ボクとアイツと俺
木暮香瑠:作

■ 罠に囚われた志穂2

(宗佑の夢を奪ったったボクが、これ以上宗佑を頼って迷惑をかけられない……。それに、圭一にも知られたくない……。何とかしなきゃ……)
「どうしたらいいの? ボク……」
 佐々木に向けた志穂の声は、母親に叱られた子供が許しを請うかのように弱々しい。自分で何とかしなきゃと思っても、どうしたらいいか判らない。
「俺たち、志穂ちゃんと仲良くしたいわけ。一ヶ月だけ俺たちと付き合ってよ。この前の志穂ちゃんの身体が忘れられないのよ、俺たち……」
 佐々木の言葉は、暗に抱かれろと志穂に告げる。
「十分楽しむ前に邪魔が入ったからね、この前は……。この前の続き、したいわけ、俺たち。一回やるのも二回やるのも同じじゃん? 一ヶ月でいいんだからさ」
 そして、宗佑との約束どおり、志穂を犯したのは自分達だと言い、その続きを求めた。

 志穂は、助言を求めるように宗佑の顔を覗きこんだ。しかし宗佑も、答が見つからないと顔を横に振って、やっとの思いで搾り出した言葉は次のものだった。
「すまない、志穂……。俺のバカな頭じゃ、どうしたらいいか判んねえよ。圭一……悲しませたくねえし……、志穂の写真……、ばら撒かれたくねえから……。」
「そう言うこと。俺たちも悪魔じゃねえし、秘密は守るよ。志穂ちゃんと宗佑が俺たちの言うこと聞いてくれたら、なあ」
 佐々木がそう言うと、棚田達佐々木の仲間もウンウンと頷いた。
「一ヶ月でいいだよ。一ヶ月なんてすぐ過ぎるぜ。夏休みが終わる前に終わるじゃん。どうせ、夏休みは彼氏も練習や試合で忙しくて会う暇も取れないだろ? その間、俺達が寂しい志穂ちゃんを慰めてあげるよ」
「ボ、ボクが……、一ヶ月我慢したら、全部秘密にしてくれるんだね」
 秘密を握られ逃げ道を奪われた志穂には、他に選択肢は見つからない。佐々木達の要求を呑むしかなかった。

「交渉成立!」
 棚田はニコッと微笑み声を上げる。
「じゃあ、宗佑はここでお別れね。行こう、志穂ちゃん」
 佐々木は宗佑を手を振り、帰るように催促した。



 宗佑と別れた佐々木達と志穂が向かったのは、志穂にとっておぞましい記憶しかないカラオケルームだった。



「さあ、脱いだ脱いだっ! この前の続きしようぜ」
 佐々木の言葉に、志穂の顔が一気に紅く染まる。今まで、圭一の夢を守らなくては……、秘密をばらされる訳にはいかないという思いでいた。その為なら一ヶ月なんて絶対耐えて見せると平静を必死で保っていた。しかし、いざその場になるととても平静ではいられない。恥ずかしさと虚しさ、悔しさが感情の箍を外す。瞳がウルウルとし今にも涙が零れ落
ちそうになる。

「志穂ちゃん、泣いても俺たち諦めないよ。無駄だから……」
「素直に脱ごうね。へへへ……」
 男達は、涙目の志穂を面白がるがそれで怯むような輩ではない。一層、加虐嗜好に火を点ける。男達が急かすが、志穂はなかなか手を動かすことが出来ない。顔を益々紅くし、瞳を潤ませた。
「楠木、ちゃんと撮れよ」
「任しといて、へへへ……」
 グループの下っ端の楠木が、ビデオカメラを構える姿が志穂の目に映る。
「えっ!?」
 向けられたレンズに、驚いた志穂の顔が映る。
「一ヶ月楽しまなきゃ。ひと月経ったら、ビデオも返してやるから安心しな」
 いくら返すと言われても、志穂の羞恥心は煽られる。志穂の身体は強張り、襟元のリボンを外したところで手が動かせなくなる。
「さっさと脱げって言ってんだよ!」
 なかなか服に手を掛けない志穂に、佐々木の怒鳴り声が響く。志穂は、ビクッとし、そしてシャツのボタンに手を掛けた。
「ひくっ、ううっ、み、見ないで……」
 声を引き攣らせながら志穂はボタンを外していく。
「見るなって、見る為に脱がせてんだから無理な話だよーーーん」
 開かれた胸元から面積の多い肉球を全てを押さえ込むスポーツブラが現れる。
「ありゃーーー、今日もスポブラ? 色気ねえな」
 男達は、恥ずかしがる志穂の羞恥心を煽る言葉を投げ掛ける。

 シャツを脱いだ志穂は、スカートのホックを外すが添えた手を離すことが出来ない。手を離せはスカートは重力に従って床に落ちる。肩やお腹の晒された染み一つない肌まで朱に染まっている。
「さあ、スカート下ろしてパンティを見せてよ。どんなパンティかな?」
「うっ、……」
 志穂の短い嗚咽と共に手を離されたスカートが床に落ちた。
「ええーーー。スカートの下、体操着着てんの? 本当に色気無し。こんなに良い身体持ってんのに勿体ない」
 スカートの下に体操着のショートパンツを穿いているのは、志穂の羞恥心の強さの表れでも有った。階段を登る時、床に落ちたものを拾う時、風が強い時、いろんな場面でスカートの中が気になってしまう。見られたら……、風邪でスカートが捲くれたら……、そんな気持ちを覆い隠し安心を得る為に身に付けていた。ボーイッシュを装っているのも、恥ずかしさの裏返しであった。

「本当に色気ねえな。一ヶ月は俺達の女として、女らしい格好してもらわねえとな。棚田、明日にでも、コイツに色っぽいランジェリーと服、買ってやれよ」
「そうだね。いいもん持ってんだから、胸もお尻もオマ○コも、へへっ……」
 男達は、肌を隠す布地を突き通し、中を覗くような視線を志穂の身体、胸にお尻に股間に向けている。
 志穂は恥ずかしさに身体を捩り、胸を両手で隠すように覆い男達からの視線に横向きにした。棚田と大下が志穂の前後に回り込み、ブラとショートパンツに手を掛ける。
「さっさと脱ごうね。手伝ってあげるから……」
「ゆ、許して……。これ以上は……恥ずかしい……」
「何恥ずかしがってんの。もう一回、全裸を晒してんだよ。俺たちの前で……。眠てたから覚えてないかもしれないけど、へへへ……」
 そう言うと一気にブラを捲り上げショートパンツとパンティを引き摺り下ろした。
「いやあーーーっ!」
 全裸にされた志穂はその場に蹲った。胸を隠すように両手で覆い、膝を合わせ前屈みに蹲っていても、二の腕と脇の隙間から隠し切れない柔肉がはみ出していた。

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