淫辱通学
木暮香瑠:作

■ 謂れなきお仕置き6

「何してんだい? こんなところで……」
 有紗の前に立った浮浪者が、頭をぼりぼりと掻きながら訊ねた。何日も頭を洗っていないのか、脂と埃で絡まった髪の毛にフケが浮いている。何年間も着替えたことの無いようなぼろぼろの服は、所々破けて垢だらけの肌を覗かせていた。
「何処かで会ったことあるか? 見たことがある気がするんだが……」
 有紗の心臓がドキッと凍りつく。同じ町の人間である。駅で会ってるかもしれない。有紗の素性を知っているかもしれない。そう思うと、背筋を冷たい汗が流れた。
「会ったこと、ありません! な、何もしていません。向う……、向うに行ってください……」
 有紗は、顔を伏せたまま丁寧に言った。
「向こうに行ってくださいか。俺たちも嫌われたもんだ。普通の人間は、夜にこの公園に来るヤツはいねえ! 何もしてないって事はないだろう」
 男は、有紗の立ち姿をじろりと見ながら言った。
「この娘、聖愛学園の生徒だよ。この制服は……」
 もう一人の小柄の浮浪者が、有紗の制服姿を見て言った。
「そうみたいだな。真面目・清楚で有名な聖愛学園の生徒が、こんな時間に、こんな所で何してんだ?」
「何もしていません。本当なんです。信じてください」
 有紗は、浮浪者たちが立ち退かないことにイライラしながらも、二人を刺激しないよう丁寧に言う。

 もう一人の浮浪者は、有紗の横に回り街路灯の支柱に回された手に掛かった手錠を見つけた。
「清さん。この娘、手錠で繋がれているぜ」
 清さんと呼ばれる男も、有紗の前に置かれた紙袋とその上に置かれたメモを見つけた。清は、メモを拾い上げ目を通す。
「何々? 『わたしは悪い娘です。私にお仕置きをしてください』か……。何をしでかしたんだい?」
 清は、ニヤリと濁った目を細めた。
「何もしてません……、わたし……」
「何もしてないだって? パンティを膝に絡めて手錠で繋がれていちゃあ、そんな言葉、信じられるわけ無いだろう」
 浮浪者は、すらりと伸びた太腿とその下の膝に絡まった真っ白な布切れをじろりと見た。有紗は、慌てて膝を閉じる。閉じたところで、膝に絡まったパンツがどうなる訳でもないが、有紗にはそうすることしか出来なかった。

 もう一人の浮浪者は、頬を真っ赤に染め俯いている有紗の後ろに回りスカートを捲くった。
「キャッ! イヤッ……!!」
 一瞬、有紗の何も着けていないお尻が露出する。
「うひょーー、本当にノーパンだぜ。ツルツルのケツしてら……。本物の女子高生だぜ」
 街灯の支柱に繋がれ、逆らうことの出来ない有紗のお尻を眺め歓喜の声を上げた。

「ゆ、許して……。本当に私、何も悪いことしていないんです。本当です、ううっ……」
 見ず知らずの男に肌をさらす羞恥、これから味合わされるだろう恥辱が、有紗の精神を蝕んでいく。大きな瞳が涙で潤んでいく。頬に一筋の涙を流す有紗の、懇願の言葉も男達には無視された。清と呼ばれる浮浪者は、有紗の前に置かれた紙袋の中を確認した。
「ほほーー、これでお仕置きをしてほしいんだな」
 清は、中からバイブを取り出し落ち着いた声で言った。
「どうだ、隆志? この太さは……」
 隆志というもう一人の浮浪者にそのバイブを見せた。
「すげえーー。こんなに太いもの、見たことねえゼ。こんなに太いバイブを使うってことは、相当の女だぜ」
「そうだな。相当に悪いことでもしたんだな、こんなに太いヤツでお仕置きをお願いするとはな」
「ううっ、お仕置きなんて……、お、お願いしていません。ううっ、ううう……」
 有紗は、俯いたままの頭を左右に振った。

 涙を流している有紗を、雄一と美由紀は離れた場所から眺めていた。
「もうすぐ、あの男たちに嬲り者のされるぜ?」
「ゆ、許してあげて、有紗ちゃんを……。お願いします。アナルバイブのスイッチを入れなかったのは私なんです。私が悪いんです」
 美由紀は、大きな声で雄一にお願いをする。有紗を助けに走りたいが、ベンチに手錠で繋がれた身ではそれも叶わない。
「大声を出して、助けを呼んでもいいんだぜ。人が集まると困るのは、有紗の方だと思うがな」
 雄一の言葉に美由紀は、声を詰まらせた。
「有紗ちゃん、かわいそう……」
 大きな瞳を涙で滲ませる美由紀に、雄一は言う。
「何言ってやがる。あいつは未だに挑戦的な目で俺を見てる。ここらで徹底的に、屈辱を味あわせておかなくちゃいけねえんだよ」
 雄一は、鋭い視線を有紗に向けニヤリと口元を緩めた。

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