非幻想異端的日常
2009年 1月 1日 (木)
 新年は実家の居間で目が覚めた。ガンダムはまだ続いていた。
 午後、母は妹夫婦とショッピングに出かけた。俺はひとりでパソコンに向かっていた。パソコンに向かって最近せっせと毎日なにをやっているのかというと、新しいMacBookにしてあれこれ設定やら何やらが未だに終わっていないのだ。
 実家にはチョコレートが山のようにあったので、作業をしながらぱくぱく食べまくっていたら、夜になる頃にはお腹が痛くなっていた。その上、夕食に母の作ったベトナム料理をたらふく食ったので、かなり胃に負担がかかって死ぬかと思った。
 終電間際で新宿に帰った。

2009年 1月 2日 (金)
 あたる♪ちゃんに会いに池上。カレーを食った。「背中(仮)」のロケハンもかね、お寺めぐりをし、図らずも初詣を済ませた。夕焼けがきれいだった。
 ミスドで九時過ぎくらいまで仕事のことや創作のことについて話をして、帰った。

2009年 1月 3日 (土)
 ギャオでドキュメンタリー映画「真少林寺」を見た。リー・リン・チェイ主演。
★★★★ これは基本的に少林寺で過酷なカンフーの修行をする僧たちのドキュメンタリーで、それとはあまり関係なく、リー・リン・チェイの武道家としての栄光の追跡なども途中に挿入されている。一応リー・リン・チェイが中心みたいに宣伝されているが、リー・リン・チェイはあまり出てこない。あくまでも中心は少林寺である。
 以前、大山倍達の「地上最強のカラテ」という映画を見たが(2005年9月5日の日記参照)、あれとどことなく似ている。この日記で俺は「地上最強のカラテ」をして「脳味噌筋肉映画」と評したが、この「真少林寺」は「筋肉脳味噌映画」とでも言おうか。どう考えてもそれはウソだろうというような、バカげた修行の数々に真剣にあけくれる少林寺の修行僧たちの姿から象徴されるのは、中国人の虚偽を面子と思ってはばからないメンタリティーと、最強伝説を創造するにも強引な説得力に満ちた創意工夫をねじ込まねば気が済まない驚くべき頭でっかちな感性である。
 はっきり言ってこの映画、ヘタな爆笑コメディなど足下にも及ばないほどアホらしくて笑える。石頭を鍛えるために頭をゴンゴンぶつけ合ったり、指一本で逆立ちしたり、立ったまま食事したり、またそれらの荒唐無稽な修行法にいちいちもっともらしく漢字で名称がつけられ、それらを真面目に解説するナレーションの淡々とした厚顔無恥さも相まって、これぞ中国人の真骨頂と言えるべき中国ドキュメンタリーの傑作であった。
 文化大革命は中国人をすっかりダメにしたと言われているが、しかし中国人の昔ながらの強烈な個性のスゴさはこういうところにちゃんと生きている。しかしこの感性が世界に認められる形として昇華されるにはちょっと遅すぎたのかもしれない。国際関係ではまったく空気が読めず、ウソをデッチあげ、人を欺くことばかりにしか使われなくなってしまったこれらの中国人の個性は、これからどこへ向かうのであろうか。願わくば豊かな思想や文化を生み出した古の学者たちのような使われかたをしてくれる日が再びくることを望むばかりである。
 それにしてもリー・リン・チェイっていいやつだ。

2009年 1月 4日 (日)
 自主映画監督のマシュ〜さんの地元で彼の友達の自主映画関係者の方と三人で小さな新年会もどきをやった。それというのも、こないだの忘年会でマシュ〜さんと会ったとき、彼の新作の脚本を俺が書くという話になり、もともとマシュ〜さんの作品の映像美は好きなので、ちょっと乗り気になって最初は冗談半分だったのだが、なんだか話してる間にだんだん本気になってきて、「背中(仮)」の進行もオーディションの段階で半分足踏みしてるような状態だし、春先くらいまでは脚本のひとつも書く時間はあるだろうと、結局受けることになった。そんなわけで、今日はその打ち合わせもかねて突発的に彼の飲み会に参加することになったのである。脚本の内容は一応、昨日ざっと思いついたので要約をマシュ〜さんに送ってみたのだが、即日返信でボツを喰らい、今日じっくり彼と話し合ってみたところ、だんだん彼の求めるものがわかってきた。なんでもマシュ〜さんはこれまで脚本家と絶縁したことが何度もあるそうで、なかなか彼のしっくりくる脚本を書くのは至難の技のようだ。斯様に制限の多い状況で俺にまともな脚本が書けるかどうかわからないが、自分の書いた脚本が映画になるのはこのままだとまだ先になりそうなので、他の監督に脚本を提供するのも一興かと思い、成り行きに任せてぼちぼち書き始めてみることにした。だらだら十一時過ぎまで飲んで、雑談を中心に脚本の内容のミーティングもそれなりの結論までたどり着き、終電前に帰った。

2009年 1月 5日 (月)
 「背中(仮)」のオーディション。本日は女学生役候補がひとり、青年役候補がひとりの二名。一緒に演技テストができればと思い、ふたり同じ時間に呼んだ。女学生役はマネージャーさんと一緒にきていた。演技はふたりともとてもうまかった。イメージにもそれなりに合わないことも無い。無難な選択肢が同時に現れたという感じである。

 夜は脚本を書いていたがどうも筆が進まないので他の文章を書いたりしてすごした。

 米国のテレビドラマ「24」の第二シーズンの第四話と第五話のDVDを見た。このシリーズ、第一シーズンと比べると第二シーズンは恐ろしくクオリティが低い。第一シーズンもそれなりに下らない面はあったが、第二シーズンの下らなさは飛び抜けている。
 この続き、借りてくるべきだろうか。気持ちとしてはもうあまり見る気はしない。でも続きが気になることは気になる。いっそ最終回だけ見るか。

2009年 1月 6日 (火)
 仕事始め。

★★★☆ ギャオで「ガメラ 大怪獣空中決戦」を見た。平成ガメラの第一作目である。
 普通に作ってあり、普通におもしろい。普通という盲点を突いた普通の傑作であった。
 まずガメラが旧作と同じような作りで、近年作られた怪獣映画のような、より精巧なものを作ろうという気負いみたいなもんがまったくない。普通に昔から怪獣映画が好きな皆さん楽しんでくださいといったノリである。それでいて人間の目線を重視したカメラアングルや暗い照明がリアルな迫力を生み出していて、平成の怪獣映画ならではの醍醐味はじゅうぶんに味わえる。
 怪獣映画にありがちなクサい人間ドラマがなく、ストーリーは怪獣が出てくる裏付けとそれに関わる人間の思惑と戦闘の攻防を中心にバランス良く構成され、脚本もぬかりく充実している。
 日本の怪獣映画はやっぱりこれでなくちゃいかんのだな。

2009年 1月 7日 (水)
★★★ ギャオで映画「ハリー・ポッターと賢者の石」を見た。ファンタジー映画は嫌いなので今まで眼中になかったが、ギャオで無料で見れるというのでちょっと見てみた。これが非常におもしろかった。
 アメリカ映画だが、イギリスが舞台なので、英語もイギリス英語をしゃべっている。しかしイギリス英語をしゃべっているってだけでずぶんと雰囲気が上等に感じられるもんだな。いくらこれだけCGの出来の良くてストーリーがおもしろくても、アメリカ映画ってだけでここまで楽しめることは通常ないのだが、映像も心なしかヨーロッパ映画の赴きあるダークな雰囲気があるような気がして、映画の世界にすっと入っていけた。
 なんといっても子供の演技が極上にうまい。主役のハリーより、その周囲の女の子と出来の悪い赤毛でそばかすの男子が見事だった。
 続編も見てみたい。

2009年 1月 8日 (木)
 こないだから経理用のウインドウズのパソコンがあらゆるメディアの読み書き込みができなくなってしまっていて(認識はする)、原因がわからなくて困っていたのだが、今日の午後に税理士さんがやってくるので、このままではマズいと思ってあわててネットで検索しまくって対処法を探した。未だかつてこんなPCのトラブルは経験がなかったのだが、検索してみると出てくる出てくる。Acerのパソコンでは頻繁に起こる現象らしい。なんでもデフォルトでインストールしてある某ソフトが原因らしく、それをアンインストールしたら難なく直った。我が社の経理部門が動くのはおよそ二ヶ月ぶりである。

 税理士さんと話してたら、ふと銀行の積み立てがウン十万ほどたまっていることに気がついた。
 それから、今週になって複数のクライアントから立て続けに、半年ほど滞っていた入金と、一年ほど滞っていた入金を近日中に支払ってくれると連絡があった。
 ついでに、携帯のアダプターが壊れたので西新宿のドコモショップに買いにいったら、ちょうど携帯番号で毎月開催されているドコモのミニロトが当選していて、蟹缶をふたつもらった。
 年末は最悪だったが、新年に入ってなんとか明るいネタもぼちぼちやってきたので、この調子で今年はぶっちぎりで浮上したい。

2009年 1月 9日 (金)
★★★ ギャオで「ダーティハリー4」を見た。シリーズで初めてクリント・イーストウッドが監督もやっている。しかし中身はこれまでとさほど変わらない。演出は少しそれっぽいかな。
 ダーティハリーといえば「go ahead, make my day」というセリフが有名だが、シリーズ四番目にもなって初めて出てくるとは知らなかった。去年からダーティハリーを見始めたビギナーのささやかな驚きである。

2009年 1月 10日 (土)
 そろそろ我が社もすっかり儲からなくなった今までのポータルサイトをメインにしたウェブ広告路線から脱却して、マルチメディア・コンテンツ事業へと徐々にシフトしてゆく準備を始めようかと思い始め、その先駆けとして最近話を進めているネットラジオ企画に使用するICレコーダーを買いにヨドバシカメラに行ったら高かったのでやはりネット通販で買うことにして代わりにソフマップでこないだ新しく買ったMacBookに使用するキーボードパットを買ったら店員さんに確認したにも関わらず帰って早速合わせてみたらキーの配列に合わなかった。

2009年 1月 11日 (日)
 自分の映画ではない脚本の執筆。

★★★★★ ギャオで「ガメラ2 レギオン襲来」を見た。平成ガメラ第二弾である。
 パート1のイイとこはすべて引き継いだ上で、グレードアップした感じで、パート3はまだ見てないが、これがシリーズ最高傑作なんじゃなかろうか。本当におもしろかった。
 これまでの怪獣ものにおける自衛隊や地球防衛軍の存在って、ヒーローが登場するまでのオマケみたいな扱いが多かったが、これは自衛隊が立派に役割を果たしており、まさに悪の怪獣レギオンを倒すガメラと自衛隊の連携プレーが、エヴァンゲリオンのヤシマ作戦を思わせる攻防のおもしろさとなって後半は目が離せない。またガメラが登場してピンチになって復活して敵を倒すところはいちいちカッコよくて盛り上がる。
 今までの人生で見た怪獣映画の中でこれが一番おもしろかったかもしれない。

2009年 1月 12日 (月)
 自主映画「背中(仮)」のオーディション最終日。今日は、一日に来る俳優さんたちの数が今までで一番多い。5人もである。
 まず女学生候補のOさんとと青年役候補のAさん。Oさんは昔のアイドルの藤井一子にちょっと面影が似ていた。ついこないだあたる♪ちゃんと「女学生役のイメージって藤井一子だよね」なんて言っていたところだったので、非常に驚いた。演技も問題なく、これは先週の本物の女学生の女優さんと僅差を争うかと思われる。Aさんは声も小さいし演技もパッとしなくてダメかと思ったら、後で撮影したビデオを見てみたらすごくインパクトがあったので驚いた。こんなこともあるのだな。
 次が女学生候補のYさんと青年役候補のSさん。さっきのふたりは驚きの連続だったが、今度のふたりは逆に妙な雰囲気であった。おもしろいとりあわせである。
 最後に青年役候補のIさん。このかたは写真を見たときからインパクトがあったので期待していたのだが、実際にテストをしてみたら演技が堅実で、役柄と自分自身との違いを的確に把握してその違いを埋めて自らを役に近づける術に長けており、容姿はかなりアクが強いが、素材と大きく異ならなければどんな役でも安心して任せられそうだった。このかたは逆に青年役ではもったいないかもしれない。
 オーディションが終わり、夜、あたる♪ちゃんと携帯でミーティングをし、ざっと配役を決めた。一週間前まで夢にも想像していなかったキャスティングに決まった。

2009年 1月 13日 (火)
DS-71 ネットラジオ番組制作に向けて、ICレコーダーを購入した。高音質のリニアPCM対応のオリンパスDS-71(画像)。
 ちょっと無理していいやつを買ったお陰でなかなか音質が良く、これならネットラジオ制作以外にもいろいろな用途で使えそう。

2009年 1月 14日 (水)
 午前中、チェーン店のホームページのリニューアルの依頼の打ち合わせ。早速、買ったばかりのICレコーダーで打ち合わせの会話を録音してメモ書き代わりに使った。これだと先方が語った意向の微妙なニュアンスを後で再確認できるし、気づかずスルーしてしまったわからない言葉も後から調べられるので、なかなか具合が良い。

★★ ギャオで「バットマン ビギンズ」を見た。バットマンもかなりの人気シリーズでこれまで数作がつくられてきたが、そういえばまだこの部分を具体的に描いてなかったと気づいたハリウッドが、ここにきていきなりバットマン誕生編をひっさげてやってきた。
 これまでのバットマンと比べて人間が良く描かれていて、最初「これはなかなかイイ映画かも!」と唸ったものだが、それだけにいきなり忍者が出てきたときは拍子抜けしたし、そのあとに続くひたすら編集のヘタさばかりが目立つテンポの悪いアクションシーンの連続にはがっかりした。ストーリーはいいし、いい俳優さんがそろってるし、オチもいいんだがな。特にお父さんの俳優さんの役作りは尊敬に値する。
 いっそアクションなんてすべてとっぱらって、押井守の「パトレイバー」くらい徹底して人間まみれにしてくれたらめちゃめちゃ気に入ったかもしれない。

2009年 1月 15日 (木)
 ピアノの先生のところで打ち合わせ。当初はホームページの話しだけだったのだが、だんだん総合的な話しになってきた。金より夢を追い求めて生きてきた方と、金にほとんど興味の無い俺が夢のために金を稼がないといけない状況に立たされたこの時期に出会って、進める話しは夢の遺産をいかに百年後も残すか、ということである。今後の成り行きは複雑なものがあるが、何か大きな意味をはらんだ縁は感じる。

 夜、近所のデニーズでN社のF社長と集金&打ち合わせ。

 「クローバーフィールド/HAKAISHA」を見た。
★★★ 登場人物の回したビデオカメラの映像だけで物語が進んでゆくドキュメンタリータッチの映画というと「ブレアウィッチプロジェクト」や「食人族」などいろいろあるが、それを怪獣映画でやっちゃったという斬新な映画である。
 この映画の感想を書くポイントはふたつにしぼられる。カメラを回している登場人物の一人称形式によって描かれた映像から醸し出される「臨場感」の程度と、ちらちらとしか見えない怪獣の姿に刺激される「想像力」の行方である。
 まず前者。臨場感はそれなりにあったが、思ったよりはなかった。斬新な手法を100%生かした仕上がりとは言えなかった。この理由は明白である。韓国映画「グエムル」のせいだ。この映画の臨場感はなんとなく「グエムル」と似ているのだが、「グエムル」の最初のモンスターのアタックシーンの超リアルな臨場感にこの映画は及んでいない。「グエムル」より特殊な手法を使っているんだから、「グエムル」を超えなきゃダメなんじゃなかろうか。もし俺が「グエムル」を前もって見ていなかったら、この映画の印象は少し変わっていたかもしれない。
 そして後者。想像力は刺激されたが、その想像力の行方はすでに見飽きたハリウッドのパニック映画の数々である。ようするに、もう何十回も見た同じ光景を、ただ違った角度から見たのがこの映画なのだ。いくら角度を変えても、頭の中に広がる光景は同じもので、「ああ、この光景はあっちから見るとああ見えてるんだろうな」と冷めた印象しか持てなかった。ハリウッドは今まで同じような映画を作りすぎた。そのとばっちりをこの映画は見事に喰らっているような気がする。俺は映画の中のカメラを持った登場人物と一緒に「いったい何が起こってるんだ!?」と思いたかったな。
 あと、小さなクリーチャーは本当に余計だった。
 あっとそれから、この映画のサブタイトルに「HAKAISHA」とあるが、俺はこういう日本語の熟語をアルファベットにして外人が使うことに大きな違和感を覚える。その理由を語ったら長くなるので省略。

2009年 1月 16日 (金)
★★★★ 夜からちょっと具合が悪くなってきて、深夜から明け方にかけて二度も吐きそうになってトイレに駆け込んだ。具合が悪くてロクにめしも食っておらず胃が空っぽだったので何も出なかった。ただひたすら気持ち悪く、仕事にならなかった。

 映画「エターナル・サンシャイン」を見た。ジム・キャリー主演。
 いやあ、アメリカ映画にもこんな作風の映画があるなんて嬉しいなあ。アメリカ映画には珍しいしっとりとした演出に、目を見張るようなPV風のセンスあるシュールなカットバックがビビッときいている。
 内容は心に残るせつない恋の物語なのだった。

2009年 1月 17日 (土)
 昨日から具合が悪くなりかけてきた体調が最悪のピークに達した。気持ち悪くて吐きそうで、歩くのも辛かった。ギリギリまで休んでバイトに出かけたが、途中、吐き気と軽い目眩に襲われ二度ほど道ばたにうずくまった。バイト先でも最小限のことだけやって、後は死んでいた。
 夜はそうめんを茹でた。ひとくち食って「うまっ!」と思わず叫んだが、食ってるうちにすぐ気持ち悪くなって半分も食えなかった。食欲あるのに体調が悪くて好きなものが食えないってのは辛い。

2009年 1月 18日 (日)
 体調はだいぶ良くなってきたが、胃はまだ弱っていて、そうめんとか納豆とか、そんなものしか食えなかった。

 北野武監督の「監督・ばんざい!」を見た。
★★★★★ 前作の「TAKESHIS'」みたいなわけのわからないタイプの映画と聞いて、「TAKESHIS'」のようなクドくてダルい映画かと思ったら、なかなかどうして、今度はマトモにシュールしているではないか。ところによりデビッド・リンチみたいだったり、ルイス・ブニュエルみたいだったりして、それが意外にキマっている。ズッコケるシーンさえなかったら正当派のシュールレアリズム作品として見劣りない。でもまあ、コミカルな音楽が流れてズッコケるシーンがある以上、武はお笑いやってるだけのつもりなのだろう。ただテレビと違って映画的な象徴性があるだけなのだ。
 これは三部作の真ん中らしく、前作の「TAKESHIS'」でまず俳優をぶち壊し、本作で監督をぶち壊し、次作の「アキレスと亀」で映画そのものをぶち壊すという計画とのこと。「TAKESHIS'」はなにがどう俳優をぶち壊してるんだかわからなかったというより、見ているこっちの脳が破壊される思いだったが、本作はぐっとわかりやすくなっている。
 ヤクザ映画を封印した北野監督がいろんなジャンルの映画に挑戦してそのことごとくを失敗し、あれもダメこれもダメで、とうとう途中からもうなにがなんだかわからなくなってすっかりダメになってしまうというオチまで、なかなかまとまった構成で入りやすい。
 ひょっとして前作「TAKESHIS'」のむちゃくちゃさが“破壊”だったのだとすると、この「監督・ばんざい!」のわかりやすさは“再構築”と言えるのではなかろうか。とすると「アキレスと亀」が新境地の第一歩となるのだろうか。
 だんだん北野武のルーズな演出技法の味わいもわかってきたし、作風も軌道にのってきているようなので、最近はすっかり監督・北野武のファンになった。今後の映画も期待したい。

2009年 1月 19日 (月)
★★★ 母がまた暫くアメリカに行ってしまうので、実家に帰って会ってきた。
 一緒に墓参りをし、寿司を食った。病み上がり初のマトモな食事だったので、大事をとって平常時の半数しか食わなかった。しかも脂っこいものはいっさいよした。
 妹2の買ったばかりの家や息子や娘の写真や動画を見せてもらった。姪にはまだ一度も会ってないので、こうしてモニターの中だけで成長を見守らなければならないのはちょっと残念だ。

 夕方から夜にかけてずっと脚本執筆。新しいパソコンに指がまだ少し慣れない。

 ギャオで「コルシカン・ファイル」というフランス映画を見た。ジャン・レノ主演の犯罪コメディである。フランス独特の笑いのセンスがかなり効いていて、フランスのコメディは嫌いじゃない俺にはかなり楽しめた。フランスの笑いがわからない人には、きっとぜんぜんおもしろくないだろう。

2009年 1月 20日 (火)
★★ ギャオでアメリカ映画「ミシシッピ・バーニング」を見た。1988年制作。
 「エンゼル・ハート」で話題になったアラン・パーカーがその次作として制作した映画で、前作とうってかわってアメリカの田舎の人種差別問題をリアルに切り刻んだ問題作である。キャストに「プラトーン」(「プラトーン」と書いてなぜか「プラトゥーン」と発音する)でブレイクしたウイリアム・デフォーと、ジーン・ハックマンを起用し、ヘビーなテーマを淡々と重圧な演出で描いている。
 あまりにも淡々としすぎてて、そんな雑誌の新発売DVDのひとくち紹介文みたいな感想しか浮かんでこない、そんな作品なのだった。
 どうでもいいけど「ミシシッピ」のスペルってくどいな。

2009年 1月 21日 (水)
 バイトの後、母に用事があったので実家に帰った。終電ギリギリだったので、そのまま泊まった。深夜、広告の件でメールでクレームがきて、それが気になって一睡も出来なかった。

2009年 1月 22日 (木)
 午前中、実家でちょっと仮眠をとって、東京に戻った。電車の中でも眠った。
 その足で新橋のT社で集金と、銀座のE社でメール送信の手伝いをした。E社のS社長は極度のアナログ人間でわざわざメールを送るためだけに二週間に一度は俺を呼んできっちりバイト料を支払ってくれる。ただ彼は俺が金がなくて困っているのも知ってるし、付き合いも長いので、コミュニケーションの意図も大きい。
 午後三時くらいにほぼ25時間ぶりに家に帰れた。ほっとしたのもつかの間、午後四時に来客があり、仕事の打ち合わせ。
 夜は妹1が経理の入力にやってきた。

2009年 1月 23日 (金)
 朝から喉が痛くて咳が出ると思ったら、夜には熱も出てきた。パブロンを飲んだが効かず、ふらふらでバイトから帰って早く寝た。

2009年 1月 24日 (土)
 医者にいったら、A型インフルエンザだと診断された。
 バイト先に電話して、休みを貰い、かくして5日間の隔離生活がはじまったのである。

2009年 1月 25日 (日)
 隔離生活二日目。とりあえず一日中寝ているような生活。

リレンザ 医者から処方された薬リレンザ(画像)を毎日二回飲んでいる。これは飲み薬と違い、独特の器具を使い、粉を肺へ吸引する形で摂取する変わった薬である。粉を吸引しているとドラッグをやってるような気分になり、つい何度も何度も繰り返し吸って粉をひと粒残らず摂取しようとしたり、こぼれた粉を指ですくってなめたりと、必要以上のことをしてしまう。映画の見すぎだ。

2009年 1月 26日 (月)
 隔離生活三日目。だんだん楽になってきて、起きて脚本を書いたりできるようになってきた。映画もぼちぼち見たりしている。

★☆ ギャオでアメリカ映画「仮面の男」を見た。
 ディカプリオが主演なので敬遠してたが、よく見たらその他のキャストがなかなか渋い。ジョン・マルコヴィッチ、ジェレミー・アイアンズ、ジェラール・ドパルデュー、ガブリエル・バーン。特にケン・ラッセルの「ゴシック」やコーエン兄弟の「ミラーズ・クロッシング」などで地味な存在感を放っていた名優ガブリエル・バーンが決めてである。ディカプリオの存在もチャラチャラしたフランスのバカ王様というピッタリの役柄で、思ったより鼻につくこと無く自然に見れた。
 ドパルデューが思ったより良かった。フランス映画で何度か彼の出演作を見たが、こうしてアメリカ映画の大俳優と並んでもぜんぜん見劣りせず、確かな存在感と演技力である。クライマックスで「ワイルドバンチ」みたいに四人が並ぶシーンがあって、意外とドパルデューって背が低いんだなと思ったが、後で調べてみたら身長180cmもあった。他も調べたらジョン・マルコヴィッチとジェレミー・アイアンズが188cm、ガブリエル・バーンが180cm。またえらくデカい四人組だったんだな。
 お話は三銃士の後日談で、老いた三銃士たちが国の危機に再び剣をとって大活躍する物語である。オッサンになってしまったローリングストーンズが未だにカッコ良くライブをやってる姿に感動するみたいなノリに近いものがあった。

2009年 1月 27日 (火)
 隔離生活四日目。頼まれていた脚本が書き終わった。いろいろきつかった。

2009年 1月 28日 (水)
★★★★ 隔離生活五日目。明日から本格的に復活なので、最後にたっぷり眠って、夜は明日の仕事の準備にあけくれた。

 ギャオでアメリカ映画「グッドフェローズ」を見た。マーチン・スコセッシ監督、ロバート・デニーロ、ジョー・ペッシ主演のギャング映画である。
 ギャング映画といっても「ゴッドファーザー」みたいに重い感じでもなく、「スカーフェイス」みたいにギラギラした感じでもない。どちらかというとコメディタッチだが、しかしコメディではなく、適当に重くてギラギラもしている。ちょっととりとめないが、ヤクザな映画という感じで好きだ。
 こういう映画はずっと見ていたくなるので、終わってしまうととても残念に思う。

2009年 1月 29日 (木)
★★★★ 午後、西新宿でホームページ制作の打ち合わせ。作成した見積書と企画案を提示して小一時間ほど話し合ったが、大して進展せず、また来週訪問して再見積もりということになった。ほとんど決まった仕事かと思ったら、他にも五社から見積もりを出させてるらしい。何を基準に比べているのかもはっきりせず、個人的にモチベーションは極めて低い。ありのままの自分と我が社の出来ることをただ堂々と開陳し、あとは思うところに決めてくれたらそれでよかろう。

 ギャオで「ガメラ3 邪神<イリス>覚醒」を見た。平成ガメラ三部作の最後である。
 最高傑作のパート2の後で、選ぶテーマはこれしかないだろう。あえてこの選択を“正解”と呼びたい。
 こんな斬新な切り口で怪獣映画の脚本を書ける人物といったら日本でただひとりしかおらんだろうと思ったら、やっぱり脚本は伊藤和典氏だった。パート2で気づくべきだった。

2009年 1月 30日 (金)
★★ ギャオで「ダーティハリー5」を見た。クリント・イーストウッドの「ダーティハリー」シリーズの最後のエピソードである。
 これがシリーズ最後となった理由がなんとなくわかる。シリーズものの映画って、こうなったらもう幕を引くしかないなと思わせるような、妙に浮ついた作風だった。
 まだ無名だった頃のジム・キャリーが出ていると聞いていたので、見逃さないように気をつけて見ていたが、いらぬ心配だった。もうジム・キャリーはこの頃から見事にジム・キャリーなのだな。

2009年 1月 31日 (土)
★★★★★ ギャオで映画「ルーキー」を見た。
 クリント・イーストウッド監督・主演。共演はチャーリー・シーン。
 バカ単純で最高におもしろい。


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