ボヘミアの深い森
横尾茂明:作

■ ボヘミアン8

「殺しゃしねーよ、全く大袈裟なアマだ…」

男は少女が落ち着くのを煙草をふかせて待った。
まだ陰茎は反り上がったままズボンの腹側に倒れ時折前後に揺れている。

「オメーに比べ…婆さんは上手だったよなー、1回で充分満足したもんだぜ…オメーは…へたくそ」
「ほら見ろ…まだ満足出来ねーとムスコがいきり立ってやがる」

男はペニスを眺め、下卑た笑い声を立てた。

少女はさめざめ泣いた…無賃で送ってもらう代償がこんな恥辱の行為だったとは…。

(お婆さんは知っていながら私をこのトラックに乗せた…)

その当たり前のようにボヘミヤンの蔑みを甘受しているロマの血が少女には許せなかった。

母が何故あれほどに反対したのかようやく分かった…女の行商には当たり前のように性が介在していたからだ。

口中に饐えた臭いと栗の生臭さが残り…再び胃が蠕動を始める…少女は歯を食いしばってその吐き気に耐えた。

「お嬢ちゃんヨー…どう…少しは落ち着いたかい?」
「なーに減るもんじゃねーし、うがいすりゃー綺麗なもんよ」

「しかしこれからオメーも辛いよなー…行商って言えば聞こえはいいが、殆ど売春婦みてーなもんだからよークククッ」

「しかしお前はベッピンさんだから…何も行商なんぞせずその体を売ってりゃ何倍も稼げるのに…勿体ない」

「チェコの森で食っていけねーから行商に出る…しかし世の中甘かねーよなー、オメーの婆さん13からこの商売してたの知ってたかい?」

「婆さん若い頃は相当の美人だったらしく…フランクフルトでドイツ将校相手に相当羽振りきかしてたらしいが…」
「歳はとりたくねーもんだ…」
「クククッ…しかし今は歯が無いぶんフェラチオの達人なんて儂らの仲間内では言われてるがナ」

「おい!、黙ってねーでもう少し愛想良くしたらどうよ!」
「ったく…いい加減観念しねーか」

「ほら、もう一回やるぞ」

「…………………」

「お前なー、チ○ポくわえさせて下さいくれー言えねーのか」

イヤイヤしながらドアにしがみついている少女の襟首を男は掴んで強引に引き寄せた。

「おっ…お前いい躰してんじゃねーか…童顔だからガキとばかり思ってたが…体は立派な大人じゃねーか」
「オイ! ちょっと服脱げや」
「なーに…見るだけだから、なっ、突っ込まねーから安心して脱げや」

「………………」

「コラー! 叩かれる前に早く脱がねーか!」

男は手を振り上げて叩くまねをする。
少女は哀願するように手で頭を覆い目を瞑って震えた。

「ほら、上から脱がしてやるよ」
男は少女のジャンパーをはぎ取り、無造作にセーターを引っ張り上げスッポリと脱がした。

「ケッ…ガキがブラジャーなんぞ付けやがって」

ブラジャーはむしり取るように外された。

「ホーッ…ガキにしちゃーいい乳してんじゃねーか」
「こりゃータマランぜ」
「くーっ、柔らけなー…」

「ほら今度は下だよー…こら! 手をはなさんか」
「このやろー、本気で殴るぜ!」

「………………」

「そーだ…手を首の後ろで組んで!、離すんじゃねーぞ」
「ったく…ピチピチのズボン履きやがって世話のやけるガキだぜ…ったく」

男がジーンズと下着を乱暴にむしり取る…少女はただ怯え、男の恥辱の行為になすがまま震えるしかなかった。

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