亜樹と亜美
木暮香瑠:作

■ 出会い系サイトの罠10

「ああ、あうんんん……。いっちゃった……」
 どれくらいの間、絶頂の余韻に酔っていただろう。永い放心状態の後、亜樹はエクスタシーから醒め境内に視線を向けた。亜美の身に着けていた衣服が、あちこちに散らばっていた。白いワンピース、白いブラジャー、パンツ……、全てがただの布切れと化し、点々と落ちている。亜美は社に続く階段に手を着き、お尻を高く掲げていた。何も纏わない全裸の亜美の白い肌が、汗に濡れ月明かりに輝いている。そして、男が亜美の腰を両手で支え、バックから男根を挿入している。
(亜美ちゃん、ずっと犯され続けてたんだ……。こんなに永い間……)
 亜樹は、熱の篭った視線を亜美に注いだ。

「ああん、あうっ……、あううう……。あん、ああん、うんんん……」
 喘ぎ声とも悲鳴ともつかない声が、境内に響いている。
「そろそろ逝かしてやる。どうだ! それっ、どうだ!」
 男が腰を激しく送り込んだ。大きく反り返った怒張が、亜美の媚肉を巻き込みながら出入りする。愛液に濡れ黒光りする男根が撃ちつけられるたび、グチャッ、グチャッと音を立てる。
「ひいっ、ううう……。も、もう……、ゆ、許して……。へ、変になっちゃう、ううう……」
 亜美は淫らに腰を振っていた。男が怒張を打ち込むたび、亜美の腰がうねり、砲弾型の双乳が大きく揺れている。

 亜美の肢体がピクッ、ピクッと痙攣を始めた。男が最後の腰を打ちつけた。
「ううっ、ううう……」
 亜美は、喘ぎ声を上げ背筋を反り返らせた。そして、ゆっくりと崩れ落ちていく。亜美のお尻と腰が離れていき、怒張が秘孔から抜けていく。ぱっくりと開いたままの秘裂からは、男の放った白濁液が滴り落ちる。泡だった亜美の愛液と混じった白濁液が、太股を伝って流れていった。

 地面に横たわる亜美を見下ろしていた男は、ポケットから財布を取り出した。
「ほらっ、約束の五万円だ。それにしてもすげえ良かったな。最高だったよ、お前の身体……」
 気絶したまま返事をしない亜美の傍に五万円をそっと置き、男は立ち去っていった。



「ううっ、ううう……、うぐ、ううう……」
 意識を取り戻した亜美が、一人境内に残され蹲ったまま泣き声をもらしていた。

 亜樹は、そっと亜美に近づいた。
「亜美ちゃん、どうしたの?」
「いやっ、来ないで……。み、見ないで、ううっ、ううう……」
 亜美は、ボロボロになったワンピースを、肢体を隠すように身体の前で抱き締め、声を上げて泣いた。
「誰かにレイプされたの? わ、わたしが、来るのが遅れたから?」
「ううう……、ひっ、ううっ、……」
 嗚咽の混じった泣き声を上げながら、亜美は首を横に振る。

 亜樹は、亜美の傍らに落ちている五万円を見つけた。
「あ、亜美ちゃん、お金を貰って犯させたの? 五万円もある……」
「ち、違う……。違うの……」
 訳の判らない亜美が、首を大きく横に振る。なぜ犯されたのか、なぜ五万円がそこにあるのかさえ事情が判らなかった。
「レイプされたのね、誰かに……」
 亜美は、ウンと首を縦に振った。
「その男がレイプしたお詫びに五万円を置いていったのね」
 亜美は俯いたまま、その問いには答えられなかった。

「誰か呼ぼうか? 警察……、お母さんか、それとも健吾か……」
「だめえ! だ、誰も呼ばないで……。誰にも喋らないで……」
 亜美は、涙に濡れた眼差しで真剣に亜樹を見詰めた。
「判った。誰にも言わない。二人だけの秘密にしておこうね」
「ううっ、うん……。ううう……」
 亜美の泣き声が、境内に響いた。

 亜美は、亜樹に抱きつき泣いた。亜樹も亜美を強く抱きしめてあげた。
「心配要らないからね。誰にも言わない、誰にも……」
「うん、うん……。お願いよ、誰にも言わないでね」
 幼子のように泣く亜美がいとおしかった。しっかり者の亜美がわたしに甘えている。わたしだけが知っている亜美の秘密……。亜美が誰にも知られたくない秘密を、わたしは握っている。母親の胸で甘える幼子のような亜美の泣く姿を見て、亜樹は優越感を感じていた。

≪完≫


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