたで事切れるんじゃないだろか。なんてことはあまり心配してはいない。

2005年 10月 29日 (土)
 今日はメロンと芋粥を食った。芥川の小説じゃないが、芋粥はなかなかうまかった。俺はお粥は嫌いだが芋はとても好きだ。ちょっと塩を入れたら芋の甘味が引き立って更にうまかった。調子に乗りもっと塩をふったら今度はしょっぱくなりすぎ芋の味がしなくなった。結果的に、後半は普通のお粥だった。そんなオチで終わった一日である。

2005年 10月 30日 (日)
 池袋の新文芸座で石井輝男監督追悼特集がはじまった。石井輝男は特に好きではないのだが、今日上映の「恐怖奇形人間」だけは見ときたかったので、出掛けた。外は雨が降っていた。
 やたら人が並んでいて、係員が叫んでいる。なんでも座席はもういっぱいで、この行列の中の数人だけが、やっと立ち見で入れるかどうかという状況らしい。石井輝男にしてやられた。やはりこの監督、好きになれない。
 胃がボロボロで流動食かバランス栄養食くらいしか食えないので、めし食うこともままならず、結局池袋では何もせずに、まっすぐ家に帰った。

パーフェクトプラス ちなみにここ数日、胃がまともな食事を受け付けないのでゼリーやクッキー系の栄養食ばかり食っているが、なかなかうまいと思ったのが明治のパーフェクトプラス・ベイクドチーズ味である。状況が変わると新たな発見があるものだ。

2005年 10月 31日 (月)
 最近スカイプで出来た中国人の女性(10月20日の日記参照)と横浜中華街でお会いした。ここ数年、小説で中国ネタを使うことが多くなってきたので、中国人の友達はひとりくらいほしかった。これで日本語がペラペラじゃなかったら英語の練習もできるんだけどなあ。残念。あと上海語と北京語はしゃべれるが、広東語は解らないらしい。それも残念。
 中華街を散歩し、お茶し、中華料理を食べた。相変わらず普通の食事はできないので、俺はスープと豆腐だけ食った。豆腐がやたらうまかった。
 彼女は話してみるとヨーロッパ文化に傾倒しており、フランスにも5年ほど留学経験がある。自分の国のことはあまり興味がないようで、大した話しはできなかった。まあ仕方ないのかね。


戻る
wwwnikki ver 0.641(20020410) (c)AuSYSTEM 2002