アイノカタチ
白楽天:作

■ 1章「始まり」6

「え?」
佳奈はまるで頭を鈍器で殴られたような衝撃を受けた。
(リツコさん、やっぱり話しちゃってたんだ……)
(ああ、そんな……こんな恥ずかしいこと知られてしまうなんて)
「そんなぁ……恥ずかしい……」
佳奈は顔を両手で覆うようにすると嗚咽を漏らしながら涙した。
女として、まだ男性と関係を持ったことのない佳奈には耐えられないくらいの辱めだ。
「ほら、泣くんじゃない。人間誰だって感じたりはするんだから。素直になってごらん、すぐにもっと気持ちよくなれる。」
章介は優しい口調ながらも佳奈の両手を引き剥がし左手で押さえつけた。
「いや! やめてください!! こんなの、いや!!」
佳奈は必死に抵抗を試みるが所詮女だ。男である章介には到底敵うはずもない。
まして、今の佳奈は体中を駆け巡る快感に力が入ってない。
「いやだって言っても、ほら? 身体は正直だね。」
章介はスッと佳奈に顔を近づけると優しく耳を甘噛みして首筋に息を吹きかける。
「はぁう……」
佳奈は顔をのけぞらせながら吐息をこぼす。
(やだ……リツコさんの時と同じ……)
(またおかしくなっちゃうよ……)
「それに、俺たちには隠せないよ……こっちもね。」
そう言うと章介は空いている右手でシーツをさっと払いのける。
途端、はだけたパジャマの隙間から佳奈の白い肌とリツコが貸した赤いブラが顔を覗かせた。
「いやぁ!! やめて!! 見ないでぇ!!」
手で隠そうとするが両手は押さえつけられていて動かせない。
(こんなの……いやよ……)
(押さえつけられて、裸を見られるなんて……)
(助けて……もう死んでしまいたい……)
「言ったろ? 素直になってごらん。さっきの条件のことはそれから考えればいい。」
章介はジタバタと暴れる佳奈の足を押さえるようにまたがり、右手でブラのカップの隙間から指を入れ、乳首に優しく愛撫を加える。
「ああ、いやぁ……ダメっ……そんな……」
佳奈は苦悶の表情を浮かべながら愛撫に耐えようとするが、再び勢いを得た火は佳奈には止められなかった。その証拠に先ほどまでの抵抗が嘘のように止んでいる。
もはや、わずかに残った理性が抵抗の文句を並べさせているだけなのだろう。

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