青い蹉跌
横尾茂明:作

■ 鬼畜な玩具1

今日から夏休み…あー…暇だな…。
普通だったら高校受験の大変な時季なんだろうけど…私、私立のお馬鹿さんが行く高校に決めたから…勉強なんかしなくていいの。

君は頭がいいから少し頑張れば都立のいい学校に受かる! …って先生が唾を飛ばして言ってたけど…そんなの関係ねー!。

だって…勉強…嫌いだもん、でも…高校卒業したら何しよう…。
お母さん…大学にいくのよ! っていつも言うけど
私のことなんか…知ろうともしないくせに!。

私より若い男の事ばかり…
フン、何よ私を心配するふりなんかしちゃってさ。

あぁぁー…なんかゾクゾクしちゃうこと…ないのかなー。
もうすぐ生理が始まっちゃうのに…うぅー欲求不満だよー!。

もう5時かー…新宿にでもいこかな…。
素敵なオジサンにひょっとして逢えるかも…、うん! いこいこ。


交差点のところで…オジサン…ぅうんお兄さんかな、
ちょっとかっこいい人が声をかけてきた。

「君、可愛いね…遊ばない?」

ワッ、直接的な人…。

「ビリヤードするから…ついてきなよ」

オニイサン…歩き始める、私が当然付いてくるものと思っているらしい…。
フン! って思ったけど…何故か惹かれる感じ。

結局…走ってオニイサンに追いついちゃった。

オニイサン自然に私の肩に手をまわし…「小ちゃいんだね」って歩き出す。

駅の裏道に入っていく…こんな所にビリヤードなんて有るのかしら?。

露地から左に折れて進むと小さな蕎麦屋が有った。
その隣りにビリヤ−ドの看板がある…。

オニイサンは看板下の扉を開けて私を先に入れた。
中は意外と広く、台が六つもあった。
壁には何本ものキューが立てかけてあり、煙草の臭いと少し黴くささも感じた。

お客の全くいない台を見ながら奥の扉を目指す。
オニイサン…さっきからなにか恐い感じなの…。

扉を開けた…その中は小さな事務所って感じ。
オニイサンより少し若い感じの人が一人パソコンのモニターに見入ってる…。

「テツ、連れてきたぜ!」

テツと呼ばれた男がモニター越しに私を見る。

「オッ! 兄貴、いい子見付けましたねー」

「だろっ、中学生と思ってな、ロリータつー感じでそそられたぜ!」
「しかし…最近のガキは恐いつー事を知らねーなー、何処かのネジが外れてんのか?」
「まっ、しかしこれで何とか素材は手に入った、早速やっつけんぞ」

「お前! 名前は?」

「……私…帰ります……」

「コラ…ただで帰すわけねーだろー」

オニイサン…急に恐い顔で私を睨み付ける。

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