亜樹と亜美
木暮香瑠:作

■ 亜美・二十歳6

 ビールを一杯飲んだ亜美は、二杯目のグラスを傾けながら顔を真っ赤にしキャッキャッと明るい声で直美と話している。

 三杯目のビールがグラスに注がれた頃から、亜美の目はトロンとし今にも寝てしまいそうだ。いつもより酒の酔いが早いみたいだ。睡眠導入薬の効果が現れているのだろう。
「ういぃー、直美せんぱーーい。もうだめですぅ」
 直美に寄りかかった亜美は、つっかえが無ければ今にも倒れてしまいそうだ。
「眠いですう、ううん……。ここで寝ていいですかあ?」
「だめっ、だめよ。ちゃんと布団で寝なさい」
 直美が亜美の身体を支えるが、今にも倒れこみそうだ。
「お酒は弱いって言ってたけど、本当だったのね」
 直美は呆れ顔で亜美を見詰める。直美にもお酒に弱いことは話していたみたいだ。お酒に睡眠薬が入っていたとは、直美も気付いていない。ただ単に酔っ払ったと思ってるみたいだ。
「矢島さん、お願い。亜美ちゃん、部屋まで連れて行ってあげて」
 直美は矢島に亜美の身体を凭れ掛かせた。
「わたし、今日は部屋には帰らないから、お願いね……。知ってるでしょ?」
 矢島達の計画は知らない筈の直美は、意味有り気なことを言った。予想通り、直美は今夜は課長の部屋で一晩過ごすのだろう。状況は矢島達の思惑通りに進んでいる。神様が矢島達の計画を認めているかのように……。
「うん。……任せといて」
 矢島は、亜美を抱きかかえるようにして宴会場を後にした。



 矢島の心臓は、爆発しそうなくらいに脈打っていた。
 目の前には、布団の上に横たわって寝息を立てている亜美。乱れた浴衣の裾から膝より下の脚が覗く。視線を上半身に移すと、浴衣の上からでも判るくらいの盛り上がりを見せる胸。少女のように無防備な寝姿が矢島の欲情を駆り立てる。
「ううーーん、うん……」
 亜美が眠りの中、突然、小さな呻き声を上げる。矢島はビクンッと身体を震わせた。
(起きてる? 薬が効いてない?)
 不安な気持ちで亜美のことをじっと見詰めるが、起きてる気配は無かった。呻き声を上げ身体を捩ったことで、浴衣の裾が更に乱れ亜美のミルクを塗りこんだような太腿が露になる。足元から覗けば、薄布に包まれた秘部まで見えそうだ。
(誘ってる? 俺を……。やっぱりAVに出ていたのは間違いなく亜美ちゃん?)
 寝ている中での動作ではあるが、亜美の肢体は無意識に男を誘っているように見えた。

 これからどうすればいい? これから行おうとしてることへの気持ちの昂ぶりと罪悪感、もし間違っていたらという疑問が入り混じり、矢島はこれからどう行動すればいいか判らない。目の前の亜美の寝姿に、悶々と血を滾らせる時間が流れた。

 小宮と岡村が遅れて部屋にやって来るまでの時間が長く感じられた。一時間ほどして宴会が終わり、小宮と岡村がやって来た。
「なんだ、まだ犯ってなかったのか。お前に一番最初に犯らせてやるっていってたから、もう犯ってるかと思ったのに……」
「俺たち、呑まされるのを誤魔化しながら酔わないようにするのに必死だったぞ。酔いつぶれたら、亜美ちゃんの身体、楽しむどころじゃないからな」
 二人とも目をギラギラさせ、浴衣姿で横たわる亜美に視線を這わせながら言う。期待に自然と笑顔が漏れている。
「脱がしてもいないなんて、俺等にも楽しみを残してくれていた?」
 小宮は、嬉しそうに目を細める。
「うひょー、すげえ綺麗な脚。美味そうな肢体してんなあ」
 浴衣の裾から覗く脚を見て、岡村が生唾をゴクンッと飲み込む。
「本当になぁ、めちゃくちゃ綺麗な脚してやがる」
 DVDを何度も観てはいるが、実物を目の前にすると、それは映像以上に男達を魅了する。

「もう待ちきれねえ、脱がそうぜ。浴衣の下にはどんなお宝が隠れてるのかな。うひひっ……」
「まあ、待て。亜美ちゃん……、亜美……」
 小宮は岡村が手を伸ばすのを遮り、眠りの状態を確かめるように亜美の頬を軽く叩きながら声を掛ける。
「ううっ、うううん……」
 亜美は軽く呻き顔の向きを変えるが、起きる気配はない。
「しっかり寝てるな。さあ、脱がすぞ」
 小宮は、亜美の浴衣の帯に手を掛けた。

 亜美の帯を解き浴衣をはだけさせると、ブラとショーツに包まれた柔肌が露になる。
「でっかいオッパイだな」
 ブラジャーに包まれ寄せられた双乳が、深い谷間を作っている。
「外すぜ」
 岡村がホックを外すと、支えを失った肉球はブルンッと震えブラジャーを弾き飛ばした。そして寝息に合わせ、仰向けに寝ているのに崩れることなく盛り上がった肉球が上下している。
「すげえ、柔らかくて美味そうなオッパイ。揉みてえ」
「まあ、焦るな。後でいくらでも揉めるんだから」
 焦る岡村を小宮が落ち着かせる。そして、亜美の足元にいた矢島に声を掛ける。
「矢島、パンティ脱がせ。まずは、すっぽんぽんの裸を鑑賞させて貰おうぜ」
「あ、……ああ」
 矢島は、震える手をパンティに手を掛ける。
「うん、ううん……。ゃじまさあん、んうう……」
 小さな声で亜美が、寝言のような呻き声を上げた。
(俺の名前呼んだ?)
 矢島の手が止まる。
「早く脱がせよ。亜美ちゃんのお宝を拝ませてもらおうぜ」
 あまりに小さな声は、興奮している小宮と岡村には聞き取れなかったようだ。
「ああ、判った」
 矢島は二人に急かされ、亜美のパンティを引き下ろした。

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