アイノカタチ
白楽天:作

■ 2章「調教開始」1

ただ鞭で打つだけでは動物は躾けられない。それは人とて同じこと。


「このまま俺に寄りかかってごらん。」
章介は佳奈の背後に回ると、佳奈の体ごと包み込むように優しく抱きかかえた。
「佳奈くらいの年頃のコならもう経験してる高校生も少なくないとは思うけど……まぁ俺にはわからないけどね。」
章介は佳奈を愛おしむように、佳奈の髪や頬を撫で苦笑を浮かべる。
「緊張するなっていっても無理な話だが……大丈夫だから。」
その小さく耳元で紡がれた、だがしっかりとした章介の言葉も、自分の髪や頬を撫でる指や手も、佳奈にはとても優しく感じられ、背中から伝わる章介の体温が佳奈を少なからず穏やかな心地にさせていた。
(なんだろう……このキモチ……)
昔、まだ小さかった頃に父の膝に座って父が後ろから抱きしめてくれていたときのような感覚。
あのときの父のような温かさ、でもそれとは明らかに違う何かを、火照る意識の中で佳奈は感じていた。
「初めてだから、焦らなくていい。ただ自分の身体に正直になるんだ。」
そう言いながら、章介は右手を佳奈の腋の下からゆっくりと佳奈の濡れそぼった秘所へと伸ばしゆっくりと優しく愛撫を再開していった。
丁寧に、ゆっくりと佳奈の蜜壷の入り口を撫でる。時折、処女膜を傷つけぬように人差し指の先だけを入り口に侵入させては擦るようにしながら引き抜き、また元の愛撫に戻す。
「あ…あぅ……ひぁ…」
既に章介の愛撫とクレセントの媚薬によって火のついた身体は、佳奈の意思とは関係無しに腰をくねらせ、嬌声を上げさせる。
「どうだい?気持ちいいだろう?」
章介は佳奈の反応に満足しつつ、蜜壷への愛撫を続ける。リズムを変えたり、押すように撫でたりと章介の愛撫は、佳奈に強烈で甘美な刺激と悦びを確実に与えていた。


(そろそろいいかな)
章介は頃合、つまり佳奈が絶頂に至る頃を見計らいながら、左手で最後まで残されていた愛芽への愛撫を始めた。優しく撫でるように、時には押したり軽く弾くような愛撫を、右手の愛撫と一緒に与えてやる。
「んぅぅ、あぁ…あん…やぁ…」
佳奈は、章介にもたれかかりながらキュッと眼を閉じ、初めての、強烈過ぎる快感に溺れていた。頑なに閉じられた長い睫の間には涙がいくつもの小さな水滴を構成していて、恥ずかしさからの涙だと言えど、今の佳奈の媚態はそれすらも艶めかしく見せている。
そして、章介が愛芽を軽く押したとき佳奈は小さな嬌声と共にピクンと小さく跳ねた。
(ん?軽くイッたかな?)
自分の抱きかかえる少女が軽くではあるが初めての絶頂を迎えたことに章介も微笑を浮かべる。
どこか儚げにも見える白い肌は今や全身薄っすらと桃色に染まり、細く長い指は力の入らぬ身体に精一杯の力をこめて章介の腕にしがみついている。
(こっちのほうでイッたってことはこっちが弱いらしい)
章介は佳奈の愛芽に意識を向けながら愛撫を止めずに柔らかな刺激を与える。
普段の調教でなら、イクときは本人にイクと言わせたり、イッた時にはそのことを言葉による羞恥責めとして使うことも多いのだが、章介はそういう気分にはならなかった。
(今は…とりあえず、ちゃんとイかせてからだな)
どんな調教を佳奈に仕込んでいこうか、など思案しながら、愛芽への愛撫を右手へと移し、左手はそっと佳奈の両手に添え、佳奈に笑顔を見せる。
佳奈は、最初は驚いたように涙に濡れた大きな瞳を章介に向けるが、すぐに安心したように瞳を再び閉じると、章介の左手を握り締め、身体を章介と章介のもたらす快楽に委ねた。
「はぁ、はぁ…あぁ…ん、んっ…ひゃっ…」

「あっ、はっ…章介さ・ん…あぁぁっ!」
そして章介がリズミカルに愛芽を撫で、キュッと優しく摘むとほぼ同時に、佳奈は大きく背をのけぞらせた。
ピクン、ピクンと腰を弾ませ、ハァ、ハァと胸を上下させながら荒い息を吐き、ぐったりと再び章介にもたれた。
(な、なに…今…の…?)
(急に…まっし…ろ…に……)
元々愛撫で熱に浮かされてままならなかった思考回路は、ついに完全にダウンしてしまったらしい。
今、佳奈にあるのは不思議な幸福感と、気だるい脱力感だけだった。

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