ボクとアイツと俺
木暮香瑠:作

■ 週末の憂鬱2

 男達の視線が、今日買ったばかりの服装に着替えさせられた志穂の格好を舐め回すように這わされる。
 志穂の格好は、あまりの素っ気無いショートヘア、化粧気のない素顔を除けば、今時の女子高生、いや、普通の女子高生にしては露出の多い服装の休日の繁華街をうろついてる女の子のような格好だ。ただ違うのは、大きく開いた胸元を押し上げる肉球とその間に刻まれた深い谷間、そしてモデル級のスタイルに小さく端正な顔立ちだ。しかし志穂には恥ずかしくて仕方なかった。スカートなどここ何年間も穿いた事ないし、胸元を見せる服など着たことはなかった。ここまでの道のりが、志穂には針の筵に座る気持ちだった。

「俺のセンス、どう?」
 みんなの驚いた顔に、棚田は満足気に問いかける。
「セクシーだねえ。巨乳の志穂ちゃんにはピッタリじゃね」
「ただでさえでかいのに、胸寄せて上げてされちゃ、男には目の毒じゃね……。これじゃ男達の視線独り占めだったんじゃね?」
 身に着けさせられたハーフカップのブラは、ただでさえ量感のある双胸の間に深い谷間を作っている。視線を落とすと、すらりと伸びた脚がスカートの裾から覗いている。
「このスカート、屈んだらお尻見えちゃうぜ、絶対」
「階段が楽しみだったね。志穂ちゃんが歩いたら、みんな後ろを着いて来たぜ。厭らしい目してさ」
 程よい肉付きの太腿、スカートの裾をツンッと跳ね上げるヒップが健康的な女子高生らしい色香を醸し出している。
「へへへ、パンティはどんなのをチョイスしてんだ? 楽しみだね」
 佐々木は棚田に好色な笑顔で尋ねた。佐々木のリクエストに棚田が志穂のスカートを捲った。
「きゃっ!!」
 短い悲鳴と共に現れたのは、ツルツルの尻肉とその谷間を飾る一本の輝くサテン生地の紐だ。
「だ、だめっ!!」
 慌ててスカートを抑える志穂だったが、男達の目にはしっかりと収めらていた。
「へへへ、今日は控えめにサテン生地のTバックを選んでみました。志穂ちゃんのツルツルの肌に合わせてね、へへへ……」
 男達の目が輝いているのを見て、棚田は自慢げに笑った。

 スカートの中が見えないよう、しっかりと脚を閉じソファーに座る志穂。紅く染まった顔を恥ずかしそうに俯かせている。その前で、男達は棚田と志穂が提げてきた袋をみんなで開いてみる。
「なんだよ、このランジェリー、透けすぎじゃね」
「こっちなんか、超省エネ。生地代ケチっちゃってるよ、へへへ……」
「乳輪、はみ出しちゃわね。それにこのパンティ、オケケはみ出しちゃうよね。後でお手入れしようね」
「はみ出てるほうがエロくて良くね、恥ずかしがり屋の志穂ちゃんには……。そっちの方が興奮するよね」
「もう少し、女子高生らしいカワイイのは無かったのか?」
「へへへ、君たちの好みに合わせたんだよ、志穂ちゃんにじゃなく。ねえ、志穂ちゃん。俺はフリフリでリボンの付いたのが好きなんだけどね」
 佐々木の問いかけに棚田は冗談っぽく答える。
「嘘つけ。変態趣味のお前が……」
「おい、このパンティ、スゲエぜ。ほら、真ん中が割れてるぜ。これって、穿いたままどこでも即ハメ出来るヤツじゃん」
 耳を覆いたくなるような会話が志穂の前で繰り広げられる。そして、スケスケの生地のランジェリーや、下着というにはあまりに面積の少ないランジェリーがテーブルの上に広げられていく。これらのランジェリーを身に着けることを強要されると思うと志穂は、恥ずかしさにカーッと頭に血が上る。そんな志穂はお構い無しに男達は袋から出したランジェリーや服を楽しそうに広げていった。

「こんなものも買ったぜ。どう? 似合うだろ?」
 棚田が袋から取り出したのは、ロングヘアのウィッグだ。それを志穂の頭に被せた。
「似合うじゃんか。やっぱり女の子だね、ロングヘアにしたらまるでアイドルじゃん」
「やっぱりかわいいな、志穂ちゃん。髪伸ばせよ。って、一ヶ月じゃ、そんなに伸びないか。残念」
 髪を長くするだけで、女らしさがグンと増した。
「ああ、確かに似合うな。ただ、眉がちょっと太いかな? 眉毛の手入れ、してねえだろ、お前」
 佐々木は、そういって志穂の顎を手で押し上を向かせて眉を確認する。。
「うっ! 眉なんて付いてれば形なんて気にしない!」
 そう言って志穂は、佐々木の顔を睨んだ。
「俺たちだって手入れしてるぜ、眉毛」
 佐々木は、細く手入れされた自分の眉を指差し言う。
「ちょっと待ちな、手入れしてやるから……」
 そう言うと佐々木は、洗面所に向かった。

 洗面所から戻ってきた佐々木は、眉毛カット用のハサミを手にしていた。
「動くなよ。下手に動くと眉毛、無くなっちゃうぜ」
 脱げ出したい気持ちを抑え、佐々木の手で眉を整えられる志穂。
「ほら、出来た。見てみな!」
 志穂に向けて鏡が向けられる。

 鏡に映った自分の顔を見て志穂は驚いた。ボーイッシュな端正な顔がパッと華やいだ。ちょっと眉毛を整えただけなのに、ロングヘアのウィッグを被っただけなのに、こんなにもイメージが変わるものなのか……。鏡の中には、ロングヘアの少女がいた。まるで清純派アイドルのような女の娘が……。
 佐々木は志穂のイメージを崩さないよう眉の形を整える程度に収めていた。それが見事に嵌っていた。あまり細くしないことで、ロングヘアと相まって、清楚で明るい清純派アイドル風に仕上がっていた。
「いいねえーーー。可愛すぎじゃね?」
「天使過ぎねえ? マジ天使だよ、俺達の……」
 男達も志穂の変化を褒める。こんなに褒められたのはいつぶりだろう。小学生の時にショートヘアにして、ボーイッシュな格好にして……、その頃から女の子として褒められることを拒んできた。そんな志穂でも、鏡の中の自分を見て、褒められることが嬉しいという気持ちが少し芽生えていた。

「こりゃあ、撮影会だね。駅前の公園でやろうぜ」
「!?」
 楠木の言葉が志穂の恥辱を呼び覚ます。
「お前好きだなあ。まあ、Hとビデオ撮影がお前の趣味だもんナ」
「へへへ、志穂ちゃんの恥ずかしがる顔、可愛いもん。いい絵が撮れるぜ」
「そうだな。時間は十分有るし……。それも楽しめるな」
 すぐに意見は纏まり、真昼間の恥辱撮影会が決まった。

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