青い蹉跌
横尾茂明:作

■ 鬼畜な構図1

「由加…今日はどうしちゃったのよー、顔色悪いよ…」

「ぅぅん…何でもないの」

「何処かのオジサンに変なことされたんでしょう?」

「もー違う! たらー」

菜穂は私の剣幕に驚いたように目を丸くし…
「フン! アンタなんかもう知らない」って怒ったように喫茶店を出て行った。

菜穂には…昨日のこと話すつもりで呼び出したのに、
でも話したところで何にも解決しないことは分かっているから…。

わたし、ボーとしながらレジで会計を済ませ…喫茶店を後にした。
日差しが熱い…日焼けは嫌だから、いつもだったら日陰を探して歩くのに…
きょうは日差しも気にならなかった。

お母さんの携帯番号控えられてしまった
もう逃げられないと思う…
これからもあの男達の言うなりにこの躰を弄ばれる事を想うと…。

恥ずかしいビデオを何度も撮られ、いろいろなサイトで流される…。
いずれ…私の知ってる人に見られて…お母さんにが知る日も来る…。
わたし…何処まで堕ちていくの…?。

「ねえ聞いた? 先輩の祐子さん…エンコウ相手がヤクザだったらしく」
「いま…AVで裏サイトに出てるって」
菜穂の言葉が思い出される…あんなふうに…簡単に人に知られちゃうんだ…。

どうしよう…あぁぁ、わたしどうしたらいいの…

家の近くまで来たとき携帯が鳴った
非通知の電話…あの男達だ…。

「もしもし…あの…由加ですが…」

男達は…今お前の家の前で待ってるからすぐに来いと…電話が切れた。

あぁーお家も知られちゃった…もう逃げられないヨー…。

男達は家の前でキャンピングカーから降り…煙草を吸っていた
幸い近所の人は…表に出ていなかった。

私は急いで車に乗り込む、そして顔を隠し…早く出してと男達を促す。

「なんだ…えらく積極的じゃないかきょうは」

「兄貴…こんガキ、近所に知れるのが怖いんですぜ…クククッ」

「ふーん…援交してるくせに…近所の目が怖いんか、変わってやがる」

車は中野通りから早稲田通りを左に折れ、暫く走って首都高に乗った。
川口JCTから東北自動車道に乗り換え北進する…。

「オニイサン…何処に行くの…」
わたしすごく不安になってくる…。

「なーに、テツの野郎がな、いい絵を撮るんだって言って栃木まで行くんだよ」

「そ…そんな遠くまで…今日…帰してくれるの?」

「おお、帰してやるとも、ちょっと遅くなるかもしれんがな」

時計は13時を少し回ってた…。

車は栃木ICで降り…川沿いに山の方向に進む。
途中、トンネルが有り…進むとT字路を左に折れ山道を登る…。

「兄貴、ここいらでどうです?」
「そーだなー…いいんじゃねーか」

「由加、おまえこれに着替えろ」

渡されたのは昨日の下着とセーラー服だった…。

「おめーこんなに可愛いのに…なんでそんなどぎつい化粧をしてんだ?」
「これで全部落とし、昨夜のような化粧に変えろ」
テツさんがウエットティシュの容器と化粧道具の箱を私に押しつける…。

私はそれを持って…車の二階部分によじ登る。

服を脱いで…下着も脱ぎ…生理ナプキンも取った。
ウエットティッシュで丹念に性器と肛門を拭い…
純白の綿のショーツにナプキンを貼って履き、スポーツブラジャーを着けてセーラー服を着た。

髪を三つ編みにし、清楚な感じに化粧をしていく…。

小さな階段を降り…男達に見せる、男達は満足げに頷いてくれた…。

白の靴下を履かされ、黒のローファーを渡され扉が開けられた。
「さー外に出な…」

靴を履いて外に出る…山の木々がざわめき…空気が気持ちよかった。

男達は道具をそれぞれ持って、私を促し道横のから土手に続く草道を進む。

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